旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

近代法の基礎構造

2011年03月28日 20時43分29秒 | Weblog
本棚を整理していたら、加古祐二郎著「近代法の基礎構造」が出てきた。約?0年前に学んだ法哲学ゼミの課題図書のうちの一冊で、他の課題図書、パシュカーニス著「法の一般理論とマルクス主義」とともに学生時代に読破を目論んだ数少ない著作のうちの一冊だ。後者も部屋のどこかで厚い埃をかぶって眠っているものと思う。当時は、社会科学の知識と読解力の不足のせいで、この著作が何を解明し、分析しようとしているのか理解できなかった。私にとって「概念」を理解することの困難さに直面した最初の著作であった。

ネット検索で、昭和23年に33歳で逝去した加古祐二郎に関する情報が数十あることは解った。しかし、加古の経歴に関して、いずれの情報も「近代法の基礎構造」掲載の恒藤恭「加古祐二郎君の追憶」ほどは詳しくはない。また、かれの法哲学に具体的に触れてはいない。

たとえば、論文「法的秩序の歴史的構造に関する一考察」は、1序論、2法的価値と法的実在、3法的秩序の論理的構造、4法的秩序歴史的構造、5結語の5部構成だ。結語で加古は「法学の批判は、正に法学が依拠する世界そのものの自己批判であらねばならぬ、しかも世界そのものの自己批判は世界そのものを構成しているところの現実的社会的存在の内より出発せざるを得ないと考える。」と述べている。今日では当たり前すぎる主張であるといわざるを得ない。