徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

マシーン、もしくは石

2010-01-30 21:04:50 | Sports/Football
スカパーのレフリー座談会。
予想通り、今年もレフリーの閉鎖性を証明するような言い訳に終始する番組なのであった…まあ、そういう意味で剥き出しの人間性が観られて面白いんですけどね、これ。「我々も機械じゃないんで…」って言っちゃったら、ルールブックを離れて自分の人間性を問われちゃうのがわからないのだろうか。だってそれは結局のところルールの運用の問題か、見える見えないといった物理的な問題か、要するにどこまで行ってもレフリー個々の主観の問題にしかならないから。実際彼らは“表情”や“態度”といった技術で判断するのは困難な主観の世界に踏み込んで発言している。問題のあるレフリングとはまったく別問題なのに被害者気取りで「●●君は強い」発言には正直呆れた。
だったら「我々は機械です!」と言い切っちゃった方が余程清々しい。

マシーンだから仕方ないか、とか。
石だから仕方ないか、とか。

まあもはや「正しい」とか「正しくない」とかのレベルじゃなくて、小さい主観でゲームを混乱させたり、余計な主張をしなければそれでいいのです。別に吉田寿光の胸元を観たくてスタジアムへ行くわけじゃないし。

Now on

2010-01-30 06:17:28 | Music
Tさんからコメント投稿があったので久しぶりにyou tubeでホンタケさん音源を探す。
ホントは「Now on the Blues」がupされていればよかったんだけど(それなら自分でupしろよという話なんだが…確かスカパーで放送されたライブで演っていたはず)。米木さん、珠也という最強の本田トリオでHey Jude並みの高揚感が味わえます。ちなみに終盤、「ナーオー(Now on)、ナーオー(Now on)」と本田さんが叫んでいるんだけど、実はそれはTさんの娘さんの名前を叫んでいたらしいです。幸せ者じゃのう…。

ナカスで続けたJAZZ連載も形にしたいもんです。

思い通り

2010-01-28 01:56:52 | News
<産経新聞が初めて下野なう>
<でも、民主党さんの思うとおりにはさせないぜ。これからが、産経新聞の真価を発揮するところ>(産経社会部、総選挙めぐり不適切書き込み 自社ページに asahi.com 2009年9月2日

改めて思う。
それなりの真価は発揮している模様。しかも検察と二人三脚で暴走気味に。
今のうちに書いとくが後んなって「日本の黒い夏」風の<現場の記者たちは社の方針に苦悩していた!>みたいな、後出しジャンケンドキュメントはなしでよろしく。

また、その一方。
昨日の報ステで大阪のホームレス支援施設を取り上げていたけれども、ほんの数週間前に都の年越し派遣村で金持って逃げたホームレスを批判気味に報道していた同じメディアとはとても思えなかった。この一貫性のないスタンスは何なんだろう。

2011年でホントにテレビも新聞もどうにかなっちゃう悪寒がしますね。

もう一回引用しておく。
<個人の幸福に関して何の責任ももたぬ体制に対しては無責任な態度で居直るよりない>(小林信彦『日本の喜劇人』第7章「クレージー王朝の治世」)

(追記)
事務所から2000万円押収=一斉捜索で東京地検-小沢氏資金、広範に捜査
<特捜部が捜索で犯罪収益以外の現金を押収するのは異例。紙幣の発券番号などから、現金が入金された時期の解明などを進める狙いとみられる。>(時事通信 1月28日付)

<一方、大鶴の元上司だった高検検事長経験者は、自分の内面の弱さを隠すために権力を笠に着て取り調べ、事件を作ってしまうという大鶴の捜査手法を何度もたしなめたと証言している。>(大鶴基成 Wikipedia

(参考書籍)
知事抹殺 つくられた福島県汚職事件/佐藤栄佐久(平凡社)

