うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

Zenyattaの交配について

2011-01-31 21:12:58 | 競馬日記
Zenyattaの馬主モス夫妻には3人のブレインがいるようですね。
ZenyattaやGiacomoといったモス夫妻の馬を管理していたジョン・シレフス師とその妻ドッティ・インゴード=シレフス(Dottie Ingordo-Shirreffs)とその息子デイヴィッド・インゴード(David Ingordo)です。

ドッティは1980年代半ばからモスのレーシングマネージャーをしていたとのこと。モスにGiacomo、Tiagoの母Set Them Freeを買うように薦めたそうです。
デイヴィッドの亡き父ジェリーはパット・ヴァレンズエラ騎手のエージェントをしていたそうです。14歳の時にボビー・フランケルのところで働き始め、現在はIngordo Bloodstock Servicesを経営しながらジャドモンテファームのstallions and racing divisionで雇われているとのこと。モスにZenyattaを買うようにアドバイスしたそうです。こういったコンサルティングや競りでの買い付けを生業にしている人はアメリカに多数いるようですね(リスト)。

「要約するとBernardiniはZenyattaと合う」とデイヴィッドは言っています(記事)。「合う」というのは身体的な面と血統的な面の両方の観点からです。様々な観点から十分に検討してモスが判断を下したということです(記事)。

彼らの馬ではGiacomoTiago兄弟、Zenyatta、TarlowStanley ParkMadeoNeko Bayなどが重賞を勝っています。オーナー、トレーナー、アドバイザーが十分に機能しているのでしょう。

A Racing and Breeding Tradition: The Horses of the Aga Khan

2011-01-29 01:14:01 | 競馬日記
競馬人はたいていアガカーン殿下に興味があるものですよね。
A Racing and Breeding Tradition: The Horses of the Aga Khanというのをアマゾンで見つけて予約していたのが日付が変わって昨日、到着しました。
まずなによりも大きさにびっくり。確かに32.2 x 24 x 3 cmと書いてありますね。これは持ち運んで外出先で読むのは不可能。
さすがにペラペラとしかまだめくっていませんが、殿下がブサックと何か話している1963年の写真、3世がダービーを勝った直後の後の3冠馬Bahramや同じくダービーを勝った直後のMahmoudの手綱を引いている写真のような「お宝写真」が載っています。こういうのを眺めるだけでも楽しいですね。

今、ちょっと見つけたのですが、Petite Etoileの産んだ唯一の牝馬でZarkavaの高祖母のZahraはやはりザーラ王女にちなんで名付けられたようですね(ブログ)。気になっていました。


Racing Post Pocket Diary 2011

Zenyattaの初年度交配相手

2011-01-27 19:35:18 | 競馬日記
Zenyattaの初年度交配相手は3歳牡馬チャンピオンBernardiniになりそうですね(記事1記事2記事3)。ZenyattaはLane's Endにいますので、ここのロスターから交配相手を探すんだろうと思っていましたが、Darleyの種牡馬が選ばれました。

Bernardiniは交配相手の候補に名前が挙がっていたLane's End繋養の大種牡馬A.P. Indyの直仔であり、今年2歳になるZenyattaの妹Eblouissanteの父です。Bernardiniが繋養されているDarleyにはZenyattaの父Street Cryも繋養されています。ちなみにZenyattaの半姉Balanceの初年度交配相手はA.P. Indyだったそうです。

Bernardini × Zenyatta

BernardiniはBold Ruler主導が明確できれいな配合。ZenyattaはNashuaが主導なんだろうけどHail to ReasonやHoist the Flagが前面でクロスしてシンプルさや位置関係に不満の残る配合。この交配では父のBold Rulerはクロスせず、母のNashuaはMr. Prospector 5 x 4(これが最前面)に内包される形でクロス。最前面の系列ぐるみはHail to Reason 6 x 5 . 6。父のシンプルさを生かし切れていませんが、母のぎこちなさは解消しているように思います。Mr.Prospector内の血のクロスの状況と豊富なPrincequilloには魅力があり、及第点を与えられる配合のように思います。

