徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

夜明ケと完全自殺マニュアル

2011-03-29 15:39:43 | Books
<ボクはいつだって「デカイ一発」を待っていた。20年前学生が暴れてた時「お、デカイやつがくるぞ!」と思った。アポロが月に行ったり、石油がなくなりそーだったり、ソ連がどっかに侵攻したり、昭和が終わりそーだったり、そのたびに「今度のはデカいぞ」と思った、だけどどれも震度3、ブロック塀が倒れるテード。顔を見あわせ、「すごかったね」で笑って終わりだ。>(しりあがり寿「夜明ケ」1990より)

<80年代が終わりそーなころ、“世界の終わりブーム”っていうのがあった。「危険な話」が広まって、いちばん人気のあったバンドがチェルノブイリの歌を歌って、子どものウワサはどれも死の匂いがして、前世少女たちがハルマゲドンにそなえて仲間を探しはじめた。僕たちは「デカイのがくるぞ!」「明日世界が終わるかもしれない!」ってワクワクした。
 だけど世界は終わらなかった。原発はいつまでたっても爆発しないし、全面核戦争の夢もどこかへ行ってしまった。アンポトウソウで学生が味わったみたいに、傍観してるだけの80年代の革命家は勝手に挫折感を味わった。
 これでやっとわかった。もう“デカイ一発”はこない。>(鶴見済「完全自殺マニュアル」1993より)

やらぬ善よりやる偽善、ならぬマジ偽善

2011-03-23 06:50:57 | Sports/Football
野球は門外漢である。いや勿論同世代の男と同じように小さい頃から接してはいたが、門外漢ということにしておく。
しかしプロ野球の選手会というのは一体何を考えているのかさっぱりわからない。彼らは自粛して一体何をしようというのか。パリーグと開催を併せることに何の意味があるのか。そもそも彼らはそれまでの間、何をしようというのか、さっぱり伝わってこない。これでは自粛のための自粛に見える。
そんな中、ヤクルトの宮本慎也は「野球で勇気づけられるというのは思い上がりだと思う」と言ったという。
「やらない善よりやる偽善」という言葉が震災後のネット上で行き交っているが、これは正真正銘、文字通りの偽善ではないか。勇気を与えられるか、与えられないかを決めるのは本人ではない。宮本は一体何を言っているのか。
日本のトップアスリートである彼らに野球以上の何ができるというのか。プレイすること以外の何を求められているというのだろう。プレイすることこそ価値のある自己表現であり、それが観る者の心を揺さぶるエンタテイメントになる。勇気というのは、そこで表現されるものだ。しかし、これでは被災者に対して何もできない自分を肯定するためのエクスキューズでしかない。
誰もが、まず、被災地と原発事故の行方と余震に思いを馳せながら、今自分たちができることをやっているんだ。
ほとんどの日本人はキミらのように自粛して何もしないで当面生活できるほどゼニは貰ってないぜ。

もちろんナイトゲームへの懸念というのは理解できないこともない。しかしナイトゲームを不謹慎と見る国民もいるだろうが、計画停電そのものに疑問を抱いている、もう一方の国民もいるのも事実だろう。

それでも今日センバツが開幕する。素晴らしいことである。

しかし余震が止まらない。地震が怖いから延期しろ、と選手会がいうのならば、少しはわからないでもない。

(ちと修整)

