旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

酔っ払いと詩

2013年06月07日 21時34分27秒 | Weblog

暑い日にはビールで暑気払いといきたい。ところが故あって飲めない。花の金曜日は李白の詩を読んで酔った気分になる。最近、李白を読みながら思うのだが、李白は大酒飲みらしいのに詩には酔っぱらっているふしがない。どうみても酔った時のことを思い起こしながら詩っている。だから、李白の詩は壮大だ。


月下独酌

2013年06月07日 21時29分16秒 | Weblog

月下独酌 其の四

乗 且 糟 蟹 虚 當 屡 辞 酒 所 酒 愁 美 窮
月 須 丘 螯 名 代 空 粟 酣 以 傾 多 酒 愁
酔 飲 是 即 安 不 飢 臥 心 知 愁 酒 三 千
高 美 蓬 金 用 楽 顔 首 自 酒 不 雖 百 萬
台 酒 莱 液 哉 飲 回 陽 開 聖 来 少 杯 端

窮愁 千萬端
美酒 三百杯
愁い多くして酒少なしと雖も
酒傾くれば愁いは来たらず
所以に酒の聖なるを知る
酒酣にして心自ずから開く
粟を辞して首陽に臥せるとも
屡々空しく顔回飢う
当代飲むを楽しまずんば
虚名安んぞ用いんかな
蟹螯は即ち金液
糟丘は是れ蓬莱
且く須く美酒を飲み
月に乗じて高台に酔うべし
                 李白


思うにまかせぬ愁いは幾千万
美酒はわずかに三百杯
愁いは多く有り、酒は少ししかないといえど
酒を傾ければ愁いはやってこない
そこに酒の聖なる効用を知ることが出来る
酒がまわれば心は自然と開かれるものだ
節義に殉じた伯夷と叔斉は、周の粟を食べずに首陽山に隠棲し
学問に励んだ顔回は、屡々空しい貧困のために餓えていた
今、飲酒を楽しまなければ
虚名は何の役に立とうか
蟹の螯の肉こそは不老不死の金液
酒糟の丘こそは不老不死の蓬莱山
しばらくは美酒を存分に呑み
美しい月の光の中、高楼で酔うとしよう