旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

「山田準著 陽明学講話」

2007年10月04日 01時39分44秒 | Weblog
昭和9年8月、日本放送協会が朝の修養講座として聖典講義のラジオ放送を企画し、二松学舎専門学校の校長、山田準が陽明学の講話を担当した。その時の講話を元にして本書は昭和9年9月に出版されている。

日本に固有の現人神であった天皇を戦前の儒学者たちがどのように評価していたのか、また、国民を教化するために儒教の世界観をどのように利用したのか、の2点を知る上で参考になった。

平成9年11月の第2版はその改訂版である。著者が観念論に傾きがちな儒学を日本的あるいは土着型の精神論にものの見事に置き換えていることを窺い知ることができる。

日本放送協会での講話がもとになっているので文章は平明。戦前の歴史的背景さえ踏まえておけば、陽明学の入門書としては水準以上。一読に値する。