引越し

2010-01-28 00:10:50 | Works
昨日は神楽坂の事務所でバックナンバーの整理と私物(サザナミの資料等)の処理。この部屋へ中洲通信の事務所として来るのもおそらくこれで最後ということで。個人的には中断期間もあったけれども、十数年使わせてもらった事務所なので、まあ内心しみじみです。出田さん、ありがとうございました。つってもしばらく膨大な写真整理で上の事務所にも顔出したりして今後もお世話になりますが。

とりあえずナカスのバックナンバーや資料類は引き取ってきたので始動が遅れている回顧&感謝号に取り掛かります。
1月は遊びすぎ。ん~…。

今日はツー・スリーの入江たちにバックナンバーや書籍と一緒に廃棄予定の書籍ラックを2台運んでもらう。
あと10台ぐらい欲しいところだが、完全に事務所化した自宅はラックが2台増えただけで実に危険な状態になっている。このまんまじゃ地震でアウツ必至…。

始動/2010サポーターズサンクスデー

2010-01-25 02:33:04 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10

Twitterでぐだぐだと書いていたが週末は静岡。
2010年シーズンのスタートということで土曜日は魚町稲荷神社の必勝祈願を経由して、ツインメッセでサポーターズサンクスデー。

前半のトークショーはステージサイドの場所をキープしたので比較的よく聞き取れた(これが椅子席より後ろになるとステージ全体は見えるが、トークはほとんど聞き取れない)。「金田喜稔 健太エスパルスに物申す!」の金田さんは熱かった。マリノスOB、健太の先輩という立場から<物申す!>というほどの内容ではなかったけれども日本サッカー界やリーグへの熱い思いというのは伝わってきた。また健太本人から昨年の大失速に対するコメントを聞くと、まあ、それも仕方ないかなという気持ちにもなるわな。

岩下仕切りの「敬輔の部屋」はラジオでのぐだぐだっぷりを思い出して不安だったが、岩下の無茶振りと強引な進行に対して、ここのところサポサンでは控えめだった印象の兵働がさすがのトークで盛り上げた。キャプテンは頼りになるわ。西部、永井、伸二と揃った浦和の話題と<背番号……1>のくだりはウケた。




選手会ステージはちょうどシーチケ特典の撮影会と重なったのでほとんど観れなかったが、宏介がだいぶ盛り上げた模様。
ちなみに今回のサポサンはアオと純平が欠席した。
アオの場合、真面目なだけに“青山”つながりというだけで、去年のサポサンで青山テルマに扮したトラウマがまだ残っていることは想像に難くない。

「もう思い出したくない、早く忘れたい」(Sの極み 2009年1月26日)

あと、フロントが大事にしているのか、オカにパパの自覚が出てきちゃったのか、それともやっぱり天下の代表FW様ということなのか、オカの出番があまりなかったと思うんだが、オカのキャラ的にももっとイジってやんないと良くないんじゃないかと思う。

ところで今回最後の「王者の旗」がなかったのはなぜなんだろうか。
ちょっと時間が押していたので端折っちゃったのか。

ま、いいか。

さあ今年はTHE CONFIDENCEということで始動。

※※※(追記 1月26日)
<選手会パフォーマンスステージに出演し、マイケルジャクソンに扮してムーンウォークを披露する予定だった>(Sの極み 1月26日)

アオ、失礼した。日本平のゴールパフォーマンスで披露してくれ!

今年もこの調子

2010-01-24 23:15:22 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
備忘録として記す。

清水のユニホームの胸スポンサーは、Jリーグがスタートした1993年から一環して「JAL」で相思相愛の間柄。(中略)法的整理となったJALが、これ以上スポンサーを続けるのは道義的にも難しい。(夕刊フジ編集委員・久保武司)>(zakzak 1月23日

