徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

普通じゃない/第19節 広島戦

2011-07-31 03:33:18 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
アレックス「今まではアウエーで凄く良い試合が出来ていたので、ここ最近の2試合に関しては、ちょっと自分達も普通じゃない出来事だった」(Sの極み 7月30日付

スカパーで広島戦

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    /:::::::::             .\   3:0と4:0は別に差ない...
   /:::::::::: ヽ-=・=-′ ヽ-=・=-′/   しかし5:0科は天地差である....夢のスコア5:0
   ヽ:::::::::::::::::   \___/    /
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夢のスコアにはならなかった。
が、なりかねない展開ではあった。
しかし改めて、夢のスコアにはならなかった。
差がないからとしか思えない。
リーグ戦2ゲーム連続で4失点とは言え、だ。

運動量豊富にアグレッシヴなディフェンスをしていたとは言え、キックオフ早々に得点したことで、やっぱり広島は全般的には引き気味にゲームコントロールした。こうなるとケアレスミスは命取りになる。広島の中盤の分厚い網の目に引っかかったボールはあっという間にゴール前に運ばれる。それを広島の完勝というのならば(言うのだが)前半4分からまったく完敗ペースだった。
ほぼガチンコのメンバーで臨んだナビスコカップ一回戦から中2日、広島と同じ条件とは言え、やはり前半の出来は疲労があったとしか思えない運動量で、絶望感が漂った。ハーフタイムにアフシンから「みんな、プロのプライドがあるだろう?諦めるんじゃない!」とはっぱをかけられれば、それはそれでケツに火がついたように運動量も上がってくるのだけれども、やはりボールを持たされている状態ではちょっと打開は望めなかった。
神戸戦、セレッソ戦、そして広島戦。大量失点するときには大体がカウンターで易々と失点してしまう。でも普通、サッカーのゲームではこんなに簡単に点は入らないんですよ、お婆ちゃん!

ディフェンスラインの不安定感の原因は岩下の不在だと思っている。しかしエディ、平岡のCBに岩下のアンカーという形はちょっと期待していたんだが…岩下がもう少しいろんな意味で成長してくれんと無理かなァ…。

次節新潟戦はアウエイながらようやく一週間間隔が空く。
決してアフシンの言うように「層が薄い」とは思わないけれども(確かに怪我等を考えれば選択肢の少ないディフェンスは想像以上に疲弊しているのだが)、この一週間でアフシンはどうチームを建て直してくるのか。
現場にいる場合は別として、このシーズンの位置付けを考えれば一喜一憂しても仕方がないのだからチームの変化を期待したいところではある。

もう一度貼る。

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別に差ないのだが、2ゲーム連続の場合はトータル的にはちょっと夢に近いかもしれない…。

フジのバカ/ナビスコカップ1回戦(第2戦)甲府戦

2011-07-28 00:33:21 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
アフシン「いえ、我々のプランは、前半に多くのゴールを決めるというものでした(笑)。重要だったことは、前半は3-4-3で6人の選手がボールの後ろに残っていたことです。それによってカウンターを食らってゴールを失わないようにできたことです。相手が下がってディフェンスして、そこからカウンターを仕掛けてくると予想していたので」(J'sGOAL 7月27日付

永井「相手センターバック2人にロングボールとかを出させないように、僕の仕事としては、あの2人をしっかり抑えるというのは言われていたので、まずはディフェンスからしっかり役割を果たそうと思ってやりました」(J'sGOAL 7月27日付

村松「監督から『そこで潰さないと意味がない』と言われたので、ガツガツいった。あそこで基点を作らせると前にはいいFWがいるので、そこで潰すことを意識した」(清水エスパルス公式 7月27日付

ナビスコカップ一回戦(第2戦)甲府戦
この日の前半の戦いがやはり先週土曜日のリーグ、セレッソ戦での大敗を受けたものであるのは当然なのだろう。わずか4日前の手痛いサンドバッグ状態は何が何でも払拭しておきたい。さらに勝ち上がりには2点差以上の勝利が必要だとはいえ、前掛かりになって仮に早い時間に失点してしまうようなリスクを冒すよりも慎重に前半45分を戦うことを選択したのも、「面白くない」と言われたって、それは妥当ではないか。第1戦を勝利しアバドンテージのある甲府が「フレッシュなメンバー」を選択してカウンター狙いで戦うことは明らかなのだから。
後半すぐのPKはラッキー以外の何物でもないのだけれども、前半3バックでゲームを落ち着かせたアフシンが後半に入って元々の4バックに戻しつつ、アレックスを左SBで起用するという揺さぶりをかけながら、徐々にギアを上げていく様子はフォーメーションからも伺える。その意味でSの極みの試合レポートに掲載されているフォーメーションの変遷はかなり興味深い。
やはり<失敗(大敗)の克服>はアフシンの構想の中にあったのではないか。それはナギーが忠実にチームプレーに貢献し、トシが清水での初ゴールを決めるという最高の形でミッションは成功した。

