うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

Sir Fever

2014-11-23 00:54:42 | 競馬日記
無敗のウルグアイ3冠馬Sir FeverがUAEの誰かによって(まだ明らかにされていない模様)買われたそうですね(記事1記事2)。Invasor以来、4頭目のウルグアイ3冠馬。

Shadwellに買われたInvasorのその後の活躍は書くまでもないですね。この馬も移籍するまで無敗でした。Invasorはシンプルで整った配合。ダートで活躍した馬ではありますが、血統構成はまるで芝馬のようです。種牡馬として苦戦しているのですが、芝メインの国で見たいです。

Sir Feverの父のTexas Feverはかなり無茶な配合。Mr. Prospector 4 x 3、Halo 4 x 4、Northern Dancer 4 x 4、Tom Rolfe 5 x 4というのは凄いですね。父母が相似なのは分かりますが、やりすぎじゃないかと思うくらいです。
Sir Feverはこれらのうち、Northern Dancerクロスあり(5 . 5 x 5 . 6)、Tom RolfeはHoist the Flag 5 x 6、Tom Rolfe 5 . 6 x 7、Ribot 6 . 7 x 6 . 8として継続、Mr. ProspectorクロスはないがRaise a Nativeクロスあり、という具合です。Texas Feverの前面のクロスを全部生かすなんてのはクレイジーで、選択して生かすのが普通ですね。
こういうのに加わっているのが、File ≒ FurlingによるContinue 5 x 6です。フォーティナイナーの影響が強そうですね。

Invasorほどのシンプルさはなく、仕掛けで勝負という配合でしょうか。

ウインドフィールズ死亡

2014-11-21 00:27:12 | 競馬日記
1994年のセントライト記念馬ウインドフィールズが亡くなったそうですね(記事)。ナリタブライアン世代。菊花賞では4着に踏ん張りました。

何と言ってもこの馬の血統です。


父はウインザーノット。函館記念を連覇し、天皇賞秋で2着、天皇賞春で3着に入りました。名種牡馬パーソロン×凱旋門賞馬サンサンという超良血馬。
母父は凱旋門賞連覇のAlleged。母の半兄にワシントンDCインターナショナルのJohnny D.がおり、牝系もなかなかです。
父の母と母父が凱旋門賞馬というのが強力ですね。そして、ウインドフィールズが持つクロスはPrincequillo 4 x 5 . 7、Djebel 5 x 5。この両者はGay Crusaderで結合し、連合勢力を作ります。この形態は日本ではそんなにメジャーではないですが、欧州では珍しくありません。例えばDalakhaniとか。
それじゃあということでDarshaanなんかと合わせてみるのですが(Darshaan × ウインドフィールズ)、血はやっぱり合っていますね。Mill Reefとサンサンの相似もいいです。
そう考えると、この馬が種牡馬になれなかったのが残念です。牝系に入ってから、Darshaanなんかの血を受け止めてくれるようなのが期待できたように思います。

TaghroodaとGoldikova

2014-11-19 00:55:42 | 競馬日記
既に来シーズンの交配の話が出てきています。TaghroodaとGoldikovaの記事が目に入りました(記事1記事2)。

今年のカルティエ賞3歳牝馬チャンピオンTaghroodaには今年の年度代表馬Kingmanが交配予定です(Kingman × Taghrooda)。
Taghroodaの祖母EzillaはGI馬を4頭出したEbaziyaの全妹。母Ezimaは愛オークス、ロワイヤルオーク賞のEbadiylaと同血になります(ブログ)。そのアガカーン殿下のEbadiylaの同血馬(Ezimaはアガカーンスタッド出身ではない)にアガカーンスタッドのSea the Starsを付けたピカピカの血統の馬がTaghroodaになります。
Kingmanの方もJuddmonteの良血馬(ブログ)。近親にも活躍馬が出ています。
Kingman × TaghroodaはGreen Desert系の同系交配で、Green Desert、Mr. Prospector(MiswakiとGone Westは相似性がある)、Mill Reefというところがクロスする父母相似配合です。
もう一つは今年のサンタラリ賞の勝ち馬で父Sea the Stars×母父Zafonic = ZamindarのVaziraがほぼ再現されている点(ブログ)。Lyphardを持つ点も共通します。また、今年のダービーに出走したEbanoranも血統表内に再現されていますね。