ポリッシュネイビー、ジェイドハンター、Miesque死亡

2011-01-25 17:58:26 | 競馬日記
日本で種牡馬生活を送ったことのあるPolish NavyJade Hunterが死亡しました(記事1記事2)。どちらも1984年生。
ポリッシュネイビーはGI3勝。代表産駒はケンタッキーダービー、トラヴァーズS、シャンペンSのSea Hero。ジェイドハンターはGI2勝。代表産駒は年度代表馬アゼリ
日本では、ポリッシュネイビーは障害の名馬ゴッドスピード、交流重賞馬トシザミカと持込で新潟3歳Sのエクセレンスロビンを出し、ジェイドハンターは○外のエーピーグランプリがラジオたんぱ賞を勝ちましたが、どちらも日本で種牡馬として成功した印象はありません。ポリッシュネイビーは母(特に祖母Busanda)の部分の世代が古くて整合性が上手くとれた配合を作るのが難しかったですし、ジェイドハンターは父が純然たるアメリカンであるのに対して母が特殊なフランスの血を豊富に含み、散漫な配合になりやすかったです。
両馬とも種牡馬生活引退後は引退馬繋養施設Old Friendsで暮らしていました。ファーディナンド事件がOld Friendが事業を推進する起爆剤になったそうですね。現在、Awadクリエイターオジジアンサンシャインフォーエヴァーワレンダーといった日本になじみのある馬が繋養されています。

最強マイラーと呼ばれる馬の1頭Miesqueが亡くなりました(記事1記事2)。こちらも1984年生。
Goldikovaに破られるまで欧州レコードだったGI10勝を挙げた名競走馬であり、KingmamboEast of the Moonと2頭のクラシックホースを出した名繁殖牝馬でした。Miesqueの記録を破ったGoldikovaはMiesqueの主戦騎手だったヘッド現調教師が管理しています。将来はGoldikovaが作る牝系にKingmambo系の種牡馬が配されたりするんでしょうね。

エクリプス賞

2011-01-18 19:31:53 | 競馬日記
エクリプス賞が発表されました(記事)。

年度代表馬はZenyatta(記事1記事2記事3記事4)。Thoroughbred Timesの記者ではBlameに投票したのが5人に対しZenyattaは3人で、今年も逃してしまうのかと心配しました(記事)。結果はZenyatta 128、Blame 102、Goldikova 5で、昨年のRachel Alexandra 130対Zenyatta 99よりも更に接戦になりました。Zenyattaらしくスリリングな勝負でした。
20戦19勝という、Native Dancerの22戦21勝、Man o'Warの21戦20勝なんかと比較されるべき成績を残した馬です。昨年に続き2年連続でAP通信による最優秀女性アスリートの2位になった馬です(記事)。まさに世紀の名牝(記事)。一度も年度代表馬に選ばないなんてのは許されないことだと思っていました。本当に良かったです。
Zenyattaは今、Lane's End Farmにおり、交配を待っている状態です(記事)。相手はA.P. Indyか、Smart Strikeか、Curlinか、と名前が挙がっています。
A.P.Indy × Zenyatta
Smart Strike × Zenyatta
Curlin × Zenyatta
私がこの3頭の中から選ぶならCurlinにしそうです。Smart Strikeでは近親交配がきつくなりますが、その仔のCurlinならバランス的に問題ないように思います。A.P. Indyだとちょっとはっきりしない配合になる気がします。悪くはないと思います。

他の注目すべき馬はChampion turf femaleを連続受賞したGoldikova、Champion turf male連続受賞のGio Ponti、昨年のChampion two-year-old maleで今年はChampion three-year-old maleを受けたLookin At Luckyです。
特にGoldikovaはカルティエ賞年度代表馬でありながらエクリプス賞年度代表馬にもノミネートされ、実際に票を入れる記者がいたというすごさです。
Goldikova現役続行の見込み(記事)。

フェイトフルウォー

2011-01-17 19:43:07 | 競馬日記
京成杯を勝ったのはフェイトフルウォードリームジャーニーと同じく父ステイゴールド×母父メジロマックイーンです。

母父メジロマックイーンにとっては2頭目の重賞勝ち馬でどちらも父はステイゴールド。母父メジロマックイーンにとってベストな父と言えるかもしれません。父ステイゴールドにとっても複数の重賞勝ち馬を出した母父はメジロマックイーンが初めて。父ステイゴールド×母父メジロマックイーンはニックスと言っていいかもしれませんね。
ちなみにドリームジャーニーの全弟オルフェーヴルはシンザン記念2着で重賞勝ちに近いところまで行っています。

ドリームジャーニーとの比較では、残り1/4にノーザンテーストを含む軽快さがあり、ノーザンテースト4x3を持つドリームジャーニーの方が日本では仕上げやすく外れが少なく走らせやすいように思いますが、残り1/4が英3冠馬Nijinsky×米2冠馬Riva Ridge×プリークネスS馬Tom Rolfeの累代配合で5代母がKey to the Mintの母Key Bridgeのフェイトフルウォーにはかなりの魅力を感じます。
血統のイメージからは晩成であってもおかしくはなく、できれば菊花賞や天皇賞春を勝って、超長距離GI馬の血統表にメジロマックイーンの名前を残して欲しいです。

母父メジロマックイーンで天皇賞を勝てば1代飛ばして4代目の天皇賞制覇になります。4代連続の天皇賞制覇は厳しくなってきていますし(サンデーサイレンスとの相性の良さが証明されつつあった中での死亡であり、後2、3年生きてくれていたらと思いますが)、この線に期待するしかありません。

