うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

Black Caviarについて

2019-04-28 17:42:48 | 競馬日記
クルーガーがどれくらいのレーティングを得たのか知りたくて色々検索しているうちにこういうのを見つけました(記事)。

Winxは実際にどれくらい強かったのかと疑問を呈しているところは私と同じですが(私は「Winxは確かに強かったのだろうが、あそこまで連勝できた理由の一つは相手が弱かったからであろう。闘う相手が弱かったおかげで、実際にあそこまで高いレーティングを得るにふさわしかったかがわからない。」という意見であり、この方とどこまで一致しているのかわかりませんが)、返す刀でBlack Caviarまで貶しているのはどうかと思いました。

ウィンクスの前にはブラックキャヴィアがいるが、ブラックキャヴィアにしてもオーストラリア以外ではイギリスでダイヤモンドジュビリーステークスを勝っただけでありそれも接戦だったのである。

という話なんですが、まずBlack Caviarがデビューしたのは2009年で、その前にはスプリント路線ではTakeover Targetという馬がいましたよね。2006年のスプリンターズSでこの馬に日本馬は蹴散らかされました。これを忘れているんじゃないでしょうか。Takeover Targetは日本だけでなく、英アスコットやシンガポールのクランジに遠征しており、2006年キングスタンドS(当時はGII)、2008年クリスフライヤーインターナショナルスプリント(2010年からGI)を勝っています。アスコットでは7戦1勝2着2回、日本では2戦1勝2着1回、クランジでは2戦1勝でした。日本とクランジで勝率が良いように見えるのは、相手関係だけでなく競馬場の形態がオーストラリアに近い、オーストラリアからの距離的にも近いというのがあったんじゃないかと思います。
で、Black CaviarはそのTakeover Targetが3回挑戦して勝てなかったダイヤモンドジュビリーS(Takeover Targetの頃はゴールデンジュビリーS)に遠征し、着差はわずかであったものの見事に制しました。これを「オーストラリア以外ではイギリスでダイヤモンドジュビリーステークスを勝っただけでありそれも接戦だった」だけで片付けているのですが、内容や相手関係を無視しているところに不満があるわけです。

私のブログではこう書いていました(ブログ)。

慣れない時計のかかる馬場でしたが、あっさりと抜け出しました。が、鞍上が手綱を緩めるのが早すぎてMoonlight Cloudの追撃を許し、どうにかぎりぎり振り切る形になりました。トラブルは実はこれだけではなく、翌朝、2個所の筋断裂(肉離れ?)と打撲が見つかりました(記事1、記事2)。それでも勝つBlack Caviarの強さが際立ちます。

レースを見返すと、Moonlight Cloudが迫っていることに気づいていないんですよね。ゴール手前で気がついて再び追い出すのですが、これがなければ差されていた可能性もあるくらい大きな油断でした。さらにTakeover Targetが勝ちきれなかったダイヤモンドジュビリーSなわけです(じゃあスプリンターズSならTakeover Target同様に簡単に勝ったのかというと、当年の覇者はロードカナロアであり、そう簡単には行かなかっただろうとは思います。ロードカナロアはモンスタークラスのスプリンターであり、Black Caviarと対決することがあったのなら、世紀の一戦となったでしょう)。もう一つさらに、レース中に怪我があったらしく、それでも勝つのだからすごいなと私は感心しました。アウェーでは、何はともあれ勝つのが大切です。

相手関係を見ると、2着Moonlight Cloudは、出走当時はGIモーリスドゲスト賞1勝だけしたが、最終的にモーリスドゲスト賞は3連覇、他にムーランドロンシャン賞、ジャックルマロワ賞、フォレ賞を加え、GI6勝です。なかなかな名牝です。3着Restiadargentも牝馬で、2歳時に重賞2勝、3歳の身でダイヤモンドジュビリーSに挑戦し、名牝2頭に続く3着と大健闘でした。4着Soulはオーストラリア産で3歳時にオーストラリアでGIIを1勝、2012年2月にサイード・ビン・スルール師のところに移籍し、ドバイゴールデンシャヒーンはしんがり負けでしたが、ここではそれなりに好走してきました。オーストラリアの短距離陣は層が厚い、ってことになりませんかね。5着は前年のこのレースの覇者で、のちにスプリントCを制しているSociety Rock、6着は当年のドバイゴールデンシャヒーンの勝ち馬Krypton Factorでした。十分と言っていいメンバーだったのではないでしょうか。

ホームで勝ちはしたものの格下の馬に好走された、そして遠征経験なし、というのと、アウェーでトラブルに見舞われながらもちゃんと勝った、というのを並べるのはやっぱりどうかなと思います。

ブレイブスマッシュについての記述、

ドバイ国際のアルクオーツスプリントに出走したブレイブスマッシュはオーストラリアでG1を勝っているが、ブレイブスマッシュにしても日本での実績は特に目立つものでもない。

にしても、もうちょっと丁寧に日本での成績を読むべきではと思ってしまいます。目立った活躍をしていた馬が鳴り物入りで移籍したわけではなく、スプリント・マイル路線では地味ながらもそれなりにきちんと走っていた馬が当地で花開いたというケースでした(ブログ)。GIレースの数が多い分、チャンスが多く、レースのレベルもばらつくというのが理由の一部としてはあるでしょうが、それでもまぐれの一発だけではない2勝は立派でした。


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