徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

新しい門番

2010-01-20 14:37:34 | Sports/Football
追記が長くなりすぎだので新しいエントリーで書く。

Jリーグ、トリニータに追加融資を決定
<Jリーグが求めた9億円以内を満たしていないため、超過分9700万円のうち、減価償却費6700万円を除く3千万円をさらに削減する条件を付けて、追加の融資を承認した。(中略)Jリーグからの融資額は貸し付け限度の6億円となり、「今後いかなる事態があっても追加の資金支援はしない。あとは県民、行政、企業が三位一体となって頑張っていただく」と断言。地元が将来にわたってクラブを支えていくよう求めた。>
<Jリーグの鬼武健二チェアマンは19日、大分FC前社長の溝畑宏観光庁長官をJリーグ参与にする、と発表した。>
大分合同新聞 1月20日付

前日、大分FCの青野社長が「今回(再建計画を)突っ返されることはない」と言っていたのは一体何だったのか。これは事実上、<突っ返された>も同然である。
それでも青野社長には融資が認められるという自信があったのだろう。
新体制発表会見を姑息にも理事会前日に開き、リーグ側が断れない状況を作りゴリ押しで融資を認めさせた印象が残る。これは先月の<つなぎ融資>と同様、審議以前にとにかく既成事実だけを先行して作るやり口にしか見えない。さらにリーグにもウィークポイントはある。南アフリカのワールドカップが半年後に迫り、さらに将来のワールドカップ誘致を表明しているリーグ、JFAにとって現時点でイメージダウンだけは避けたい。正論が通じる状況ではないのだ。

監督、選手からは「早期のJ1復帰」という実に無意味な掛け声だけが伝わってくる。
現状ではリーグからの6億円の融資を完済し、さらに10億円といわれる債務も返済しない限り、3位以内に入ろうと、優勝しようと昇格の可能性はまったくのゼロ、可能性もナッシングだ。そもそも現状の戦力でJ2を勝ち抜けるとも思えないし、むしろ経営努力をしている他クラブから目の敵にされる可能性の方も高い。

大分は果たしてどんなヴィジョンを提示できるのか。
それは「J1復帰」などという無意味な掛け声ではないはずだ。例えばかつての湘南のように大胆な若手への切り替えというヴィジョンを掲げ、10年という歳月をかけてJ1に上がるような覚悟はできているのだろうか。
J1気分の官製クラブの意識のままでは、そしてあまりにも無邪気なスタッフ、選手の甘い認識では、J1どころか次第にフェードアウトしていくのは目に見えている。今、大分に必要なのは「J1」などという、現状で実現不可能な掛け声や目標ではなく、今こそ本物のプロクラブを大分の地に浸透させるという基本的なヴィジョンに立ち戻る以外にないはずだ(社長はもちろん、監督や選手は順位や成績を口にすべきではなかった)。
まあ、確かに勝っても地獄、負けても地獄の大分にとって本当に可能性がまったくない中でヴィジョンを描けってのも難しい話だ(高額年棒プレーヤーが残留したのはまったく意味不明)。
そこで考えてみた。
JFLのHONDA FC(本田技研工業フットボールクラブ)のようにリーグの門番になるというのはどうだろう。プレーヤーとしてはそんなクラブでも活躍できれば移籍に道が拓ける。チームとしても門番として数シーズンを過ごせばさすがに経営環境も好転してくるだろう。
まあ、正直現状でそんな余力があるとは思えないけれども。

ワールドカップ誘致のために存続させるなら、もう、どうぞご勝手に、という感じではあるが。
そんな古臭いやり口は15年前に終わってるんだよ。

(追記 2010年5月15日)
<Jリーグの中野幸夫専務理事は14日、2部(J2)大分の本社などを視察し、リーグが6億円を融資したクラブの現状を「スポンサーがついておらず、入場券との2本柱が目標の数字と大きく違う。胸や袖の広告収入も入ってきていない」と厳しく指摘した。>(サンケイスポーツ 2010年5月14日付