うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

セントレジャー

2014-09-28 00:34:32 | 競馬日記
英国クラシック最終戦セントレジャーを忘れていました。
勝ったのはMastercraftsman産駒Kingston Hill。レーシングポストトロフィーを勝った昨年の2歳牡馬チャンピオンです。

父Mastercraftmanは愛2000ギニー、セントジェイムズパレスSなどGI4勝のマイラー。母Audacieuseは2100mのGIIIフロール賞を勝っています。祖母の半妹に仏2000ギニー、フォレ賞のDanseuse du Soirがいます。
5代目にNorthern Dancer、ダンサーズイメージ、Raise a Native、Bold Ruler、Nasrullahが並んでちょっとシンプルさにかける印象はあります。主導はNorthern Dancerとしていいと思いますが、ダンサーズイメージ、Raise a NativeがNative Dancerで直結、Bold Ruler - NasrullahはNearcoで直結、Nasrullahはダンサーズイメージに内包、Native DancerとBold RulerはDiscoveryで結合と、連合勢力を作れています。Native Dancer利きまくり配合ってのは面白いですね。
セントレジャーをこなせた理由はどこらへんにあるのでしょう。まず、ダンサーズイメージはケンタッキーダービーを降着で勝ち損ねた馬で、その母父Noorは14FのサンファンカスピトラーノHを勝った長距離向きNasrullah産駒です。5代目にNasrullahとRaise a Nativeが現れるのは凱旋門賞馬Rainbow Quest内。Bold RulerはPersian Bold内。Persian Boldは短距離馬だったのですが、父内にAlycidonがあり、母は母父Relkoなどヨーロピアンなスタミナがあり、種牡馬としては宝塚記念のパーシャンボーイ、サンセットHのKings Islandなど、距離をこなすタイプも出しています。父方でRaise a NativeとBold RulerがあるのはBCクラシックのブラックタイアフェアー内。Raise a NativeやBold Ruler - Nasrullahのスピード型と言っていい血がそれなりに距離をこなす部分に配置されています。
クロス馬的に見ると、Discoveryとか、Papyrus - Traceryとか、La Farinaとかあるのですが、これぞ長距離向きと言えるほどではないですね。難しいところです。ただ、Northern Dancer、ダンサーズイメージ、Raise a NativeがNative Dancerで結合し、Bold Ruler - NasrullahがそのNative DancerにDiscoveryで結合して、Native Dancerのスタミナが生きています。Native Dancerは5~12Fまでオールラウンドに勝ちまくった名馬ですから、2歳GIとセントレジャーを勝ってもおかしくないかもしれません。

2歳GIの勝ち馬がセントレジャーを勝つのはBrian Boru以来。これもレーシングポストトロフィーの勝ち馬です。Brian Boruは父Sadler's Wells×母父Alleged×祖母父Star Appeal×曾祖母ヴィミーという超ヘビー級配合で、よく2歳GIを勝てたなと思います。カルティエ賞2歳牡馬チャンピオンがセントレジャーを勝つのは初めて。

凱旋門賞の前走距離22年分

2014-09-25 01:05:52 | 競馬日記
凱旋門賞の前走の距離をまとめておくべきだったと気がついたので、それを加えた表とグラフを作りました。


(クリックで拡大)


(十の位を四捨五入)

距離ごとの路線が分かれている欧州だけあって、2400mの凱旋門賞の1、2着の前走は2400mが圧倒的に多いです。これよりも長いExtendedカテゴリのレースか、短いIntermediateのレースかなら、Intermediateの方が結果を出しています。レースの数、馬のレベルを考えれば、これも当然と言えば当然ですね。Mileから参戦して勝った馬はいません。

凱旋門賞の前走について22年分

2014-09-23 01:08:15 | 競馬資料
2012年に過去20年の凱旋門賞1、2着とその前走及びそれらが凱旋門賞の何日前だったのかをまとめましたが(ブログ1ブログ2)、そこから2年経ちましたので2年分を追加して表とグラフを作りました。


(クリックで大きい表)



