徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

Nobody Knows You When You're Down and Out

2010-11-30 22:20:17 | Music
<アルバータはまず聴衆に、看護婦の仕事を心から愛していたこと、病院の規則で、七十歳で辞めさせられたときは本当に悲しかったことを話した。
「でも、騙されたのは、本当は彼らのほうなのさ。だって、あたしの本当の年齢は八十二歳だからね。あたしが彼らの裏をかいてやったことになるね。ハッハッハ!」
アルバータの本当の年齢を知らなかった看護婦たちは、驚きの声を上げた。(中略)
 拍手はまるで、雷が落ちたようだった、とアルバータはいう。「みんなが、このおばあちゃんは歌えるんだ。このおまあちゃんはまだ現役だ。このおばあちゃんのおかげで、また感動というものがよみがえった、と思っていることが痛いほどわかった。涙をぬぐっている人もいた。うれし涙だ。バーニーは店の隅で満足そうに立ってたよ」
 アルバータは、翔んだ。
「次の曲は、皆さんがまだ生まれていないころにあたしが作った曲で、曲名は『ダウン・ハーテッド・ブルース』と言います。この曲を書いてまもなく、あの憎らしいブルースシンガー、ベッシー・スミスがデビューして、デビュー曲にこの曲を使っちまった。それであたしはいまだに著作権を支払ってもらってるというわけ」
「男は女の心をズタズタにしたものさ。いまでもそうじゃないのかい?」
 彼女は長い爪でピアノのふたをタタタと叩いて、ジミーに言った。
「さあ、たっぷりときかせてやろうじゃないか」>
(フランク・C・テイラー/ヤンソン由美子・訳「人生を三度生きた女 “魂のブルース”アルバータ・ハンターの生涯」筑摩書房)


土曜日の町~babyblue

2010-11-29 17:30:15 | Music
女(石井ひとみ)「あんた、あんた……いるのね。あたし、夜中にふとあんたに触れたいと思う。ただ触れたいって。でも触れるっていうのはとても寂しいことだと思う。何だか知らないけど寂しいことだと思う。でもあんたに触れるとほんの少しだけ慰められるよ」
男(金守珍)「ほんの少しなのか」
女「ええ、ほんの少し。だからって怒らないでね」
男「怒らないよ」
女「でも、そのほんの少しがあたしにとってはとても大きいのよ。わかってくれる?」
男「ああ」
女「それにあたし、目が見えないから時々自分の形を忘れてしまうの。だから蝶になってひらひら飛んで行ってしまわないかって不安なの。でも……こうやってあんたに触れるとあたしはまたあたしの形を思い出すの。……あたし、変な形してないよね?」
男「おめえはおめえだよ」
女「どんな?」
男「……丸じゃない」
女「丸じゃないの?」
男「ああ、みんな丸じゃないよ。四角か五角、せいぜい六角ってところだ」
女「それで転がっていくんだね」
男「ああ、転がっていくのさ」
(鄭義信・作/金盾進・演出/新宿梁山泊 ビデオ「千年の孤独」より)


敗北を受け入れるということ/第33節 神戸戦

2010-11-28 17:36:44 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10


金曜の夜に出かけて日曜の朝に帰って来ると昨日のゲームもずいぶん前のように感じる。
そして、それもなかなか趣きがある。
ゲームの敗戦とリーグとチームの敗北の徒労感と共に。

土曜はホームズスタジアムで神戸戦
神戸戦というのはどう戦っても、いつも焦れるような接戦になる。そしてこの日もいつも通りの展開になった。

開場は1時間30分前。実質1時間の間にゲーム前のセレモニーを押し込んだようなスタジアム演出には忙しさしか感じない。ビジターへのホスピタリティは良かったと思うんだけれども、正直この演出はこれまで行ったアウエイの中では悪い部類。爆音のVTRを多用してさくさく進行するのはまあいいんだけども、日本平と比べても演出に余裕がまったくないんだ。ゲーム前のウォーミングアップも他スタと比べると短い時間に忙しなく終わった感じだったし、オレ自身は初めてのホムスタで嫌な予感がしていた(スタジアム自体はカシマスタジアムに似た雰囲気があって良いスタジアムなんだけど)。
それでも気がつけばバックスタンドはかなり埋まっていて、やはりそこはホームの力を感じさせる。
そして、内容はともかく残留への強い思いがACL圏内争いを凌駕した。神戸がひとり少なくなったとはいえ、退場が後半30分という時間帯では突く穴が開くより前に、神戸の集中力が増してしまうのは仕方がない。それを考えれば辛抱強く攻め続けていたようにも見えるが、とにかく、最後の岩下のシュートが一樹の頭に当たってなければね。

