徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

ありのままのボクを受け入れて2

2010-01-07 11:59:23 | News
<年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」で、一部の入所者が就労活動のため都から支給された現金を酒代やたばこ代に使い、施設内で禁止された飲酒などの問題行動を取っていたことが6日、分かった。都はすでに泥酔状態となった男性1人を退所処分にしたほか、悪質な入所者には退所時に支給額と領収書の差額の返金を求める方針。>(産経新聞 1月7日付)

<返金を求める>という都や政府は一体彼らの何をケアしたのか? 何をケアしているつもりなのか?
カプセルホテルに収容して金を与えるだけで彼らが自力で何とかなるとでも思っていたのか?
酒を飲まずにはいられない、煙草を呑まずにはいられない彼らの内面と対話ができていたのか?
というか、都職員の誰がマスコミに愚痴を漏らしたのか知らないが、管理者と同じ目線で社会的弱者を批判気味に報道するマスコミって何なんだ?
<飲まなきゃやってらんねェ>という余裕のない人間は一部に確実にいるんだ。
そういう一部の人間すら受け容れられない社会の<救済>なんてアリバイ事業にしか思えない。

酔っ払いが始末に負えないのは理解できる。年末年始、オレも毎朝後悔した。
確かに彼らが<ありのままのボクを受け入れて>って言ったらムカつくと思いますけどね。だから<返金を求める>前に対話しようよと思う。

ありのままのボクを受け入れて

2010-01-07 11:33:21 | Documentary
ありのままのボクを受け入れて~父との対話~
原題: Let’s be Together
制作: Bastard Film / Team Productions(デンマーク) 2009年
<デンマークに住む14歳の少年ハイロンは女の子の洋服やハイヒールやお化粧、ネイルに夢中。15歳の誕生日を前に、ブラジルで暮らす実の父親に会いに行く。予想していなかった息子の姿に戸惑う父親マルセロ。そんな父と息子の心の軌跡を追い、思春期の少年とその家族がそれぞれにお互いを理解し、受け入れようとする姿を描く。>(BS世界のドキュメンタリー

ドキュメンタリーの域を超えたラストシーンのカメラ、音楽が実に美しい。
もちろんhappy endingではなくて未来に不安を抱えつつ、今を認め、今を生きるHappy Sadな世界。
<真実は自分の内面にある。それをさらけ出す必要はない>
という父親の言葉はシンプルだが重い。
ただし自意識過剰な思春期の少年でなくとも、さらけ出さずにいられない人間もいるのがこの無情の世界。

ということはおいて置いてもホモとゲイとレズと性同一性障害が歪められた形で認識されてしまっているように思える日本ではこんな作品はなかなかできそうもない。
だってそもそも対話ができないんだもの。

といってもオレは基本的に性同一性障害などという幽霊は存在しないという立場なんですが。