この2年は1着ヴェルメイユ賞組、2着フォワ賞組(というかオルフェーヴル)でした。よって、グラフの方では21日前のところが1着、2着ともに2つずつ上乗せされただけです。
近年の傾向としては、一つはZarkava以降、ヴェルメイユ賞組が絶好調であることです。6年で3勝、2着1回です。この間、フォワ賞組も1着こそありませんが、3連対と健闘しています。が、これらは全て日本の馬。二ノ宮師、池江師あたりはフォワ賞を叩くパターンを手のうちに入れているかもしれません。逆に、近年不振なのは以前は強くて強くてたまらなかったニエル賞組です。2006年にRail Linkが勝って以降、連対すらありません。同じ3週前の重賞なのに、明暗が分かれています。
日本からは今年、ジャスタウェイゴールドシップハープスターが参戦します。ジャスタウェイは安田記念からの直行でこれは119日前のレース、ゴールドシップ、ハープスターはともに札幌記念からの参戦でこれは42日前のレースです。ジャスタウェイは型破りですね。さてさて、どんな結果が出るでしょうか。
3週前に行われるロンシャンの凱旋門賞前哨戦3つが突出して実績があるが、勝ちに行く馬がここをプレップに選ぶことが多いことも影響している、3週前のロンシャンの3重賞以外では特に傾向が見られない、というのが私の一応のまとめになっています。長距離輸送がありますから、日本の馬が札幌記念から向かうのは一つのやり方だろうと思っており、ゴールドシップ、ハープスターでこのパターンが試されるのが楽しみではありますが、ジャスタウェイの119日前の安田記念からの参戦というのは、臨戦過程においてもいきなりの距離延長という点においても(前走の距離もまとめてみるべきですね)型破りそのものです。

ロンシャンの凱旋門賞前哨戦2014

2014-09-22 00:47:37 | 競馬日記
ようやくロンシャンの凱旋門賞前哨戦を振り返ります。

フォワ賞(GII)を勝ったのはRuler of the World。逃げて押し切りましたね。鞍上は初乗りフランキー・デットーリ。ヴェルメイユ賞に出走したTreveにここ2戦乗っていたのですが、鞍上を降ろされてしまいました。そしてフォワ賞でBallydoyleの馬に乗って勝利。さすがフランキー。
昨年のダービー馬。その昨年のダービー以来の勝利になりました。

ニエル賞(GII)はEctotが勝ちました。クリテリウムアンテルナシオナル以来のGI2勝目です。この馬、実は力がありますね。デビュー戦で2着だったものの、そこから4連勝でクリテリウムアンテルナシオナル勝利。4歳初戦GIIIフォンテーヌブロー賞で、次走で仏2000ギニーを勝つKarakontieを破りました。しかし、そこから休養し、ニエル賞が久々のレースでした。そして、今までマイルまでのレースにしか出たことがなかったのですが、いきなりの12Fに対応していました。レースは最後方追走。どうやるのかなと思ったら、直線で一気に先頭に立って押し切りました。面白い馬ですね。
現在のところHurricane Run産駒唯一のGI馬。半兄にセントジェイムズパレスSのMost Improved。Most ImprovedはLawman産駒でDanzig系列ぐるみですから、マイル向きっぽい感じの配合です。父がHurricane Runに代わりましたから、距離はMost Improvedよりは持ちそうな感じはありますね。
配合的には母方にDanehillがあるおかげでNorthern Dancer系列ぐるみになっていますが、Reliance≒RelkoやChanteur、Precipitation、Wild Riskのクロスがあって、スタミナがありそうです。そしてAbernantのスピードは魅力ですね。