健太が構築し選手層を厚くしたチームというのは、誰が何と言おうと間違いなくリーグでもトップクラスのACL仕様で、そのACL仕様のチームがACL出場を逃し続けたら、その敗北は受け入れなければならない。
リーグ上位安定というある程度の実績を積み、関係者からそれなりのリスペクトと評価を得てきた健太がそれでも監督を辞め、何人かのプレーヤーが心ならぬチームからの離脱を余儀なくされるのはそういうことである。
これは、誰ならクビにしても良くて誰はクビにしては良くないという話ではない。アウスタでもそんな声を聴くことがあるが、それは本当に甘い。オレが健太を支持し応援し続けたのも、ただでさえ豊かで、自己完結しがちな、そういう静岡とエスパルスの甘いメンタリティを破壊してくれたからである。
だから結果的に健太とそのチームの失敗が明らかになったとき、敗北は受け入れなければならない。
もちろん彼らの残した素晴らしい進化と航跡はチームを見続けた人間の心には残る。残念なのはタイトル奪取やACL出場でそれを知らない人間に伝えることができなかったことだけだ。
我武者羅さをラフプレーで表現したこの日の神戸が決して素晴らしいチームだったとは思えないし(それでも勝ったのは素晴らしい)、西村雄一はワールドカップで笛を吹いたとはとても思えない、相変わらず最低のレフリーだったが、負けは負けである。
物凄く悲しいけれども、敗北は受け入れなければならない。

だからすべてが終わり、何もなくなった12月4日のガンバとのリーグ最終節はこれまでの6年間を総括するようなゲームにして欲しい。そして残った天皇杯と共に自分たちのためだけに戦って欲しいと願う。
この一週間で出せるリリースはすべて出して欲しい。
何かが終わり、何かが始まることをこの一週間でリリースして欲しいね。

神戸から大阪へ移動して心なしか重くなった荷物を背負いながら土曜の夜で混雑した梅田を2時間ぐらい歩く。バスの時間まで呑もうと思ったんだが、結局駅ビルの中で軽く呑んだだけで、あんまり酔えなかった。
これ以上酔っ払うと絶対に泣くと思った。
この後、起こったことと併せてたぶん一生忘れない。

また大阪行きたいし、神戸には必ず残留して欲しいと思うよ。
今度は荷物を軽くして関西に行くよ。


ちなみに夜行の高速バスの件。要するに二階建ての場合、狭い臭い天井が低いのは仕方がないのだけれども足の伸ばせない一列目でなければまず無問題。読み書きは無理があるが、昼便の客と比べたら乗客全員が寝るしかないのはわかっているので車内もあっという間に静かになる。これまで静岡便以外はバスは避けてたけど、これで金欠時の関西遠征のアクセスも開拓できたなァ…金策できれば新幹線か飛行機がいいんだけど、まあ、長距離バスもやっぱし趣きありますよ。

最後?/ハシケン・デビュー15周年記念ライヴ

2010-11-25 04:19:47 | Music
渋谷のプレジャープレジャーでハシケン・デビュー15周年記念ライヴ11月編「ハシケン・フルバンドスタイル!!」。109の横、ユニクロの上という渋谷の超メジャーな立地、映画館のようなふかふかの座席に違和感を覚えつつ…だってどうせ始まったら立っちゃうんだから…と思ってたら予想通り、トータルで10分も座らず(そのうち10分はスタート待ち)。

『LIVE ! ~the Best of Best』のオープニングのまんま、「SHAKE ME、SHAKE YOU」に始まり、「セッション」「稲スリ節」「ワイド節」「乳のみほせ」とハシケンフルバンドにしかできないグルーブを聴かせる。
「くっついていたい」でゲストで梅津和時さん登場。またこれが清志郎テイストとも言えるバラードで、いかにも梅津さんらしい硬質でエモーショナルなサックスが聴けた(saigenjiもゲストとして登場)。
「ワイド節」ではヤギヤスオさんもステージに上がり踊り狂っていた。Twitterでは心配になるようなツイートもしていたんだけど、いや、お元気でした。
(※記憶違い。修正しました)

