うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

イングランディーレ韓国へ

2006-10-31 22:20:42 | 競馬日記
天皇賞馬イングランディーレとオールカマーのエアスマップが韓国で種牡馬入りすることになりました(記事)。

韓国は古いところでは1984年にコーネルランサーを輸入したり、以前からサラブレッド生産をしていたのですが、この数年非常に積極的です(輸入種牡馬リストKorean Stud Book→Imported Horse→Imported Stallionでも見られますが、ブラウザによっては動作しません)。今年のはじめにはBCクラシックのVolponiを輸入しました。
おそらく国家をあげての事業なのでしょう。Volponiのような一流馬を買っているだけでなく、血統にも狙いを付けて買い付けています。たとえば、2003年はサンデーサイレンスの仔を狙った年で、シンコウシングラーサンデーウェルなど5頭が買われています。2005年はフォーティナイナー(ブログ)を中心としたMr. Prospector系の年で、フォーティナイナー産駒ではビワシンセイキヤシマジャパンフィールドアスカ、ジェイドロバリー産駒ではオースミジェット、ダミスター産駒ではトロットスターが買われました。

同じ父の仔を買うにしても、いろいろなタイプをバランス良く買っている印象です。
サンデーサイレンス産駒では、Northern DancerもNative Dancerも持たないシンコウシングラー、サンデーウェル、Northern Dancerを持つボレロ(ボーンキングの全弟)、ジュビレーション、母父ダンサーズイメージのタヤスメドウ。フォーティナイナー産駒では母がStorm Birdの全妹のビワシンセイキ、母父が特殊なアメリカンGreat Aboveで、母内にNorthern Dancer、Native Dancerを持たないヤシマジャパン、Raise a Nativeの3×5を持つフィールドアスカ。

今年はダンシングブレーヴ産駒ダンシングサーパスも買われています。イングランディーレもダンシングブレーヴ直孫ですね。ダンシングサーパスは2000ギニーのアントレプレナーの半兄で母父がRaise a Native系。イングランディーレはRase a Nativeは持たないですが、Northern Dancerクロスがあります。こちらも違うタイプですね。

せっかく有望な馬を計画的に輸入したところで使いこなせなければ意味がありません。輸入種牡馬リストを見ると、米国産のサンデーサイレンスが“Sunday Silence (JPN)”となっていたり、まだ競馬に対する理解が十分ではないように思います(KRAの運営するサイトなのですが)。馬産は文化であり、哲学ですので(もちろんビジネスなのですが、短期的な金のことに気を取られると長い目で見て失敗するように思います)、ちゃんとした馬づくりが行われるようになるのには時間がかかるでしょう。日本でも未だに悪戦苦闘していますし、今後、日本の競馬界が海外に開放されれば、更なる淘汰にさらされます。今は韓国の馬産は日本の遥か下のレベルですが、舵取りを間違えれば簡単に逆転されかねないと思います。

毛色

2006-10-31 18:43:10 | 競馬日記
24日にフランスであった牝馬戦フロール賞(GIII)を忘れていました。
Smadoun産駒のMiss Salvadorが勝ちました。その毛色は"ro"と記されています(racingpostでも)。roan(粕毛)の遺伝子はサラブレッドは持っていないものの、粕毛として登録されることがあるそうです(Wikipedia)。毛色のことはよく分かりません。

アイルランドで行われた2歳戦キラブーランS(GIII)はCape Cross産駒Confuchiasが勝ちました。祖母は2頭の重賞勝ち馬を出しています。

Rock of Gibraltar産駒GI初勝利

2006-10-30 20:43:30 | 競馬日記
フランスの2歳戦クリテリウムアンテルナシオナルはRock of Gibraltar産駒のMount Nelsonが勝ちました。Rock of Gibraltar産駒では初GI勝利です。重賞はEagle Mountainが勝っています(ブログ)。
Mount NelsonはDanzig3×5を持ちます。こんなクロスが見られる時代になりました。母はサンチャリオットS(GII)、メイトロンS(GIII)を勝っています。高祖母の仔にReference Pointがいます。
母父はSharpen Up系Selkirk。ヨーロッパではSharpen Up系をうまく使いますね。祖母父はフォーティナイナー。ヨーロッパでは直父系からはGI馬を出していないようですが、牝系に入ってGI馬を出しました。