走れ、熱いなら/「デビッド100コラム」

2011-03-21 12:58:14 | Osamu Hashimoto
<時は、『おしん』が流行していた頃である。私は、あれが当たるのは当たり前だと思っていた。昔の日本人は貧乏だったし辛かったし、そのことをくぐり抜けて来た大多数の日本人は、そのことを今現在役に立たせることが出来にくくなっている。だから、それを公然と表明してくれる人間がいたら、熱烈なる親近感を抱くこと当たり前なのである。「何故今『おしん』が?」などという発想は、カマトトのジャーナリストしかしないのである。日本人はみんな、圧倒的に“原日本人”なのである。
 というようなことを、私は当時コメントしたのである。
 と同時に、次のようなことも言ったのである――。
 どうして『おしん』の男版て、誰もやらないんだろう? 絶対受けるに決まってるのに。絶対、そっちのが面白いのに決まってるのに、と。
 それは、こんな物語である――。
 時は昭和二十年。戦争が終わり、焼け野原と化した東京には、実に多くの浮浪児がいた。(中略)だからしてヒーローは子供である、大人にこの時代を演じさせると、妙にイデオロギッシュになって、話が暗くなる。七歳になる、目許だけは妙に澄んだ意志的な男の子がダブダブのチェックの吊りズボンとハンチングをかぶって、咥え煙草で焼け跡を跳びはねるのである。最も健康的なアナーキズムは、こんなにもショッキングな形で飛び出して来るのである。
 勿論“子供の咥え煙草”は大論争をまきおこすであろう。が、しかし、そんなものは、「あの当時、そういう子は一杯いた」という別の“国民”が肩代わりしてくれる。新聞のテレビ欄の片隅で、国民同士がそういう論争をしている暇に、主人公は既にもう煙草を吸わなくなっているという、よくあるドラマの進展を見ればよいのである。即ち仲間と焼け跡をほっつき歩いていたケン太は、ある晩、ギャング団同士の抗争に巻き込まれて負傷した“特攻くずれ”の成年・木島とめぐり合ってしまえばよいのである。
 二十歳を過ぎたばかりのクセにニヒルになってしまった元大学生と、焼け跡の孤児は、“奇妙な友情”を育てて行って、育てながら物語は、一種血腥い昭和史のエピソードを縦横無尽に綴って行くのである。>
(橋本治『デビッド100コラム』冬樹社1985/「走れ熱いなら」より)

デビッド100コラム

登録情報
単行本:299ページ
出版社:冬樹社 (1985/06)
ASIN:B000J6SM82
発売日:1985/06

デビッド100(ヒャッ)コラム (河出文庫)
<有頂天の都会派コラム全盛の現代に橋本治が投げかけた“純粋色物宣言”。200本のタイトルから100本を選び出し、一気呵成に書き下ろしたコラム100篇。―スーパーのチラシやオムレツの中味についての意想外の指摘から、村上春樹、小林秀雄についての批判的短文、さらには「オレたちひょうきん族」がイスラム圏でうけるかどうか、まで、コラムの常識を破った最初で最後の痛快。>

登録情報
文庫:303ページ
出版社:河出書房新社 (1991/03)
ISBN-10:4309403034
ISBN-13:978-4309403038
発売日:1991/03
商品の寸法:14.6x10.8x1.4cm

五穀豊穣ROCK/メモ

2011-03-19 17:20:47 | Music
栗山千明/CIRCUS
2011年3月16日リリース
 
M9 五穀豊穣ROCK
Produced by 佐藤タイジ(Theatre Brook)
作詞・作曲・編曲:佐藤タイジ(Theartre Brook) 演奏:Theatre Brook

<佐藤タイジ(Theatre Brook)
 栗山千明は日本を代表する美人女優である。その彼女がロックを唱うということでシアターブルックに依頼がきた。
 正直「KILL BILL」のイメージしかなかった が、話を頂いたその夜にアフロキューバンロック的なハイテンションな楽曲ができた。彼女の持っているイメージがストレートだからだろう。
 彼女の為に歌詞を書くのはさらに楽しかった。
 世界中はどんよりと将来に不安をかかえるこの時代。
 オレたち男子は彼女のように、美しく健康な女の子にブットバしてほしいのだ。
 カワイクて元気な女の子に“やっちまえ!”と言ってほしいのだ。
 レコーディングで初めて会った彼女は女優的には貫禄があるのだが、歌手的にはまだまだ新人だった。
だがこれからドンドン成長するだろうし、そうでなくてはならない。なぜならば彼女の役目は「日本の大人のボケたお尻をひっぱたく」という大仕事だからだ。>(参加アーティストコメントより

昨夜のニュースの深層

2011-03-18 19:41:04 | News
昨夜の「ニュースの深層」に広瀬隆さんが出演した。録画しておいた番組を観たのだけれども、相変わらず怖い話をする怖い人である。もはや学者先生が語る話ではなくエンジニアの問題であること、放射線ではなく放射性物質のモニタリングが必要なこと等、番組内で広瀬さんは様々な指摘をしたわけだが、中でも「日本人は正しいパニックをする必要がある」という発言は実に意味深長な言葉だと思う。パニックというのは逃げ出すことだけではないよ。最前線で奮闘を続ける作業員、エンジニア、自衛隊、機動隊、警察の皆さんの話は別として、やはり当事者への批評・批判は続けられるべきだと思う。そしてそれが「正しいパニック」なのかと思う。
先送りばかりしてきた政治や財界が直面した絶対に先送りできない事態である。その批判は「今」をセンセーショナルに伝えてきたメディアにも突きつけられている。