そしてこのフルバンドスタイルは「おそらく最後」と言う。
6月のブログでハシケンは自主企画でのライブを無期限休止することを明らかにしている。それにしても「いつも応援してくれる皆さんへ」(シェフは気まぐれ、テーゲー日誌 2010年06月24日)は活動報告として残念だけど、昨日のブログ「いよいよ明日!」(シェフは気まぐれ、テーゲー日誌 2010年11月23日)の内容の方が赤裸々で切ないような気がするんだよなあ。ジャズ、ロックに限らずビッグバンドというのは「経営」そのもので、だからスカパラの成功はとても凄いことなんだけれども、実際ミュージシャンひとりが「経営」するにはやはり無理がある。
いや、しかし、今日のフルバンドライブを観て、聴いてハシケンという人は音楽的な理想が高い人なんだなと改めて思った。彼の音楽に必要だったのがこのフルバンドだったのだと思う。そんな彼がフルバンドの可能性や達成感を知りつつ、それを「最後かも」と言わざるを得ない状況というのは、やはり断腸の思いだっただろうなと思うわけですよ。

まあ活動そのものを止めるってわけじゃないんだし…最後のMCでもやっぱり「また(フルバンドは)やる」って言ってたしなw 止められるわけないよね。
ハシケン頑張れ。やっぱり同世代の音楽家には頑張って欲しいよ。

ハシケン・デビュー15周年記念ライヴ12月編はまだ続く。
12月15日は東京のホーム下北沢・440です。

走馬灯/第32節 広島戦

2010-11-25 02:29:27 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
そもそも今年の開幕戦で意味不明のPKで出足を挫かれたのが広島戦だった。そして6年間という長きに渡った健太エスパルスの息の根を止められてしまったのも広島戦だった(ナビスコ準決勝敗退の翌日に契約の満期終了を通告)。
何なんだ広島、コノヤロー。
という地味な遺恨を抱えつつ、火曜日はアウスタで広島戦
アウスタもフルハウスとはいかないまでも祭日らしく17000人を越えて良い雰囲気。そして前半は今季でも最高の部類に入る展開だった。直近の公式戦3戦の勢いをそのままに広島を圧倒する時間帯が続く。
コメントにもあるように、中2日とは思えないほどよく動けていたし、周囲がよく見えている。

兵働「『飛ばした』って言うよりは、良いリズムでやれてた分、若干ハイペースになってたというか…」(Sの極み 11月24日付)

こういうときは負ける気がしないものだが、アウスタの雰囲気もまた最高に良くなっている。
それは何故かと言えば、もちろん、このチームが終わりに向かっているからだ。

もう健太には野次は飛ばないし、西部にも、テルにも、市川にも辛辣な野次は飛ばない。まだ進路は明らかになっていないが淳吾にも飛ばないのだ。
ちなみにフローデには最初から飛ばない。

とにかく温かく、ある意味、もう終わりが見えているとはいえ前向きに見守っている雰囲気に満ちている。まあもちろん頓珍漢な連中も中にはいるわけだが、ほとんどいない(と思う)。この期に及んで批判しているのは間違いなくスタジアムにも来ていない連中だ。
それ以前にプレーヤーがそれに相応しいプレーを見せているのが嬉しいんだけどね。
広島もACL圏内を賭けて後半は怒涛の攻めを見せ、アウスタにスタジアムにいないと実感できないような痺れるような時間が続く。広島のプレーヤーも本当に必死だから、チュンソンあたりはブーイングを喰らいながらも素晴らしいゴールへの執着心を見せた。
後半は引き過ぎたとはいえ、それは例えば決勝まで駆け上がった2008年のナビスコカップの決勝トーナメントの日々を思い出させた。何か賭けるものがあるのならばピッチで表現して、証明すればいいのである。淳吾や西部の「現在地」を証明する素晴らしさはそれだ。兵働が魅せたゴールと元紀が表現する躍動感から見えるのは来季に賭ける意志だ。
次は明後日、中3日の土曜日に神戸戦。
神戸戦はどうなるかわからないけれども、ガンバには勝てるよ、今のホームならば。

優勝争いはもちろん、残留争いもほぼ決定して、次節神戸に引導を渡すことでガンバ戦を唯一キャッチーな話題である「ACL圏内を争う注目カード」にすることができる。最終節という「お祭り」の注目カードという形で自分たちのこれまでの/これからの価値を証明できるんだから土曜は必勝しかないのである。
健太が作ったチームをリーグで観られるのはあと2ゲームしかない。

もうね、王者の旗を歌ってるだけで6年間が走馬灯のように蘇って来る。
この日の王者の旗は本当に胸が詰まった。

しかし最終節の王者の旗はどんな気持ちで歌えってんだ?賽は投げられているんだぜ?