ヴェルメイユ賞はBaltic Baronessが勝ちました。先団の内から直線で抜け出してきました。鞍上をジャルネに戻してきたTreveは直線で伸びあぐね4着。凱旋門賞が最後の勝利で、以降3連敗です。
Baltic Baronessの祖母はBorgiaですよ。懐かしいですね。Borgiaにどんな種牡馬が付けられるのかなと思っていたのですが、Born Wildの父Sadler's Wellsを初め、結構ファッショナブルな種牡馬ばかりだったんですよね。産駒唯一の重賞勝ち馬はOasis Dream産駒Bermuda Reefでした。
Baltic Baronessは父Shamardal×母父Sadler's Wellsで、Borgiaのところを異系にした1/4異系配合です。ドイツではこういう配合も行われますね。独ダービー、ドイツ賞のAdlerflugを思い出しました。独産ではないですが、Galileoなども同様と言っていいですね。Baltic Baronessは父がShamardalですから、Northern Dancerが系列ぐるみになります。父内にRivermanがあって、母父Sadler's Wellsの生かし方がいい感じです。いい配合ですね。

一応、タイムを見ておきます。三者三様のレースぶりで、フォワ賞は2分26秒93、ニエル賞は2分26秒36、ヴェルメイユ賞は2分28秒22。ううむ。何とも言いがたいですが、レースぶりを加味してEctotはちょっと気になりますね。

Top Casablanca

2014-09-17 01:58:04 | 競馬日記
シーキングザダイヤがGI馬を出したようですね。産駒のTop CasablancaがチリのGIドスミルギニーを勝ちました。重賞勝ち馬はSafawiSono Bianco Neroに続く3頭目です。

母内にGolden VoyagerがいるところはSafawiと共通しますね(Safawiでは祖母父、Top Casablancaでは母父)。Top CasablancaではGolden Voyager内にMr. Prospectorクロス、Northern Dancerクロスが同居し、他に余計なクロスがなく、シンプルな形態になっています。祖母のところに南米血統があり、また、ここの部分は影響が弱いですから、この部分を異系にした1/4異系とも言えます。
父内Storm Bird、母内FanfrelucheとNijinskyというのもChop Chop、Bull Pageが生きていいですね。

シーキングザダイヤの2013年以降の動きですが、2013年北半球シーズンはフロリダのBridlewood Farm、南半球シーズンはHaras don Albertoで、2014年北半球シーズンから韓国に繋養されているそうです。チリで産駒が結果を出し始めましたから、韓国に閉じこもるのもったいない気がします。血統だけならStorm Cat産駒の中で最上級ですから、韓国にとってはいい種牡馬を得られたかもしれませんが。

愛セントレジャー

2014-09-16 00:02:14 | 競馬日記
ロンシャンの3重賞など、気になるレースはありましたが、まず愛セントレジャーから。
昨年のセントレジャー馬で、今年に入ってからもアスコットGCを勝っているLeading Lightが人気を背負った愛セントレジャーでしたが、6番人気Brown Pantherが6馬身半差で圧勝しました。

BCターフ、独ダービー、コロネーションC、伊ジョッキークラブ大賞典と12FのGIを3勝したShiroccoの産駒。Shiroccoは2007年にDarleyで種牡馬入りしましたが、今年の8月にCalendulaがブラジルのGIを勝ったのが産駒の初GI勝利でした。2010年からブラジルにシャトルされるようになり、当地での産駒になります。
北半球ではBrown Pantherが初のGI勝ち馬になります。2011年のセントレジャー2着。昨年のグッドウッドC(GII)で初重賞勝利を挙げ、今年の5月にはGIIIを2勝。その後、アスコットGCを含む3戦して勝てませんでした。

Brown Pantherは父Shirocco×母父Unfuwain×祖母父Shirley Heights×曾祖母父フィダルゴ×高祖母父Mieuxceという累代交配。Shiroccoは前述のとおり。
Unfuwainは英2冠+KジョージVI&QEDS、エクリプスSのNashwan、英チャンピオンS、ドバイシーマクラシック、英インターナショナルS、プリンスオブウェールズSのNayefの半兄で、Northern Dancer直仔という良血馬。12Fの重賞3勝、12.5Fの重賞1勝で、KジョージVI&QEDSで2着という長距離型でした。種牡馬としてもPetrushkaLailaniBolasと3頭の愛オークス馬及びオークス馬Eswarahなどを出しています。
Shirley Heightsは英愛ダービー馬。種牡馬としてはダービー馬Slip Anchor、仏ダービー馬Darshaanなどを出しています。
フィダルゴは愛ダービー馬Talgoの半弟で自身も愛ダービー馬。ヨーロッパに残してきた産駒の中からは伊ジョッキークラブ大賞典、ローマ賞のChicago、本邦輸入後は菊花賞馬コクサイプリンスが出ています。
Mieuxceは仏ダービー、パリ大賞典(3000mの時代)、リュパン賞の勝ち馬。カドラン賞、ロワイヤルオーク賞を勝ったステイヤーFeu du Diable、オークス馬Commotion、ヨークシャーオークスのLive Lettersを出しています。

