うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

カリム

2013-02-28 21:43:47 | 競馬日記
アガカーン4世殿下の名前はKarimといいます。どこかで聞いたことがありますよね。ハイセイコー母父カリムと同じです。

カリムの母Skylarkingはアリカーン王子(Princeを慣例に則って王子と訳すのだけど、なんかしっくりこないですね)の所有でモーリス・ド・ゲスト賞、グロシェーヌ賞を勝ったスプリンター。産駒に同じくアリカーン王子所有の仏1000ギニー馬Ylaキャッシュ。便利なページだったのですが消えてしまいました)。となるとその半兄Karimもアリカーン王子の所有だったのだろうと思うのですが、Karimのオーナーはアリカーン王子である、と直接的に書いている情報が見あたりません。ネットでほとんどの情報が探せる時代なのですが。
競走成績も探し出せません。ヴェルモット賞(Prix Vermout)を含む4勝をあげたことは確認できますが(pdf)、何戦しての4勝なのか分かりません。
ということで、カリムはアガカーン家の馬、アリカーン王子の所有であったと推測するのが合理的であると思うのですが、正確な情報を調べようとすれば国会図書館にでも行くしかないのでしょうかね。誰か知りませんか。

カリムはSkylarkingの初年度産駒で1953年生まれ。3世殿下が亡くなったのが1957年、アリカーン王子が亡くなったのが1960年で、競馬事業を受け継ぐ予定だったアリカーン王子が3世殿下の存命時から所有していたことになり、また1960年から日本での産駒がいますから、アリカーン王子の存命時に日本に売却されたことになります。
父はNearcoで、母父MirzaがMumtaz Begumと同血であるためにNasrullahとかなり近い血統構成になります。スピード系の種牡馬であり、桜花賞馬のタマミを出しています。ハイセイコーは種牡馬として成功しましたから、暫くはカリムの血が途絶える心配はないでしょう。
アガカーン4世殿下の娘、ザーラ王女の名を受け継ぐZahraからZarkavaが出ましたが(Iguguも)、カリムの方も種牡馬として桜花賞馬、母父として国民的アイドルホースを出しましたから、十分頑張ったと言っていいように思います。

カリムの母Skylarkingは後にDarby Danに迎えられ、重要な基礎繁殖牝馬になりました。中でもSoaringの子孫の活躍は素晴らしく、グラスワンダーGlorious Songなどが出ています。

JAIRSのニュース

2013-02-26 21:58:10 | 競馬日記
JAIRSのニュースは生産関連の統計情報などを入手するのに役に立つのですが、海外ニュースの和訳を配信してくれているのも非常にありがたいです。自分でもRSSやTwitterでニュースを入手しているのですが、チェックし忘れることも多く、それを読みやすい形で提供してくれているわけです。役に立ちますね。

それで2つ気になるのがありました。
一つ目はアガカーン殿下の生産事業について(記事)。
和文でそれなりにまとまった記述なので、参考になると思います。ただし、ムクターをムクタールとするのはいかがなものかと思いますが。まあ、たいしたことではないです。
ムクターは日本に輸入され、シンザン記念のマヤノペトリュースを出しましたが、重賞勝ち馬はこれだけ。Nishapourの母父Aureole、母父トンピオン、祖母父Tanerkoと魅力的な血で構成されており、もっと活躍馬を出せるかと思いましたし、牝系に入ってもやれるんじゃないかと思っていました。実際、欧州に残してきた仔からはロワイヤルオーク賞のTiraazが出ました。

二つ目はブラックタイプについて(記事)。
ブラックタイプのルールは国によっても違いがあり、本当に能力を反映している保証もありません。それを改善するためにアメリカではスピード指数を導入する方向であるとのことです。ダートが主流のアメリカでは最初からぶっ飛ばすことが多く、能力がタイムに反映されやすいので、ありかもしれません。他方、芝レースで落ち着いたペースになるとタイムに能力が反映されないので、どうするんでしょうね。日本のスローペース症候群の中での能力差をスピード指数に反映するのは難しそうです。一番いいのはレーティングをもっと国際標準化して(欧米偏重をやめ、日本でも南米でも南アでも能力があればそのとおりに数字が出るようにして)、それをカタログに記載することだろうと私は思います。難しいでしょうけどね。