ただ、フォーメーションからも伺えるって書いたのも、実は文字情報でしかゲームは「見て」ないからなんですけど。
だから、もう一度書いておく。

フジのバカ。

フジのバカ/第6節 C大阪戦

2011-07-26 19:18:22 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
寝落ちしてしまった土曜日のセレッソ戦を改めて観る。
絶望的なスコアではあるのだけれども、近年最悪の惨敗だった浩太のいたレイソルにボロ負けしたときほどの絶望感もなく、開幕戦ほどの呆気なさもなく(両方ともレイソルか…)、内容と展開の意味不明さにおいて、やはり印象としてはゲームをコントロールできないままに前掛りになり、カウンターで失点を重ねた神戸戦に近い。
スカパーの解説で慈夢さんも言うとおり、最初の大悟のシュートが決まっていれば(そしてアフシンの言うとおり、「最初の10分間」に決めていれば)その後の展開はまるで違っていた可能性はあるのだろうけれども、それ以前にあまりにもシュートまでのアクティブさに欠けていたし、逆にセレッソには簡単に打たせすぎていた。
大勝した大宮戦や快勝した浦和戦を除けば(両方とも埼玉か…)、薄氷を踏むように一点差で勝って来た、そして引き分けて来たまだ安定感に欠けるチームにとって<無敗>などという見出しは本当に意味がない。直前の2戦でもディフェンスの不安定さは指摘され続けてきたし、さらに遡れば健平で勝ったゲームが続いていた。セレッソ相手だからということではなく、結局こういう形での大差負けの危険性をチームはずっと孕んでいたのではないか。
健太が1年以上の時間をかけてディフェンスを構築したように、ディフェンスにこそチームの思想が現れる(ガンバが頑なにディフェンスを「あの形」にしているのは朗の強固な思想に他ならない)。オレはリーグ戦を考える上ではやはり最終ラインにしてもアンカーにしても、まずは敬輔が復帰しないと話にならんと思うんだがね。

しかし目先のゲームに関しては、神戸戦同様の大敗とは言えかなりわかりやすい形での失点はチームの課題を浮き彫りにしてくれているだけに、後に残るというよりも良い意味で影響する可能性はある。もちろん結果が出てくれることに越したことはないのだけれども、結局チームは(特にディフェンスは)段々にしか成長できないのだから、この大敗も神戸戦のように意味のある大敗になるのではないか。少なくとも報道で「無敗=好調」というような、あまり根拠のない伝えられ方をするよりは余程いい。

明日は甲府とのナビスコカップ1回戦(第2戦)。
トーナメントを勝ち上がるためには勝利が必要なのはもちろん、二点差以上の勝利が必要というのは今のこのチームの突き付けられている課題をクリアするためには絶好の条件ではないか。リーグ戦とはいえ直前のゲームで4失点の大敗を喰らった清水と、そのチームにわずか三週間前にリーグ戦で惜敗した甲府。実に興味深い対戦である。

しかしCSフジはまたもや放映権を無駄遣いするだけで録画中継すらしない。
今回も書いておく。

フジのバカ。

コール&レスポンス/TwitNoNukes#3(7.23)

2011-07-24 16:46:54 | News


3回目のTwitterデモ。ここ数日は涼しくて…といってもさすが歩くと蒸し暑くはなってくるのだけれども夏にしては理想のデモ日和になった。13時30分過ぎに宮下公園の集合場所に到着するとした時点では2、300人程度。
出発時に2つの隊列を作ってデモスタート。

第2隊列前方のオレのいた位置では渋谷駅を過ぎようとするあたりからゴール地点まではひたすら「原発いらない」のみをほぼコールし続けた。これはシュプレヒコールというよりも、最高のコール&レスポンスになっていたと思う。
例えばトラメガの「子供を守れ」のコールに対して「原発いらない」のレスポンス。「原発反対」のコールに対して「原発いらない」。つーか、もう、ひたすら「原発いらない」。いろいろと言いたいことはあるだろうし、想いはあるのだろうけれども、コールは「原発いらない」。しまいにはトラメガの人もリードするというよりも自然発生的な「原発いらない」コールに併せるような形になっていた。だって、最終的に何を言いたいかっていったらそれしかないんだもの。ディテールはプラカードが表現してくれているんだもの。コールは極端にシンプルな方が叫びやすいし、伝わりやすい(と思う)。
オレを含めて常時5、6人は積極的に声を出していた人がいたと思うのだけれども、トラメガがなくても何人か率先する人がいると周囲も声を出しやすい。まさに「何度もリフレインすると、自分でもテンパってくるんだよな」というアケミの言葉そのままの状況になっていた。