道義的に難しいのは事実ですが、一貫して胸スポなんていう事実はありません。
一体何書いてんすか。

今年もこんな調子で順位予想しますか、編集委員。

新しい門番

2010-01-20 14:37:34 | Sports/Football
追記が長くなりすぎだので新しいエントリーで書く。

Jリーグ、トリニータに追加融資を決定
<Jリーグが求めた9億円以内を満たしていないため、超過分9700万円のうち、減価償却費6700万円を除く3千万円をさらに削減する条件を付けて、追加の融資を承認した。(中略)Jリーグからの融資額は貸し付け限度の6億円となり、「今後いかなる事態があっても追加の資金支援はしない。あとは県民、行政、企業が三位一体となって頑張っていただく」と断言。地元が将来にわたってクラブを支えていくよう求めた。>
<Jリーグの鬼武健二チェアマンは19日、大分FC前社長の溝畑宏観光庁長官をJリーグ参与にする、と発表した。>
大分合同新聞 1月20日付

前日、大分FCの青野社長が「今回(再建計画を)突っ返されることはない」と言っていたのは一体何だったのか。これは事実上、<突っ返された>も同然である。
それでも青野社長には融資が認められるという自信があったのだろう。
新体制発表会見を姑息にも理事会前日に開き、リーグ側が断れない状況を作りゴリ押しで融資を認めさせた印象が残る。これは先月の<つなぎ融資>と同様、審議以前にとにかく既成事実だけを先行して作るやり口にしか見えない。さらにリーグにもウィークポイントはある。南アフリカのワールドカップが半年後に迫り、さらに将来のワールドカップ誘致を表明しているリーグ、JFAにとって現時点でイメージダウンだけは避けたい。正論が通じる状況ではないのだ。

監督、選手からは「早期のJ1復帰」という実に無意味な掛け声だけが伝わってくる。
現状ではリーグからの6億円の融資を完済し、さらに10億円といわれる債務も返済しない限り、3位以内に入ろうと、優勝しようと昇格の可能性はまったくのゼロ、可能性もナッシングだ。そもそも現状の戦力でJ2を勝ち抜けるとも思えないし、むしろ経営努力をしている他クラブから目の敵にされる可能性の方も高い。

大分は果たしてどんなヴィジョンを提示できるのか。
それは「J1復帰」などという無意味な掛け声ではないはずだ。例えばかつての湘南のように大胆な若手への切り替えというヴィジョンを掲げ、10年という歳月をかけてJ1に上がるような覚悟はできているのだろうか。
J1気分の官製クラブの意識のままでは、そしてあまりにも無邪気なスタッフ、選手の甘い認識では、J1どころか次第にフェードアウトしていくのは目に見えている。今、大分に必要なのは「J1」などという、現状で実現不可能な掛け声や目標ではなく、今こそ本物のプロクラブを大分の地に浸透させるという基本的なヴィジョンに立ち戻る以外にないはずだ(社長はもちろん、監督や選手は順位や成績を口にすべきではなかった)。
まあ、確かに勝っても地獄、負けても地獄の大分にとって本当に可能性がまったくない中でヴィジョンを描けってのも難しい話だ(高額年棒プレーヤーが残留したのはまったく意味不明)。
そこで考えてみた。
JFLのHONDA FC(本田技研工業フットボールクラブ)のようにリーグの門番になるというのはどうだろう。プレーヤーとしてはそんなクラブでも活躍できれば移籍に道が拓ける。チームとしても門番として数シーズンを過ごせばさすがに経営環境も好転してくるだろう。
まあ、正直現状でそんな余力があるとは思えないけれども。

ワールドカップ誘致のために存続させるなら、もう、どうぞご勝手に、という感じではあるが。
そんな古臭いやり口は15年前に終わってるんだよ。

(追記 2010年5月15日)
<Jリーグの中野幸夫専務理事は14日、2部(J2)大分の本社などを視察し、リーグが6億円を融資したクラブの現状を「スポンサーがついておらず、入場券との2本柱が目標の数字と大きく違う。胸や袖の広告収入も入ってきていない」と厳しく指摘した。>(サンケイスポーツ 2010年5月14日付