Hernando死亡

2013-02-26 02:18:45 | 競馬日記
Hernandoが亡くなったという速報が入りました(記事)。

現役時代は仏ダービー、リュパン賞とGIを2勝。愛ダービーでコマンダーインチーフの2着、凱旋門賞でカーネギーの2着、ターフクラシック招待でTurk Passerの2着があります。JCに2年連続で参戦し、1994年はマーベラスクラウンの4着、1995年はランドの3着。1994年は半兄でリュパン賞の勝ち馬Johann Quatzも参戦していました。ちなみにコマンダーインチーフ、カーネギーは種牡馬として来日、Turk Passerは1995年のJC参戦のため来日(ただし出走できず)。関連馬がことごとく来日していますね。
Hernandoの配合はNorthern Dancer 3 x 4に、Nearco 5 . 7 x 6 . 7 . 7 . 7、Native Dancer 5 x 5 . 6、Menow 5 x 6 . 6、Bull Lea 5 x 7とNijinskyが全開し、なかなかな迫力がありました。

縮小しつつあるNijinsky系の中では種牡馬として成功した方で、GI6勝の仏ダービー馬Sulamani、仏ダービー馬Holding Court、オークス馬Look Here、タタソールズGCのCasual Conquest、GI2勝のGitano Hernando、ジョッキークラブ大賞典のRainbow Peakなどを出しました。

ドリームウェル半弟Sulamaniが後継種牡馬になり、現在は障害用種牡馬として供用されているようですが、平地での活躍馬も出しています。セントレジャー馬で香港ヴァーズも勝っているMasteryが北半球での代表産駒で、南米ではカルロスペレグリーニ大賞典のGoing Somewhereを筆頭に、Invictus、ConciliumといったGI馬を出してます。Masteryは祖母はGI2勝のスプリンターCherokee Roseで、半兄に伊グランクリテリウムのKirkleesがいる良血馬です。

これらの中から後継種牡馬が出てきてくれるといいですね。

Iguguドバイ初戦

2013-02-22 21:22:23 | 競馬日記
合田さんが南アフリカ史上最強牝馬と言っていたIgugu記事)がドバイ初戦のバランシーン(牝馬GII、芝1800m)に出走しました。南アフリカでGIを4勝している馬です。
勝ったのはSajjhaa。ケイプヴェルディ(GII)からの重賞連勝です。Iguguは3着でした。

Iguguはオーストラリア産でGalileo産駒。Northern Dancer 3 x 6、Mr.Prospector 4 x 5、Nearctic 4 x 6 . 7、Hail to Reason 5 x 5、Buckpasser 5 x 6と取り留めのない感じでどうかなあと思う配合です。母はアガカーンスタッド出身で、イニシャルはZ。高祖母Zahraからイニシャルを受け継ぐ牝系で、その母は名牝Petite Etoile。Zarkavaと同じ牝系です。
合田さんが書いているように臨戦過程に恵まれなかったですが、この1戦で変わってくるのでしょうか。

アルファヒディフォート(GII、芝1600m)はMushreqが勝ちました。Northern Dancer 4 . 5 x 5 . 5 . 6の影響がはっきりしていますね。Alibhai 6 x 8は魅力的ですね。近親にSnippetsがいます。

日本馬のドバイワールドカップデー情報

2013-02-20 00:09:11 | 競馬日記
3月30日に行われるドバイワールドカップデーに向けて日本馬も動き始めています。

登録したのは52頭(記事)。既に招待を受諾したのはドバイシーマクラシックのジェンティルドンナとUAEダービーのケイアイレオーネです(記事)。

2月25日に一足先にドバイに乗り込んだのはマエコウさんの2頭、トレイルブレイザーファリダット記事)。
BCターフ4着の実績を持つトレイルブレイザーは3月9日のアルマクトゥームチャレンジR3(GI)に出走し、タペタへの適性を判断した上で、タペタのWC、芝のシーマクラシック、デューティフリーのいずれかに向かう予定(記事)。
ファリダットは重賞未勝利馬ですから本番に選出されるかどうか分かりませんが、帯同馬という大切な役目がありそうです。その上で、2月28日のハンデ一般戦and/orマハブアルシマール(GIII)に出走し、ゴールデンシャヒーンへの出走を目指すそうです(記事)。マエコウさんは積極的ですね。

アルマクトゥームチャレンジR3はレッドディザイアが勝ったときはGIIだったのですが、GIに格上げされています。レッドディザイアはここで素晴らしい競馬をしたものの、本番では調子が落ちていてもったいなかったのですが、GIとなれば勝っておいて問題ないですね。いいメンバーが揃うかもしれませんが、一発を期待します。

Rachel Alexandra

2013-02-19 00:02:31 | 競馬日記
この数日、最も話題になったのは年度代表馬Rachel Alexandraの状態でしょう。

Rachel AlexandraはBernardiniの牝馬を2月12日に産みました(記事1記事2)。この時点では特に何の情報もなかったのですが、続報では出産の際に小結腸を損傷し手術を行ったが、あまり順調ではないということでした(記事1記事2記事3記事4記事5)。
それから毎日、Rachel Alexandraの状況のニュースが入り、多少良化しつつあるようですが、厳しい状態であることは変わらないようです(記事1記事2記事3記事4)。
生まれた牝馬は乳母のもとで順調な模様。