ツイートを追ってみると第2隊列はパレード中にどんどん膨らんでいったという。オレの目の前でも歩道から隊列に飛び入りで参加してくる人たちが何組もいた。団体や所属はもちろん、主催者さえ存在を過剰にアピールする雰囲気がないところがTwitterデモの素晴らしいところで、これが他のデモにはなかなか実現できない敷居の低さを生んでいる。
今回のデモは純度が増したという言い方もあるけれども、透明度が高まっているんだと思う。透明度が高まるということは個人が何かを代表するものではなく、言葉も研ぎ澄まされてシンプルになっていくということでもある。これは言うまでもなくシングルイシューの表現だ。
もう渋谷には4月のときのような、または銀座のような視線はない。
この後、どんな結論が突き付けられようとも、ゆっくりと、意味のある一歩を踏み出しているんだと思うよ、たぶん。

地元に戻って酒。前日はあまり寝ていなかったのですぐに酔ってしまったが、清水のゲームまでに家へ戻ってテレビ観戦。
2失点目で寝落ちした。
ゲームの内容はほとんど記憶にない。

現場の人

2011-07-23 09:34:02 | Sports/Football
時代の替わり目だった1989年にも時代を象徴する多くの方が亡くなられたものなのだけれども、今年もわずか数日の間にもちょっと驚くような方々が亡くなられてしまった。今年が、ということはないのだけれども…それを言い始めたらここ数年は毎年“そんな年”だったような気がする。そこに象徴的なものの終わりが重なると、それはもうただの偶然とは思えないように感じる。正直、すでにその役割は終えていたという評価もあることはあるのだが、本当に終わっているのに終わってないものと、それが、本当に終わってしまうのとは別だ。
しかし人間はある日、突然幕を降ろしてしまう。
原田芳雄さんの死去や中村とうようさんの自殺はショックだったし、サッカーピープルとしては森孝慈さんの死去もあまりにも急に、そして早く感じた。オレの年代では往年の東京・メキシコ五輪の代表選手というよりも85年のメキシコW杯予選に日本代表監督として闘っていた姿のほうが記憶に残っているかと思うけれども、Jリーグ時代に入ってからはやっぱりレッズの人だったなあ。クラブの創設に尽力した人物だし、初代監督でGMでもあった人なので、サポーターにとっても悲しみは深いことだろうと思う。

しかし森さんの死は悲しいことだけれども、問答無用のレジェンドがいるクラブってのは幸せだと思う。そして森さん自身もレッズというクラブに関わることで(もちろんマリノス、アビスパ時代を通じてだけれども)、60年代から00年代まで「現場」の人であり続けられたことは幸福なことだったんじゃないか。プレーヤーとしても代表監督としても(ワールドカップには出られなかったけれども、あれはあれで80年代の日本サッカーのクライマックスだ)、そして2002年からは創設に関わった(そして残念ながら監督時代は報われなかった)レッズのGMとして一時代を築いた。もちろん70年代の不遇の時代、プロ設立前夜である80年代の雌伏の時代があるとはいえ、文字通り、日本サッカーの黄金時代を生きてきた人物だ。メキシコ五輪世代にとってはJリーグ創設から98年のフランスワールドカップ出場までが世代の役目としてはピークだっただろうけれども、この人にはまだ先があった。それは「現場の人」として求められ、ご本人もあり続けたということに他ならないのだろう。

森孝慈さんのご冥福をお祈りします。

<17日に67歳で死去した68年メキシコ五輪銅メダリストで元日本代表監督の森孝慈氏の葬儀・告別式が22日、東京都世田谷区の公益社用賀会館でしめやかに営まれた。(中略)出棺の際には参列した浦和サポーターから“森コール”が湧き起こり、前日本代表監督の岡田武史氏は涙を見せていた。(スポニチ 7月23日付

<原技術委員長は「『森ファミリー』の代表としてあいさつさせていただく」と述べた上で、「大学、三菱、レッズと、ずっと森さんの背中を見て育ってきた。ダンディで格好よかった。森さんに話を聞いてもらうだけで元気になった。だから、森さんの周りにはいつも人がいっぱいいた」と人柄をしのんだ。>(埼玉新聞 7月23日付

