旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

自由と責任について

2007年10月23日 23時37分27秒 | Weblog
佐野眞一著 だれが『本』を殺すのか

本の流通について調べ上げた良著である。読書人なら気がつき始めているであろう、制度疲労を起こして瀕死の状態に陥った本の流通改革について、アマゾン、セブン・イレブン、ブックオフ等の経営者たちが詳細にわたって打開のための戦略について語っている。

この書を読めばうっすらと見えていた本の流通の実態が、明確な産業として見えてくる。著者は平明な文章で困難な課題と取り組んでいるものの2001年の発行だから情報全般がやや古いのが難点。500ページのハードカバーであるが4時間ほどで一気に読み終えた。偶然にも著者の「カリスマ」「東電OL殺人事件」の著作は読んでいた。佐野は綿密な取材に定評があるノンフィクション作家である。

同じく今日買った「『人を動かす』英語の名言」という本の中で「夜と霧」(原題はMan's Search For Meaning)の著者として知られる精神科医ヴィクター・フランクルの名言が取り上げられていた。

英語は上級なので邦訳のみ引用する。「東海岸の自由の女神は、西海岸の責任の女神によって補完されるべきである。」または「責任という観点から生きなければ、自由は単なるわがままに堕落する可能性がある。」とは上手いことを言うものだ。

フランクルは「夜と霧」の中で、「ナチスの強制収容所の中の生活であっても、なんらかの意義を見出した人が生き残る確率が高かった。」と述べている。絶望するより希望を抱けといっているようにも読める。