昨年、Curlinの牡馬を産んだ後も入院することになって心配しました(ブログ)。このときよりもはるかに悪い状態なようです。Curlinの牡馬はJess's Dreamと呼ばれているらしいです。

フェブラリーS

2013-02-18 00:18:03 | 競馬日記
スマートファルコントランセンドもいなくなったダート界。昨年のJCダート馬ニホンピロアワーズまで回避したフェブラリーSはダート初出走のカレンブラックヒルが1番人気というおかしな状態になっていました。
レースはカレンブラックヒルは直線でずるずると後退し、エスポワールシチーが粘るところをグレープブランデーが交わして一昨年JDD以来のGI勝利を挙げました。東海Sからの連勝で、エース級不在の時代に突入したダート界をリードして行く存在になってくれるのでしょうか。

グレープブランデーはマンハッタンカフェ産駒。マンハッタンカフェは産駒の勝ち星は芝に偏り、重賞勝ち馬23頭中、ダート重賞の勝ち馬はグレープブランデーと名古屋グランプリのエーシンモアオバーだけ(AWではレッドディザイアがアルマクトゥームチャレンジR3を勝っています)という芝向き種牡馬です。
グレープブランデーの母ワインアンドローズ、エーシンモアオバーの母オレゴンガールともにダートを中心にタフに走った馬でした。グレープブランデーは叔父に東京盃3着のマルカベンチャーがいますね。ダート向きの馬を出している牝系出身です。

ダートに向く他の要素を探せばまず一つはHis Majestyでしょう。日本のダートの一流馬にGraustark = His Majesty持ちが多いことを幾度となく書いていますが、グレープブランデーは祖母父がHis Majesty直仔Pleasant Colonyです。His Majestyはクロスされているわけではありませんが、父Ribot、母父Alibhai、祖母父Beau Pere(= Belle Mere)、曾祖母父Mahmoudがクロスされ、完全に働いていると言えます。
最前面系列ぐるみクロスはWhat a Pleasure内Bold Ruler。What a PleasureはホープフルSの勝ち馬です。What a Pleasure内は母父Mahmoudもクロス。
他の6代内クロス馬はSummer Tan 6 x 6。Summer Tanは1955年年度代表馬Nashua、1956年年度代表馬Swaps、1957年TRA年度代表馬Dedicate(この年のDRFとTSDの年度代表馬はBold Ruler)と、同期に3頭も年度代表馬がいる層の厚い世代に生まれ、ケンタッキーダービーではSwaps、Nashuaに次ぐ3着に入り、ピムリコスペシャル、ヴォスバーグHなどを勝った強豪でした。Summer Tan内はHeliopolis ≒ Gulf Stream、Omaha = Flaresもクロスされ、こちらも十分に働いています。Stimulusを内包しているのもいいですね。Omaha = FlaresとStimulusでVictoria Parkが能力参加します。RibotのクロスもBuchan、Papyrusを内包するのでVictoria Parkと相性がいいですね(スカイディグニティとか)。

芝向き種牡馬の仔ですが、確かにダート向きの血の働きが目立ちます。

Black Caviar23連勝

2013-02-16 20:37:36 | 競馬日記
史上最強スプリンターBlack CaviarがライトニングSを勝ち、23連勝を達成しました。まるで調教でもしているみたいな楽勝でした。特に解説がいらないですね。レースを見てください。




トラックレコード。2着は僚馬Moment of Change

昨年、ロイヤルアスコットに遠征し、騎手の油断騎乗のおかげでぎりぎりMoonlight Cloudを押さえる形になってしまいましたが、それでも22連勝を達成していました。しかし、そこで故障があり、復帰まで8ヶ月を要しました。

故障で8ヶ月休んだとは思えないレースでした。恐ろしい馬ですね。

ドバイワールドカップデーに向けて

2013-02-16 01:27:40 | 競馬日記
今年のドバイワールドカップデーは3月30日です。それに向けてUAEでも重賞が消化されています。

1月10日にメイダンで行われたアルマクトゥームチャレンジR1(GII、AW1600m)はBarbecue Eddieが勝ちました。Stormy Atlantic産駒のセン馬です。Storm Cat系で、Raise a NativeとBold Rulerがクロスするアメリカンです。折角なのでPrincequilloを効かせておきたかったですね。

1月24日にメイダンで行われたケイプヴェルディ(牝馬GII、T1600m)はキングズベスト産駒Sajjhaaが勝ちました。重賞2勝目。母父Darshaanの分厚いDjebelを生かせていませんが、Princequilloが生きてGay Crusaderの流れが生きている点がいいとおもいます。父はBay Ronald主体の異色の異系配合馬。Gay Crusaderの祖父がBay Ronaldですね。
アルカセットと同じ牝系でですから、アルカセットと共通している部分があります。