ところで、エスパルスのレジェンドは…書くのはやめておく。

共犯者、総懺悔、ナイトパック

2011-07-19 13:46:48 | 素日記
日曜日、夕方から出田さんと駅南で呑む。切羽詰まりながらも前向きな話ができた。まあ、初耳だったけれども、3.11の影響は人それぞれ、いろいろとあったんだなとか。

問題はその後起こった。
別れたのが21時頃だったので、もう少し呑んでいくかと入った酒場で原発絡みの話題で爺さんに絡まれたのだった。
それまで、これからフクシマへ作業に行くという青年たちと気持ちよく呑んでいたのだけれども、彼らを含めた数グループが去った後に店へ入ってきたこの爺さんはオレを若造と見定めて(いくつに見えたのかわからん…)、若造の語るデモが気に食わなくて、要するに「おまえも共犯者じゃないか」みたいなことを言い始めた。さらには逮捕者が出ないようなデモは駄目だとか、わけのわからないことを言う。しかし、デモが嫌いなわけではないらしい。
今、冷静になって考えてみれば、自分が「加担」してきたことを物凄く自覚しているこの爺さんは(細かいことは書けないが状況として、実際に「加担していた」とも言えるんだが)、今の若造のデモが「軽く」感じられて、「自分の後ろめたさ」をオレにも背負えと言っているように感じた。
後ろめたさなんて感じる必要ないのに、だ。
周辺で「食っていた」高齢者にはこういうタイプは少なくないのだと思う。
しかし、後ろめたさなんか感じる必要はない。
それは、要するに無批判の、そして無責任な総懺悔でしかないのだから。

ああ、この人には「自分」はあっても「個人」はないんだと思った。
勝手に自分だけが思い込んでる「失敗」をオレたちに押し付けんな、とは思ったが、別れ際に嫌がる爺さんの手を取って強引に握手してやった。

ということで全然「もう少し呑む」どころではなかったので、仕方なくネトカフェで女子ワールドカップ決勝の偉業をヲチ。
優勝決定の瞬間がちょうどナイトパックが終了する時間でラッキーだったな…。

運命と宿命/第5節 新潟戦

2011-07-19 12:58:55 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


ゴトビ「われわれの目的は、リーグのトップで終わることです。私はあえて夢を見るという環境で育ってきましたし、つねに自分の運命に挑戦しています。このチームに就任したとき、周囲からJ2に落ちると、戦力が十分ではないと言われているという話を聞きました。しかし、チームとしてわれわれは運命と戦っています。(中略)もしかしたら、その目標というのは、われわれのポテンシャルより高いものかもしれません。ただ、私はファンと選手たちと夢を見ていきたいです。そして、共にそれを達成していきたいと思います」(J'sGOALニュース 7月16日付

土曜日はアウスタで新潟戦
予想通り、というか予想以上に日程の影響が大きかったのか、前半は実に酷い内容であった。前節の仙台戦でもそれほど成功したとは言えないボランチと最終ラインをそのままに戦ったのにはどういう意図があったのだろう。バランスを取るのに汲々とする真希あたりにはスタンドからもかなり野次が飛んだ。「豊富な運動量」が売りであるはずの真希は、本来便宜的な受け持ちというだけであるはずのポジションに縛り付けられながら汗をかいていた。あれは冷や汗だったと思う。
後半、ゴトビは真希と右SBの大輔の位置を交代させる。不完全燃焼だった「豊富な運動量」はこれでかなり活かされることになった。最後の15分あたりになると目に見えてヘロヘロの状態になってしまったが、前半の野次とは打って変わり「頑張れ」としか言い様のない、声援が真希に飛んだ(って、それはオレも叫んでたんですがね)。

前半終了後、ピッチを出ようとする伸二とウォーミングアップに出てきたナギーが身振り手振りを加えながら長く立ち話をしていた。その姿はチーム全体で闘っている姿が垣間見えるような光景だったな。伸二は後半5分、左サイドで2人、3人と抜き去っていくドリブルを見せた。そのプレーに、真希と大輔のポジションチェンジと共に「これは、前半とは変わったな」と感じられた。
57分にはタカがファウル(一発レッド)を誘うプレーでPK獲得。伸二が同点ゴールを決める。
ここから30分以上、10人の新潟を相手に萎えることなく攻め切ったことは成長と言えるのではないか。もちろん新潟が川崎や甲府のようにきっちり自陣をセットした上でプレーするのではなく、交代を含めて攻めの姿勢をあくまでも貫いたことも清水が終始攻め切れた要因ではあるのだけれども、それでもアディショナルタイム突入の直前、90分にタカが逆転ゴールを決めた。
この日、ゲーム前のウォーミングアップからキックオフ直前まであえて応援を「拒否」し、プレーヤーにメッセージを送ったゴール裏だったが、その意志は伝わったのではないか。
負けはもちろんドローであっても、この日ばかりはチーム始動以来、本気のブーイングがスタンドから飛んだだろう。
その燻った感情が終了直前のゴールで一気に完全燃焼してしまうのだからサッカーというのは不思議なものである。ゲーム終了後、タカはスタジアムでのインタビューで物凄い顔をしながら「最高ォーッ!!!!」と叫んだのだが、負けてはないとはいえ過密日程の中で(特にホーム戦では)不完全燃焼を続けてきたチームならではの高揚感だったのだと思う。

