徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

絶対に負けられない戦いが、そこにはある(ドローも可)/第34節 甲府戦

2014-12-11 03:54:57 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


柏戦から書き始めよう。2005年の、同じ日立台を思い出した人も少なくなかったであろう大勝負である。
しかし失点癖は収まるどころか安定しつつあり(つまり、必ず失点する)、ウノセロのような、渋い残留争いらしいゲーム内容は望むべくもない。ボールキープもままならず、かといってチェイスも中途半端なまま、このゲームもまた早い時間に失点を喫したことでチームは混乱した。
11月は毎回バーやポストに直撃するようなシュートを見ていたような気がする。そして毎回、その度にあのシュートが決まっていたのならばゲームはどうなっていただろうと思った。もう時間は十分過ぎていたし、手遅れのような気もしたが、敗色濃厚なゲームであっても、そのシュートが決まるだけであチームやスタンドを勇気付ける。しかし、そのシュートが決まらない。
「次だ、次」と呟きながら、もはや「次」しかない今シーズン最後のゲームに切り替えるようにスタンドを後にする。
そして日立台でのゲームの後にキックオフした名古屋対大宮戦は終了間際の小川のゴールで名古屋が勝ち越し、大宮とは勝ち点も得失点差も関係なく、最終節で勝ち点1以上を積み上げることができれば残留することが確定した。

そして最終節。ゲーム後のレポートでは直前に漏らしたコメントが紹介されている。いかにエノキが追い詰められていたのかを物語るものだ。当然柏戦をあっさり負けたものの、その直後に大宮が前節の終了間際に勝ち点を落としたこと。これがいかに「幸運」だったか。シーズン序盤のドローは大した意味は持たないが、終盤のドロー(勝ち点1)は大きな意味を持つ。

大榎「絶対に勝たなければいけない状況で甲府と戦うのは何としても避けたかった。引き分けでOKという状況で迎えられるのは本当に幸運だと思っています」(【J1:第34節 清水 vs 甲府】レポート:泥臭く、なりふり構わず戦った清水と、自分たちのサッカーを貫いた甲府。清水が最後に完封試合を実現し、勝点1差で自力残留(14.12.07)/前島芳雄

それほど「勝たなければならない」という乾坤一擲の戦いはプレーヤーやスタンドにプレッシャーを与える。ましてや甲府のような堅守速攻で生き抜いてきたチームを相手に「勝たなければならない」のは、エノキでなくとも実にしんどいミッションだったことは想像に難くない。その選択肢が拡がったことは、確かに幸運以外の何者でもないだろう。
とはいえ降格決定の上にチーム状態もさらに悪化していると思われるセレッソをホームに迎える残留巧者の大宮もまたきっちり勝ち点を積み上げてくることも十分に予想できる。
「絶対に負けられない戦いが、そこにはある(ドローでもいい)」という戦いはこういうゲームを指す。

残り20分、甲府の最終ラインがきれいな直線の壁を描き、侵入どころか駿とノヴァコへの「放り込み」もはまらない攻め切れない停滞感が漂う状況で(むしろ勝ち点1のドローを狙うならばその「膠着」もアリ、なのだが)、甲府の2本のミドルシュートを叩き込んできた。残留争いだけではなく、この1年間叩かれっぱなしだった櫛引がそのシュートを全身で弾き返す。
そのシュートが狼煙になったのか、それから先は甲府の攻撃しか印象に残っていない。後からスカパーでビデオを見直してみると、そのときの印象ほど「一方的」ではなかったのだけれども、そこから20分はひとつひとつのプレーにスタンドから悲鳴や怒声が上がっていた。
この展開で、ここまで残留争いのヒーローを演じ続けてきた村田を投入することはとても考えられなかった。まだゲームが残っているのならば、または理想主義者のエノキならばその選択もあり得たのかもしれない。しかしエノキは生き残るために弦太を投入し、守り切ることをピッチとスタンドにメッセージしたわけだ。
事前にエノキの来季続投も発表された。理想主義者としての大榎克己の本来の戦い、清水エスパルスのマネージャーとしての戦いはこれからも続くのだから、ここで玉砕してもらうわけにはいかないのだ。

大榎「今思えば、途中でもうちょっと自分の思いきりとか、自分が思うことをもっとやっても良かったかなという後悔はあります。ただ、最後に来たら、理想も何もなかったですね。とくに今日のゲームに関しては、美しいとか良いサッカーとかじゃなくて、泥臭くてもどんなことをしてもという形になってしまいました」(J's GOAL 12月6日付

しかしこの結果を受けて健太体制の2年目や焼け野原からの出発だったゴトビ体制のようなロマンチックなストーリーを紡ぎ出すことはできない。「健太となら落ちても構わない」とまで言われ、ある意味でフリーハンドを与えられた長谷川健太は旧体制のブレイカーとして2002年までのチームを壊し、堅守速攻のチームを構築して(清水なりの)黄金時代を築いた。ゴトビはエクストラの2011年を経て、2012年には若手を中心にほとんど完成形のチームを作り上げてしまった。毀誉褒貶はあるものの、野心家のマネージャーとして彼にしかできないであろうことを次々と実現してきたのは確かだろう。
エノキは一体何を作りあげてくれるのか、クラブはどんなサッカーを、方向性を見せるのか。それはまだまったく見えてこない。それはフロントの責任を問わなければ始まらないと思うのだ。経営を言い訳に「経験」をなおざりにするこれまでのクラブの方向性は見直されなければセレッソの二の舞である。
ピッチやスタンドで流したプレーヤー、スタッフとサポーターの涙はあの夜限りにして欲しいと思う。

エスパルスのゴール裏と悦郎君のことについて

2014-09-16 19:37:45 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
司馬遼太郎風に書けば、ゴール裏の先頭に立つ男は清水エスパルスサポーターの典型であって欲しい。

最後のゴール裏がエコパというのは何ともやり切れないが、その男の最後の戦いが、レッズというのは「清水エスパルスサポーターの典型」としては、実に正しい対戦相手である。清水エスパルスサポーターは何が何でも、愚直に「王国」を主張しなければならない。

オレたちにとって「心のチーム」はひとつだけなのだから、サポーターを辞めるだとか、引退するだとか、卒業するだとかはそもそも論外なのだが、コールリーダーという「立場」は、誰がそれを務めていたとしても、いつか必ず終わりが来るものだ。立場というのはそういうものだ。
特にこの数年、その時が近いとは誰もが感じていたのではないか。