餌と銃弾

2010-01-19 14:35:47 | News
トピックス
14時11分更新
・陸山会事件 閣僚から批判なく
・小沢氏とテレ朝に銃弾?届く
yahoo Japan 1月19日14時11分)

テロリストに“餌”を与えつつ、嬉々としてテロリズムを報じる、文字通り恐怖のマッチポンプ。

<根拠なく自分の“優越”を信じている人間がいる。この人間の遠くに“異常”がある。それを「自分とは関係がない」と思う人間は、その“遠い異常”を、楽しんだり怖がったりする。それだけでいいのか? 問題は、それをする“あなた”の方にあるのではないのか--というのは、別に目新しい問いかけでもない。にもかかわらず、現状にスポイルされてしまった人間は、それに気づかない。>
<恐怖を克服しなくてなんの人間か。いかに世が混沌へ成り行こうと、それを直視する冷静を持たなくて、なんの人間か。“態度”はもうはっきりしている--私にとって、このことは変わらないのである。>
橋本治「天使のウインク」中央公論新社

貧乏をこじらせる/「シッコ」

2010-01-19 05:58:26 | Movie/Theater
シッコ
Sicko/2007/アメリカ
監督・脚本・製作・出演:マイケル・ムーア
<超大国なのに保険充実度は、なんと先進国中最下位のアメリカ!!先進国で唯一、“国民健康保険”が存在しないアメリカでは、国民の6人に1人が無保険。毎年1.8万人が、医療費を払えないために治療を受けられずに死んでいく。(中略)この問題のシステムにより人々は高い保険料を払っていても、一度、大病を患えば治療費が支払えずに病死か破産を迎えるしかないのだ。「こんな医療制度はビョーキ(Sicko)だ!!」マイケル・ムーアがほえる>(amazon

キャピタリズム~マネーは踊る」の予習に未見の「シッコ」。
健康のためなら死んでもいいというぐらいの健康ジャンキーだらけの浮き世の裏側には膨大な貧乏な病人たちが行き倒れている。ダイエットも同様、所詮健康とは金でしかなく、「シッコ」後のマイケル・ムーアがその病巣である「キャピタリズム」へ猛然と突っ込んでいくのは至極当然の行動だろう。
まあ、そうは思いつつフランスの事例とか、いくらなんでも煽るためとはいえ露骨にやりすぎな感じが相変わらずで、あんまし笑えないんだな。
そりゃもう日本の国民皆保険が中途半端なアメリカ風へ振れかけてることに尽きる。

それを考えるとタケちゃん(ビートたけし)が20数年前にテレビやラジオで言っていた<貧乏こじらせちゃって>というフレーズは、やはり、実に深いものがあったのだなと思う(何となく)。
capitalismというのはやっぱしvirusだ。

ちなみ現在も国民皆保険問題で“恐怖”に踊る保守層、民間保険会社とオバマの攻防が続いている。
恐怖に踊りたい人は踊る気もない他人まで踊らせようとしますから気をつけましょう。これは日本の話。

ハスリン・ダン

2010-01-18 17:02:40 | Music
歌手の浅川マキさん死去=ユニークなライブ活動を展開
<黒装束に身を包んだ独特のライブ活動で知られた歌手の浅川マキ(あさかわ・まき)さんが17日午後8時、心不全のため公演先の名古屋市内の病院で亡くなった。67歳だった。所属レコード会社などによると、同日夜、滞在していたホテルで倒れているところを発見されたという。葬儀は近親者で行う。>(時事通信 1月18日付