結果こそすべてとはいえ、もちろんそれは「終わりよければすべてよし」というわけではない。それでは、
             /)
           ///)
          /,.=゛''"/   
   /     i f ,.r='"-‐'つ____こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゛フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /

と同じである。いや、こまけぇこたぁいいのは、いくないのである。「こまけぇこたぁいい」のは、まあ、所詮その程度の人間である。ピッチ外では実に下らない「こまけぇこと」もありますがね。
運命と闘ってきたオレたちのリーダーはそんなに底の浅い人物ではないよ。この日J1通算500ゲーム出場を達成したテルの背番号7を自ら望むという宿命を背負った真希は、「豊富な運動量」でその宿命と闘わなければならないし、伸二やタカのようなベテランは時間という運命と闘わなければならない。リーダーの掲げるひとつの目標に向かって。
健太エスパルスは時間をかけて素晴らしいまとまりをみせたチームだったが、アフシンのチームも素晴らしく「チーム」になってきたと思う。

(追記)
アフシンは「このチームに就任したとき、周囲からJ2に落ちると、戦力が十分ではないと言われているという話を聞きました」と言うが、贔屓目抜きにしてもオレは髪の毛の先ほどもそんなことは思ったことがない。激動のオフは失望感満載だったけど、ゼムノビッチ後1、2年ほどの絶望感とやけっぱちの開き直りはなかったなァ…。

植物人間型の増大(再掲)/「'89」

2011-07-14 01:54:37 | Osamu Hashimoto
<原発の代替になる「安全でクリーンなエネルギー」なんて、決まってるじゃない。「人力」だよ。そうでしょ? 早くそっちの方へ持っていかないとヤバイよ。(中略)今の若いやつは、「働く」ってことを知らないんだから。その意味を知らないでいやいややってたら、日本の産業が没落するのなんて、当然でしょ。原発作って「エネルギーだけはある」という状況を作り出してしまうってことは、実はそっちの方に日本を持っていってしまうということでもあるんだから。(中略)
「原発がなくなったらだれが一番困るのか?」の答は、病院の植物人間とか、足腰が弱った都市の老人だよね。自分からはなんにもしないで、全部を周りのエネルギーに頼っているんだから。膨大なエネルギーを必要とする人為的な「環境整備」を本当に必要としている人間がどれだけいるのかっていうの。今のエネルギーの「需要予測」っていうのはさ、そういう植物人間型の増大を前提に算出されてるんだよ。「便利」とか「快適」という名のもとにさ、ホントにみんな、植物人間になろうとしてるじゃない。「なるべく働きたくない……」という怠惰を前提にして、「快適」を作ろうとしてるじゃない。エネルギーを持って働いてる人を「キタナイ」「貧しい」「下層」ってことにして切り捨てて、「人間がもっと自力で動いたら、原発がなくてもやっていけるかもしれない」っていう試算は、誰もしようとはしない。人間関係が怖いから、人間に触れないようにして、とんでもなく無駄なエネルギーの使用を平然と「前提」に置いてるね。(中略)
 要するに今みんなが求めているものは「何もしなくてもすむ老人のための快適生活」なんだよ。もっとも、その快適生活を享受しようとしてるのは、引退した老人じゃなくて、働き盛りのサラリーマンだったりはするけどね。なんというメンドクサガリ屋なんだろう。「無能」と「メンドクサイ」が「科学技術」と称するものの上に乗っかって近親相姦やってるだけだぞ。>
(橋本治『89』マドラ出版1990/「人工エネルギーで“快適”生活を」より)