リーダーの交替は何らかの節目に起こる。それほど健太体制後期からアフシン体制にかけて、何度もチャンスがありながら(スタンドでほとんど戴冠を確信しながら)、この10年余り、オレたちはたった一度もタイトルを手にすることができなかった。
オレは彼が先頭に立っている間に一度もタイトルを獲れなかったことが悔しくてたまらない。

実に下らないダービーでのトラブルによる出禁が決定的だったとはいえ、やはりその引き鉄になったのは、12年に獲れるはずたったタイトルを獲れなかったばかりに、それまで燻っていた不満分子が、13年シーズンを通して爆発したことだったと思うのだ。

2002年以降の低迷期に清水のゴール裏には変化が起きた(はずだ)。
低迷期には従来のサンバに加えてウルトラを望む若者が出てくる。基本的にどんな場面でも楽しくメジャー調のコールの多いゴール裏に、ウルトラ風のシリアスなコールやメッセージを求める若者が出てくるのは当たり前のことである。
この10年、エスパルスのゴール裏はサンバとウルトラの調和を見せてきた。その先頭に立っていたのが彼だった。プレーヤーだけではなく、周囲のサポーターやファンを、全身で、そして愚直なまでのメッセージで鼓舞するという意味で素晴らしいウルトラだった。出禁後、J2やJ3のスタンドに現れた彼の行動も、サポーターの誰もが感動したはずだ。彼はサポーターの誰もがやりたくてもできなかったことを行動で示してきた。
13年の彼と彼の仲間によるアフシンに対するアクションは決して全てが同意できるものではないし、その行動の全てが素晴らしいとは思わないけれども、その愛情に疑いはない。愛情に疑いがないってことは、考え方に多少の違いがあっても、オレは彼をエスパルスサポーターとして信用しているということである。

その彼が(正式に)身を引くというのだから、もうこれはひとつの時代の終わりである。アフシンの更迭も、巌の退任も時代の終わりを十分感じさせたが、渡辺悦郎君の「引退」はエスパルスの歴史にとってひとつの時代の終わりを心底実感させる。

今、エスパルスは10年前と同じように残留争いに巻き込まれている。もはや優勝に相応しいメンバーだと強弁する余裕はないが、決して降格するようなメンバーではない。悦郎君が書いているように、このシーズンを乗り越えれば、05年の残留争いを乗り越えた健太エスパルスが最高(で最低)のストーリーをサポーターに体験させてくれたように、克己エスパルスは最高のチームになる可能性を秘めている。
我がチームは相変わらず若くて、経営的にももう若さにしか賭けるものはなくて、若さというのは可能性以外に評価できるものはないのだから、これは当たり前である(勿論我がチームには素晴らしいポテンシャルを持つ若者が多い)。

残留したらプレーヤーの実力、降格したらサポーターの責任ということで、オレたちは新しいコールリーダーと共に残されたシーズンのゴール裏を戦うべきだろうと思う。

落ちるかボケ。

勝利の時も、敗北の時も/監督交替について(2)

2014-08-03 21:33:13 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
克己「(理想とする監督は?)アルディレス監督です。選手時代に楽しくサッカーできましたし、パス回しやシュートだけで(練習が)終わる時もありました。これで本当に大丈夫か?と思いましたけど、選手としては本当に楽しかったです。サッカーの規律ある中で、選手たちの良さを引き出せるようにしたいですし、少なからずその頃のエスパルスへ近づけるようにしたいと思います」(清水エスパルス公式 7月30日付

克己エスパルスは何を目指すのか。
就任会見のコメントを読む限り、クラブの降格危機と監督を途中交替することの効果の少なさに対する認識は伝わる。ましてや柏戦を快勝してしまったことで、監督交替というショック療法はもはやない。何という間の悪さだろう。
就任初戦の東京戦の惨敗は何とも評価が難しいゲームになってしまった。

清水エスパルスのレジェンドである大榎克己は長谷川健太同様、監督の座を約束された男であった。
鈴与の鈴木与平会長はかつてもうひとりの三羽烏である堀池巧にこう言ったという。
「三羽烏がフロントに入ったときこそ、エスパルスは本物のクラブになる」
この言葉に偽りはないと思う。そして表現の差こそあれ、この「ヴィジョン」は長年エスパルスをサポートし続けてきた人間は誰もが共有しているものだろう。だからこそ、克己の就任はほとんど約束されたものであったと言っていい。
こんなことを書くから嫌われるのだが、クラブ設立に関わる地元生まれのレジェンドがいて、創設から継続する、混じりっけのない物語を紡ぎ続けているのは、日本では清水エスパルスだけで、だからこそ清水エスパルスは問答無用のサッカー王国を代表するクラブだったのだ。
しかし、だ。
前回の健太体制が誕生した経緯もあんまりだったが、今回の克己就任もあまりにもスクランブル過ぎないだろうか。
健太も克己も約束された身とはいえ、とてもではないがレジェンドを遇するタイミングではないし、フロントが「真剣」に状況を検討して、依頼したようには思えない。

結果がどうあれゴール裏は克己エスパルスの船出を後押しするしかない。
昨日の惨敗後もゴール裏は克己と彼のチームを鼓舞し続けた。
それはまるで3年前の神戸戦で1-5で惨敗しながらも、それでもスタンドはチームを鼓舞し続けたのと同じことだろうと思う。

最後にアルディレスが自著のタイトルに使用したキップリングの詩を引用する。
もしかしたら清水エスパルスにとって第二のアルディレスになれたかもしれない男と彼のチームのことをオレは忘れることはない。そしてオレは彼をそうさせなかった人たちのことも忘れないだろう。
まあ、それもまたオレたちの物語である。

<もし周囲の人がみな度を失って あなたを非難しても 落着きを失うことがないなら
もしみんなの者があなたを疑っても 自分に確信を持ち 人の疑いを思いやることができるなら
もしあなたが待つことができ 待ちくたびれることがないなら
もし偽りを言われても 偽りを返さないなら
そして善人ぶったり りこうぶったりしないなら

もし夢を持っても その夢に振り回されないなら
もしよい思いが浮かんでも それを最後の目標としないなら
もし勝利を得ても 敗北をなめても 勝利に酔わず 敗北にくじけないなら
勝利と敗北のふたりの詐欺師を同じように扱えるなら
もしあなたの語った真理のことばが 無頼の徒によって
愚か者をとらえるわなとしてゆがめられるのを聞いても 耐えることができるなら
もし心血を注いだものが破壊されるのを見て 腰をかがめてそれを拾い 古い道具で再建するなら
(中略)
地はあなたのもの そこにあるすべてのものもあなたのもの
――私の子よ もうあなたは一人前だ>
(ラドヤード・キップリング「もし」/『人生の訓練 新版』V・レイモンド・エドマン/海老沢良雄・翻訳/いのちのことば社)

