うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

フェブラリーS

2011-02-22 20:41:48 | 競馬日記
フェブラリーSは随分極端な結果になりました。

1着トランセンド(父ワイルドラッシュ×母父トニービン)
2着フリオーソ(父ブライアンズタイム×母父Mr. Prospector)
3着バーディバーディ(父ブライアンズタイム×母父Mr. Prospector系)
4着ダノンカモン(父シンボリクリスエス)
5着マチカネニホンバレ(父シンボリクリスエス)
6着クリールパッション(父ワイルドラッシュ×母父トニービン、祖母はブライアンズタイムの全姉)

父ワイルドラッシュ×母父トニービンが1着と6着。2、3、4、5着は全てRoberto系で2着3着は父ブライアンズタイム×母父Mr. Prospector系、4着5着はシンボリクリスエス産駒。15着に沈んだ父シンボリクリスエス×母父Mr. Prospector系のパワーストラグルだけが例外で、ワイルドラッシュ産駒とRoberto系は全て上位に固まっています。ある血統の馬が激走する現象をブラッドバイアスなんて呼んだりしますが、この観点から分析する人にとっては面白い結果になったんじゃないでしょうか。

トランセンドはドバイ遠征の前哨戦を見事にクリアしました。レーザーバレット惨敗のショックを吹き飛ばしてくれました(フェブラリーSで2着3着に入ってGIで通用するニックスを証明してくれたのが救い)。ゴドルフィンマイルに選出されていますが、ワールドカップの方に選出された場合はこちらに向かう予定です。GI連勝ですからワールドカップに選ばれて欲しいです。ただし、この馬はエスポワールシチー同様、ダート2000mを走ったことがないんですね。JRAにダート2000mの重賞が一つしかありませんから仕方がないのですが。
トランセンドは父母に豊富に含まれるHyperionを背景にKhaled 4 x 5が主導を作り、それに次ぐNearctic 4 x 6もHyperionを内包しています。Wild Againを強調した形態で、Bay Ronaldの血の流れでまとめている点に良さがあり、Court Martialをさりげなく押さえているのも好感が持てます。Swaps全妹アイアンエイジの仔サニースワップスを輸入基礎牝馬とする牝系で、サクラサニーオーダンディコマンドのような重賞勝ち馬を出していますが、GI馬はトランセンドが初めてです。サクラダイオーの仔レジェンドハンターもGIを勝ち損ねており、GIには縁の薄い一族でした。

母父トニービンはトランセンドでJGIを合わせて10頭目のGI馬になり、父トニービンのGI馬の数、9頭を上回っています。トニービンは純然たる芝向き種牡馬で産駒のGI勝利は全て芝で挙げたものです。母父トニービンでも基本的には芝向きですが、上位にはハーツクライアドマイヤグルーヴのような芝馬だけでなく、最優秀ダートホースのアドマイヤドン、最優秀障害馬のマルカラスカルなどがおり、タイプは様々です。母父トニービンのダート馬と言えばフラムドパシオンが忘れられません。UAEダービーではDiscreet Catには6馬身千切られたものの、あのInvasorに先着しました。トランセンドにも金星を期待します。

Rachel AlexandraにはCurlin

2011-02-22 19:43:16 | 競馬日記
年度代表馬Rachel Alexandraの初年度交配相手はLane's EndのCurlinだったようです(記事1記事2記事3記事4記事5)。月曜日に種付けが行われました。Rachel AlexandraもCurlinも馬主がStonestreet Stablesです。

Curlin × Rachel Alexandra

CurlinはNative Dancerクロスが最前面ですが、最前面系列ぐるみはNasrullah。次いでTurn-toの中間断絶。Rachel AlexandraはSir GaylordとHail to Reasonの系列ぐるみでリードする配合。Curlin × Rachel AlexandraはMr. Prospectorが系列ぐるみで主導を作っており、その面ではCurlin側の傾向を生かしていると言えますが、Sir Ivorの系列ぐるみがあってRachel Alexandra側も生かしています。Sir Ivorの系列ぐるみなんてあんまり見ないのですが、欧米の血をまとめていて魅力がありますね。5代内で3種類のクロスがあってすっきりとしているとは言いにくいですが、いい配合だと思います。

Lane's EndにはZenyattaもおり、Curlinが交配相手じゃないかという噂もありました。Curlinは次のエース候補なんでしょうね。

Born Goldの今年の交配相手はDansili

2011-02-17 19:49:15 | 競馬日記
Goldikovaの母Born Goldには今年はDansiliが付けられるそうです(記事)。

Born Goldの仔としてThoroughbred Databaseに登録されている馬のリストはこれ(間違い、入力漏れがたまにあるので注意)。
このうち、重賞勝ち馬はAnabaa産駒GoldikovaとGreen Tune産駒Gold Sound