広瀬さんは様々なイメージで語られる人なのでバイアスのかかった見方をされる人も多いかと思うが、4年ほど前に一度だけだが取材でお会いしたときに感じたのは極めて普通で、まっとうな正義感の持ち主という印象だった。
取材は、当時の新刊だった『持丸長者』(ダイヤモンド社)を絡めつつ「20年目の『危険な話』」というテーマで話を伺った。しかし『危険な話』そのものだけではなく、あまり積極的に人となりを語られる方ではないと思っていたので彼がどんな背景を持った人物なのかがわかるようなトークに(少しは)なったと思う。
取材ではとても良い笑顔が撮れたのだが、それをご家族が喜ばれたと聞いて嬉しかったな。『危険な話』も大事な<話>だが、預言者や警告者ではなく、オレらと何ら代わりのない普通の人であることを示す穏やかな笑顔も同じぐらい大事だから。雑誌掲載後にいただいた丁寧なお手紙には信州で採ったという押し花が添えられていた。その手紙はまだ保存してあって、緊急用のバッグの中に入れてある。

それにしても「ニュースの深層」で毎日ヘヴィーな話を直接聴き続ける前田真理ちゃんは大変だなァ…他人事じゃないけれども。

その先の予定/東北地方太平洋沖地震チャリティライブ LIVE FOR NIPPON

2011-03-18 19:35:15 | Music
音楽を聴くのに神経質になっていた。
耳を塞ぐことに神経質になっていた、というか。
ニュースを聞き逃したくないということもあるし、余震も音で反応している。だからこの一週間、音楽をあまり積極的に聴いていなかったのかもしれないと思う。


昨夜は下北沢の風知地知でタイジ主催の東北地方太平洋沖地震チャリティライブ LIVE FOR NIPPON。この一週間、やはりそれでも気が滅入って仕事も滞り気味になっているので申し訳なかったのだが、ひとりで「ニュースの音」に満たされた部屋に篭っているよりも、数時間だけでも「音楽」に満たされた空間にいたかったのだ。さすがに。スマン。
当日になって大停電の可能性が政府によってアナウンスされたので開催も不安だったが、風地空地に電話して決行を確認。急いで支援物資を2つの袋に詰めて下北沢に向かう。
政府のアナウンスの影響もあってか、帰宅ラッシュは18時から19時にかけて集中していたようで意外とスムーズに、混み合うこともなく19時30過ぎには下北沢に着く。その頃にはすでにライブはスタートしていたわけですが。
ドレッドライダーの途中で会場に到着したのだけれども、会場は予想以上に埋まっていた。

LEYONAの「You've Got A Friend」や飛び入りの斉藤和義の「歩いて帰ろう」は感動的だったし、武藤昭平Withウエノコウジの男気溢れる歌には鳥肌が立った。うつみようこ姐さんの「満月の夕」はさすがだったな。そしてタイジ。直前に結構大きめの余震があったのだけれども、この日の「ありったけの愛」は最高に響いた。ライブはアーカイブされているようなので是非ご覧になっていただきたいと思う。(もしかしたら放射能混じりの)強風が吹き荒びガラスを震わせ、余震に揺れる中のライブというのは、思うになかなか壮絶な現場ではあったけれども。

ということでtheatre brook history's Barは中断。今後はLIVE FOR NIPPONとして継続していくとのこと。
タリスマン突入の勘違い時代の話も聞きたかったなァ…いつかhistory's Barの再開も希望しておく。
次回は4月14日(木)。もちろん帰り際に予約しておいた。
今、先の予定を立てること、それはやっぱり希望なんだと思うんだな。

それにしても下北沢、暗すぎ。


ガラガラの小田急線、総武線に乗って地元に帰って、まだ営業していた酒場で飲む。
みんな、あんまり一人でいたくないんじゃないかな…と思った。

そんな酷いことしちゃいけない

2011-03-17 03:02:48 | News
2ちゃんの書き込みではないけれどもTwitterも、この非常時で「この速さだから言える」ような状態なのでツイート数が格段に増えてしまった。まあ実際TLは自分だけのものだからフォロー数の少ない方々からはウザいと思われているかもしれないんだけれども。スマン。