<自分としては、サッカーの試合の結果などにできるだけ影響されないようなふりをしています。しかも本当はふりをするのではなく、実際そういうことに影響されないよう心がけたいと思います。キップリングの有名な詩があります。

あなたがそれら二人のペテン師とうまくつきあうことができれば、
勝利と時も敗北の時も
あなたがそれら二人のペテン師と同じようにつきあうことができれば
あなたは男なのです

しかし現実はそう簡単なものではありません。私はまだサッカーを生きているからです。>
(『勝利の時も、敗北の時も』オスヴァルド・アルディレス/鍋田郁郎・構成/NHK出版)


運命のひとひねり/監督交替について(1)

2014-08-03 18:45:53 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


アフシン・ゴトビが更迭された。
シーズン再開後の川崎戦、ガンバ戦の惨敗で解任やむなしのムードが濃厚に漂っていたのは事実だが、先週の柏戦での快勝を見る限り、またもや首の皮一枚残ったかと思っていた。

やはりポイントは神戸戦だったと思う。
今季好調をキープしていた神戸相手に終始ゲームを支配し、終盤に何度も訪れた決定機をひとつでも確実に決めていればその後の状況は生まれなかったと思う。それはリーグも、ナビスコカップも、そしてゴトビの解任も、である。
そして3年前の春、ホームで5失点の惨敗をしながらも、ゲーム終了後のゴール裏は「ゴトビのエスパルス」の船出を拍手で支えたのも神戸戦だった。何てったって、その半年前にボロボロに傷ついたサポーターはアフシン・ゴトビと彼のチームに期待せざるを得なかったのだ。アフシン・ゴトビという人はそれだけのメッセージを持っている人だった。
ただアフシンは運の悪い人だったと思う。

去年の春、ホーム広島戦のゲーム終了後にバス囲みが強行されたときに、ある中年女性が吐いた言葉が忘れられない。
おそらく枝村のファンであろうその女性は、アフシンや通訳の遠藤さん、原強化部長に向かって「誠意がない!」と叫んだのだ。
その言葉に対して猛烈な違和感を覚えたのは言うまでもない。
お客さんとしてその場にいるのならば、そのカスタマーメンタリティたっぷりなクレームも「アリ」なのだろうけれども、当事者たるサポーターはフロントに「誠意」など求めているわけではない。
チームのために何ができるのか、フロントはクラブのために何をするのか、その真剣を求めているのだ。
もちろんアフシンは結果責任を取る立場にある。

健太体制の大崩壊からのチームの建て直し、東日本大震災の発生といったエクストラな2011年シーズンを経て、2012年は「結果」が出てもおかしくないシーズンだった。事実前半戦を上位で快走し、夏から秋にかけては若手中心でナビスコカップのファイナルにまで進出したのだからアフシンのマネージャーとしての手腕は疑うべくもない。付け加えてユングベリの加入はアフシンなしには考えられなかっただろうし、彼が出場したホーム名古屋戦でオレたちはこのチームの未来を見たのだ。

「結果」としてアフシンのチームはそれほど悪いチームではなかった。
事実、健太体制で強化部長を務めた山崎氏(鈴与からの出向社員)は、エスパルス在籍時のインタビューで「数年に一度カップ戦を獲り、時々優勝争いをするチーム」という、実に情けないヴィジョンを語っていたではないか。
サポーターとしてはとても承服できないけれども、それは清水エスパルスの経営という現実に根差した率直なヴィジョンだったと思う。そして、その「ヴィジョン」は現在でも概ね変わってはいないだろう。
2008年のナビスコカップ決勝も、健太体制最後の天皇杯決勝も、アフシン体制でのナビスコカップ決勝も(後者は両方とも鹿島が相手だったが)、もう、ほとんど、間違いなく、優勝を確信して国立のスタンドにオレたちは立ったのだ(両方とも負けた)。自虐的に書いてしまえば、それが清水エスパルスのいう「結果」だったはずなのだ。

またアフシンのチームは一方で0-4の3連敗、ナビスコカップファイナル以降の勝ちなしなど、毎年不可解な負けっぷりを繰り返し見せ続けるチームでもあった。そこには今季の駿のような負傷離脱だけではない、特殊な事情でのプレーヤーの途中離脱が毎年繰り返されたという事情もある。
残念ながらシーズンを通して、このチームに安定感を感じたことはなかった。
これはアフシンのマネジメントの責任だけではなく、チームが経営に振り回された印象しか残らない。裏事情は漏れ伝わる程度でしか把握していないけれども、それが実感だ。今回、早川巌特別顧問の退任も同時に発表された。エスパルスのリーダーとしてはその手腕に対して毀誉褒貶の激しかった人でもあるけれども、健太、アフシン体制を通した時代の終焉を感じざるを得ない。しかし、これはフロントの総括なのか。責任を取るべき人物は他にもいるだろうと思う。

そして大榎克己は「強いエスパルスを復活させる」と宣言した。
(続く)

一ヶ月ぶりの更新です

2014-06-11 04:53:46 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


諸般の事情で、一ヶ月ぶりの更新です。IDを見ればわかるように、このブログもちょうど10年です。

まずはナビスコカップの予選落ちが凄まじかったから、ということがある。個人的にはいろいろ手を回してちょっと無理して鹿島まで乗り込んだところを手痛く返り討ちにされたってことも大きい。
最悪の内容で、最悪のスコアです(これが夢スコならともかく、3失点というのが夢も希望もなくなる感じで最悪なのだ)。
まあ内容に触れたところで精神論に終始してしまうわけだが、何にしても寸前まで圧倒していたナビスコ予選神戸戦のアディショナルタイム以降の転落ぶりには言葉がない。鳥栖戦での累積警告でノヴァコが離脱したのも運命と思うしかない。12年シーズンの3連続4失点負けが蘇るような転落ぶり。アフシンのチームというのは良くも悪くも記憶に残るチームである。

まあ、この内容、結果を受けてリーグの残留争いに加わる云々というのはナンセンスだとは思うけれども、フロントは体制について見直しを迫られることは避けられないだろう。

ワールドカップ直前で何もニュースは入ってこないわけだが、ワールドカップどころじゃないよなあ…。

GWシリーズは終わらない/第11節 鳥栖戦、第12節 新潟戦

2014-05-07 04:20:57 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
今年のGWシリーズは鹿島戦に続いて、鳥栖戦新潟戦との上位対決にことごとく敗れ、3連敗を喫した。
しかし、まあ、今節も上位が適当に星を潰し合ったおかげで、順位は変わらず、勝ち点差もさほど開いてはいない。J1はいまだにぎゅっと詰まった大混戦である。中位に位置する清水は、ぎゅっと詰まったおかげで、まだ上位の望みもあるけれども、下位に沈む可能性もあるのだけれども。