Anabaa産駒でRivermanクロスと言えば仏ダービー馬Anabaa Blueを当然思い出します。Anabaa Blueは無駄なクロスを持たないシンプルな形態で距離克服能力がありました。Goldikovaは母父Blushing Groomの世代が古くてこの部分がかなり強調され、完全なマイラー配合です。Gold Soundは同様にBlushing Groomが強調される形態ではありますが、ここの部分の世代を合わせきれておらず、不満が残ります。しかし悪い配合ではありません。
Dansili × Born GoldはBlushing Groom 5 x 2の世代ズレのあるクロスを持ち、その中のNasrullahが7 . 8 . 8 x 4 . 6 . 8ですが、Natalmaクロスを伴うNorthern Dancer 4 . 6 x 4があってかなり無茶な感じです。これで走ればさすがヴェルテメールという感じですが、私ならDansiliを父には選びません。

Zarkava2番仔

2011-02-16 20:19:18 | 競馬日記
Zarkavaの2番仔が2月11日に生まれたそうですね(記事1記事2)。Sea the Stars産駒で鹿毛の牡です。昨年生まれた初仔はDalakhani産駒
Asmaraの仔も生まれたようですね。2月3日にはAlpine Roseの初仔も生まれています(記事)。

Sea the Stars × Zarkava
Sea the Stars × Asmara
Sea the Stars × Alpine Rose

Sea the Starsの交配相手については昨年さんざんブログに書きました(ブログ1ブログ2)。

Sea the Starsは競り市の方でも期待されているようですね(記事)。
今年の交配相手の話はまだ聞いていませんが、またいい牝馬を集めるんでしょう。

HasiliはZamindarを付ける模様

2011-02-15 20:16:53 | 競馬日記
北半球最多の5頭のGI馬を出したHasiliには今年はZamindarが交配されるそうです(記事)。

Hasiliの仔は以下の通りです。
1996年生:Dansili(父Danehill、重賞3勝、リーディングサイアー)
1998年生:Banks Hill(父Danehill、GI3勝)
1999年生:Heat Haze(父Green Desert、GI2勝)
2000年生:Intercontinental(父Danehill、GI2勝)
2001年生:Cacique(父Danehill、GI2勝)
2003年生:Champs Elysees(父Danehill、GI3勝)
2005年生:Raise the Flag(父Sadler's Wells、1戦未勝利)
2007年生:Deluxe(父Storm Cat、サンタラリ賞2着)
2008年生:Very Good News(父Empire Maker、不出走)
2011年生予定:Oasis Dream産駒
2012年生予定:Zamindar産駒

HasiliはこれまでDanzig系と鉄板の相性の良さを見せ、Danzig系種牡馬が配された1番仔から6番仔まで全て重賞を勝ち、2番仔から6番仔まで5頭連続でGI馬になっています(1番仔DansiliはGIでは2着止まりですが、種牡馬としてはリーディングサイアーになりました)。Danzig系の中でもDanehillとよく交配され、GI馬4頭とリーディングサイアーを出して大成功しましたが、2003年にDanehillが亡くなり、その後はSadler's Wells、Storm Cat、Empire Maker、Oasis Dreamと異なる種牡馬が配されてきました。Empire Maker以外は全てNorthern Dancer系種牡馬です。ちなみにEmpire Makerは4頭のGI馬の母Toussaudの仔で、Very Good Newsは夢の配合になります。Hasiliは高齢ですので、さすがにGalileoSea the Starsのような高額種牡馬を付けないと思いますが。でもSea the Stars × Very Good Newsってのができれば血統表内にUrban SeaとHasiliとToussaudが共存するこれまた夢の配合になりますね。配合としても悪くないように思います。あとはどうにかしてFall AspenとDahliaの血を持ってくることができれば。

ZamindarはこれまでCoquerelleDarjinaZarkavaZendaと4頭のGI馬を出しています。これらは全て牝馬で全て母父がNorthern Dancer系。このうちCoquerelleとZarkavaは母父がNijinsky系であり、Zarkavaは母父がKahyasiです。ジャドモンテファームのマネージャーはZarkavaを作りたいと言っていますね。牝馬が付いてくれた方が走りそうな感じがしますし、その後の繁殖生活も楽しめそうに思います。
これらは4頭ともロンシャンのGIを勝っています。仏1000ギニーを勝っているのが3頭、残るCoquerelleはサンタラリ賞勝ち。Hasili産駒のGI馬は全て古馬になってからもGIを勝っているのですが、Deluxeがサンタラリ賞で2着になった実績もありますし、まずは3歳春のロンシャンの2つのGIのどちらかがターゲットになるようにように思います。まだ牝馬が付くと決まったわけじゃないのですが。牡馬であってもDansiliが仏2000ギニーで2着なった実績を信じて仏2000ギニー狙いでいいんじゃないでしょうか。