そもそも今回騒ぎになったのは

2010-11-24 12:35:25 | News
<埼玉県入間市の小学校で持ち上がった「セクハラサイコロ」騒動。(中略)そもそも今回騒ぎになったのは、別のクラスの子と保護者が、本当のことをよく知らないのに問題にして警察や学校に訴えたから。>(女性セブン2010年12月2日号

まあ、お節介な他人というのは<本当のことをよく知らないのに>問題にしたり、大騒ぎしたりするもんだよね。
そもそもニュースの構造というのは「お節介な他人」そのものなんだけど。
そして、そのお節介がいつも正義であるとは限らない。

半島騒動で勇ましいことを言ったり、大仰なことを言ったりしている連中には気をつけた方がいいですよ。

広島戦前夜

2010-11-23 02:25:07 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
要するにこれからのリーグ戦3ゲームはACL出場権をかけた最後のトーナメントだということで。
これまでの健太との6年間を締めくくるガンバとの最終節をどんな形でアウスタで迎えるかは大事なわけで。
負けたら終わりなんだし、情け容赦なく。

まあ、天皇杯もタイトルであると同時に同じような意味合いのトーナメントなんだけど。
6年かけて結局リーグ優勝争いではなく、その手前のACL争いで終わってしまったのは物凄く残念で、それなりの戦力だと思っていただけに切ないことなんだけど。
天皇杯優勝のために、そしてそれぞれの次のステップのために、3戦全勝で。
最後の最後にそれぞれの「かける想い」が試されてんだよ。

このZARDみたいなキャッチフレーズ、あんまり好きじゃなかったけど、そういうこと。

漂流サイトと静岡の当事者意識について

2010-11-21 04:28:36 | 素日記
当ブログのアクセスチェックで見つけた大道芸ワールドカップ絡みのアクセスを辿っていくと、ある大道芸人さんが先月末に亡くなられたことを知った。
オレと同世代。東京在住でエリアも同じ。心筋梗塞。まだ若いのに物凄く気の毒だ。
検索してみると、芸人さんだから当然ホームページが作られているんだけど、一ヶ月経ってもご本人が亡くなられてもそのまんま。ブログにはお知り合いから追悼コメントがつけられているんだけれども、その所々にエロサイトの宣伝スパムが混じっていたりして実に切ない。
時々話題にもなるけど、これからはこうやって管理人が亡くなった漂流サイトや漂流ブログがますます増えていくんだろうなあ…。
静岡での地震で亡くなった清水サポの女性のサイトのようにサポの記憶に残っていくサイトや、もちろんSの極みのバーケンさんのように、相棒が運営を引き継いで有志に支えられながら継続していくサイトもあるわけなんだけど。
誰か石川さんのサイトも成仏させてやれよ、とは思う。

その流れで大道芸ワールドカップの非常に熱心なボランティアスタッフの方のブログを読んでみたりしたんだけど、アレ、改めて思ったけれども完全にJサポに似た当事者意識が支えてんだな。裏方ではあるんだけれども、自分たちもイベントの参加者である、という。ブログの筆者はちょっと熱心すぎる感もあるし、今回発覚した静岡市の不正資金流用事件とか発狂するぐらい怒ってるけどw(ちなみに事件と大道芸W杯の実行委員会は全く無関係)
でも、だからこのイベントは続いているんだと思う。オレが、静岡なのにあのイベントはいいなって思うのはそういう所だよ。地方都市にありながら、市民や県民がイベントに参加意識や当事者意識を20年近く育んできたのは素晴らしいことだと思う(地域の祭りレベルならあり得るが)。内情は知らないし、それは別として。
で、当日はパックンマックンの取材風景も観たんだけど特番があるそうです。地上波デジタルで全国放送もある模様。