2010年のカルティエ賞年度代表馬GoldikovaはIntelloが交配予定です(Intello × Goldikova)。繁殖入りから2年連続でGalileoが付けられていたようですね。
GoldikovaもIntelloもヴェルテメールの自家生産馬。Danzig 4 x 3、Lyphard 5 x 4で、Northern Dancerの影響の強い配合です。

Kingman × TaghroodaもIntello × Goldikovaも、DanzigもしくはGreen Dessertのクロスあり、Sadler's WellsとUrban SeaとLyphardあり、と共通する点があります。ヨーロッパ的配合が飽和に達してきているように思います。

カルティエ賞2014

2014-11-15 23:22:02 | 競馬日記
カルティエ賞は今年もこの時期に発表です(記事)。エクリプス賞やJRA賞などのように年明けまで待てないのでしょうか。

年度代表馬と3歳牡馬チャンピオンはKingmanでした。2000ギニーは2着だったものの、愛2000ギニー、セントジェイムズパレスS、サセックスS、ジャックルマロワ賞とGI4連勝した欧州のマイルチャンピオンです。現在、LONGINES World's Best Racehorse RankingsではAustraliaらと並びジャスタウェイに次ぐ2位。
ジャスタウェイより弱い馬が欧州年度代表馬なのかと思ってしまいますが、ジャスタウェイが強かったことと欧州の競馬が近年の中では低調だったことの両方の影響です。また、英愛ダービー+英インターナショナルSのAustraliaとの比較ではGIの勝利数は確かにKingmanですが、私ならAustraliaにしてしまいます。

2歳牡馬チャンピオンはGleneagles。全姉が今年の愛1000ギニー馬Marvellousで、母がGiant's Causewayの全妹で重賞2勝という超良血馬。ジャンリュックラガルデール賞で降着を食らいましたが、GI、GII、GIIIを1勝ずつ。順当でしょう。

2歳牝馬チャンピオンはTiggy Wiggy。チェヴァリーパークSの勝ち馬です。
この馬には一度も触れたことがなかったですね。父KodiacはInvincible Spiritの半弟で、父がGreen DesertからDanehillに代わった3/4同血馬です。母父KheleyfはGreen Desert産駒なので、Invincible Spiritが血統表内で再現されていることになります。これがまず一つ。
次に、Danzig系の同系交配であるとともに、父の祖父と母の曾祖父がDanzig、父の母父と母の祖母父がKrisという父母が相似の配合であること。
次に、母はNorthern Dancerが4 . 5 x 4 . 5であるのに対し、父はNorthern Dancerが1個だけ。Northern Dancerを持たない父の母のところが異系気味です。トゥザグローリーなど、キングカメハメハ産駒でもそれなりの成功例を見るパターンですね。

3歳牝馬チャンピオンはTaghrooda。オークスとKジョージVI&QエリザベスSを勝ち、今年の主役になると思いましたが、ヨークシャーオークスで2着、凱旋門賞で3着でした。

チャンピオンスプリンターはSole Power。昨年の香港スプリントでロードカナロアに全く歯が立たなかったSole Powerが受賞です。今年はキングズスタンドS、ナンソープSを勝ちました。
この馬の配合も取り上げたことがありませんでした。父KyllachyはナンソープSの勝ち馬、母父Distant ViewはサセックスSの勝ち馬、祖母父ウォーニングはマイルGI2勝、曾祖母父Laser LightはKジョージSの勝ち馬という、短距離色の強い累代交配で、Tudor Minstrelの影響が強いですからやっぱり短距離馬ですね。