近年では10、12年のGWぐらいしか良い思い出はないのだが、わかっちゃいながら、この過密日程をうまく切り抜けることができない。ただし両年ともに前半戦を首位争いで走っていたわけで、それを考えれば健太体制にしてもアフシン体制にしても、清水というチームは、それなりに(シーズン途中ながら)結果は出しているとも言える。共通点はチームの成熟だろう。10年は健太体制の集大成としてチームは成熟していたし、12年は伸二を中心にベテランと中堅、若手のバランスのいいチームだった。これまた、共に10年はシーズン後にチームは大崩壊、12年はシーズン途中で崩壊した。
これはどのチームにも言えるとはいえ、清水という安定した状態ならばそれなりの結果を出せるクオリテイにはある。

今日、新潟の柳下監督(元ジュビロ磐田監督)はスカパーのフラッシュインタビューで、「清水はシステムを変化させることで負けた、今日も変えて負けた」と半笑いで応えていた。
この「変化」は、今季の復帰は絶望となった駿の負傷離脱というアクシデントによって余儀なくされたものだ。
どんなチームであろうとも、まずシーズンを通したチーム構想があり、3月、4月とゲームを重ねるごとにチームは成熟していく。そして構想はさらに積み重ねられ、攻守のバリエーションは増えていく。
2月のキャンプの好調から今季構想の核となっていた駿がチームから外れたということは、そんなに過小評価するようなことなのか。勿論バリエーションを準備しておくことはマネジメントとして必要だとはいえ、今季の復帰は困難という状況はちと話が違う。
清水に「変化」は必然である。
そして、このGWシリーズは結果こそ出なかったものの、その「変化」はそれなりの内容を見せていた。
ノヴァコビッチの1トップへの起用、六平・竹内に大輔を加えた3人のCMFによる中盤構成の変化、そして今日の亜人夢1トップでノヴァのトップ下起用と、GWでの3つのゲームで、違和感なく相手チームと拮抗した内容を見せていたのは間違いない(スクランブル状態になったときに廣井のFW起用というのは奇策過ぎる気もしないでもないが)。3月にあれほど不安定だった櫛引と吉田の頼もしさはどうだろう。失点してしまったとはいえ櫛引のポジショニングは安定していたし、吉田の疾走感は河井と共に攻撃にアクセントを加えている。
鹿島戦にしても、鳥栖戦にしても、新潟戦にしても完敗だったとは微塵も思わない。
問題は3ゲームとも先行されたときのゲームマネジメントと、本来替えの利かない、問答無用のエースである元紀の不調にあるんじゃないか。

世間ではGWが終わったとはいえ、5月の過密日程は終わらず、中3日ですぐにゲームが行われる。汚名を返上するのも、屈辱を晴らすのも結局ゲームで勝つしかない。
GWシリーズの最後は広島戦である。

またもや鹿島られる…/第10節 鹿島戦

2014-05-01 02:37:30 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
アフシン「選手たちの努力を本当に誇りに思います。すばらしいスピリットを見せられたと思います。試合を多くコントロールできていたと思いますし、突破のところでしたり、チャンスを多くつくれていたと思います。」(J's GOAL 2014年4月29日付

29日はスカパーで鹿島戦
雄弁なトニーニョセレーゾと比べて、J's GOALに掲載されたこの日のアフシンはあまりにも口数が少ない。内容の手応えと同時に、あんまりな結果に失望している様子がありありと見える。
トニーニョセレーゾを始めとして、相変わらず対戦相手へのリスペクトに欠ける鹿島関係者のコメントや戦評には憤りを感じざるを得ないが、とはいえ負けてしまってはどうしようもない。清水は「放り込み」だけのチームではないし、勝ち越しゴールを決められるまでゲームは「膠着状態」だったわけでもない。ましてやヘロヘロの時間帯があったくせに「大量得点で勝てた」とコメントしたプレーヤーがいたが、それを言うのならば清水の方である。カウンターとセットプレーで凌いでいたのはむしろ鹿島であり、事実鹿島の得点はオウンゴールとセットプレーである。
とひと通り愚痴ったところで…やはり相変わらずの鹿島戦だった。

六平と竹内に加えて中盤にイーブンなボール奪取に優れた大輔を据え、中央を固めつつも六平の縦への意識と竹内のロングパスを強化したシステムは、序盤のゲームの入り方を除けば概ね成功していたと思う。オウンゴールはアンラッキーだったと思うし、勝ち越しゴールは鹿島の執念に負けた。同点ゴールから村田投入で圧力を強めていた清水に対して、まるっきり疲弊した状態でも搾り出すように闘志をむき出しにする鹿島のプレーヤーというのは、あれはあれで評価しなければならないカルチャーである。ルイス・アルベルトのゴールはしょぼくれていた鹿島のプレーヤーに残り時間を走り切り、狡猾にボールキープする(鹿島る、だ)元気を与えてしまった。

3月の時点ではウィークポイントですらあった櫛引と吉田が見間違うような素晴らしいプレーを続けているのは心強い。飽きることなく左サイドを駆け上がり、ノヴァとパス交換しながらゴールに迫った場面も素晴らしかったと思う。駿不在の攻撃の形はいくつか見られたのではないかと思う。
上位との勝ち点差はまだ僅かだ。またもや3月のようなつまらない負け方をしてしまったわけだが、ここで連敗しないことこそが大事になる。この日の内容ならばどのクラブと対戦してもまだ大丈夫だろう。
次は3日、ホームで鳥栖戦。チケットはそれなりに売れているようだ。

ゲームの評価については、まったくセレーゾのコメントには同意することはできないが、この日の会見では(スカパーのインタビューでも)人種差別に対抗するダニエウ・アウベスのパフォーマンスに呼応するようにバナナを食べたという。
この島国のフットボールが世界と繋がっていることを他の監督やプレーヤーも(それからサポーターも)示して欲しい。
バナナを食べるだけなんだから簡単なことさ。

5月に向けて/第9節 仙台戦

2014-04-29 06:14:11 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
アフシン「まったく理解できない! 献身さも足りないし、ミスばかり。ホームだぞ! 目を覚ませ! 男になれ!(中略)病院の(長沢)駿のために闘え!」(J's GOAL/仙台戦ハーフタイムコメント 2014年4月26日付