「KIRIN SPECIAL・大道芸 すべて魅せます!!市民が作った夢舞台」
地上波(静岡ローカル)/SBS静岡放送
11/25(木) 19:00~19:54
BS(全国放送)/BS-TBS
12/5(日) 22:00~22:54

あと2週/第31節 仙台戦

2010-11-21 01:30:29 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
結局スカパーで仙台戦
画面からもユアスタの芝の状態が尋常ではないことがわかる。ということでいつも通り前半は苦しむかもしれないと思っていた。当然チームも伸二の替わりにテルをスタメンにしたダブルボランチで慎重な入り方を選択。序盤、グラウンダーではなく浮き玉でパス交換する時間帯がしばらく続いたときには、あまりの手探り状態に笑った(まあナイーブになりすぎるのもアレなんだが)。

しかし先制されたとはいえ、あまり時間をおかずに仙台ゴール前を決定的に崩した上にPKで追いつき(仙台DF朴柱成が一発退場)、ひとり少なくなった仙台を相手に数的優位の効果が表れ始めた前半終了間際に淳吾が2点目となる追加点をゲット、と理想的な展開でゲームを支配した。
こうなると後は3点目を狙って…ということになるのだけれども、結局朴柱成の退場後はゲーム自体に幾分まったりしたムードが漂っていたようにも思う。お互いリスクを負ってまでアグレッシヴに戦う雰囲気はなかった。
清水は水曜日の天皇杯四回戦から中2日のアウエイ、一方の仙台は残留争い…とはいえほぼ一歩手前ともいえる安全圏(といったら仙台サポに怒られるかな)。早い時間に退場者を出し、時間が経つにつれて両チームともに疲労の色が見えてくる。後半30分には天皇杯に続いてこの日も大活躍だった10番に替えて伸二を投入。3点目を狙いに行くのは当然としても、ボールを捌ける伸二が入ったことで逃げ切りの安心感も高まる。
そう、実にまったりした土曜日の午後だった。しかもテレビ観戦だったから…。

終了まで10分を切ったあたりから仙台は最後の攻勢に出た。それも何とかしのぎ切り、返す刀で元紀が無人のゴールへ3点目を流し込む(とはいえ、2人のプレーヤーがコースにスライディングしてきた難しいシュートだったが)。伸二に不可解なイエローカードが出てしまったことで来週の2ゲームには出場できないというアクシデントが起こってしまったのは残念で、ちょっとした危機感を覚えたりもするのだが、仙台戦はまったりとした完勝。

そして最終盤の過密日程も2週目に入り、中2日で次は広島戦。そして中3日でアウエイ神戸戦。
これは正真正銘、本当の正念場の2連戦になる。
ACL圏内を争う2位から6位までのチームが勝ち点5差の中でひしめいている。この日はドローだった2位鹿島以外のチームは順当に勝ち点3を積み上げた。

2 鹿島アントラーズ 56(+20)
3 ガンバ大阪    56(+19)
4 セレッソ大阪   52(+17)
5 川崎フロンターレ 52(+15)
6 清水エスパルス  51(+14)
(第31節終了現在)

他力本願であるのは仕方がないとはいえ、当該クラブとの直接対決は最終節に現在3位のガンバ戦を残しているだけの清水は、もはや連勝し続けることでしか活路は見出せない(こうなるともはやドローでも致命的)。2位から5位のクラブとの対戦が残っている湘南と京都あたりがどれぐらい頑張ってくれるのかはわからないが、終盤の過密日程では何が起こるかはわからない。鹿島、ガンバも安心できやしない。

次節の広島は清水に続く勝ち点差3の7位で、すでに天皇杯で敗退してしまっている以上、ACL圏内の争いを清水と同じように捉えていることだろう。つまり、まずは3戦全勝しかない。しかし広島というチームはナビスコカップ準決勝で、結果的に健太エスパルスの息の根を止めていただいた憎きチームである。個人的に遺恨はあると思っている。
来週末の神戸は残り1枠となったFC東京との残留争いに調子を上げて来ている。しかし、まあ、テンションの上がっている時には身体が動くと思うが、その勢いが来週末まで持つのかはわからない。神戸のピークは来週火曜日の次節大宮との残留争いの直接対決かもしれないという気もする。
それでもこの日の仙台以上に切羽詰まった戦いを挑んでくるであろう神戸戦は、いつもの対戦のように「ウノセロ上等」の、緊張感溢れる内容になるはずである。
Jリーグの2010シーズンも残り2週。今んところ神戸戦も参戦予定。

