徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

パーソナルとパブリック/血塗られたアフリカのバラ

2010-01-17 13:46:09 | Documentary
<動物ドキュメンタリーの制作者ジョアン・ルート。アフリカの大自然を愛し、ケニアで環境保護活動にも取り組んでいた。2006年、ジョアンは突然何者かによって殺害される。事件の黒幕は、ジョアンの活動に反発していたバラの生産・輸出業者か、それともバラ産業で働く地元の人たちか…?>(NHKネットクラブ

15年前に自分のもとを去っていった旦那とアフリカの土地(自然)に固執するジョアン・ルート。旦那との別れが決定的なものとなり、バランスを喪った彼女はさらに美しい記憶と風景を残すアフリカの大地に固執していく。極めてパーソナルな問題とパブリックな問題が複雑怪奇に絡み合う、このドキュメンタリーがアフリカの開発と環境破壊の問題だけを突いているわけではないのは明らかだろう。
白人と黒人の社会の二重構造、白人の美しい記憶と明日なき現実を生きる黒人の衝突、白人に雇われた黒人と密漁者との攻防、そして土地に固執する白人同士の諍い。結局問題は100%人間、の世界。

だからこそ、最後のアラン・ルートの言葉はあまりにも空虚だ。
無秩序なままで放置され、密漁することで一線を踏み越えていくしかない住民たちは、“泥棒国家”の末裔たちのロマンチシズムに振り回されるのか。

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