旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

『伝習録』

2007年05月16日 06時08分07秒 | Weblog
ここのところ王陽明の「伝習録」に啓発されるところが多い。「知行合一」とか「致良知」について説いた著名な王陽明の言行録で「陽明学の教科書」である。

王陽明は、科挙に合格した進士(高級官僚)である。理論の人というよりも実践の人であった。同僚の裏切りや帝の誤解から左遷や鞭打ちの刑に服した経験がある。病弱であるにもかかわらず不屈の魂を備え、教化力に長けた人物であったと伝えられる。

誰しもが高校の倫理か世界史で習ったように、「知行合一」の思想で有名である。陽明がいう「知行合一」とは、「知は行の目的であり、行は知の修行である。知は行の始めであって、行は知の成ったものである。」という意味合いである。

「伝習録」によると、知識と行動との関係についの様態について述べた後に陽明は、「もしも私の説く趣旨が理解できたのであれば、便宜上、知行は二つであると言っても構わない。私が説く趣旨が理解できなかったのであれば、知行はひとつである(知行合一)と言っても、何の意味もなさない。」と弟子たちを諭している。