来月25日の天皇杯準々決勝の会場が去年に続いてアウスタ、準決勝もエコパに決定した。
ということで健太エスパルスのアウスタ最終戦は天皇杯準々決勝ということになるのだけれども、リーグは別物。最終節へ向かって燃え尽きますよ。


2008年12月20日にユアスタで行われた天皇杯のゲーム前、瓦斯サポによる「天皇杯開催場所に疑問!」の弾幕。まあ当日は日陰はともかく、日差しの強かった清水ゴール裏はTシャツで全然オッケーだったという…。
そしてこのゲームは健太エスパルスを支えてくれたキャプテン山西の最後のゲームになった。そんな意味も込めて、準々決勝の会場候補にユアスタの名前も挙がっていたので、いやーな予感もしていたんだけれども、アウスタでひと安心ですよ。山形サポの皆さんには悪いんだけれども負ける気なんてこれっぽっちもない。




そういえば今日、名古屋が優勝したらしい。
おーめーでーとーうーごーざーいーまーすー(棒読み)。

振り上げた拳の降ろし所がないという気持ちはわかる、が…

2010-11-19 20:53:18 | News
<勝ち組、負け組>のような俗語の誤解釈や誤用は、言葉の意味や使用法が時代によって変遷していく<俗語の生命力>の一例ともいえるわけだが、もはや歴史的に、全世界的に疑う余地のない言葉の意味・意図を捻じ曲げてまで八つ当たりする連中というのは何なんだろう。
キミたちがどう思うか、どう感じるか、<暴力装置>という客観的な言葉とは関係ない。
知らなかった言葉をひとつ知り、社会や歴史を俯瞰的に見られるきっかけになれば、それはそれで素晴らしいことじゃないか。知らない、わからないということ――それは全然恥かしいことじゃない。
橋本治の『「わからない」という方法』 (集英社新書)でも読んでみましょう。

ということで<暴力装置>という言葉に、感情的に反発している人たちというのは、どう考えても、実は売り言葉に買い言葉と同じような勢いで拳を振り上げてしまった手前、後に引けないだけなんじゃないか。
それはあまりにも見苦しいし、みっともない…。
そして本当は意味をしっかり理解しているくせに、場当たり的に謝っちゃう人もどうかと思う(←こっちの方は確信犯)。

<暴力を統制するためにはより強力な暴力、すなわち組織化された暴力(Organized violence)が社会の中で準備されなければならない。軍隊、警察がこれにあたり、社会学者のマックス・ウェーバーはこれらを権力の根本にある暴力装置と位置づけた。>(はてなキーワード>暴力装置

闘争心/天皇杯四回戦 マリノス戦

2010-11-19 03:04:27 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10


もう次のゲームは明日(土曜)になるわけだが、水曜はニッパツ三ツ沢球技場で天皇杯四回戦、横浜マリノス戦。
小雨が降り注ぎ、寒風が吹くという、スタンドに立っているだけでもかなり辛い環境。結果的にはギリギリ、ポンチョを被るほどではなかったのだけれども、オレにしては驚異のロングスリーブ3枚重ねという厚着でも結構な寒さでありました。
それでもエスパサポは熱かったスよ。何か、もはや、ゴール裏には(も)ほとんどストレスがない。

風下に立った前半(の特に序盤)はセカンドボールを拾われ続け、パスを2本以上つなぐこともままならずマリノスの時間帯が続いた。このゲームで本当にヤバかったのはこの時間帯。前半30分過ぎからは後半勝負の気配が濃厚になってきた。「エスパルスは後半落ちてくる」とコメントしていたマリノスのプレーヤーがいたのだが、一体何を見ていたのだろう。
今シーズン前半戦の調子の良かった頃のエスパルスというのは、後半に「変わってくるチーム」だった。
そういう意味では日曜日の湘南戦と同じような展開ではあるのだけれども、あのゴール破壊事件のブレイクタイムでチームは良かった頃の感触を思い出したんじゃないか…というような邪推をしたくなるように、後半に入るとチームは「落ちる」どころかスピードを上げてきた。
前半はかなり危なっかしかった辻尾もスペースへ勝負を仕掛けてきたし、何よりも全体としてサイドチェンジ、パススピード、縦への意識が強まった。キックオフ早々に先制点をゲットできたのが大きかったとはいえ、後半はかなり安心して観られた。俊輔のフリーキックは西部が必ず止めると思ってましたがね(でも、やっぱりスーパーセーブ!)。