ある雑誌で60年代特集を担当したときに線路を走る寺山修司の有名な写真に、浅川マキさんの「夜が明けたら」の歌詞を載せた。日本の60年代的なるものを匂わせるなら、このふたりの組み合わせだと思っていたので、そのページはえらくかっこ良く仕上がったと思う。
同時にマキさんの話をまとめた。我ながらよくまとまったと思ったのだけれども、幾度も深夜に電話でやりとりして、結局マキさんから直筆の原稿をいただいた(雑誌は休刊間際だったのだが、マキさんはそれを知らないはずなのに実に不吉な内容だったのをよく覚えている)。後から別のスタッフに聞いたところマキさんの談話をまとめるのはとても難しいことなのだと言う(いろんな意味で)。またその後もCDや阿部薫の本を頂いたりしたのだけれども、それは難しいというよりも、要するに安易な妥協を許さず、自分を表現して伝えるためには命がけなほど真剣なのだと思った。
マキさんの「ハスリン・ダン」が好きだと伝えると意外そうな顔をして笑っていたのを思い出した。

悲しいけれども公演先で亡くなるなんて浅川マキらしいと言えば浅川マキらしい。
歌い続け、旅し続けた歌い手のご冥福をお祈りします。




パーソナルとパブリック/血塗られたアフリカのバラ

2010-01-17 13:46:09 | Documentary
<動物ドキュメンタリーの制作者ジョアン・ルート。アフリカの大自然を愛し、ケニアで環境保護活動にも取り組んでいた。2006年、ジョアンは突然何者かによって殺害される。事件の黒幕は、ジョアンの活動に反発していたバラの生産・輸出業者か、それともバラ産業で働く地元の人たちか…?>(NHKネットクラブ

15年前に自分のもとを去っていった旦那とアフリカの土地(自然)に固執するジョアン・ルート。旦那との別れが決定的なものとなり、バランスを喪った彼女はさらに美しい記憶と風景を残すアフリカの大地に固執していく。極めてパーソナルな問題とパブリックな問題が複雑怪奇に絡み合う、このドキュメンタリーがアフリカの開発と環境破壊の問題だけを突いているわけではないのは明らかだろう。
白人と黒人の社会の二重構造、白人の美しい記憶と明日なき現実を生きる黒人の衝突、白人に雇われた黒人と密漁者との攻防、そして土地に固執する白人同士の諍い。結局問題は100%人間、の世界。

だからこそ、最後のアラン・ルートの言葉はあまりにも空虚だ。
無秩序なままで放置され、密漁することで一線を踏み越えていくしかない住民たちは、“泥棒国家”の末裔たちのロマンチシズムに振り回されるのか。

世間/「嗚、無情」「噂の娘」

2010-01-17 10:57:35 | Movie/Theater
噂の娘
1935年/モノクロ
監督:成瀬巳喜男
出演:千葉早智子、梅園龍子、伊藤智子、汐見洋
<チェーホフの「桜の園」を下敷きにした成瀬巳喜男のオリジナル脚本による作品。凋落の影が差す老舗の酒屋・灘屋酒店を舞台に、家族とその周囲の人々の悲喜こもごもを綴った人間ドラマ。>(日本映画専門チャンネル

没落していく老舗酒屋に向けられるラストシーンの床屋の主人と客の会話が嗚、無情。世間ってそういうもんだよね。当時40歳前後のはずの汐見洋の老け役にやはり無理があるような。でも彼が演じる隠居の義父・啓作がいないとまるで救いがない。

遠まわしなくせに直接的/「ある日わたしは」「月給泥棒」

2010-01-16 04:34:42 | Movie/Theater
ある日わたしは
1959年/カラー
監督:岡本喜八
原作:石坂洋次郎「若い女性」
脚本:岡田達門、井手俊郎
出演:上原美佐、宝田明、水野久美、上原謙
<周りの男の子には物足りなさを感じていたゆり子(上原)。ある日、男らしい大助(宝田)と出会い恋に落ちる。母(三宅邦子)はなぜか二人の交際に大反対。何か特別な理由がありそうで…。>(日本映画専門チャンネル