'89〈上〉(河出文庫―橋本治コレクション)
<昭和が終わり、天安門事件が起こり、リクルート事件がピークを迎え、美空ひばりが死亡し、東西の壁が崩壊し、宮崎勤事件が発覚した一九八九年。さまざまな時代の亀裂を見せたこのとんでもない一年に真向からぶつかり、体を張ってラジカルに問いかけ、問題の中心をひっぱり出す。“いま”という歴史をどう読み解くかをすべての人に示してくれる恐るべき89年の総括。>
登録情報
文庫:323ページ
出版社:河出書房新社 (1994/01)
ISBN-10:4309404014
ISBN-13:978-4309404011
発売日:1994/01
商品の寸法:14.7x11.2x1.5cm

'89〈下〉(河出文庫―橋本治コレクション)
<男の子にも女の子にも、僕にも君にもあった1989年を総括し、“今”の生き方を問う。>
登録情報
文庫:391ページ
出版社:河出書房新社 (1994/01)
ISBN-10:4309404022
ISBN-13:978-4309404028
発売日:1994/01
商品の寸法:15.6x11.2x1.8cm

お家へかえろう

2011-07-13 00:21:43 | News
ところで東京永田町はいつもの顔ぶれで
まとまりのねえけじめのねえ風が吹いている
ぶれまくる日の丸と星条旗が仲良く揺れている
俺は憂鬱なまんま黒い雨に晒されている

明日の朝、国会議事堂へ行こう
しょんべんひっかけて
口笛吹いてお家へ帰ろう
(東日本大震災復興支援番組~長渕剛 RUN FOR TOMORROW~明日へ向かって 2011年06月30日放送)

って被災者に合唱させる長渕剛の力技ってのはやっぱし凄えなあ。
好き嫌いは別として。

燃焼せず/第3節 甲府戦

2011-07-11 04:24:46 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
土曜日。スカパーで甲府戦

嫌な予感はしていたのだけれども後半40分に放ったタカのボレーシュートが後半の初シュートだった。

一進一退だった前半に伸二のビューティフルゴールと、ミス絡みの失点直後の前半終了間際に元紀の冷静なシュートが決まり勝ち越しを決めた。その後、後半にかけては相手が中2日の甲府だったのが信じられないような、一方的に圧倒される展開が続く。シーズン全体を考えれば、まだ決して順位表を気にする時期ではないとは思うけれども、すでに甲府の置かれているポジションはかなり危険な位置にある。前節アウエイで新潟に競り勝ち、中2日であってもその勢いでホームで清水を迎え撃つという、かなり高揚した状態だったのはよくわかる。テンションが上がった状態ならばむしろ短いスパンでの連戦の方が有利に働く場合もある。10人になった川崎のようなものである。
と言っても、概ね引き気味に体勢を整えながら相手の(ケアレス)ミスからサイドの裏を突いていくという甲府の攻めの形に苦しむ清水の姿は、川崎戦の後半以来何度も見た形ではある。さらに敬輔と辻尾の負傷交代がアフシンのプランにも影響を与えてしまった。まあ現状であの形で構えられてしまうと、相手が甲府であろうが、鹿島であろうが、川崎であろうが、苦しむ状況ではあるのだ。
そんな中でも何とか勝ち切って(逃げ切って)勝ち点を積み上げていくことがまず大事なのであって、内容は連戦の中で整えていくしかない。何てったって6月に続いて7月も地獄の連戦が続くのだ。連敗地獄や未勝利地獄が続いているのならともかく、結果以上に四の五の言う時間はない。こんなスケジューリングでは、どんな内容であろうとも、まず勝ち点3を積み上げることができたことをまず評価しなければならないと思う。
スタメン出場した大悟や途中交代で出場した浩太が復帰したのは勿論いいニュースだけれども、負傷者も出た中で、伸二やタカが7月、8月のハードな状況でどの程度使い続けることができるのか、清水というチームが上位に喰らいついていくことができるのかは、この消耗戦の季節に問われる。
勿論甲府をナメているわけではないが、また半年近く戦いは続くのだから甲府戦で燃焼しちゃったら困るのである。

今朝、なでしこの快挙を観たから言うわけではないが、あれはチームとしての完成度もあるけれども、トーナメントだからできる完全燃焼であって、リーグ戦で同じように常に全身全霊、完全燃焼、ハイレベルな内容で勝てというのは、ヤジに常に全力疾走しろ、兵働にもっと早く走れというようなものである。
まあ、何度も書いているけれども、こういう焦れるようなゲームもアフシンの言うとおり「エキサイティングなゲーム」なんだ。ゲームは自分から楽しんで観なきゃいけない。