今日の夕方、天皇がテレビでメッセージを発表した。
これはさすがに今回の事態がちょっと今までの事件・事故・災害とはレベルが違うということを実感させられた。勿論役割を理解し、全うしていると言えるご本人の問題ではないのだけれども、同時に一部の人間にとっては旧時代的な求心力が増し勢いづくのではないかと胸騒ぎもした。
この、天変地異とも言える状況、暴走した科学の破滅的状況、そして日本でこれ以上ない登場人物、という意味で。
この「玉音放送」が状況にどう作用するのか、ちょっと見物ではある。

民放はほとんど観ていないので、その報道姿勢の変化はTLで感じるしかないのだけれども、原発事故報道に関してはトーンダウンしたという意見が多い。逆にNHKは更に東電の管理体制への批判に踏み込んだ報道を始めた。まあ一方ではニュース9の最後に事故現場で作業しているという方の娘さん(?)のメールが紹介しているわけで、これはバランス感覚というものだろうが、企業の問題と個人はまったく別の話であって、多くの東電批判者も現場の人間を批判しているわけではないと思う。
ほとんどの日本人が現場の人間の無事と作業の成功、健闘を祈っているはずだ。
ただ、直接的な原因は津波であったにせよ、事故が加速していった責任を個人のケアレスミスとして収斂していく可能性はある。「他の現場を見に行った隙にバッテリーが切れた」という、ちょっと信じられないような「ミス」を、今後政府、企業、報道機関がどう扱うのかは覚えておきたい。

いずれにしても問題が問題だけに東北関東大震災の直接の被災地が原発事故に隠れてしまう傾向にあるのは不幸だと思う。これは報道というよりも、明らかに首都圏に住む人間の興味がそちらに向かっているという意味で。勿論首都圏も「被災地」になる危険を孕んでいる。そして計画停電という形で当事者にされることで興味が向かってしまうのも、まあ、仕方ないことではある。
今日、高橋源一郎さんが「(東京脱出に対して)逃げるという表現はいかがなものか」というようなツイートをしていたけれども、正直言ってオレは計画停電や買い貯めブームを担保するような、パニック気味の東京脱出というのは「逃げ」と言われても仕方がないんじゃないかと思っている。現時点では。
確実にわかっているのは、問題は今だけの話ではなく、これから長い時間をかけて起こるのだから。
まあ、子供への影響を心配して、の場合は別として。
あと、東大アカウントで「放射能より煙草の方が有害」などというツイートしていたのを読んだ瞬間だけ、確かにこんな東京にはいたくないと思ったがw(致死に至るインパクトや影響力は比較になるはずがないけれども、見えないものへの恐れという意味では、正直放射能へのアレルギーと煙草へのアレルギーは似ているとは思う…)。

ニュース9にも再び取り上げられた南相馬市の現状はあまりにも非道という他ない。南相馬市は震災の被災地であると同時に、原発事故の被災地でもある。彼らは屋内避難勧告圏外まで物資を取りに来させられているという。燃料を運ぶドライバーも南相馬市へ届けることを拒否するという。
事故現場から20キロの場所で被災とそんな差別で苦しんでいる人たちがいる一方で、200キロ以上離れた東京を脱出する人間がいるという事実が彼らにどんな心理的圧力をかけるだろうか。
オレはそんな酷いことはできないね。仮に東京にコトが及んでも逃げる時間はある(と思う)。
東京脱出を呼びかける人は「自己判断で」という無責任なフレーズをよく滑り込ませるので、念の為に書いておくが、これはあくまでも個人的意見で、自己判断です。

空がまた暗くなる

2011-03-16 18:48:58 | News



時勢を考えればタイマーズでもカヴァーズでもいいんだけど、これ名曲。
今一番響くんじゃないかな…20年前にこんなことが起こってもおかしくなかったわけで、それを受けて清志は作ったわけだし。
大人だろ、勇気を出して本当のことを言えよ。