土曜日の仙台戦。プレーヤーは9番のシャツを着てピッチに現れた。開幕から一ヵ月半で駿はすっかりチームの中心になった…というよりも駿の無念に応えたと言った方が大きいか。得点だけではなく献身的なチェイスでチームのリズムを作り、4月の好調を支えていたし、何よりもシーズンはこれからだったのだから、表面上はともかく、本人の今シーズンに賭ける思いとあまりにも上々なシーズンインと、突然の大怪我に凹んでいるであろうことは想像するに難くない。
しかし前半はいくら何でも仙台が「守備的」にゲームに入ってきたとはいえ、イージーなミスが多過ぎた。アフシンじゃなくたって檄を飛ばしたくなるような内容だった。
その反面、これでは仙台の渡邉監督が目論むような「後半になったら相手も落ちる」というような状況にはならなかった。3月のナビスコカップ予選で大敗した仙台が序盤からそれなりのモチベーションでゲームに臨んでくるのは想像できる。前半は概ね仙台ペースで、これでは「後半になったら仙台も落ちる」、である。

この日、清水のシュートはわずか3本だった。それはそれで批判されなければならないとは思うけれども、しかし前節のキックオフ時点で清水の枠内シュート数はリーグ1位だった。
「シュート打て!」は、まあ当然の心の叫びだとして、枠内シュートはリーグトップクラスというのは悪くない(むしろいい)。勿論それは駿がいたチームで積み上げたもので、駿の不在をチームとしてどう修正し、バリエーションを増やしていくかという意味では、トレーニングで繰り返し、決して「高さ」に頼らなかった河井のゴールシーンはひとつの光明に見えた。

序盤戦が終わり、いまだに徳島を除く全クラブがぎゅっと固まったJ1はどこが抜け出すのかわからない。つまらない負けやドローで勝ち点を伸ばせずにスタートダッシュに失敗したが、現在6位とはいえ可能性だけでいえば、鹿島戦に爆勝し(これは確定)、さらに上位クラブの結果次第では2012年シーズン以来の首位にも立てる。
過酷な連戦が続くGWシリーズ、そしてナビスコカップ予選を含む5月の戦いは、2期ぶりの赤字解消のためにも、目標である平均動員1万6500人を達成するためにも(リーグの優勝争いとカップの決勝トーナメント進出は必須)、そして駿に<ヤマザキナビスコカップの決勝で、決勝ゴールを決めさせる>ための戦いになる。その前哨戦である今日の鹿島戦は大一番だ。カシマスタジアム、15時キックオフ。

3月、4月はまともにスタンドへ行けなかった。さすがに5月は真剣に観戦環境整えよう…。

オレたちの星を継ぐもの/第8節 徳島戦

2014-04-23 00:39:37 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


土曜日、徳島戦はスカパーで観た。
J2から初昇格した徳島は開幕以来公式戦7連敗中で、ホームでの戦い。ミッドウィークのナビスコカップ予選浦和戦では、浦和がメンバーを落としたとはいえ接戦を演じた、序盤戦にしてすでに勝利に飢えた死に物狂いのチームだ。これが一発勝負の天皇杯予選ならば実に嫌な相手である。
ところが序盤の清水のパス回しから徳島のアグレッシブさは空回り気味であることが露呈してしまった。いくら清水が連勝中で、それなりに調子が上がってきているとはいえ、ちょっと、これは、先制点は時間の問題だと思った。そして不用意なカードを貰ったり、ラフプレーを警戒すればほぼ勝てるであろうことは確信した。まじで。吉田は容赦無用にノヴァコと駿をターゲットにクロスを蹴りこみ、六平も鋭い縦パスを通し続ける。
前半29分、六平のミスからゴール正面のFKを取られ、そのシュート気味のFKがキャラの腕に当たってしまいPKを取られるという不運はあったものの、これは櫛引が素晴らしいセービングを見せた。ここから後半の序盤にかけてゲームは停滞気味になってしまう。20分までに2ゴールが生まれ、徳島にとっては絶対的なチャンスだったこのPKもストップし、これがゲームの趨勢を決めたと言ってもいいと思う。
そして前半終了の直前、駿が相手ゴール前で着地を失敗し、足を痛めて交替してしまう。
後半の序盤、徳島のプレイはアグレッシブになる、と言ったら聞こえはいいが、どう見ても荒くなり、イエローカードが3枚ほど突き出された。
ここからまた清水の尻に火がついて、後半30分に無意味で不用意なカードを貰ってしまったトシが、カードを貰った直後にゴールを決め、終了直前にもはや絶対的エースである元紀が駄目押しで素晴らしいゴールを決めた。
実質45分のゲームだった。そしてゲームを通してもほとんど圧勝で完勝であったのは確かだったのだけれども、停滞気味だった45分はどうしたって不満が残る。

今日、駿のケガが右膝前十字靭帯断裂で全治8ヶ月という大怪我だったことが判明し、その思いはさらに強くなった。
駿の怪我が彼の不注意だったとは思わないけれども、停滞していた時間帯に起きてしまったのは残念で仕方がない。4年ぶりに清水に復帰し、健太が背負った背番号9を自ら望み、キャンプから好調をキープしシーズンに突入してからも(それまでの駿にしては)信じられない勢いでゴールを量産していた。円熟のプレイを続けるノヴァコとコンビを組み、ようやく清水から生まれた、本格的なポストプレイヤーがこんなことで、早くもシーズンを終わらせることになってしまった。

今月のエスパルスニュースで駿は言う。
「エスパルスの9番なんて、なかなか付けられるものじゃない。背番号でサッカーをやるわけじゃないけど、どうせなら9がいい、とお願いしたんです。だけど、重荷ではなかったですよ。健太さんはもちろん、矢島(卓郎)さん、永井(雄一郎)さんといった偉大な先輩たちが背負ってきたものを付けることが、素直にうれしかったです」(長沢駿「初心」取材・文/望月文夫 エスパルスニュース2014年5月号)
思えば山本真希も同じようなことを言いながら、テルの「7」を背負った。
テルの放出は健太体制崩壊によるチームの大改革のタイミングと重なって、真希のコメントもいくぶん悲愴感が漂っていた。
「テルさん(伊東)の番号なので、重みはありますが、他の選手がつけるなら、自分がつけたいと思った」
しかし真希は7番を自分の番号にすることはできずに札幌へ、そして川崎へ移籍していった。
いくらユース出身の生え抜きだとはいえ(真希もそうだった)、ひとりのプレーヤーが現役までひとつのクラブに所属し続けるのは難しい。しかも清水の10番の象徴で引退まで清水でプレイしたノボリや、欠かすことのできないクラブ創設メンバーのひとりで同じく清水で引退した健太の9番は、ちょっと、重みが違う。

