うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

重賞回顧(7月10, 11日)

2009-07-30 19:46:31 | 競馬日記
短距離戦ジュライCはInvincible Spirit産駒Fleeting Spiritが勝ちました。牝馬ですね。2歳時から活躍し、重賞は4勝目、GIは初勝利です。父はGreen Desert直仔のスプリンターで、仏ダービー馬Lawmanを出しています。Invincible Spiritの母父はSharpen Up系Krisで、日本だとアウトサイダーなのですが、ヨーロッパではDanehill Dancerの母父がSharpen Upだったり、特に珍しくありません。今年、産駒が春の2冠を制したネオユニヴァースは母父がKrisですね。

2歳戦スパーラティヴS(GII)はHaafhd産駒Silver Grecianが勝ちました。父HaafhdはAlhaarth産駒で、2000ギニー、チャンピオンSの勝ち馬。その父Alhaarthは、2歳時はデューハーストSを含む5戦無敗だったものの、3歳になってからは2000ギニーで人気を背負ってMark of Esteemの4着に敗れたり、GI勝利を追加することはできませんでした。Silver Grecianはどちらかというと2歳戦向きな気がします。

牝馬戦サマーS(GIII)はMtoto産駒Serious Attitudeが勝ちました。昨年、チェヴァリーパークSを勝っています。父母の世代が全然違います。父のMtotoは貴重なBlandford系で、初期の産駒からダービー馬Shaamitが出ました。

サマーマイルS(GII)はOasis Dream産駒Aqlaamが勝ちました。重賞2勝目。父母両方に種類の異なる近親クロスがあり、Aqlaamは母父Rainbow Quest内Nasrullahを中心とした異系交配になっています。

ミンストレルS(GIII)はRock of Gibraltar産駒Three Rocksが勝ちました。重賞初勝利です。母はSadler's Well×Mill Reef系のニックスで、それにDanehill系を付けた常識的な配合です。

愛インターナショナルS(GIII)はFamous Nameが勝ちました。父Dansili×母父Quest for Fameと来たらK・アブドゥラー氏のオーナーブリーディングホースですね。重賞は2勝目。Nijinskyが5 x 5であるのに対して、Northern Dancerは4. 6 x 4. 6と、ちょっと面白いことになっています。

アメリカのGI。
芝のマンノウォーSはTale of the Cat産駒Gio Pontiが勝ちました。GI3連勝です。母父Alydarを強調した形態で、案外ちゃんとした配合ですね。

ダートの牝馬戦プリンセスルーニーHはMenifee産駒Game Faceが勝ちました。GI初勝利です。父の母内Nasrullahが前に出すぎていることだけが気になる配合です。

クッショントラックのハリウッドGCはJump Start産駒Rail Tripが勝ちました。父はA. P. Indy直仔で、シャンペンS2着。Rail TripはBoldnesianによって父のBold Rulerの流れを生かしながらMr. ProspectorのNative Dancer - Polynesianを取り込んでおり、なかなかいい配合に見えます。

重賞回顧(7月8, 9日)

2009-07-27 20:27:15 | 競馬日記
ファルマスSはAnabaa産駒Goldikovaが勝ちました。昨年はZarkavaには歯が立ちませんでしたが、それ以外はほぼ完璧でBCマイルを含むGI3勝。今季初戦イスパーン賞は人気を背負ってNever on Sundayの7着とふるいませんでしたが、ここはきっちりと巻き返しました。配合は仏ダービー馬Anabaa Blueと同じくRiverman近交。母父Blushing Groomの本馬の方がマイル適性があることが分かります。

2歳牝馬戦チェリーヒントンS(GII)はOasis Dream産駒Misheerが勝ちました。父は5代内に異なる近親交配を多用したスプリンター。本馬は一転してアウトクロスですが、生かしているのが父方の血の分、短距離適性があるのかもしれません。

バーレーントロフィー(GIII)はGalileo産駒Kite Woodが勝ちました。冬の段階でのダービー前売りで人気の一角になっていた馬ですね。重賞は2勝目です。