チャンピオンステイヤーはLeading Light。昨年のセントレジャー馬で、今年はアスコットGCと2つの超長距離GIIIを勝ちました。

古馬チャンピオンはNoble MissionFrankelの1歳下の全弟です。今年になってGIを3勝と一気にトップクラスに躍り出ました。

功労賞はハムダン・アル・マクトゥーム。アラブの方は同じ名前を使い回すので、いきなりそう言われてもどちらのシェイク・ハムダン殿下ですかと思いますが、Taghroodaの馬主と書いてあるので、Shadwellの総帥の方ですね。

BC2014その2

2014-11-08 01:16:45 | 競馬日記
BCディスタフはTapit産駒Untapableが勝ちました。今年はGI3勝を含む7戦6勝。唯一の敗戦は牡馬を相手にしたハスケル招待でした。
鞍上は主戦ロージー・ナプラヴニク。勝利後、驚きの発表がありました。現在、妊娠中で、騎手を引退するとのことでした(記事1記事2)。めでたいことで、妊娠中は乗れないのでしょうが、引退というのは残念に思います。

BCジュヴェナイルフィリーズターフはDivine Park産駒Lady Eliが勝ちました。
父のDivine Parkは名繁殖牝馬Toussaudが産んだ4頭のGI馬のうちの1頭、Chester Houseの産駒ですが、何となくキングカメハメハ風味です(Divine Park × キングカメハメハ)。そうすると、Lady Eliは父Divine Park×母父Saint Ballad×祖母内Njinskyあり(しかもキングカメハメハの曾祖母とLady Eliの祖母は全姉妹)なので、父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンス×祖母内Nijinskyありというのとパターン的には似ているのではと思いましたが(例えばフェアリーS2着のマイネエポナなど;マイネエポナ × Lady Eli)、重賞勝ち馬は出ていないようですね。

BCダートマイルはInto Mischief産駒Goldencentsが勝ちました。
Nijinsky系列ぐるみで、Bold Ruckus内はBold Ruler、Alanesian、Raise a Nativeとクロスして全開という強烈さがある配合です。

BCジュヴェナイルターフはQuality Road産駒Hootenannyが勝ちました。
Secretariat主導でTamerettもクロスし、Secrettameが強調された配合。これがはっきりしている点がいいところであり、また、結構、細かいところまで押さえてあります。

BCマラソンとして行われていたレースはBCシリーズから除外されラスベガスマラソンS(GII)として行われました。勝ったのはSmarty Jones産駒Cary Street
Smarty JonesはBold Ruler主導の奇麗な配合だったのですが、Cary StreetはBold Rulerはクロスせず、Mr. ProspectorクロスがBold RulerのNasrullah、Discoveryを内包しています。Smarty JonesはDiscovery - DisplayやWar Admiral - Man o'Warを通じたFair Playのスタミナに依存した配合でしたが、これにPrincequilloが加わっています。ステイヤーという配合とは思いませんが、ある程度、距離をこなせる配合です。

同日に行われたトワイライトダービー(GII)はValue Plus産駒Long On Valueが勝ちました。
父のValue PlusはGIで2回2着があるものの重賞未勝利。Unbridled's Song産駒ではありますが、母父はオハイオローカルで活躍したものの重賞は未勝利のRollin On Over。Rollin On Overは種牡馬としてもオハイオローカルの活躍馬を出しましたが、重賞未勝利というマニアックな種牡馬です。Value Plus産駒初の重賞勝ち馬になりました。
アウトクロスでDouble Jay主導という配合。なかなかアメリカン配合です。