Racing Post Pocket Diary 2011

2011-01-14 01:13:41 | 競馬日記
Racing Post Pocket Diary 2011を入手しました。
以前から興味があって、一度入手してみようと思っていたところ、amazonで見つけました。

Racing Post Pocket Diary 2011

英愛の競馬を中心にスポーツイベントのスケジュールが入っています。
英愛の(恐らく全ての)競馬場の住所、ウェブサイトがある場合そのURLが載っているのは非常にありがたいです。Googleマップで世界の競馬場を探しているのですが、アイルランドの田舎の競馬場なんかをどうやって探せばいいのか分かりませんでした。
ロンドンの地下鉄地図なんかも載っていますね(普通か)。以前、出張でロンドンに行きましたが、その年に買っておいて持って行けば良かったですね。

2010 World Thoroughbred Rankings

2011-01-13 19:34:17 | 競馬日記
2010 World Thoroughbred Rankingsが発表されましたね(ランキング)。

全体のトップはKジョージでの圧勝で135という数値を得たHarbinger。このレースでは衝撃的なパフォーマンスを見せましたが、あっさり故障で引退してしまい、実際にどれだけ強かったのかは謎なままですね。社台によって種牡馬として導入されることになりました。
日本馬のトップは凱旋門賞2着のナカヤマフェスタで127。1999年にエルコンドルパサーが得た134には及びませんが、2006年のディープインパクトに並ぶ高い数値で、歴代2位タイです。エルコンドルパサーと同じ凱旋門賞2着でディープインパクトに並ぶ歴代2位タイのレーティング、と書くとナカヤマフェスタが年度代表馬じゃないのは不思議に思えてきますね。
ブエナビスタは121。4歳以上牝馬の芝Intermediate、Long部門でMiddayに並ぶ首位タイです。また、これは日本で調教された牝馬の最高値です(ただしセックスアローワンスを考慮してもナカヤマフェスタには及ばず)。欧州とアメリカの名牝Goldikova、Zenyattaはともに125で、昨年よりは控えめな数値になっています。が、セックスアローワンスを4ポンドとすればBlameに並ぶ2位タイになります。

115ポンド以上を得た馬の頭数は全部で329頭。うち日本調教馬は30頭。今年もフランスに及ばず5番目でした(米、英、豪、仏、日、香港、愛、UAE、南ア、独、伊=新、星、チェコ=サウジの順)。躍進を見せたのは香港。2005年から見ると3頭→2頭→0頭→13頭→15頭→19頭と一気に増え、とうとうアイルランドを上回る6番目に浮上しました。香港国際競走の充実ぶりはよく耳にしますし、今年はウルトラファンタジーがスプリンターズS、グリーンバーディーがクリスフライヤーインターナショナルスプリント、Joy And Funがアルクォズスプリント(GIII)を勝ち、国外のレースでの実績もありました(日本調教馬は凱旋門賞2着がありますが、勝利はレッドディザイアのマクトゥームチャレンジR3(GII)のみ)。日本に追いついてくるかもしれません。

JRA賞の選出法で改善して欲しいこと

2011-01-08 01:07:04 | 競馬日記
いきなり投票させるのではなく、まずファイナリストを発表して、その中から選ぶ方式にして欲しいです。カルティエ賞、エクリプス賞、ソヴリン賞ではこの方式を取っています(記事1記事2記事3)。明らかにいい点があります。

1.明らかにおかしな馬には票が入らなくなる。
毎年、あれ?というようなのはありますよね。

2.どの馬が対象なのかが明確になる。
2000年の最優秀5歳以上牝馬が牡馬混合GI2勝のファストフレンドではなく、牝馬GI1勝のファレノプシスだったのは、牝馬の最強馬決定戦はエリザベス女王杯を見ていればいいという意識があって、交流重賞まで頭が回っていなかったんじゃないかと思っています。

3.争点が明確になる。
牝馬三冠のアパパネか、3歳牝馬最強クラスのスノーフェアリーか。明確ですよね。

4.冬場の競馬ネタになる。
いきなりどーんと投票させるんじゃなくて、どの馬がいいか議論しながら決める方が楽しいと思います。海外の新聞だと、どの馬が受賞するのがふさわしいか、何回も記事になりますよね。競馬人気云々と言われますから少しでも話題を集められるような方式を取った方がいいんじゃないでしょうか。