2歳戦クリテリウムドメゾンラフィット(GII)はInvincible Spirit産駒Captain Marvelousが勝ちました。5代母は種牡馬として成功したDroneを出しています。

2歳牝馬戦ミエスク賞(GIII)はHigh Yield産駒Magic Americaが勝ちました。High Yieldの母父はこれまたフォーティナイナー。牝系に入っても優秀ですね。母の全姉DelilahはGIII2勝で、アイリッシュセントレジャーでは名ステイヤーのKayf TaraSilver Patriarchの3着に入りました。

セーネワーズ賞(GIII)はDiesis産駒の牝馬New Girlfriendが勝ちました。Magic Americaと同じ牝系ですね。

パース賞(GIII)はAnabaa産駒Passagerが勝ちました。曾祖母Pistol Packerは仏オークス、ヴェルメイユ賞を勝っています。曾祖母の全妹にフィーニックスSのIrish Chorus。このファミリーからはたくさん活躍馬が出ています。

イタリアで行われたキウスーラ賞(GIII)はMutakddim産駒Breath of Loveが勝ちました。牝系はオーストラリア出身です。

ドイツで行われたハンザ自由都市ブレーメン大賞典(GIII)はZafonic産駒Lucidorが勝ちました。LagunasLomitasLavircoらと同じ牝系ですね。

オーストラリアで行われたコックスプレートはJCにもやってきたフィールズオブオマーが勝ちました。父系はオセアニア地区特有のTourbillon系です。

ニュージーランドで行われたキャプテンクックSはFaltaat産駒Jurys Outが勝ちました。曾祖母の父は日本でも供用されたキングスベンチです。

天皇賞秋

2006-10-29 21:40:11 | 競馬日記
天皇賞秋はダイワメジャーが完勝でした。毎日王冠も強かったですが、ここも強かったです。インティライミの作った速い流れに乗って、そのまま押し切りました。
2着はスウィフトカレントでしたか。勝負服しか見てなかったので、ダンスインザムードだとばっかり思っていました。
期待していたアドマイヤムーンは3着、スイープトウショウは5着でした。
スイープトウショウは久々のレースを完全な上がりだけの競馬で勝ってきましたが、速い流れに戸惑うところもあったのでしょうか。伸び切れませんでした。アドマイヤムーンは良く走ったと思います。前の馬が強い競馬をしました。

それにしても佐藤哲三の作った流れが見応えのある展開を生みました。インティライミは15着ですので負ければ意味がないと言われるのかもしれませんが、なまくらな競馬が多い時代で、彼の積極性は異色です。

天皇賞秋結果

フォーティナイナー

2006-10-26 22:36:11 | 競馬資料
フォーティナイナーは種牡馬の父として非常に優秀です。
孫の代のGI馬を探してみました。

エンドスウィープ(ジャージーショアBCS(米GIII))の産駒に
Clean Sweep(ニュージーランド2000ギニー(新))
Dark Ending(シリーンS(加))
スウェプトオーヴァーボード(アンシェントタイトルBCH(米)、メトロポリタンH(米))
Trippi(ヴォスバーグS(米))
ラインクラフト(NHKマイルC(日)、桜花賞(日))
スイープトウショウ(秋華賞(日)、エリザベス女王杯(日)、宝塚記念(日))

Luhuk(ファウンデイションS(英L)、アーリントン国際競馬場S(英L))の産駒に
Guernika(1000ギニー大賞典(亜)、亜1000ギニー(亜)、カレラエストレージャスディスタフ(亜)、パレルモ大賞典(亜))
Avanzado(アンシェントタイトルBCH(米))
Rosa Miss(サトゥルニノJウンスエ大賞典(亜))
Zanzibar(サンティアゴルーロ大賞典(亜))

Rich Man's Gold(レベルS( 米GIII2着))の産駒に
Lido Palace(ウッドワードS(米)2回、ホイットニーH(米)、タンエオデポトリヨス(智)、ドスミルギニー(智)、セントレジャー(智)、グランクリテリウム(智))

Distorted Humor(コモンウエルスBCS(米GII)、チャーチルダウンズH(米GII))の産駒に
Awesome Humor(スピナウェーS(米))
Funny Cide(ケンタッキーダービー(米)、プリークネスS(米)、ジョッキークラブGC(米))
Commentator(ホイットニーH(米))
Flower Alley(トラヴァーズS(米))
Fourty Niners Son(クレメントLハーシュメモリアルターフチャンピオンシップH(米))
Rinky Dink(オーストラレイシアンオークス(豪))