2歳戦ジュライS(GII)はOasis Dream産駒Arcanoが勝ちました。Oasis Dreamはなかなか2歳戦に強い種牡馬ですね。母父がDaylamiで、Mill Reefが系列ぐるみを作ります。牝系はデュプレからアガカーン殿下に受け継がれた系統。

プリンセスオブウェールズS(GII)はSadler's Wells産駒Doctor Fremantleが勝ちました。K・アブドゥラー氏のオーナーブリーディングホースで、母はRaintrapサンシャック全兄弟の全妹。

詐欺メール

2009-07-22 20:11:42 | スパム
差出人:
"金本"cnwvtbbmpui@chinanew.com
日付:
Wed, 22 Jul 2009 00:57:59 +0500

(株)サイバーデジタル
03-6868-7023
担当の金本
と申します。

今回《総合コミュニティサイト》様で発生しています登録料金の件でご連絡差し上げました。

弊社調査会社になりましてお客様のお使いの{携帯端末}又はPC〈インターネット回線〉に対し【身辺調査及び裁判代行業務】の依頼を承りました。
誠に遺憾ではございますが、明日正午までにご連絡なき場合は「規約違反・契約不履行の損害賠償請求(415条)」に伴い

�悪質なお客様として身辺調査の開始
�各信用情報機関に対して個人信用情報の登録
�法的書類を準備作成の上、即刻法的手続(414条1項)の開始以上の手続きに入らせて頂きます。

その後
違約金【四十五万円】の請求になります。

>以降お客様からの和解の申し出には一切応じませんのでご了承下さい。       ※メールでのお問い合わせは一切受け付けておりません。
          未払い金のお支払いの手続きや退会処理の手続きをご希望の方は、
(株)サイバーデジタル
03-6868-7023
担当 金本
までお願いいたします。
営業時間 [平日]
午前10:00~午後19:00
(日・祝日を除く)

Cavalryman

2009-07-21 19:50:17 | 競馬日記
毎日更新したり、更新がぱったり途絶えたり、ブログの更新頻度が安定しないです。この途絶えている間に一番気になった馬はパリ大賞典を勝ったCavalrymanです。この勝利で凱旋門賞の前売りでも4~5番人気まで上昇したそうです(記事)。

父はHalling。中距離GIを5勝し、カルティエ賞最優秀古馬に選ばれた名競走馬でした。Sharpen Up系Diesisの直仔で種牡馬として期待していたのですが、ようやくGI勝ち馬を出しました。
Cavalrymanの配合は5代以内に全くクロス馬が出現しない完全異系交配。すばらしいですね。いい配合です。Nasrullahの主導はほぼ明確ですし、Donatello、Hyperionもそれを支えています。Pharos = Fairwayが28個もあるのは現代的ですね。Hallingからようやくこんな仔が出たかと感慨深いです。祖母はペガサスHの勝ち馬で輸入種牡馬のシルヴァーエンディングの全姉。
フランスの馬に対する先入観として「世代ズレ」、「異系交配」というのを持っています。世代ズレの代表的な馬としては最近ではVision d'EtatLe Havreです。このような配合を理解するのは私にはちょっと難しい。異系交配では過去にはデュプレ家によってReliance = MatchRhefficのような美しい配合が作り出されました。CavalrymanはDarley GBの生産ですが、フランスで走る馬という感じがあります。

2着はダービー前に配合を褒めていたAge of Aquarius。完成するのはもうちょっと先だと思いますが、がんばりましたね。

独ダービー

2009-07-07 20:18:24 | 競馬日記
独ダービーはDynaformer産駒Wiener Walzerが勝ちました。半兄Walzertraumはババリアンクラシック(GIII)を勝っています。母Walzerkoeniginは米タイキファーム生産で、シュレンダーハン牧場所有。重賞3勝です。Dynaformerとの組み合わせは父Roberto系×母父Mr. Prospector系のニックスですが、His Majesty = Graustark 3 x 6の世代のズレたクロスがあります。気になるのはこの点だけで、他は常識的だと思います。