1月25日にジュベルアリで行われたジュベルアリマイル(GIII、D1600m)はTreble Jigが勝ちました。Gone West産駒で、母Light JigはGI2勝。Nasrullah 5 . 5 x 5、Tudor Minstrel 5 x 6、Tom Fool 5 x 6と前面にスピード系が並びますが、Papyrus - Tracery - Rock Sandがしっかりしているのがいいですね。重賞初勝利ですが、血統の良さがあり、Gone Westの忘れ形見として種牡馬入りできるようになるといいですね。

1月31日にメイダンで行われたアルラシディヤ(GII、T1800m)は南ア産のThe Apacheが勝ちました。南アでGIを2勝しています。父MogokはMachiavellianExit to Nowhereの半弟で、南アで種牡馬になり、アメリカでもGIを勝ったGypsy's Warningを出すなど成功しています。母父Dolpourはアガカーン殿下生産の重賞勝ち馬で、2000ギニー馬Doyounの半弟。祖母父Jungle Coveはオークス馬Long Lookの半弟、スピナウェイSのMeritusの全兄。3代続けてGI級勝ち馬の兄弟が付けられています。血統構成的にはそんなに魅力を感じませんが。The Apacheの臨戦過程については合田さんの記事をご覧ください(記事)。

2月7日にメイダンで行われたUAE1000ギニー(3歳牝馬リステッド、AW1600m)はLovely Passが勝ちました。アルカング以来の欧州調教馬によるBCクラシック制覇を成し遂げたRaven's Passの初年度産駒です。母は重賞勝ち馬。父母ともにNasrullahとPrincequilloをしっかりとクロスしているのですが、これをFleet Nasrullah 5 x 6、Prince John 6 x 5で継続しています。この両者はCount Fleetで強固に結合。素晴らしいですね。Prince Johnを橋渡しに使う形態は増えてきそうな気がします。

同じく2月7日にメイダンで行われたアルマクトゥームチャレンジR2(GII、AW1900m)はHunter's Lightが勝ちました。GIローマ賞の勝ち馬です。父Dubawi×母父Baratheaは昨年のドバイWC馬Monterossoと同じです。祖母はDarshaanの全妹。Shirley Heights 4 x 3も効果がありそうで、なかなかいい感じです。

2月14日にメイダンで行われた3重賞。UAE2000ギニー(3歳GIII、AW1600m)はNational Assembly産駒Soft Falling Rainが勝ちました。父母の世代がずれていますね。致命的におかしい感じはないですが。

ファイアーブレイクS(GIII、AW1600m)はOratorio産駒Moonwalk in Parisが勝ちました。ヒシアケボノアグネスワールドの近親です。こちらも父の方が世代が古いですね。

アルシンダガスプリント(GIII、AW1200m)はLonhro産駒Mentalが勝ちました。こちらは母父の世代が古いタイプです。

Selkirk死亡

2013-02-14 21:44:48 | 競馬日記
Selkirkが亡くなっていたのですね(記事1記事2)。大好きな種牡馬の1頭でした。25歳でした。

Native Dancer系のSharpen Up産駒。現役時代はQエリザベスIISを制し、1991年と1992年にTimeform紙による欧州チャンピオンマイラーに選ばれました。
種牡馬としてはランウェイズスタッドに繋養され、年間種付頭数を100頭以下に制限されていました。長く活躍馬を出すわけです。出したGI馬の数は15頭。昨年もNahrainCityscapeがGIを勝っています。

母父としてはSimply PerfectMount NelsonQuiffTermagantといったGI馬を出しています。Danehill産駒に、Danehillの仔のRock of Gibraltar産駒に、Sadler's Wells産駒に、Sadler's Wellsの仔のPowerscourt産駒。成功種牡馬の仔の成功種牡馬なのですが、非主流父系と言っていいですし、持っている血もマイナーで影響の強いクロス馬ができにくいです。メジャー父系の種牡馬と合わせやすい利点があります。

母父Nebbioloは2000ギニー馬で、その母父は東西独ダービーを勝ったドイツの名馬Birkhahnです。今流行りのドイツ血統持ちです。祖母父はGold Bridgeの系統のスプリンターBe Friendly。Sadler's Wellsの系統との組み合わせを試したくなります。
ということで、Galileoとの相性はどうなんでしょうね。今のところ試された回数は多くなく、活躍馬もオーストラリアでGIIIを勝ったGatewoodくらいです。
種牡馬の父としては、Prince KirkLeadershipAltieriのように種牡馬入りした産駒はいるのですが、まだ活躍種牡馬は出せていません。頼みの綱はCityscapeでしょうか。

次の世代でも通用する血を持っていますので、Selkirkの血を持つ優駿が現れることを期待します。