Roar(ジムビームS(米GII)、スウェイルS(米GIII))の産駒に
Forty Doriana(フェリックスデアルザガウンスエ大賞典(亜)、シウダデブエノスアイレス大賞典(亜)、スイパチャ大賞典(亜))
Forty Fabuloso(ホアキンVゴンザレス大賞典(亜)、ホアキンSデアンチョレナ大賞典(亜))
Forty Greeta(ホルヘデアトゥーチャ大賞典(亜)、エストレージャスジュヴェナイルフィリーズ大賞典(亜))
Forty Marchanta(ポトランカス大賞典(亜)、亜1000ギニー(亜)、亜オークス(亜))
Forty Mirage(ラウルイラウルEチェヴァリエル大賞典(亜)、エストレージャスジュヴェナイル大賞典(亜))
Little Jim(モンテヴィデオ大賞典(亜))
Sadler's Roar(サンチャゴルーロ大賞典(亜))

Gold Fever(NYRAマイル(米))の産駒に
A Bit o'Gold(プリンスオブウェールズS(加)、ブリーダーズS(加)、コロネーションフューチュリティ(加))
Arco's Gold(コロネーションフューチュリティ(加))

Jules(ナシュアS(米GIII))の産駒に
Peace Rules(ブルーグラスS(米)、ハスケル招待H(米)、サバーバンH(米))
Must Be Flying(エンリケポッソーロ大賞典(伯))
New Famous(リオデジャネイロ州大賞典(伯))
Notificado(共和国大統領大賞典(伯))
Novellista(フランシスコエドゥアルドデポーラマチャド大賞典(伯))

コロナドズクエスト(ハスケル招待H(米)、トラヴァーズS(米))の産駒に
Society Selection(フリゼットS(米)、アラバマS(米)、テストS(米))

ざっと探しただけでけっこうな量になってしまいました(レースの日本語名には自信がありません)。
北米、南米、オセアニア、日本でGIを勝っています。これだけすごい種牡馬が日本でくすぶっている(日本のリーディングサイアー10位以内に2回も入った馬に失礼か)のが不思議です。アメリカに再輸出して、有望そうな種牡馬を輸入すれば効率的なのではないでしょうか(牝系に入れて将来的にいい馬を出そうという戦略的配合をしているならいいのですが)。また、どの地域で種牡馬としての芽が出るかはわかりませんので、日本での産駒でも積極的に世界に還元して欲しいです。その意味ではユートピアSunday Breakの今後に期待したいです。ダート戦で堅実に活躍したビワシンセイキは韓国に輸出されました。母はStorm Birdの全妹です。韓国の馬産は本格化し出したところです。日本でも名馬のコピー(例えばTrigoの全弟プリメロ)や名馬の近親(例えばSolarioの甥セフト)の準一流馬が種牡馬としては競走馬の質の向上に貢献しました。ビワシンセイキを狙ったのはなかなかいい線行っているんではないでしょうか。当地でいい仔を出してほしいです。
活躍する種牡馬の競争成績自体はあまりよくないのが特徴です。代表産駒と言えるEditor's Note(ベルモントS、スーパーダービー)はGI馬を出していません。

さて、天皇賞秋出走馬ではサンデーサイレンス産駒が6頭、スペシャルウィーク産駒1頭、ダンスインザダーク産駒1頭で、サンデーサイレンス系は計8頭です。その他の系統ではグラスワンダー産駒2頭、Singspiel産駒2頭、ミラクルアドマイヤ産駒1頭、Swain産駒1頭、ザグレブ産駒1頭、エンドスウィープ産駒2頭。サンデーサンレンス系は17頭中8頭。サンデーサイレンス系の大将2頭(ディープインパクト、ハーツクライ)がいないこのレース。勝つのはサンデーサイレンス系か、それ以外か、どちらでしょうか。私はエンドスウィープ産駒2頭に期待しています。

ところで、GIIの鬼バランスオブゲームのアクシデントは非常に残念です(記事)。

(なんでこんなリストを作ったかというと、「フォーティナイナーが種牡馬の父として優秀である」という文脈でブログを書くことがあるので(ブログ1ブログ2)、一度作っておけば便利かと思ったのです。)

