うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

2015年プリークネスS

2015-05-18 01:50:00 | 競馬日記
プリークネスSはケンタッキーダービー馬American Pharoahが勝ちました。先手を奪って、向こう正面ではマイペース、3コーナー手前で差が詰まってきたところでエンジンをかけ、直線では突き放し7馬身差。完勝です。
3冠まで後一つになりました。Triple Crown Near Missesは過去23頭(リスト)。Affirmedが最後に3冠を達成した1978年以降でも13頭います。そのときのベルモントS馬の臨戦過程を書き出します。

1979年:Coastal(5.13アローワンス1着→5.27ピーターパンS1着→6.9ベルモントS1着)
1981年:Summing(5.6ヒルプリンスS1着→5.25ペンシルヴァニアダービー1着→6.6ベルモントS1着)
1987年:Bet Twice(5.2ケンタッキーダービー2着→5.16プリークネスS2着→6.6ベルモントS1着)
1989年:Easy Goer(5.6ケンタッキーダービー2着→5.20プリークネスS2着→6.10ベルモントS1着)
1997年:Touch Gold(4.20 レキシントンS1着→5.17プリークネスS4着→6.7ベルモントS1着)
1998年:Victory Gallop(5.2ケンタッキーダービー2着→5.16プリークネスS2着→6.6ベルモントS1着)
1999年:Lemon Drop Kid(5.1ケンタッキーダービー9着→5.23ピーターパンS3着→6.5ベルモントS1着)
2002年:Sarava(4.27アローワンス2着→5.18サーバートンS1着→6.8ベルモントS1着)
2003年:エンパイアメーカー(4.12ウッドメモリアルS1着→5.3ケンタッキーダービー2着→6.7ベルモントS1着)
2004年:Birdstone(3.20レーンズエンドS5着→5.1ケンタッキーダービー8着→6.5ベルモントS1着)
2008年:Da' Tara(4.26ダービートライアル5着→5.17 バーバロS2着→6.7ベルモントS1着)
2012年*:Union Rags(3.31フロリダダービー3着→5.5ケンタッキーダービー7着→6.9ベルモントS1着)
2014年:Tonalist(2.22 オプショナルクレーミング2着→5.10ピーターパンS1着→6.7ベルモントS1着)
* 2冠馬アイルハヴアナザーは不出走。

ケンタッキーダービー、プリークネスSの両方に出た馬はBet Twice、Easy Goer、Victory Gallopの3頭で、どちらのレースでも2着でした。今年はこれに該当する馬はいません(ケンタッキーダービー2着はFiring Line、プリークネスS2着はTale of Verve)。
米3冠戦の厳しさの一つにレースが1ヶ月ちょっとの間に一気に行われることがあります(3冠馬がぽんぽん出た1970年代は、一気に行われるために勢いで勝てる、なんてことも言われましたが)。ベルモントSの重要なプレップのピーターパンSはこういったことも踏まえて、以前はプリークネスSの1週後に行われていたのが、2006年、2007年は同週、以降は1週前に行われるようになりました。2002年以降に絞ると、プリークネスSよりも後に行われたレースに出走した馬が逆転したことはありません。
ありきたりな結論ですが、逆転があるとすれば、ケンタッキーダービー、プリークネスSのどちらももしくはどちらかに出走していない馬で、前走がプリークネスS以前の馬ですかね。

5月9日に行われた今年のピーターパンSの勝ち馬はMadefromlucky。父はLookin at Lucky。1番人気で出走したケンタッキーダービーは6着、プリークネスSで雪辱を果たしました。Raise a Native 3 x 5を持ち、勝ったレースの最長距離がこのプリークネスSでした。MadefromluckyはMr. Prospector 3 x 4 . 5系列ぐるみ主導でNorthern Dancer 5 . 6 x 5 . 7系列ぐるみも持ちます。父ではクロスしていなかったPrincequillo 7 x 7 . 7 . 8 . 8 . 9、Djebel 8 . 8 x 9 . 9を持ち、距離は持ってもおかしくないですが、American Pharoahの方がスタミナがありそうに思います。後はAmerican Pharoahがどれだけ消耗しているかですね。

伊2000/1000ギニー2015

2015-05-17 21:09:41 | 競馬日記
伊2000ギニーことパリオリ賞(GIII)はLope de Vega産駒Hero Lookが勝ちました。重賞は伊グランクリテリウム(GII)に続く2勝目。グランクリテリムと2000ギニーで、グランクリテリウムの方が格付けが上とは、イタリア競馬はよく分からない状態になっているように思います。
主導はNorthern Dancer 6 . 7 x 5 . 5系列ぐるみで、Never Bend 7 x 5系列ぐるみ、Mr.Prospector 5 . 5 x 5中間断絶でサポートするものと見ておきます。Never Bendクロスは父方Riverman、母方Mill Reefによるものなのですが、これに父方のSecretariatやKhairunissa、母方のRose BowerやPrince Taj、Sir Gaylordクロスといったよく似た配合がからみます。また、初めて見たのですが、Red GodとUp Spiritsの相似クロスがありますね。他にはRibotクロスを内包するDjakaoクロスなど妙味があるクロスもあります。
最初、どうだろうなあと思いながら血統表を見始めたのですが、なかなかちゃんとした配合な感じがします。