ところでHasiliにはArriveKalimaという全妹がいます。Kalimaの方はまだ産駒がほとんど走っていませんが、Arriveはすでに2頭の重賞勝ち馬を出しています。GIプリティポリーSのPromising Leadは父がDanehillでDansiliらと同血。GIII2勝でGI2着2回のVisitはOasis Dream産駒で、今年産まれる予定のHasiliの仔と同血。今年産まれる予定のHasiliの仔も楽しみです。

Zenyattaの初仔の名前コンテスト

2011-02-09 19:46:32 | 競馬日記
Thoroughbred TimesがZenyattaの初仔の名前コンテストをしていたのですが(記事)、優勝はDriven To Tearsになりました(記事)。

馬主のモスはA&M Records、Almo Soundsの創設者です。このことからA&M Records所属のStingと交流があり、所有する馬に彼にちなんだ名前を付けることがあります。ケンタッキーダービー馬GiacomoはStingの息子の名前ですし、その母Set Them FreeはStingのファーストソロアルバムThe Dream of the Blue Turtlesの1曲目"If You Love Somebody Set Them Free"から取ったものです。ちなみにGiacomoの半弟Tiagoは同じくA&Mに所属していた縁で親交の深いセルジオ・メンデスの息子から取ったそうで、GiacomoもTiagoもどちらもJamesを意味するらしいです。
ZenyattaはStingが所属していたトリオバンドThe PoliceのサードアルバムZenyatta Mondattaから取ったものです。となるとMondattaが初仔の名前の第一候補になりそうですが、既にモスはこの名前を使っています(Mondatta)。

"Driven to Tears"はZenyatta Mondattaの2曲目。1曲目が"Don't Stand So Close to Me"(邦題「高校教師」)でアルファベット18文字を超えてしまい、Driven to Tearsは曲名をフルで使える最初の曲になります。ド直球のネーミングになりますね。Set Them Freeのことを考えると、例えばClose to Meというパターンもあり得るんじゃないかと思いますが、ファイナリストに入っていません。
Driven to Tears以外のファイナリストはBerning Zensation、Be Zen、BZ Kneez、Sans Regrets、Tres Bien Zen、Zendini、Zucchini。どれも酷いですね。Stingの曲名だからと言って"Fragile"のような縁起でもない名前は付けられないでしょうが(と思ったらこの名前の馬は何頭もいる)。
The Policeの曲なら"So Lonely"、"Bring on the Night"、"De Do Do Do, De Da Da Da"、"Demolition Man"とSynchronicity収録曲のほとんど、Stingの曲なら"Russians"、"All This Time"、"Love Is Stronger Than Justice (The Munificent Seven)"、"Twenty Five to Midnight"、"Desert Rose"、"Brand New Day"、"Send Your Love"が好きです。グラモフォンから出した最近のアルバムは買ってません。
で、どんな名前がいいかと言えばThe Policeのファーストアルバムから取ってOutlandos d'AmourもしくはOutlandos、Zenyatta Mondatta収録曲から取るならDriven to Tearsより威勢がいいBombs Awayなんかでどうでしょうか(コープランドが書いた曲ですが、コープランドとの仲はどうなんでしょう)。他にはFragileだと壊れる方ですが、Demolition Man(邦題「破壊者」)は壊す方なのでこれも可じゃないかと思います。Desert Rose、Brand New Day、Send Your Loveあたりだときれいな名前になると思いますが、最近の曲過ぎるでしょうか。

レーザーバレット

2011-02-08 19:40:15 | 競馬日記
レーザーバレットという馬がUAEダービーを目指しているそうですね(記事)。
父ブライアンズタイム×母父Mr. Prospectorの定番のニックスです。ぱっと思いつく同様の形態の馬を並べてみます(網羅的ではありません)。

チョウカイキャロル:オークス
ノーリーズン:皐月賞
フリオーソ:交流GI5勝
ビッグゴールド:中山金杯、天皇賞春2着
バーディバーディ:ユニコーンS、兵庫チャンピオンシップ
ヒラボクロイヤル:青葉賞
ゴールドアグリ:新潟2歳S
Film Maker:QエリザベスIIチャレンジC
Barbaro:ケンタッキーダービー
Student Council:米GI2勝
Johar:BCターフ、ハリウッドダービー
Zenyatta:20戦19勝、米年度代表馬
Blame:BCクラシック