徹底して長距離向きが累代交配されていますね。Estimateも同様ですね。日本じゃこういったタイプが活躍することはそうそうないんじゃないかと思いますが。近年、同じような配合の馬ばかり活躍している印象がある欧州(特に英国)競馬ですが、こういうところで血統の幅が出てはいます(愛セントレジャーですけど)。

Super Saver

2014-09-07 02:06:21 | 競馬日記
Super Saverは近年のケンタッキーダービー馬の中で、配合だけなら一番気に入っている馬です。競走成績的には10戦3勝、GI勝利はケンタッキーダービーのみで、勝ち味に遅く、特にケンタッキーダービー後は完敗続きになってしまいました。

引退後、オーナーブリーダーであるWinStar Farmで種牡馬入りし、今年の2歳馬が初年度産駒になります。そして、Competitive EdgeがホープフルSを勝ち、初年度産駒からGI馬を出すことになりました。2着もSuper Saver産駒I Spent It。こちらも既にGIIを勝っています。好調なスタートですね。

Super SaverはBuckpasser中間断絶とRaise a Native系列ぐるみの影響が強いことがはっきりしていて、尚且つこの2つはTeddy、Man o'War、Pharamond = Sickleで強固に結合します。BuckpasserもRaise a Nativeも含まないのが父の母の部分で、ここはヨーロピアンな血が多いのですが、フォルティノのおかげでMan o'War、Black Toneyが供給され、Case Aceまであって、大きく傾向を狂わすことはありません。素晴らしい配合だと思います。

Super Saverはシンプルな配合だったのですが、Competitive Edgeは5代に異なるクロス馬を多数使った配合です。
Mr. Prospector系列ぐるみ、Seattle Slew単一、Secretariat系列ぐるみ、Northern Dancer系列ぐるみ、Buckpasser中間断絶が父の母Supercharger内に同居し、この部分の生かし方が凄いことになっています。
Super Saverは優秀な牝系出身で、ファミリーナンバーは1-x。La Troienneの系統ですね。高祖母Numbered Accountは2歳牝馬チャンピオン。産駒にGI2勝のPrivate AccountとGI馬Dance Number。そのDance Numberが曾祖母で、その産駒に2歳牡馬チャンピオンリズム。その全妹Get LuckyがSuper Saverの祖母で、その産駒にはAcceleratorDaydreamingGirolamoと3頭の重賞勝ち馬がいます。その全しまいが母Superchargerです。更にSuperchargerの全妹She's a Winnerはハスケル招待のBluegrass Catを出していますね。ちなみに今年の2冠馬California Chromeは母父Not for LoveがGet Luckyの全弟であり、母内にNumbered Accountクロスがありました。
Super Saverはアメリカの至宝と言っていい牝系出身であり、その牝系の優秀な血であるSuperchargerをがっつりと生かしているのがCompetitive Edgeの特徴になります。

2着だったI Spent Itも同じですね。A.P. Indy中間断絶、Mr.Prospector系列ぐるみ、Northern Dancer中間断絶、Secretariat系列ぐるみ、Buckpasser系列ぐるみが父の母Supercharger内に同居し、この部分を猛烈に生かしています。16本のLa Troienneを持ち、血量が3.03%だったCompetitive Edgeに対し、I Spent Itは11本で1.86%のLa Troienneですが、BusandaがクロスしてLa Troienneの影響は十分に強いでしょう。