BCの勝ち馬の中で、Work All Week、Texas Red、Judy The Beautyあたりは特にいい配合だなあと思います。

BC2014その1

2014-11-07 01:02:26 | 競馬日記
BCが終わりました。クラシックが行われた2日目から振り返ります。

BCクラシックはOfflee Wild産駒Bayernが勝ちました。Offlee WildはサバーバンHの勝ち馬でWild Again産駒。Wild AgainもBCクラシックの勝ち馬ですね。
この系統の日本で活躍した馬と言えばトランセンドパーソナルラッシュですね。Nearcticクロスがある点ではトランセンド、Alydar、Bold Rulerなんかがある点ではパーソナルラッシュでしょうか。ワイルドラッシュ産駒ではDream Rush、Wild Again産駒ではSaravaなど、Nearcticクロスを持つ活躍馬が出ています。
そういう訳で、だいたい今までの成功例をなぞったような感じのある配合です。

BCマイルは日本産馬Karakontieが勝ちました。ジャンリュックラガルデール賞、仏2000ギニーに続くGI3勝目。仏2000ギニー後、2戦してどちらも大敗だったのですが、大一番で復活しました。母父サンデーサイレンスですから、堅い馬場、トラックコースに合うかもしれませんね。

BCスプリントはCity Zip産駒Work All Weekが勝ちました。
MR. ProspectorとRobertoのニックス、Raise a Native、Nashuaのクロスがあって、この両者が父の父Mr. Prospector内で同居、両者を持っていない父の母が1/4異系という感じのぱっと見でいい配合です。他の部分も、Tom Fool、Hyperion - Gainsboroughなどがきっちり働いていてなかなかいい配合です。

BCターフはアルデバラン産駒Main Sequenceが勝ちました。
父はスプリンンターで、産駒も短距離での活躍が多いのですが、本馬は12Fを中心に活躍しています。曾祖母ランジェリーはオークス馬Light Shift、タタソールズGCのShivaを出した名繁殖牝馬です。この距離が持つ牝系出身で、Princequillo - Prince Rose、Djebelと言ったところが生きていますから、本馬も距離が持つのかもしれません。

BCジュヴェナイルはAfleet Alex産駒Texas Redが勝ちました。
Nureyev 4 x 3にMr.Prospector 4 x 5。Nureyevの生かし方もいいですし、なかなかいい配合です。

BCターフスプリントはKitten's Joy産駒Bobby's Kittenが勝ちました。Kitten's JoyはSadler's Wells系で10F、12FのGIの勝ち馬ですが、本馬は6.5~8.5Fで勝利があります。この配合で短距離馬というのはちょっと想像しづらいですね。

BCフィリー&メアスプリントはGhostzapper産駒Judy The Beautyが勝ちました。GhostzapperはBCクラシックの勝ち馬ですが、6.5FのヴォスバーグSも勝っています。
Intentionally、The Axe、Rough'n TumbleクロスによるRelaunchとHoly Bullの呼応が素晴らしいですね(Relaunch × Holy Bull)。Rough'n TumbleとIntentionallyによるIn RealityとGreat Aboveのスピードは魅力ですね。The Axe - Mahmoud - Blenheim - Blandford - Swynfordの系列ぐるみが主導ですが、これでEquipoise、Blue Larkspur、La Troienneというアメリカンもまとめているのがいいです。アメリカンと言えば、Native Dancer、Eight Thirty、Questionnaireといったところも抑えています。短いところがいいのでしょうが、いい配合です。

BCフィリー&メアターフはCity Zip産駒Dayatthespaが勝ちました。
City Zip産駒ではWork All WeekがBCスプリントを勝ちましたが、Raise a Native、NashuaのクロスでMr. Prospectorを強調していたWork All Weekに対し、Dayatthespaはアウトクロス気味で、Djeddah - Djebelの影響が強い配合です。距離が持ちそうですね。

BCジュヴェナイルフィリーズはGiant's Causeway産駒Take Charge Brandiが勝ちました。
Secretariat、Blushing Groom、Northern DancerによるGiant's CausewayとTake Charge Ladyの呼応ですね。Take Charge LadyはGI3勝で、母としてもTake Charge IndyWill Take Chargeの2頭のGI馬を出しています。