どのクラブもハードな日程をベスメン規定を有名無実化するほどやりくりをしながらこなしているわけだが、この日のエスパルスはほとんどメンバーを落とすことなくゲームに臨んだ。これが今後の中2日、中3日で3ゲームをこなすという、シーズンの最終盤にちょっとどうかと思うようなハード(アホ)な日程に影響しないわけがない。でもシーズン終盤は結局はどのクラブも最後の総力戦なわけで、大事なのはアグレッシヴさなんだと思うね。



何でオレたちはアグレッシヴでいられるのか。

健太「今季でチームを辞めていく選手もスタッフも多い。気持ちの切り替えがしにくくて重苦しい時期もあったのだが、湘南戦の前に、いい形で終わろう、お互いにゲームに対して闘争心を出していかないとサポーターに失礼だと、選手たちと確認し合った。(中略)今は吹っ切れて、練習でも試合前のロッカールームでも明るい雰囲気でできている。私をというより、伊東や市川などに少しでも長くこのチームでサッカーをやらせてあげようという思いがチームにあるような気がする」(J'sGOAL 11月17日付

終了後は地元の酒場で祝杯(亀戸てのは横浜までのアクセスは物凄く、意外なほどラクチンなのだ)。完勝があまりにも嬉し過ぎて閉店まで呑んだ。ハイペースで呑み過ぎた。

このチームで観られるゲームは、あと数えるほどしかない。
東北地方、関西地方のエスパルスサポの皆さん、仙台戦や神戸戦は是非スタンドで彼らの姿を目に焼き付け、コールしましょう。
オレも仙台行きたいし、神戸にも行きたい…が…どうするかは今日一日考えよっと。

20世紀の結婚の困難について/「春宵 小論集」

2010-11-19 02:41:41 | Osamu Hashimoto
<結婚は、一人の男と一人の女という個人同士の関係を作るもんだけれども、これは多く、「家同士の関係」を作るためのものだった。「政略結婚」というのが特別なものではなくて、「結婚とはすなわち、家同士の関係を作る政略結婚が本道で、家同士のかかわりを持たない結婚のほうが例外的だった」ということは、知っておくべきだ。家同士のかかわりと無縁の結婚は、「誇るべき家格を持たない貧乏人同士の同棲」に近いものだったんだから。
 なぜ結婚が「家」なのかというと、それは、「家」というものが、長い間、労働の場である「会社」の役割を果たしてきたから。(中略)妻というのは、単なる「家事」の担当者じゃなくて、「農家の嫁」という言葉に代表されるような、「さまざまな労働の担い手」だった。「夫と妻と子供のそれぞれが一人ずつ」というような、現代ではよくあるような家庭は、過去の人間の歴史から見れば、例外的で異常なものだと思った方がいい。家には「使用人」というものがいて、この複数の「他人」が、家というものには欠かせない要素だった。(中略)
 中産階級が一般化して、それが今の我々の知る「20世紀の結婚」という一般的スタイルを作ったんだ。夫は会社に行き、妻は家で待機して、よき母になることに専念するという、そういう家庭像を作るのが、「20世紀の結婚」という幻想。
 そういうものを、あまりにも当たり前に想定して、神聖化しすぎて、「そういう結婚」をすることが「一人前の証拠」だと思ったり、あるいはそれを「無意味」と言って否定したり、逆にファッションにしたりということは、もはやあんまり意味がないと思った方がいい。重要なのは、人間はなんらかの形で他人との関係を持つ――そのかかわりによって「自分の生活」なるものが生まれて来るのだということ、それを知ること。
「結婚に関する前例はあっても、自分達の結婚に関する前例はない」――こう思うしかないところが、現在の結婚の困難なんです。>
(橋本治「20世紀の結婚の困難について」月刊PLAYBOY1993年6月号/「春宵 小論集」中央公論社 所収)


春宵―小論集
<春の宵には、恋が聞きたい。「ムーン・リヴァー」「二人でお茶を」「嘘は罪」など、甘く小粋なメロディーにのせて、世の様々な出来事を詩情あふれるタッチで語る珠玉のエッセイ集。>