駿の言う通り、勿論背番号がプレイするわけではないのだけれども、背番号の記憶がそれに見合ったプレイを求める。清水の10番は言わずもがな、徐々に記憶が薄れつつある清水の9番も、背負う者に9番のプレイを求め続けるのだ。
ノボリの10番ではなく元紀の10番に、テルの7番ではなくタクの7番に、そして健太の9番ではなく駿の9番へ、背番号に「自分の記憶」を植えつけるのだ。サポーターはスタンドでその背番号とチームの記憶を宝物のように抱き続ける。
駿が一日も早くピッチに戻ってくることを祈っている。来季こそ「駿の9番」になって欲しいと思う。

次節は26日、ホームで仙台戦。

徳島“爆弾”を乗り越える

2014-04-15 03:17:03 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
せっかく連勝したっていうのに現場に行けていない。
まあアウエイの甲府戦は仕方がないけれども、さすがにホームの大宮戦は行けていないのはマズいだろう。

駿の公式戦連続ゴールは途絶えてしまったけれども、前線の形はかなり明確に見えてきた。特に大宮戦での吉田のアーリークロスは素晴らしかったと思うし(勿論意図的なクロスを織り交ぜながらバリエーションを増やしていくべきだけれども)、浦和戦以降すっかりスタメンが板についてきた六平と竹内の縦への意識の高さも素晴らしい。タクを髣髴とさせるようなディフェンスも見せていた。これでタク、浩太や大輔が復帰し、いい意味で危機感を持って競争すれば清水の中盤はちょっと面白くなってくる。まだ裏を取られる場面もあり、サイドの組み合わせの問題があるとはいえ、右サイドで起用されているヤコヴィッチのスピードも予想以上で、これもこの先面白くなってきた。
今週ミッドウィークに行われるナビスコカップ予選は休みで、さらに週末のリーグはアウエイ徳島戦ということで、現場には行けない見込み。いまだ公式戦未勝利の徳島相手というのは、3月のFC東京戦のように実に嫌な予感もしないでもないのだが(サポーターには気の毒だけれども、ここまでの闘いはある程度予想通りで、普通に予想すれば勝てるだろうが…J2の昇格レギュレーションを恨むしかない)。

もう少し早く(遅く)対戦したかった相手、というケースがある。
監督が交替する前の仙台、フォルランがフィットする前のセレッソ、宇佐美が復帰する前のガンバ、ACLで疲弊した後のマリノス…まあフォルランがフィットしなくてもセレッソ戦は分が悪いのだけれども、週末の徳島“爆弾”はどうだろう。
いくら初昇格組とはいえ、超絶連敗中のチーム(しかもホーム)相手というのは嫌なものだけれども、こちらも3月は予定通りにはいかなかったのだ。きっちり勝ち点3を積み上げて欲しい。

ひとまず、ひと息/ヤマザキナビスコカップ Aグループ2節 G大阪戦

2014-04-06 03:30:00 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


水曜はスカパーでガンバ戦
3年前だったら何はともあれ絶対に駆けつけたゲームだっただろうなあ(今だって飲み代と宿さえ確保できれば行ったと思うんだが)。何てったってガンバの監督になった健太が日本平に戻ってくるゲームである。ナビスコ予選であろうとも、ミッドウィークのナイトゲームであろうとも駆けつけるべきだろう。そう思った人も少なくなかったのか、当日8000人もよく入ったと思う。
80年代の清水のレジェンドであり、クラブ設立メンバーの中でも超重要プレーヤーのひとりであり、監督を務めた年数が長いというだけではなく、それほど第一期健太エスパルスは希望と崩壊の一時代を築いたわけである。

ゲームは近所の酒場で呑みながらオンデマンドで観た(もう一ヶ月ぐらい、テレビがぶっ壊れているのだ…)。
ガンバに幾分主導権を握られながらもアクレッシヴにボールを奪い、拮抗した戦いを見せていた前半は悪くない。オヤジも来場した六平がますます中盤での存在感を増し、パートナーの竹内が駿の4ゲーム連続ゴールを演出したのも今後の戦いにつながる光明だったと思う。ここのところのお約束でもある後半のペースダウンでガンバに押し込まれ続けてしまったのはいただけないが、直前のリーグ東京戦のように、相手にゲームコントロールされる中での妙な間延びや集中力の欠如は見られず、何とかしのぎ切った印象。今回のナビスコカップ予選は結構な激戦グループと予想されているし、無失点でのホーム2連勝にひと息ついたか(次節はゲームなし)。
しかし健太ガンバの初見参、スタンドの空気を現場で感じられなかったのは残念…次は9月ってお互いどんなチームになっているのか想像もつかんな(健太の性格上、ガンバはそれほど変わらないと思うけれども)。

次は今日、アウエイでリーグ甲府戦。

ターニングポイント/第5節 F東京戦

2014-04-03 19:32:39 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


29日(土)はアイスタでF東京戦。前半5分で駿が先制点を決め、浦和戦に続いて起用された六平も序盤こそ姿が消えていたが徐々に中盤のアクセントとしての存在感を見せていく。東京はリーグ戦未勝利で勝ち点を積み重ねられない“いかにも”なパスミスを繰り返す。
前後に展開の早い前半のゲームは実に面白かったと思う。ショートカウンターの形は十分にできていたし、幾度となく追加点のチャンスはあっただろう。強風吹きすさぶ日本平の追い風を活かして、前半はツインタワーの高さを交えたりや積極的にミドルを打ってみてもいいんじゃないか。それぐらいゲーム展開には余裕があったと思う。
前半終了間際によくわからない失点をするまでは、ではあるが。
また後半もPKゲットの場面まではとても負けるとは思えなかった。
ゲームの流れを変えるターニングポイントというのは、どのゲームだっていくつかあるわけだが、J's Goalで前島さんが書いているように、これほど分かりやすいターニングポイントも少ない。ペナルティエリア内でハンドを犯したプレーヤーが、よりによって宏介なのだからスタンドが盛り上がらないわけがない。シミュレーションを繰り返す宏介にはスタンドからは執拗に野次が飛び、煽られ、さらに実際ゲーム中に宏介と元紀はかなり猛烈にやり合っていたのだから、これはピッチもスタンドもヒートアップして“盛り上がる”わけである。
しかし、この絶好のチャンスにあれほどシュートの巧い元紀がPKを外してしまう(権田は褒めない).
これでゲームは一変してしまう。東京が主導権を握り、ゲームをコントロールし始める。
これだからリーグ未勝利な上に、前節大敗したチームというのはやりにくい。この展開ではもともとアクレッシヴさにおいて清水を上回るモチベーションで臨んできたであろう東京が一度握った展開を手放すわけがない。スタンドからはさらに手厳しい野次が飛んでも、ボールに喰らいつき、シミュレーションすれすれで身体を投げ出しちゃったりもするわけである。