母父Mr. ProspectorのGI馬は日本ではチョウカイキャロル、ノーリーズン、フリオーソの3頭だけで父は全てブライアンズタイムです。さらにこの組み合わせには天皇賞2着のビッグゴールドがいます。血の相性を計る数字には勝ち上がり率や獲得賞金の平均値・中央値などがありますが、GIで通用するかを尺度にするなら母父Mr. Prospectorにとってブライアンズタイムは日本では最良の父だと言えるでしょう。
これはRoberto系とMr. Prospector系のニックスと言うこともできると思います。日本では父ブライアンズタイム×母父Mr. Prospectorほどは成功例がないのですが、ダートで活躍中のバーディバーディは父ブライアンズタイムで母父がSeeking the Gold、ヒラボクロイヤルは母父がMr. Prospectorで父がタニノギムレット、ゴールドアグリは父タニノギムレット×母父ヘクタープロテクター。海外ですと、Film Makerは母父がブライアンズタイムと近い血統構成のDynaformerで母父Mr. Prospector、ケンタッキーダービー馬Barbaroは父Dynaformer×母父Carson City。JCDにやってきたStudent Councilは父がKingmanboで母父Kris S.という返しニックスになっています。Joharも父Gone West×母父Lear Fanで返しニックスであり、4種類の4 x 5を持っていてぱっと見ではわけが分かりませんが、系列ぐるみはNashuaのみです。
これらの馬は細かい部分には個性はありますが、Nashuaのクロス中心という基本構造が変わらないのは見て取れると思います(タニノギムレットの仔ウオッカもNashuaのクロスが中心)。
もうちょっと分かりにくいところでは、昨年の米年度代表馬ZenyattaはHail to ReasonやHoist the Flagが前面でクロスしているせいでNashuaの影響が不明確ですが、それでもNashua中心と言っていいでしょう。昨年、BCでZenyattaを破ったBlameはRaise a Native、Northern Dancerの影響が強く出ていますが、Nashuaのクロス自体は有効で、RobertoとMr. Prospectorの相性の良さは生きています。

ブライアンズタイムはさすがに勢いは完全になくなりましたが、それでもフリオーソ、バーディバーディなど、ダートを中心に活躍する馬がまだ残っています。父ブライアンズタイム×母父Mr. Prospectorはダートじゃないと駄目なわけではないのですが、レーザーバレットは祖母父がこれまたダート向きのRaja Babaですし、実際にダートで強いですから芝に色気を出さずにダート路線で行くのが無難だと思います(バーディバーディはスプリングS→皐月賞を使ってどちらも大敗。この時期の3歳ダート路線は未整備なのでレース選択が難しいのですが)。
毎年、この時期にはダートの大物じゃないかと思わせてくれる3歳馬がいるものですが、全てが大成するわけはありません。レーザーバレットは配合だけならダートでGIを勝ってもおかしくないように思いますし、活躍を期待しています。

ファイングレイン、サクセスブロッケン引退

2011-02-03 20:52:11 | 競馬日記
高松宮記念の勝ち馬ファイングレインとフェブラリーSなどダートGI3勝のサクセスブロッケンが引退します。

ファイングレインはフランスで種牡馬入りの予定。
サンデーサイレンスの孫にとって日本での種牡馬入りはかなりハードルが高いのですが、フランスに引き取り手がありました。フジキセキの母父Le Fabuleuxは仏ダービー馬ですし、母の全姉Pure Grainは愛・ヨークシャーオークス馬です。血統的にはヨーロッパ、特にフランスに適性があってもおかしくないですし、スプリンターではなく距離をこなす馬を出してもおかしくないように思います。

サクセスブロッケンは東京競馬場の誘導馬になる予定。
母はサンデーサイレンス直仔でフィリーズレビュー勝ち。マカニビスティーが近親におり、大物は出ていませんがそこそこの牝系と言っていいでしょう。父のシンボリクリスエスはサンデーサイレンスの後継として期待されて、社台のかなり上質な繁殖牝馬をあてがわれ、リーディングでも昨年は3位に入っているのですが、その割には大物はおらず、まだ芝のGI馬を出していません(要するにGI馬は本馬のみ)。母父サンデーサイレンスのシンボリクリスエス産駒という血統的背景、ダート馬だったこと、両前脚が外向しているという馬体上の問題を考えると、種牡馬入りできないのも仕方がないと思います。
(シンボリクリスエス産駒ではシルクハリアーが種牡馬入りできたのがかなり以外でした。未勝利を勝っただけですし、近親の活躍馬はジョービッグバンだけですし、父シンボリクリスエス×母父ヘクタープロテクター×祖母父ノーザンテーストの累代交配で、RobertoもMr. ProspectorもNorthern Dancer(ノーザンテースト)も持っていて使い勝手がそれほど良さそうに見えません。大作ステーブルのプライベートスタリオンとして細々とやっていくのでしょう。)