J'sGOALの甲府番ライターもすっかりテンションの上がりまくったレポートを書いているが、まあ、その気持ちはわからなくもない。敗戦という事実を前にしながらも、彼らが追い込まれている状況を考えれば、結果も欲しかっただろうが、まず希望を読み取ることができる内容だったのだから(でも、このスケジュールで完全燃焼しちゃったらマズいと思うが…甲府こそ、何よりもまず結果だろうな)。
しかし彼のために改めて書いておくが、清水のシュート数の倍打とうが、何十本打とうが決まらなかったシュートはノーゴールである。そして運が良かった悪かったに関わらず健平は実力でビッグセーブを連発した。
決着は今月末のナビスコカップ予選第二戦で着ければいいのだ。

次節は中3日、13日にアウエイ仙台戦。

大移動

2011-07-10 07:12:22 | News


<総務省が八日公表した今年三~五月期の住民基本台帳に基づく人口移動報告によると、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島三県で、転出者から転入者を差し引いた転出超過は前年同期比で3・4倍の計3万1752人となった。
 東京圏(一都三県)は西日本への転出が増え、転入超過数が前年同期より16・8%減少。名古屋、大阪圏は転出超過から転入超過に転じるなど、震災や原発事故の影響が全国に及んでいるとみられる。
 同報告は自治体間で住民票を移した人が対象。このほか転出手続きをしていない人も多く、人口流出の実態はさらに深刻とみられる。(中略)三大都市圏間では東京圏から大阪圏への転出が前年同期比14・5%増、名古屋圏へも5・9%増えた。また福岡県へも25・4%増となるなど西日本への転出が目立った。一方、大阪圏、名古屋圏から東京圏への転出はそれぞれ6・9%、9・5%減だった。(中略)災害後の人口移動では阪神大震災で95年1~3月期は兵庫県で約3万7000人、神戸市で約2万3000人と大幅な転出超過となった例がある。>(東京新聞 7月9日付

昨日のニュースではあるのだが、<大移動>は今後の大きなテーマになって行くと思う。震災直後の長友啓典さんの取材でもこの<東京解体>は当然話題にもなったのだけれども…3.11以来、そんな予感がしている。
阪神大震災での<移動>とはまったく意味が違う。また福島を除く東北の被災地とも違う<大移動>が起こっている。ゆっくりと時間をかけて<東京解体>が起こる。それをソフト・ランディングと呼ぶのならば、避けて通ることはできないんじゃないか。
つまり、これまでのような所謂「震災」による<移動>ではない、これは<地殻変動>だと思えるんだけどね。

関係ないもの・こわいもの/「秋夜―小論集」「天使のウインク」

2011-07-10 04:26:28 | Osamu Hashimoto
<それでは、どうして私は、そんな「関係ないもの」を、「こわい」と思っていたのでしょうか? それは、その「へんなもの」が崩壊しつつある既成の枠組の中から生まれて来るからです。彼等を支えているものは、もはや正常に機能していない--であるにもかかわらず、愚かな彼等は、そのことを自覚しない。
 世界は崩壊しつつあって、私もその世界の片隅に“一員”として存在していて、そしてその崩壊しつつある世界は、醜悪な狂気のようなものをますます私の周りに生み出して行くだろう--そう思うことが、私の「こわい」の正体でした。それは、「これから自分の周囲には不愉快なこといがますます多く起こって、自分はますます生きにくくなって行くだろうな」と思うことと同じことです。(中略)
「代案のなさが世界を行き詰らせている」と私は思います。「代案がないままに、定員過剰の世界は発狂寸前になっているのかもしれないが、しかしそんなことと、自分の作り出そうとしているものとは、関係がない」と思います。関係がないからこそ、自分はその関係を作り出そうとして“創作”を繰り返して来たのだと思います。そして、その一事を踏まえて、私は、はっきりと、「あんな世界と自分は関係がない!」と思います。>
(橋本治『秋夜―小論集』中央公論社1994/「ある問いに対する答」より)


秋夜―小論集
<琵琶の音はいかが。完璧な歌舞伎役者・六世歌右衛門の絢爛、芥川や三島の作品に漂う大理石の色香を「不思議な作家」が自在に描く。><琵琶の音はいかが。完璧な歌舞伎役者・六世歌右衛門の絢爛、芥川や三島の作品に漂う大理石の色香を「不思議な作家」が自在に描く。秋の夜には古典がにあう。日本の伝統や文化、文学についての小論集。>

登録情報
単行本:285ページ
出版社:中央公論社 (1994/12)
ISBN-10:4120023915
ISBN-13:978-4120023910
発売日:1994/12
商品の寸法:19.8x13.2x2.4cm