一方時間帯によっては今季の成長を伺わせる内容を見せながらも、90分通してコンスタントに力を出し切れていないチームにはまだ課題は多い。しかし、このゲームがまったく評価できないかといえば、それはまた違う。
要するに決めるべき場面で決めていれば、こんな展開にもならなかっただろうし、ましてやこんな点差になるわけがない。
リーグに関してはまったく勝ち点を積み重ねることができていないわけだが、今季もスタートダッシュ失敗は受け入れて、我慢を続けるしかない。
去年の今頃を思い出せば、無観客の浦和戦やこのゲーム前半の戦いにはまだ希望がある。

背中を押す言葉/第4節 浦和戦

2014-03-25 01:03:27 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


日曜日はスカパーでJ史上初の無観客試合(ゲーム)となった浦和戦。この注目の一戦でボランチに起用されたのは浩太でもタクでもなく、ミッドウィークのナビスコカップ予選の仙台戦で切れのある動きを見せていた六平と竹内。後半はペトロヴィッチの2枚交替で猛烈に押し込まれたとはいえ、六平はこの一週間で今後の中盤のポジション争いに名乗りを上げた(最後を決めていれば…六平のオヤジも出てきたかも)。ということで…。

無観客ゲームでなければ浦和の同点弾となった後半31分のチュンソンのラグビータックルは見逃されていただろうか(J's Goalのレポートにある通り、あれは、まさにチュンソンが「ゴールをこじ開けた」)。
無観客ゲームなければ、終盤に(関根と)原口に押し込まれまくり、PKを取られてもおかしくなかった豊の危ないファウルは見逃されただろうか。
勿論、それはわからない。わからないけれども、ゴールの歓喜もなくずっと神妙な顔つきでプレイし続けたプレーヤーと比べて、この日のゲームに「緊張感」がなかったとするならば、それはストレスフリーの飯田淳平氏だっただろう。なぜならばサポーターは、チームのチャントを歌ったり、プレーヤーを鼓舞するコールだけではなく、ピッチ上の「フェア」を強烈に求めるものなのだ。

ドローという結果は今回のようなエクストラの状況では無難な結果だったということになるのだろう。勿論“巻き込まれた”形の清水としては納得するわけにはいかないのだけれども、そんなことは浦和のプレーヤーも同じ事で、今回の件はあくまてもチームの問題ではなく、スタンドとクラブの問題である。

ある著名ブロガーによると「浦和はよくやった」のだという。彼によるとクラブのイメージも向上したらしい。差別表現の問題やスタンドの問題はそんなに簡単に払拭されるものなのか。「無関係な」プレーヤーたちにSports for PeaceのTシャツを着せて、メッセージを読み上げさせれば済む話ではない(何故清水のプレーヤーにも呼びかけなかったのか…まったく)。
報道を見る限り「無観客」ばかりに注目が集まり、プレーヤーの神妙なコメントを引用して幕引きに仕立て上げる報道も少なくない。しかし現時点で浦和は全カテゴリでの横断幕、旗の使用を無期限自粛、ゴール裏の全席指定席化も言及している。これは問題がまったく収拾しておらず、見通しが付いていないと見るのが正しいだろう。
しかし本当にプレーヤーは無関係なのか。この問題にはコアサポーターグループの根深い「嫌韓意識」があることは当初から指摘されてきたし、「Japanese only」のダンマク以前に、クラブの調査でもそれは具体的に触れていたはずだ。これはチュンソンが結果を出せばいいだけという話ではないだろう。
また浦和で噴出した問題が他クラブと無縁とは思えない。2ちゃんねるのドメサカ板のようなネット掲示板では、10年前と変わらず差別的な言葉が日常的に使用され、サポーター同士の「挑発」を超えたヘイトスピーチが繰り返されている。それは決してスタンドで既得権を叫ぶ強面の兄ちゃんばかりでなく、普通の人々の間で交わされている。

今回の無観客ゲームに対して、清水のフロントは、IAI日本平スタジアムを開放し、自主的にパブリックビューイングを開催した。PVの開催費用に関して浦和フロントから負担の申し出があったそうだが、浦和に対する今回の処分による全体の負担を考慮し断わったという。
清水というクラブも、昨シーズンはフロントとサポーターの衝突が続いた。去年の今頃など、大敗が続き、そのたびに選手バスが囲まれ、監督と強化部長が直接説明に追われるなど、その関係は最悪に近い状況だった。また秋の静岡ダービーでの一件で、フロントは大量のコアを出禁処分にし、スタンドでのダンマク掲示禁止の処分さえ下した。個人的にはまったく処分は理不尽だと思ったし、トラブルの経緯は納得できるものではなかったし、これは春のトラブルに対するフロントの意趣返しだとすら感じた。
オレは今でもサポーターはフロントに管理されるべきではないと思うけれども、それでもやはり信頼関係は必要だろう。
この日のゲームのハーフタイムには日本平で声を上げ続けるサポーターの様子がプレーヤーたちに伝えられたという。
今回のようなエクストラな状況で、サポーターの信頼を得た清水フロントの措置は、それこそ、「よくやった」と思うのだ。
「Japanese only」のような問題が起こった時、徹底管理ーー横断幕を全面禁止し、全席指定席にすることが正しいやり方とは思えない。「それ」が起きてしまった時、必要なのはフロントの毅然とした適切な対処であり、決してマニュアルで対応する管理ではないと思うのだ。

サポーターがピッチ上のフェアを要求するように、一人ひとりが勇気を持ってスタンド内の「フェア」をも強く要求するようになれば素晴らしい。
その背中を押してくれるのは、やはり、結局は明快で、力強い、こんな「言葉」なのだ。

<まず、今回何が起こったかについて話をしなくてはいけないと思います。人種差別というものは、パスポートも何もあったものではなく、社会の病気だと思っています。それが次の世代へ、親から子へと移っていっていると思います。我々にはサッカーという美しいゲームがあります。この美しいものに色はなく、すべての国際色を持っているものです。(中略)人と人には違いがあり、だからこそ世界というものは美しい場所であると思っています。私がサッカーを始めたころ、サッカーボールは白と黒でした。今、我々が使っているボールには様々な色が使われています。エスパルスには9カ国の国籍の人たちがいます。カナダ、韓国、スロベニア、オランダ、スタッフにはドイツ人、ブラジル人、そして、私はもうどこから来たのか分かりません(笑)。(中略)今日の試合を楽しむことはできませんでした。ファンがいなかったから楽しめませんでした。声がなく、美しいオレンジ、美しい赤の戦いがありませんでした。内容に関しては良い時間帯と悪い時間帯がありましたが、それはファンから得られるパワーやエネルギーが足りなかったからだと思います。無観客試合になるのは、これが最後になることを願っています。1つになっていきましょう。>(アフシン・ゴトビ/J's GOAL 3月23日付