ファーラップ事件

2006-10-24 22:15:29 | 競馬日記
Phar Lapがアメリカの牧場で死亡した後、検死によってヒ素が検出されたとされる事件(ブログ)は未だにオーストラリアでは関心が高いのですね。
Australian Broadcasting Corporationで記事になっていました(記事)。
Phar Lapの毛をシンクロトロンで分析したらヒ素が検出されたことについての議論です。

70年以上前のことが未だに決着つかないのに、フランスギャロのいい加減な主張を鵜呑みにするJRAには困ったものです。
これはJRAにとっての汚点でしょう。

Mr. Prospector系(続き)

2006-10-24 21:15:43 | 競馬日記
これら19頭のうち、母が内国産の馬は7頭います。
それらの血、クロス馬の傾向を見て行きます。

プリモディーネ:アフリート×マルゼンスキー×イエローゴッド×モンタヴァル
アメリカンなアフリートが父ですが、母父マルゼンスキーがアメリカ系たっぷりでうまくフィットします。祖母はヨーロッパ系主体ではあるものの、祖母父イエローゴッド内Red GodがMenow、Bull Dogを持ち、バランスをとっています。アメリカ系へのシフトがスムーズです。

ラインクラフト:エンドスウィープ×サンデーサイレンス×ノーザンテースト×ヒッティングアウェー
エンドスウィープはアメリカ系主体。母父サンデーサイレンスとは傾向が合います。祖母内にも大きくバランスを崩すものはありません。

ソングオブウインド:エルコンドルパサー×サンデーサイレンス×トニービン×ヒッティングアウェー
父はアメリカ系とヨーロッパ系の折衷。母父はアメリカ系主体で(Hyperion、Mahmoudなどによりヨーロッパ系にも対応しますが)、サンデーサイレンス内は押さえられます(世代はずれていますが)。BMSまでで押さえきれなかったPrince Roseをトニービンによって押さえられています。

スイープトウショウ:エンドスウィープ×ダンシングブレーヴ×トウショウボーイ×ダンディルート
アメリカンな父に対し、母はヨーロッパ系主体。Navajo Prince内Bull Dog、ソシアルバターフライ内Blue Larkspurなどによってどうにかバランスをとっていますが、フィットしているとは言いがたいです。

トロットスター:ダミスター×ワイズカウンセラー×ディクタス×シンザン
母父との間でRaise a Native3×4が生じます。これがスプリンターとしての個性を生んだのでしょう。祖母は完全なるヨーロッパ系でまったく傾向が違いますが、ダミスターのAlibhai内Hyperionが祖母の血を助けています。また祖母父がNoor Japan(Bull Dog、Sir Gallahadと同血)-Teddyを持っていることによりぎりぎり助かったかもしれません。

アドマイヤドン:ティンバーカントリー×トニービン×Northern Dancer×Tom Fool
ティンバーカントリーはHyperion6×4*5を持ち、Mr. Prospector系としては異色の配合。母父トニービンは純然たるヨーロッパ系で本来ならMr. Prospector系とは合わないのですが、ティンバーカントリーのHyperionと呼応しています。そしてティンバーカントリー内のアメリカの血は祖母がきっちりと押さえています。

ヤマカツスズラン:ジェイドロバリー×コリムスキー×タマナー×ゲイタイム
ジェイドロバリーとコリムスキーの傾向はほぼ一致しています。祖母はヨーロッパ系ですが、Teddy、Gainsborogh、Blandfordにより大きく崩れることはありませんでした。