<「こわいもの」というのは、まだあるのだろうか? 「幽霊の正体見たり枯尾花」という言葉があって、その事実がはっきりしていたにしても、暗い中で風に揺れるススキの穂を見定める勇気がなければ、まだ“幽霊”は存在する。「注意! 本当に怖い」というコピーのあった『セブン』という映画は、果たして“なに”によってこわくなりうるのか? 既に連続殺人事件というものがどういうものなのかは、『羊たちの沈黙』によって明らかになっている。それを踏まえた『セブン』が二番煎じの駄作にならないのだとしたら、その方向性は一つしかない。「自分達とは関係がない」と思って捜査に当たっていたブラッド・ピットとモーガン・フリーマンの刑事二人が、なんらかの形で“当事者”にさせられてしまうということである。
 それは、安全な境界に立って“恐怖”という刺激を求めるだけの傍観者=観客に対して、「あんただって安全ではいられない、あんただって共犯になりうる」という爆弾を投げることでしかない--「それ以外にはない」と、私は勝手に判断していたのだが、そしたらやっぱりそうだった。(中略)
『セブン』は、「これを“こわい”と言う人間は愚かだ」ということを告げる映画である。既にその輪郭が明らかにされている“恐怖”というものに対して、見世物的な興味で向かうのか。「それをなくしたい」という冷静さで立ち向かうのか、態度はもうはっきりしている。だから私は、「もうこわいものなんてないのに」と思う。>
(橋本治『天使のウインク』中央公論新社2000「まだ『こわいもの』はあるのだろうか」より)


天使のウインク
<恐怖を克服しなくてなんの人間か。酒鬼薔薇聖斗から新潟監禁事件まで。世紀末の闇を超ド級のポップセンスで解読し、“天使が目くばせするような”方向へ私たちを導くハシモトの問題作。><恐怖を克服しなくて、なんの人間か。酒鬼薔薇聖斗から新潟監禁事件まで、世紀末の闇を超ド級のポップセンスで解読する。『中央公論』連載エッセイの単行本化。>

登録情報
単行本:302ページ
出版社:中央公論新社 (2000/04)
ISBN-10:4120030008
ISBN-13:978-4120030000
発売日:2000/04
商品の寸法:19.4x13.4x2.4 cm

躍動美学/「秋夜―小論集」

2011-07-10 04:13:25 | Osamu Hashimoto
<「重要なのはテーマではない。テーマの中から突出して来る、役者というものの見せる肉体的感動だ」と。
 テーマを突き付けられたら、頭で考えなきゃならない。あんまり重いテーマを突き付けられたら、体が動かなくなって、明日の生活に差し支える。だからこそ必要なのは、躍動する肉体だ、という訳。
 こういうことが起こり得るのは、だから、「現実とは常に厄介なテーマを孕んでいるようなもんである。そのことを前提として我々の人生はある」ということ。だから肉体は重要だ--なにしろ、現実は“厄介なテーマ”を孕んでいる。そうであるのなら、その現実に生きる人間は、その厄介なテーマに立ち向かって行かなければならない。それであれば、それが出来るだけの“肉体”というものを持って行かなければならない。
 それであればこそ、生きる=動く=有意味ということが成り立つ。だからこそ、歌舞伎には、“悪の感動”というものが、ちゃんとある。
 善人はおとなしくしていて、おとなしくしている善人だけで出来上がった体制の中から排除されてしまった者は、“悪人”になる。排除された悪人は、日常という“おとなしくしていなければならない世界”の外にいるから、その彼にはもう“おとなしくしていなければならない理由”などというものはない。つまり、悪人になってしまった彼は、いくらでも自由に動ける。「日常は動けない。しかし日常は動きによって成り立っている」という、矛盾を孕んだ現実の中にいて、その為に必要な動きのヒントを得るんだとしたら、それは、躍動する悪人達によってからしか望めない。だから“殺し場”という躍動美学も、歌舞伎にはちゃんと登場する。>
(橋本治『秋夜―小論集』中央公論社1994/「即ち、俳優の肉体は画布である」より)


秋夜―小論集
<琵琶の音はいかが。完璧な歌舞伎役者・六世歌右衛門の絢爛、芥川や三島の作品に漂う大理石の色香を「不思議な作家」が自在に描く。><琵琶の音はいかが。完璧な歌舞伎役者・六世歌右衛門の絢爛、芥川や三島の作品に漂う大理石の色香を「不思議な作家」が自在に描く。秋の夜には古典がにあう。日本の伝統や文化、文学についての小論集。>

登録情報
単行本:285ページ
出版社:中央公論社 (1994/12)
ISBN-10:4120023915
ISBN-13:978-4120023910
発売日:1994/12
商品の寸法:19.8x13.2x2.4cm