2010年度JRA賞

2011-01-07 19:38:41 | 競馬日記
JRA賞が発表されています(記事)。

年度代表馬はブエナビスタが大差でしたね。一年通して話題の中心だったからというのは分からないではないですが、「ブエナビスタが抜けて強い」というイメージに引っ張られていたとしたら残念です。負けた宝塚記念、JC、有馬記念を見ればブエナビスタだけが抜けて強いわけではないことはすぐに分かるはずです。本当は勝っていたはずと言われることのある2レースを取り上げると、JCではローズキングダムと全く脚色が一緒で、着差が付いたのは単純にローズキングダムが不利を受けたからだけでしたし、有馬記念ではスミヨンが消極的であったために脚を余して負けたように見えますが、ヴィクトワールピサの方も強引な仕掛けでベストなパフォーマンスではありませんでした(負けたら仕掛けが強引だったからと言われかねない騎乗であり、それで見事にハナ差しのぎきった勝負師デムーロには感服します)。
勝ったレースの格ではヴィクトワールピサの方が上ですし(皐月賞+有馬記念 VS ヴィクトリアマイル+天皇賞秋)、またエルコンドルパサーが年度代表馬に選ばれるならナカヤマフェスタも選ばれるべきと考えていいかもしれません。エルコンドルパサーはサンクルー大賞典1着、凱旋門賞2着で、春秋天皇賞とJCのスペシャルウィーク、春秋グランプリのグラスワンダーを退けました。ナカヤマフェスタは宝塚記念でブエナビスタを下し、凱旋門賞2着であり(凱旋門賞で得たレーティング127ポンドはセックスアローワンスを考慮しても今年の日本馬で首位)、ブエナビスタ、ヴィクトワールピサがGI2勝であることを考えるとエルコンドルパサーのときより相手が落ちると言えるかもしれません。この三つ巴に不満があればワイルドカードとして牝馬三冠のアパパネが浮上します。
この4者で票が割れて大変なことになる可能性があると思ったのですが、意外なほどブエナビスタが票を集めました。私はエルコンドルパサーの年はスペシャルウィークを推したので、今年ならヴィクトワールピサを推すのがつじつまが合うように思います。

最優秀2歳牡馬、最優秀2歳牝馬はともにGI馬のグランプリボスレーヴディソールでいいでしょう。

最優秀3歳牡馬はヴィクトワールピサでいいのですが、残念なのはローズキングダムが有馬記念に出られなかったこと。

最優秀3歳牝馬は牝馬三冠のアパパネが受賞しましたがスノーフェアリーにも1票入っています。2008年度から外国馬も対象になっているのですが、アパパネに投票した人のうち何人が、確かにスノーフェアリーは3歳牝馬では今年の世界最強クラスだけど三冠を達成したアパパネの方がふさわしい、と両者を比較した上での判断を下したのでしょうか。今年は牝馬三冠のアパパネで決まり、と票を入れた人が多いんじゃないでしょうか。思い込みで票を入れると見落としてしまうことがあるので注意が必要です。

最優秀4歳以上牡馬はナカヤマフェスタでした。あの道悪の凱旋門賞で非常に惜しい勝負に持ち込んだのは評価すべきでしょう。GI2勝のスマートファルコンエスポワールシチーに票が入っていないのは不思議ですね。

最優秀4歳以上牝馬はブエナビスタが満票。今年、唯一海外で重賞を勝ったレッドディザイアが忘れられたようになっているのが寂しいですが、この部門では仕方がありません。

最優秀短距離馬はキンシャサノキセキが圧倒的に票を集めたのですが、票の入った馬自体は数が一番多いです。この部門はSprinter or Milerが対象であり、盲点だったのですが実はエスポワールシチーがダートマイルGI2勝でこの距離のGI最多勝でした(更にもう一つダートマイルGIで2着)。ダートはマイルGIが3つもあるので(それとマイル以下で行われるJBCスプリント)、ダートマイルGI3勝というのが現実的に可能です(芝だと国内だけでは2勝しかできない)。ダート馬の扱いをどうするのか、意見が分かれそうですね。

最優秀ダートホースは私はスマートファルコンを推すのですが、エスポワールシチーの方が受賞しました。また今年、唯一海外で重賞を勝ったレッドディザイアはレーティングではセックスアローワンス4ポンドを加えればエスポワールシチーを上回る119ポンドになり(3ポンドでも同格)、誰も票を入れないなんてことがあるとは思いませんでした。

最優秀障害馬は「該当馬なし」に84票も入りました。JGIは中山グランドジャンプと中山大障害の二つだけ。春の中山グランドジャンプを勝ったメルシーモンサンはその後離脱。バシケーンは一年通してコンスタントに走りましたが重賞勝利は中山大障害だけ。受賞したのはバシケーンでしたが決め手に欠ける戦いになりました。

私の考えとは多少異なる馬が選出されていますが、選ばれるべきではない馬が選ばれたと言いたくなるほどではなく、まあ順当と言っていいでしょう。