DOWNWIND PEOPLE

2011-03-16 03:07:33 | News
今日も長い一日だった。
そしてついに一線を越えてしまった。
何だかんだで朝方まで起きていて、さすがに仮眠しようと思ったのが8時少し前。その直後にテレビから聴こえてきたのが東京電力の記者会見だった。記者は「一線を越えたのか?」と詰め寄っていたが、この期に及んで広報は言葉を濁す。しかし一線を越えてしまったのはテレビで推移を追っていた視聴者にも明らかだった。一気に眠気は覚めた。
福島第一原発からの放射能漏れは明らかになった。しかもそれは定期検査中の4号機。
事故の直前、6時の会見で政府と東電が合同対策本部を作ると発表したのも今考えれば、一民間企業としてはあまりにも影響が大きすぎる、事故機の危機的な状況に耐え切れなくなった東電を政府が守る(担保する)形になったように思う。まだ実際の事故の経緯はわからないし、それは10年後、20年後にならなければ明らかにされない可能性もあるが、何を今更といった感じで実に遅きに失したタイミングだと思ったし、事故直前の発表というのも穿った見方をしてしまいそうなタイミングだった。
しかし彼らはなぜ流出から2時間も経ってから発表したのか。
現地は北よりの風、首都圏が風下になる。
所謂首都圏の住民はDOWNWIND PEOPLEになるわけである。広瀬さんの本でも読んだ、あの不吉な言葉。
しかも4号機の爆発は6時過ぎに起こっている。会見の時点ですでに爆発から約2時間が経ち、会見前後からTwitterでは都内近郊で異常な上昇を続ける放射線量の値がツイートされ始めていた。さすがに20分か、30分か、鳥肌が経つような思いがした。
ただテレビを観てから、バスタブに水を貯めるのも、11時から始まる菅首相の会見の前に野菜と卵と牛乳を買いに行ったのも自分を落ち着かせる行動だったと思う。何か、すーっと腹が座った気がした。
その一方で在日大使館が自国民に向けて首都圏脱出を勧告し続けているように、東浩紀のように東京脱出を表明する人も本格的に増えるだろうなと思った。まだ脱出を考えるような事態ではないと思うし、そもそもその気はないのだが、正直この程度の状況でパニックになっていたら原発30キロ圏内の被害者の皆さんに申し訳ない。もちろん現場で事態を収束させるべく対処している関係者の皆さんにも。
それ以前に、ここのところ東京脱出を「自己責任」で勧める、エコな方々の無責任なツイートにはうんざりするのだが。

しかし申し合わせたように一日一機ずつトラブルが起こる。原発4機が同時に危機的なトラブルを抱えるという前代未聞の事態である。しかし今夜はもうたぶん、余程大きな余震かトラブルが起こらない限りは大きな動きはないだろう。今晩は粛々と注水作業を続けるしかない。

一方で計画停電は続く。
ここで想像してみた。仮に何らかの形で原発事故が収束したとする。そのとき日常を取り戻した首都圏には何が残るか。当然被災者のみならず、首都圏に住む個人個人に大きなインパクトを残しつつある原発事故後のシナリオを関係者は描いているはずだ。
震災、そして原発事故の被害者を置き去りにしたまま、しばらくは首都圏には計画停電という「日常」だけが残る。
そして計画停電という「言い値」で世論をコントロールしながら原発再開というシナリオは十分考えられる。つまり「原発を再開させないと計画停電は続きますよ?」というロジックは必ず登場する。
日常が取り戻されたときに、それでもNOと言える人はどれぐらいいるだろうか。当然東北関東大震災の直接の影響だけでも首都圏(日本)の経済的なダメージは大きいわけで、なかなか以前のような日常は戻ってこないかもしれないが、原発再開と引き換えに、震災前までの(今までどおりの)インフラという日常を望む人がいても、それはそれで仕方がない。
一線を越えたとき、用心すべきことは確実にある。

(追記)
と思っていたところで、今度は静岡で地震が起きた。もう何が何だかわからない。しかしこの状況で「念の為」でもいいが、浜岡原発をストップしない関係者は何を考えているのか。いくら現状で問題がなくとも、少なくともこの状況で稼動しているのは、国民にとっては勿論、対外的にもリスクでしかない。

冷静な判断

2011-03-15 18:57:47 | News
東浩紀の東京脱出が一部で話題になっているわけだが、それって結局東氏もガソリンスタンドに長蛇の列を作る人たちや買い物カゴ一杯にミネラルウォーターやカップ麺を買い込んでいるおばさんと変わらないじゃないかということでネタにされたんだと思う。
まあ小さな子供を持つ父親として、彼のような判断する人がいてもおかしくはないとは思うけれども。
その後のツイートをヲチするたびに何ともいえない器の小ささを感じるわけですが。

8時の会見を見てから風呂に水を貯めて、買い物行きましたよ。
とりあえず青物類とか牛乳とか卵とか。
ひとまず、それがオレにとっての「冷静な判断」。