伊1000ギニーことレジナエレナ賞(GIII)はDuke of Marmalade産駒Sound of Freedomが勝ちました。
Danzig 3 x 4系列ぐるみ主導。この中のCrafty Admiralをクロス馬にできているところがいいですね。第一にこれです。
他にはMr. ProspectorとRoyal Suiteの相似とか(Mr.Prospector × Royal Suite)。曾祖母Lettre de CachetはGay Hostess 4 x 3を持ちますが、これが父方His Majesty = Graustark 3 x 6と反応していますね。後はSir Gaylord 6 x 6、My Babu 7 x 7とか。Lavendulaで結合します。
味がある、とは思わないのですが、こちらもちゃんとした配合です。

英2000/1000ギニー2015

2015-05-12 22:53:59 | 競馬日記
2000ギニーは1番人気Gleneaglesが勝ちました。
昨年のカルティエ賞2歳牡馬チャンピオンにして、昨年の愛1000ギニー馬Marvellous全弟。母がGiant's Causewayの全妹で重賞2勝。それにGalileoを付けた超良血配合。
ベタな良血配合なのですが配合内容もいいです。Urban Seaのところが若干異系気味で、Sadler's Wellsが強調され、Mr. ProspectorとRobertoの相性の良さが生き、血の集合、結合に良さがあります。中距離くらいまでなら十分行ける気がします。
ということをMarvellousが愛1000ギニーを勝ったときに書きました。ダービーは距離が持つんですかね。

1000ギニーはDanehill Dancer産駒Legatissimoが勝ちました。母は10.5-20FのGI4勝のFame and Gloryの全姉。父Danehill Dancerは競走馬としては2歳GI2勝。種牡馬として短距離~中距離がメインで、スプリンターのChoisir、GI4勝のマイラーMastercraftsmanが代表産駒になります。12F以上のGIを勝ったのは英オークス馬Dancing Rain、カナディアンインターナショナルのHillstar、クラウンオークスのArapaho Missの3頭(数え間違いがなければ)。
Legatissimoは父Danehill系×母父Sadler's Wells系のよくあるニックス。凄くシンプルにこれでリードしており、他にはGrey Sovereignのスピードを加えています。後はどれだけスタミナが生きているかですが、まず、曾祖母がドイツ血統馬でDark Ronald - Bay Ronaldががっちりとしており、これが父方Son-in-Lawによってきっちりと生きています。他、Felstead、Deiri、Apelle、Casterari、Ortello、Vatoutとかなりマニアックなスタミナをクロスしていますね。12Fまでこなしても驚かないです。

仏2000/1000ギニー2015

2015-05-11 02:10:32 | 競馬日記
仏2000ギニーことプール・デッセ・デ・プーランはMakfi産駒Make Believeが勝ちました。半姉Dubawi HeightsはGI2勝。Make Believeとは3/4同血です。
Dubawi HeightsはSir Gaylord 7 . 7 x 5がリードする形態。MakfiはSir Ivor系列ぐるみ主導でSir Gaylordが効いた配合なので、Make BelieveではDubawi Heightsで成功した血の流れを生かしています。Green Valley 4 x 4が発生していますが、3世代飛ぶ単一でかなり薄いです。ただし、その母Sly PolaはMan o'War、Black Toney、North Star、Peter Panとがっちりとクロス馬がある濃い配合で、これを巻き込めているのがいいですね。Man o'War系ではWar Admiralががっつりと効いています。
Makfiが非常に素晴らしかったことから比べれば、Djebelがクロスされていない点とか不満がありますが、いい配合ではあると思います。

仏1000ギニーことプール・デッセ・デ・プーリッシュはアガカーンスタッドのErvedyaが勝ちました。最近、ブログの更新ペースが落ちていたのに、急にその日のうちに書こうと思い立ったのはこの馬の牝系が原因です。
8代母がマルセル・ブサックのEsmeraldaなんですよね。仏1000ギニー、フォレ賞、モルニー賞などを勝ちました。そして繁殖牝馬として、凱旋門賞、仏1000ギニーのCoronationを出しました。Tourbillon 2 x 2、Teddy 4 x 4を持つ超近親交配馬です。Coronationは繁殖牝馬としては駄目でしたが、全妹Ormaraがジャンプラ賞のLocrisを出しました。ErvedyaはこのOrmaraの子孫で、この牝系のGI勝利は伊ジョッキークラブ大賞典のErdelistan以来だろうと思います(ブラックタイプ)。
ErvedyaはNureyev 4 x 5系列ぐるみ主導。それにMr. Prospectorクロスが加わり、この両者は仏2000ギニー馬Kingmambo内に同居。Kingmambo内はGraustarkやPrincequilloも押さえています。Charlottesville - Prince Chevalier - Prince RoseやCrepello - Donatello、Djebel - Toubillon、Alibhai - Hyperion - Gainsboroughといったスタミナを押さえており、単なるマイラーではない感じがあります。