ジャンプラ賞はSpeightstown産駒Lord Shanakillが勝ちました。父はBCスプリントの勝ち馬で、産駒のGI勝利は初めてのようです。

クロエ賞(GIII)はVerglas産駒Wilsideが勝ちました。Sir Gaylordが完全に主導を作る様子は見応えがあります。Prince John - Princequillo - Prince Roseを生かし、Djebelのクロスとともにスタミナを供給してる点もいいですね。

ボワ賞(GIII)はWhipper産駒Dolled Upが勝ちました。父はGI3勝馬で、その父Miesque's SonがKingmamboの全弟であるために10戦9勝の名牝Divine Proportionsと同血になります。産駒の初重賞勝利のようです。

芝の牝馬GIアメリカンオークス招待はDynaformer産駒Gozzip Girlが勝ちました。上のWiener Walzerと同じく、父Dynaformer×母父Kingmamboですね。

オールウェザーのGIトリプルベンドHはUnbridled’s Song産駒Zensationalが勝ちました。Royal Charger 6 x 5でリードしていて芝でも走れそうな感じがあります。

日本のラジオNIKKEI賞はダンスインザダーク産駒ストロングガルーダが勝ちましたね。Wiener Walzer、Gozzip Girlと同じく母父はKingmamboです。父系祖父がKingmambo全弟のDolled Upも加えて、Kingmambo関連の馬の活躍が多かった日曜日でした。

追加:世界競馬の合田さんが父Dynaformerと母父Kingmamboの組み合わせについて書いています(コラム)。過去にはヨークシャーオークス2着のOcean Silkもこの組み合わせでした。Ocean Silkの母Mambo JamboはDivine Proportionsの全姉、Whipperの半姉ですね。

エクリプスS

2009-07-06 20:04:30 | 競馬日記
馬場状態を嫌い愛ダービーを回避したSea the Starsが出走したエクリプスS(コーラルエクリプス)。圧倒的人気を背負い、ここも快勝しました。強いですね。1馬身差ですが、常に僅差で勝つタイプでまだまだ余裕があったようです。愛チャンピオンSが目標とのことですが、ジャドモンテインターナショナルSを走るかもしれません。
二冠馬がエクリプスSを制するのはNashwan以来。Nashwanと同じくセントレジャーは目指さない可能性が高いようです。

同日に行われた他の重賞。
スプリントS(コーラルチャージ)(GIII)はSo Factual産駒Ialysosが勝ちました。ソーファクチュアルはスプリンターズSに参戦し、3着と好走しました。ウォーニングと同じ父Known Fact×母父Robertoで、同じくジャドモンテファーム出身。種牡馬としても期待しましたが、重賞勝ち馬は初めてのようです。
Ialysosはギリシャ生産という変わり種。ギリシャで連戦連勝のあと、クマーニ師のところに移籍しました。

ランカシャーオークス(GII)はBarathea産駒Barshibaが勝ちました。重賞初勝利です。高祖母はプリティポリーSの勝ち馬で、愛2000ギニー馬Northern Treasureや伊オークス馬パリスロイヤルを出しています。Sadler's WellsとMill Reefのニックスです。

ロットハンブルクトロフィー(GIII)はMedicean産駒Etoile Nocturneが勝ちました。父Mediceanの特性上、Northern Dancerが系列ぐるみを作ります。祖母がすごく懐かしい名前です。初代ジャパンカップ馬メアジードーツですね。

アメリカのGI。
プライオレスSはTale of the Cat産駒Cat Movesが勝ちました。ちょっとごちゃごちゃしていますが、配合の方向はあっています。祖母はGI馬。

芝のユナイテッドネイションSはRoyal Anthem産駒Presious Passionが勝ちました。このレース連覇でGI2勝目です。祖母父サンシャインフォーエヴァーがいいですね。牝系はSeattle SlewMr. Prospectorと同じ名門です。

ウィンブルドン

2009-07-06 19:41:03 | 日記
昨晩、テレビをつけるとウィンブルドンのファイナルをやっていたので、ちょっとだけ見てみようかと思いました。で、もうファイナルセットだからすぐに終わるだろうと思ったのが甘かった。両者が延々サービスゲームをキープし続け、2時を回ってしまいました。これはもう駄目だとそこで私はギブアップしたのですが、結果、16-14でフェデラーがファイナルセットを取り、4大大会最多の15勝目を飾りました。