このゲームの両監督が雄弁な外国人監督だったのは象徴的だった。
ちなみにアフシンと浦和のペトロヴィッチ監督は、ゲームに関しては毎回子供っぽい「挑発」を繰り返す。それが差別でも、単なる罵倒でもなく、実に「フットボール的」なのは言うまでもない。
アフシンが「楽しくなかった」というのは、比喩でも何でもなく、本音だっただろうと思う。

横浜のゲーム/第2節 横浜FM戦

2014-03-10 01:16:46 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


土曜日は日本平でホーム開幕戦、横浜Fマリノス戦
大チャンスの後にあっさりカウンターを決められて、横浜にだらだらとスカされて、逃げ切られたという展開。終盤に怒涛の攻防があったとはいえ、 確かにACLを含めた連戦を控えている横浜に「流された」と言ってしまっても仕方がない展開ではある。樋口監督のコメントにもあるスカウティング、早めの先制点で容易になったゲームコントロールという意味では、どこをどう見ても横浜のゲームだったことは間違いがない。ホーム開幕戦なのに。

アブシンが全幅の信頼を置いているプレーヤーとはいえ大輔と浩太を組ませるとこうなるのも仕方がないとか、駿が中途半端にポストに徹していたのを見るにつけ、前半のうちにもっとシンプルに長いボールを試してみるのもいいんじゃないかとは思った。「ハイタワー」がまだ絶対的に機能する武器でない今、もっとチャレンジしてほしかったと思う。トシや村田の機動力やスピードも、その大きな展開の中で活きてくるだろう。
まあ、その中でも元紀は相変わらず高いテンションで自分の能力を発揮し続けるプレーヤーだと改めて思った。

そして指摘したいのはレフリーの問題である。
開幕前に出回った良記事<古参マリノスサポーターの「長く続けるサポ講座(全11回)」>では、レフリングに関しては「審判を理解する」としているのだが、こればかりは納得できない。負けたから言うわけてまはないが、今回は改めてレフリーについて書いておく。
レフリーというのは、要するに「どっちもどっち」の人である。彼らは、味方と敵しかいないスタジアムのビッチの中で、公平中立でなければならない存在である。その立場には同情するとはいえ、オレは彼らには公平中立であることに厳しく要求する。
プレーヤーは文句を言えないのだから(それ自体、カードを貰いかねないのだから表立って批判はできない)、“12番目のプレーヤー”はもっと文句を言うべきだと思うのだ。
この日、ゲームを担当した中村さんにもオレは要求した。ゲーム後だって文句を言った。俊輔にFK蹴らせたいからファウル取ってんのか、このヤローてな具合に。
終ってしまえばこれもエンタテイメントの一部で、「審判を理解する(楽しむ)」も理解できなくもないのだけれども、ゲームのフェアネスを保つためにも、やはりスタンドはしっかり要求した方がいいのではないかと思う。

この流れならば発狂寸前にヒートアップするのが日本平というスタジアムだったはずなのだが、開幕戦でありながら、ピッチに対してスタンドの圧力がいまいち感じられなかったのもちと残念だった(Aゾーンの野次オヤジ軍団は今年も健在だった…)。
大量の出禁者を出した去年のアウエイダービーの一件から、去年までゴール裏を引っ張ってきた2000年代以降のコアはどういう変化をしていくのだろうか。
次は15日、アウエイでセレッソ“フォルラン”大阪戦。

レッズの差別的弾幕の件は改めて。

オレンジャーは何処へ/第32節 大宮戦

2013-11-28 02:22:53 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


順番が逆になってしまったが、土曜日は久しぶりにアウスタで大宮戦
優勝クラブ以上に今シーズン最大の話題といってもいい大宮の転落劇だが、7連敗中の大宮はこの日負けるとシーズン2度目の8連敗という凄まじい記録を打ち立てる(そんな記録があるのか知らん)。東スタンドのオレンジャーたちの姿もあまりにも寂しい。3月のリーグ戦やナビスコカップ予選で観たNACK5でのオレンジャーたちは意気揚々としていたのだが、もはや見る影もない。
しかし、いまだに思い出してしまうのだが、この大宮との開幕戦は勝てたゲームだった。開幕戦で清水が勝っていれば大宮もここまで酷いことにはならなかったかもしれないし、清水も首までどっぷり泥沼に漬かったような春を過さなくてもよかったかもしれないし、そして瀬沼のプレーヤー人生も変わっていたかもしれない。
だからこそホームの大宮戦は何が何でも現場で観たかったのだ。「現在地」を測る意味でも。
たとえ、それがいつもながらの渋いロースコアのゲームになろうとも(その通りになったが)。

清水のスタメンは元紀とトシを強行出場させつつ、CBに平岡と浩太、SBにキャラ、CMFにタクと大輔という、一見ディフェンシブも、かなりアフシンの意図が見える戦術的なフォーメーションで、現時点では個人的にほとんど理想のメンバーだった。開始早々キャラが来日初ゴールを決める展開もあって、前半はそれ以降ゴールは決まらなかったけれども、かなり楽しめる内容を見せた。大宮にミスが見られたとはいえ、とにかくアグレッシヴなボール奪取と流動的なフォーメーションはチームの成長を変化を感じさせる。
後半はさすがに大宮も戦い方を修正してきたこともあり、いつもながらの「前半のうちにもっとゴールを決めておけば」という内容になってしまったのだけれども、大宮の荒っぽさに辟易しつつウノゼロの緊張感をたっぷり味わった。
それにしても櫛引はぐんと安定していて安心した。
この内容ならば今週のアウエイ仙台戦、最終節のホーム柏戦も楽しみだ。つくづく天皇杯で敗退してしまったことが悔やまれる。

ということで、11月のうちに天皇杯を敗退してしまったチームにはもはや目標がない。
他力本願ながらまだ賞金圏内を目指すという目標はあるにはあるが、それが何だってんだという感じである。
中位というのは辛いもんじゃのう…今季のオフは久しぶりに目立った「話題」もなさそうだし(それは朗報か)。
ひとまず、30日はアウエイ仙台戦。ひとまず。