日本は昔はヨーロッパ系が主体でしたが、スピード化と世界的な流行からアメリカ系の種牡馬が導入されました。これら7頭では「アメリカンなMr. Prospector系種牡馬×純然たるヨーロッパ系繁殖牝馬」の単純な組み合わせはなく、どの繁殖牝馬もアメリカ系をちゃんと持っていました。ヨーロッパ系からアメリカ系へのシフトがうまいと思うのはプリモディーネとヤマカツスズランです。特にプリモディーネは美しいです。母モンパリの父Nijinsky系×母父イエローゴッドはヤエノムテキと同じで、この段階でイエローゴッドの持つアメリカ系がマルゼンスキーと呼応しています。トータルのバランスの取り方がうまいと思うのはアドマイヤドンです。この場合は祖母アンティックヴァリューがアメリカ系の輸入繁殖牝馬だということ、父ティンバーカントリーが異色の配合だということがポイントではあります。
ヨーロッパ系からアメリカ系へのシフトの問題はサンデーサイレンスにも共通します。サンデーサイレンスは母が純然たるヨーロッパ系だと血がフィットしないことと、種付け料が高いから質の高い輸入繁殖に付けたいという生産者の考えもあったのか、輸入繁殖牝馬との間に多くのGI馬を出しました。母が内国産の馬ではスペシャルウィークがヤマカツスズランと似ているのではないでしょうか。サンデーサイレンスとマルゼンスキーはフィットしますが、祖母レディーシラオキは完全なヨーロッパ系です。しかし、サンデーサイレンスのキーホースであるHyperion-Gainsborough、Blandford、Nearco-Pharosによって大きく傾向を崩すことはありませんでした。アグネスタキオン=アグネスフライトも同様です。

サンデーサイレンスなどHail to Reason系が広まっている状況下では、もう一度父にHail to Reason系を持ってくるのは問題でしょうから、Mr. Prospector系は利用価値があるように思います。実際、サンデーサイレンスが母父に現れるようになってからそんなに時間が経たないのに、父Mr. Prospector系×母父サンデーサイレンスがこの一覧の中で2頭もいます。父Hail to Reason系×母父Northern Dancer系の繁殖牝馬が現実的に多く見られるかもしれません。それに対してMr. Prospector系をつければラインクラフトと同じ状態になります。今年のセレクトセール最高額で落札されたトゥザヴィクトリーの2006も同じパターンです。常識的な使い方はこんな感じでしょう。しかし、エンドスウィープはスイープトウショウのようなのも出しています。血がフィットするしないを超えた、種牡馬としての個性があったように思います。ダミスターも個性的な種牡馬でした。一発屋タイプで、純然たるヨーロッパ系との間に仏ダービー馬Celtic Swing、日本ではスプリンターのトロットスターを出しました。Celtic Swingの母はPharos=Fairway、Hyperion-Gainsboroughの軸がしっかりしており、ダミスターがHyperionとNearcoを持っていることによって母内の血が生きています。トロットスターでは祖母内のNoor Japan-Teddy、Pharos、Hyperionがぎりぎりで生きています。Celtic Swingもトロットスターもぎりぎりの配合だと思います。これで一流馬を出すのだから大した一発屋だと思います。

さて、天皇賞秋登録馬21頭中、Mr. Prospector系の馬は2頭います。女傑スイープトウショウと3歳馬アドマイヤムーン。どちらもエンドスウィープ産駒で、アドマヤムーンは父エンドスウィープ×母父サンデーサイレンスです。祖母は輸入繁殖牝馬で曾祖母は名牝Katies。この部分にもエンドスウィープに対応できるアメリカンな血を持っています。スイープトショウは前述の通り。GI3勝の名牝です。この2頭がどんな競馬をするのか楽しみです。

Mr. Prospector系

2006-10-24 19:37:58 | 競馬日記
ソングオブウインドはMr. Prospector系初の菊花賞馬なんですね。

日本におけるMr. Prospector系のGI馬を書き出してみます。

桜花賞
プリモディーネ(父アフリート)
ラインクラフト(父エンドスウィープ)

ダービー
キングカメハメハ(父Kingmambo)

菊花賞
ソングオブウインド(父エルコンドルパサー)

NHKマイルC
シーキングザパール(父Seeking the Gold)
エルコンドルパサー(父Kingmambo)
イーグルカフェ(父Gulch)
キングカメハメハ(父Kingmambo)
ラインクラフト(父エンドスウィープ)

秋華賞
スイープトウショウ(父エンドスウィープ)

エリザベス女王杯
スイープトウショウ(父エンドスウィープ)

天皇賞(秋)
アグネスデジタル(父Crafty Prospector)

宝塚記念
スイープトウショウ(父エンドスウィープ)

安田記念
アグネスデジタル(父Crafty Prospector)

マイルCS
アグネスデジタル(父Crafty Prospector)

高松宮記念
トロットスター(父ダミスター)