寝る前はフェデラーの方に明らかなミスが目立っていたのでロディックが有利じゃないかと思っていたのですが、フェデラーは最後まで崩れなかったようですね。今年はとうとうローランギャロスを勝ち、キャリアグランドスラムを達成しましたし、名実ともに史上最高のテニスプレイヤーと言っていいでしょう。

重賞回顧(7月1-3日分)

2009-07-06 00:35:28 | 競馬日記
ブラウンズタウンSはDansili産駒Glowingが勝ちました。血統はジャドモンテファームの血で固められていますね。祖母は愛オークス馬Wemyss Bight。
調教師はチャールズ・オブライエンで、先日亡くなったヴィンセント・オブライエン師の息子です。馬主はジョン・マグナーの妻でヴィンセントの娘スーザン(Thoroughbred Databaseではヴィンセントの妻ジャクリーンとの共同所有となっています)。

ハンブルグ牝馬賞(シュピールバンクハンブルク賞)(GIII)はDai Jin産駒Caro Jinaが勝ちました。父はパントレセレブル産駒でクレディスイスプライヴェートバンキングポカルの勝ち馬です。Princequilloが豊富なところがいいですね。

フェールホファー牝馬賞(ユンクハインリヒガベルシュタプラー大賞典)(GIII)はSholokhov産駒Night Magicが勝ちました。母父Monsunの重賞勝ち馬は初めて見たような気がします。牝系はNella da Gubbio(Catnipの孫で無敗の独ダービー、オークス馬Nereideの母)からイニシャルNを受け継いでいます。


RahyとLe Havre引退

2009-07-04 23:07:41 | 競馬日記
スリーチムニーズファームのRahyが種牡馬を引退するそうです(記事)。受精率の低下が理由とのことです。
父Blushing Groomに母が加年度代表馬Glorious Songで、半弟がSingspielという超良血馬です。Serena's SongDreaming of Annaというアメリカダートで活躍した馬も出していますが、日本で代表的に知られているのは何と言ってもファンタスティックライトでしょう。ワールド・レーシング・チャンピオンシップ2年連続王者という名馬でありながら、JCでテイエムオペラオー、ドバイシーマクラシックでステイゴールドに花を持たせてくれました。
後継種牡馬は、ファンタスティックライトの他には、サセックスSを勝ったNoverre、Dreaming of Anna全兄でGII勝ちのLewis Michaelなんかがいます。Noverreはアラジの半弟(3/4同血)で、今年、仏ダービー馬Le Havreを出し、Lewis Michaelは今年から父と同じスリーチムニーズファームで繋養されています。

その仏ダービー馬Le Havreは引退するとのこと(記事1記事2)。仏ダービーで負った腱の損傷(tendon injury→屈腱炎?)が原因だそうです。繋養先はまだ決まっていないようですが、成功して父系を継続させて欲しいですね。

保田隆芳元調教師、死去

2009-07-02 23:53:09 | 競馬日記
保田隆芳元調教師が亡くなりました(記事1記事2)。

調教師としてトウショウボーイメジロアサマを育てられた名伯楽ですが、騎手としては更に凄く、八大競走完全制覇、天皇賞通算10勝(春3勝、秋7勝)と、後に豊が達成するまでは誰も成し遂げ得なかった記録を持っています(天皇賞は勝ち抜けの時代だというのが凄い)。もう一つ、ハクチカラのアメリカ遠征に同行して、モンキー乗りを習得し、日本の騎乗技術に革命をもたらしたことも忘れてはならない偉業です。騎手としての現役時代は私の生まれる前ですが、私の持っている「競馬大全―栄光のサラブレッドたち」(池田孝一郎著、廣済堂)という本には「温顔の勝負師・保田隆芳」という節で保田隆芳師のことが書かれています。
後世に語り継がれる競馬界の偉人です。