ケンタッキーダービー/オークス2015

2015-05-10 01:16:46 | 競馬日記
ケンタッキーダービーはエクリプス賞最優秀2歳牡馬のAmerican Pharoahが勝ちました。
この馬の血統に触れたことがなかったんですね。ううむ。いい配合なんですけど、なんで今まで取り上げなかったんでしょうね。

父はPioneerof the Nile。GI2勝。サンタアニタダービーを勝って向かったケンタッキーダービーではMine That Birdから7馬身離された2着でした。配合は父Mr. Prospector系×母父Lord at Warのニックス。 ウォーエンブレムRaven's PassIcon Project(父エンパイアメーカー×母父Lord at War)らと同じです。主導は明確にBold Ruller 6 x 4。
母 Littleprincessemma は未勝利ですが、半兄Storm Wolf、半姉Misty Rosetteは重賞勝ち馬。主導はBold Ruler 5 x 5。
American Pharaohは父母両方の主導を引き継ぐBold Ruler 5 . 7 x 6 . 6が主導。Raise a Native 6 x 5がそれに続きます。この両者はEcliptical内に共存するとともに、Discoveryで結合。このDiscoveryがDiscovery - Display - Fair Playと系列ぐるみになってスタミナを足しています。Bold Ruler、Native Dancer、In RealityでDiscoveryの影響が強くなってスタミナを加えるタイプの配合にはSmarty Jonesがいます。
特徴的なクロスはOlympia 6 x 6 . 7 . 7系列ぐるみでしょう。Olympiaは5-9Fで活躍したスピード馬ですが、その父Heliopolisは父Hyperion×母父Swynfordという長いところが合いそうな配合で、実際に13FのプリンスオブウェールズS、12.5Fのチェスターヴァーズ、12FのプリンセスオブウェールズSなどを勝ちました。その全妹には英2冠牝馬Sun Streamがいます。Olympiaのスピードの源は母父のアメリカンStimulusでしょうか。祖母父のLight Brigadeは14Fでの勝利がある長距離向きです。このOlympiaがOlympia - Heliopolis -Hyperion - Gainsboroughと完全に系列ぐるみを作り、またStimulus - Ultimus、Light Brigadeもクロスします。Light BrigadeはDiscoveryにも内包され、スタミナを強化します。Olympiaはスピード・スタミナどちらの強化にも働いていると思います。アメリカの馬にしてはHyperionに恵まれているのはこの馬の特徴です。
他にはPrincequillo系列ぐるみ、Alibhai系列ぐるみ、Ribot単一クロス。これらを用いた配合の例としてはAllegedがいますね。Papyrus - Traceryで強固に結びついているように、相性のいい血だと思います。Allegedと言えばWar Admiralクロスも持つのですが、American PharaohではWar Admiral 7 . 8 . 9 . 9 . 10 . 10 . 10 x 10であり、母方がもう一つ前に出ていたらもっと迫力があったのにと思ってしまいますが、まあこの状態でも十分でしょう。War AdmiralクロスがSwapsクロスに内包される点はにやりとしました。HyperionやBeau Pereと結合させてスタミナ強化に働いていると思います。PrincequilloやRibotでLord at Warのスタミナを呼び起こしている点でFort Larnedを思い出しました。
スピードのBold Ruler、Raise a Nativeの影響が強いとは言ってもスタミナは十分に効かせてあり、十分に良い配合だと思います。3冠を狙える馬だと思います。

ケンタッキーオークスはLovely Mariaが勝ちました。父MajesticperfectionはRaise a Native 5 x 5、Nearctic 6 x 5を持つスプリンター。母Thundercupは未出走。Storm Bird≒Nijinskyの相似が目だつ配合です。
Lovely MariaはStorm Bird 5 x 4が系列ぐるみで主導を作る配合です。そのStorm Bird内はNijinskyとの相似も絡んで、Bull Page、Flares = Omahaもクロスしています。この強烈さが大きなポイントだと思います。もう一つ、強烈だと思うのは高祖母Royal Butterflyの部分。スピードのSpy Song、パワー・スタミナのBimelechが同居し、それらがBlack Toney、Peter Panで結びついています。
他にはDjebel、Prince RoseのクロスがGay Crusaderで結合し、BayardoでGainsboroughに結合するところ、Precipitation - Hurry On, Double Lifeのクロスなども、スタミナを足している点で非常にいいと思います。
こちらもなかなかいい配合ですね。それほど妙味を感じない配合の馬もクラシック戦線に名前が挙がってくるのですが、勝った2頭はいい配合です。