スプリンターズS
ヒシアケボノ(父Woodman)
マイネルラヴ(父Seeking the Gold)
トロットスター(父ダミスター)
Silent Witness(父El Moxie)

JC
マーベラスクラウン(父Miswaki)
エルコンドルパサー(父Kingmambo)
Alkaased(父Kingmambo)

JCダート
イーグルカフェ(父Gulch)
Fleetstreet Dancer(父Smart Strike)

朝日杯FS
アドマイヤドン(父ティンバーカントリー)
エイシンチャンプ(父ミシエロ)

阪神JF
ヤマカツスズラン(父ジェイドロバリー)

フェブラリーS
アグネスデジタル(父Crafty Prospector)
アドマイヤドン(父ティンバーカントリー)

皐月賞、オークス、天皇賞(春)、有馬記念、ヴィクトリアマイル
なし

今まで19頭のGI馬がいます。
NHK杯とスプリンターズSの勝ち馬が多いのは印象どおりです。案外2歳GIは勝ってませんね。
中長距離をこなせるのはエンドスウィープ、Kingmambo系ですが、エンドスウィープもエルコンドルパサーも死んでしまいました。キングカメハメハに対する期待は大きいです。
アグネスデジタルにも期待しています。マイル~2000mなら世界最強だと思っていました。

父親の名前がアルファベットの馬(すなわち持ち込み、丸外、外国籍)が多いです。
日本の繁殖牝馬にMr. Prospectorを受け入れる下地がまだ少ないのも影響しているのでしょう。
その意味でもエンドスウィープが早世したのは非常に残念です。ラインクラフトは4代母ファシミンが輸入、スイープトウショウは8代母セヴアインが輸入です。

ロワイヤルオーク賞

2006-10-23 20:20:08 | 競馬日記
フランスでもセントレジャーに当たるロワイヤルオーク賞(といっても古馬に解放されていますが)が行われました。勝ったのはMontjeu産駒の牝馬Montare。前走ロワイヤリュー賞(GII)からの重賞連勝ですね(ブログ)。

17日に行われた2歳牝馬戦レゼルヴワール賞(GIII)はChichicastenango産駒Chinandegaが勝ちました。父はCaroを通るフォルティノ系です。祖父Smadounの唯一の活躍馬がChichicastenangoで、この馬はリュパン賞、パリ大賞典を勝ちました。

イギリスの2歳主要戦の一つレーシングポストトロフィーはMontjeu産駒のAuthorizedが勝ちました。曾祖母の産駒にGreen Dancerグリーンマウント(曾祖母の全弟)、近親に活躍馬多数です。

2歳戦 ホーリスヒルS(GIII)はDanzig産駒Dijeerrが勝ちました。母父はゼロ交配です。母の全兄にJCにもやってきたFlag Downがいます。

セントサイモンS(GIII)はDiktat産駒の牝馬Short Skirtが勝ちました。春の時点の私の注目馬でした(ブログ)。

イタリアの牝馬GIリディアテシオ賞はMonsun産駒Floriotが勝ちました。母父は違った意味で有名になってしまったファーディナンド。高祖母Dancer's CountessはマッチメイカーSなどを勝っています。

2歳戦グイドベラルデリ賞(GIII)はZieten産駒Il Cadettoが勝ちました。祖母の産駒に独2000ギニー2着でカウフォフ大賞典(GII)を勝ったNasr Allah

ドイツで行われたバーデンスプリントC(GIII)はLinamix産駒Garnicaが勝ちました。なかなか派手な近親交配を持ちますね。祖母は重賞を複数勝っています。

2歳牝馬戦ヴィンターケーニギン賞(GIII)はKornado産駒Shaneが勝ちました。全姉に独1000ギニーのShapira

カナディアン国際Sはドクターデヴィアス産駒Collier Hillが勝ちました。GIは2勝目です。高祖母の産駒に名牝Oh So Sharpがいます。

牝馬戦E.P.テイラーSはアメリカンオークスで3着だったArravaleが勝ちました。GIはデルマーオークスに続き2勝目です(ブログ)。エリザベス女王杯に選出されています。アサヒライジング、カワカミプリンセスとの激突が見たいです。

オーストラリアで行われたコーフィールドCには、デルタブルース、ポップロックが出走しました。勝ったのはKingmambo産駒Tawqeet。GIは2勝目です(ブログ)。デルタブルースは僅差の3着でした。デルタブルース、ポップロックともにメルボルンCに向かう予定です。