現代的で積極な医学生・宝田明がこれでもかとお針子娘・上原美佐を虜にしていく青春恋愛ドラマが、中盤から一転ヘヴィな純愛物語に変わっていく展開。娘を苦悩させた古風で“罪深い”母親が亡くなった途端に、お墓の前で強引なまでにハッピーエンドに突入。
クロサワに見出され、本作の後「独立愚連隊」「大学の山賊たち」にも出演する上原美佐は自ら「才能がない」と引退を決意したそうだが、その堅物ぶりが映像からも(演技からも)伝わってきたりして、やはり正統派で可憐である。
<遠回しなくせに直接的>な台詞が最高に時代がかってますが。

月給泥棒
1962年/カラー
監督:岡本喜八
原作:庄野潤三「ダゴンさんの恋人」
脚本:松木ひろし
出演:宝田明、司葉子、横山道代、中丸忠雄
<カメラ会社の営業マン・吉本(宝田)は、出世のためなら何でもすることから"出世計算器"と異名を取るほど要領のいい男。ある日、石油王国からホセ・ダゴン(ジェリー伊藤)という富豪がやってきて、ライバル会社と商談を始める。吉本は負けじとダゴンと交渉するが、ダゴンは、吉本の愛するホステス・和子(司)と結婚させてくれれば商談をまとめてもいいと持ちかけてきて…。>(日本映画専門チャンネル

「ある日わたしは」から一転、軽薄なサラリーマンを演じる宝田明。相手の司葉子は豪邸のガレージに住む元令嬢のホステス。ラストシーンの司葉子が実にセクシィでかっちょいい。

最先端と軽薄/「殺人狂時代」「地獄の饗宴」

2010-01-15 02:53:18 | Movie/Theater
殺人狂時代 
1967/モノクロ
監督:岡本喜八
原作:都築道夫「飢えた遺産」
脚本:小川英/山崎忠昭/岡本喜八
出演:仲代達矢、団令子、砂塚秀夫、天本英世
<大学講師・桔梗(仲代)の背中の傷に埋め込まれているヒトラーのダイヤモンド"クレオパトラの涙"をめぐって、人口調節のため殺人を行う奇妙な団体"大日本人口調節審議会"と、講師の仲間たちが争奪戦を繰り広げていくスリリングで奇怪なコメディ。>(日本映画専門チャンネル

地獄の饗宴 
1961/モノクロ
監督:岡本喜八
原作:中村真一郎「黒い終点」
出演:三橋達也、団令子、池内淳子、田崎潤
<国際コールガールのポン引きをする一方、得意のカメラでエロ写真を客に売り付けている戸部修(三橋)は、あるネガを拾ったことから、1億5千万の横領事件に関わり、殺し屋に命を狙われるハメに陥る。>(日本映画専門チャンネル

喜八作品で一番繰り返し観たのが「殺人狂時代」だと思う。何回観ても古臭さをほとんど感じさせない、実にモダンでかっちょいい世界なのである。
「殺人狂時代」があまり古臭さを感じさせないのは、少ないキャストに加えて、当時まだ生々しい記憶が残っていたはずの第二次世界大戦のエピソード以外に、あまり当時の風俗を登場させていないこともあるのだろうが、「地獄の饗宴」は昭和30年代当時の東京の風俗や日本人をしっかり匂わせる世界になっている。それでもモダンに感じさせるのは、もちろんそもそも監督のセンスだろうし、風俗の描き方が巧いということもあるのだろうし、映画が“最先端”の表現だったということもあるだろうし、それを全部ひっくるめて昭和30年代=60年代という時代のモダンがあるのだと思う。
「地獄の饗宴」のラストシーンは結構ヘヴィなのだけれども、そこまでに至る三橋達也の軽薄さが実に心地良い。
軽薄さとは即ちモダンである。
そしてそれは、やはり今の時代には失われてしまったものでもある。

あ、あと2本ともヒロインの悪女役で出演している団玲子が最高。

日本映画専門チャンネルの<映画のすべて、ここにあり。-娯楽のアルチザン 監督 岡本喜八>特集はまだ続く。