ビッグニュースが入ってきました。The RockことRock of Gibraltarが日本軽種馬協会で繋養されることとなりました(記事)。種牡馬として成功するにはあまりにも名馬過ぎる気がします。

ディープインパクト関連。
池江師はフランスギャロと対決するつもりかもしれません(記事)。正当性があればどんどん主張してほしいです。

三冠ならず

2006-10-22 22:37:09 | 競馬日記
私はメイショウサムソンを応援しているので、10/18にこんなブログを書いたのですが、その直後に井崎氏のコラムを読んで嫌なことを書いているなあと思いました。「前走10キロ以上の体重増で菊花賞前のレースで1、2着していた馬」は本番はよくない、という内容です。そうは言うものの、自力でカバーしてくれるかなと思っていました。

そして、今日はラジオで中継を聴いていたのですが、パドック解説の人が、サムソンがもともとパドックで良く見せるタイプではないことを考慮してもよく見えない、と言っていました。井崎氏の不安的中か、やられたかと思いました。単純に疲れと言う面あるでしょうが、マラソンを走る直前に体重が増えた状態できついレースをしてしまうとその後の調整が難しくなるのかなと解釈しました。馬体重は前走がプラス10kg、そこから更にプラス6kgでした。単純に考えても調整がうまくいかなかったのかなと思ってしまいます。

レースは予想通り、アドマイヤメインが離して逃げました。そしてハイペース。サムソンは一番人気の宿命で自分から捕まえに行きましたが、いつもの伸びを欠いたようです。そしてこれも予定通りでサムソンをマークしていたドリームパスポートが突き抜けようとするところを後方待機のソングオブウインドが差しきった、こんなレースだったのでしょうか。

まだ映像は見ていません。
って、JRAホームページにフル映像があるやん。ダイジェストだと思って見てませんでした。これから千葉テレでも見ようかと思っていたのに。
まあラジオ実況からのイメージでだいたいあっていましたね。サムソンにとっては大逃げするアドマイヤメイン、後ろから虎視眈々と狙うドリームパスポートと、やはり難しい競馬になったのも事実です。上がり3F34.9、ゴールタイム3:03.4ですから、負けた、伸びを欠いたと言っても、力のあるところを見せてくれました。勝ったソングオブウインドの時計は3:02.7、上がりは33.5。とんでもないです。アドマイヤメインは最初の1000mが超ハイペース58.7、次の1000mが一気に落として63.5、最後の1000mが60.8。柏木集保が途中落としているのだからその時にサムソンが捕まえに行かなかったのが敗因、豊の逃げに15馬身も離されたのがそもそもの間違い、って感じのことを言ったように思うのですが(記事)、途中落としたと言ってもトータルで十分に速いペースです。このペースで粘り切るアドマイヤメインを誉めるべきでしょう。差を詰めに行って負けたらアドマイヤメインを深追いしたのが敗因、いくらあそこでペースが落ちたからと言っても焦って追いかけ過ぎ、ってなるのでしょうね。誰かがアドマイヤメインに絡みに行ってくれれば別なのですけど。といっても、ほかの馬は行きっこないですね。ババを引く人が決まっているババ抜きって感じでしょうか。ババを引くタイミングが難しいです。馬の方の体調が良ければまた違ったのかもしれないとも思います。また、神戸新聞杯でなぜ大逃げを打たなかったのか不思議だったのですが(ため逃げで勝てる相手ではないですし)、本番に向けての手の内隠しでもあったのでしょうか。大逃げを捕まえにいく練習をサムソン、ドリームパスポートにさせるメリットはないですからね。
アドマイヤメインもドリームパスポートもソングオブウインドも、非常に妥当な乗り方ですが、のんべんたらりと乗っていた訳ではなく、極端な展開を選んだという意味では奇襲作戦とも言えるでしょう。正攻法の奇襲作戦でした。見応えがありました。

騎手のコメントはこちら。ノリちゃんと豊が「幸四郎がいたとは…。」で脚韻を踏んでいるのが面白いです。

ソングオブウインドは浅見秀一師管理。浅見秀一師と言えば父の浅見国一師より引き継ぎ天皇賞(春)馬に育て上げたメジロブライト。長距離GIにはノウハウがあるのでしょう。