登録情報
単行本:314ページ
出版社:中央公論社 (1995/01)
ISBN-10:4120023982
ISBN-13:978-4120023989
発売日:1995/01
商品の寸法:20x12.8x2.6cm

終わり、始まる/第30節 湘南戦

2010-11-15 13:37:58 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10


伸二「そうですね。勝ち点が40点代になった頃から凄く失速したんで……今日も(勝利して勝ち点が)50点越えてるのかなと思ったら、48点だったんで、ちょっとびっくりしましたけど、まあとにかく、このままね、勝ち点3を積み重ねて、最後はどうなるかっていうのはね、ホント勝つことだけ考えてやってきたいなと思います」(Sの極み 11月14日付)

日曜日。アウスタで湘南戦
ゴールポストが折れて中断したとか、久しぶりの5-0の爆勝だとか、選手・監督の退団報道合戦後の初のホームだとかいろいろと思う所もあったが、セレッソ戦があまりにも惨めなゲームだったのに比べ、とにかく感動的なゲームになった。
退団が報じられているフローデがゴールを決め(しかも前回のアウエイ湘南戦で決めて見せた時に似た低い弾道のゴール)、イチ、テルが自分の存在価値を証明するような動きを見せたのは、プロとして当たり前といえば当たり前なのだが、実に感動的だった。西部も好セーブを見せたし、直前に移籍交渉が報道された淳吾も伸二のビューティフルゴールをビューティフルアシストした。ミスも多かったように見えたがこれなら名古屋が欲しがるのも当たり前である(当たり前だ、清水の10番である)。また兵働、タクはセレッソ戦より遥かにアグレッシヴな動きを見せ、元紀は方向性が変わり始めたチームを歓迎し、象徴するように躍動した。
ほぼ降格が決まっている湘南相手とはいえ、またこのチームから4、5人のプレーヤーが離脱する可能性があるとはいえ、スコア以上にとても前向きなゲームに見えた。
それぞれのプレーヤーがそれぞれの価値を証明するようなゲームが出来れば、このチームは本当に強いのである。
特にテル、イチ、西部に関しては感傷的になってしまうのだけれども…最終戦は泣くね。間違いなく。
ゲーム後にチャントの中、いつもの淡々とした表情で歩いているテルとか、マフラーを受け取った西部の姿を見ると胸が締め付けられるような思いになる。
テル、イチを擁護したいがために、フロントはともかく、淳吾や西部をやり玉に挙げて非難する、外様嫌いの近所のオヤジさんはうんざりだけれども。まあ、それもこれもうんざりするようなこともあるけれども、チームは終わりと始まりに向かって走り出したんだから、よしとする。

これから天皇杯四回戦を挟んで中2日、中3日のゲームが来週末まで続く。京都以外のJ1クラブはどこも同条件とはいえ、リーグの最終盤にこういうスケジュールはいかがなものかと思わなくもないが、この日の後半のようなゲーム(つまりシーズン前半戦のような戦い)が取り戻せる、取り戻せているのならば、短いインターバルでゲームが続くのも悪くはない。また本当に選手層が薄いチームはここで脱落していくからね。
とりあえず水曜の天皇杯四回戦は必勝で。

以下、どちらでもいい話。

このゲームで湘南の降格が決まったことにより恒例の勝ちロコが自粛された。いや、“公式”には自粛されたけれども実際には行われた。
以下、経緯。

・エール交換
・強制「王者の旗」の後、OWコール
・パルコールの途中で一部が勝ちコロ開始
・コールリーダーの呼びかけにブーイング
・改めて勝ちロコ
・エスパルスコール

まあサポ同士がエールを送るのはJリーグのイイ話だと思うのだけれども、プレーヤーがピッチから去ってもスタンドにはそれなりに多くの“客”も残っていた。彼らが待っていたのは間違いなく勝ちロコだっただろう。ホームのメンタリティというのはそういうものである。敗れ去っていく相手に対する気遣いというのは美しいものだし、プレーヤーが湘南のプレーヤーを気遣って勝ちロコを自粛する気持ちもわかる。勿論サポ同士がエールを送り合う気持ちもよーくわかる。
しかしホームのサポが義理を果たした上で、ホームの儀礼まで自粛しようとする意図がわからない。
アウエイだったらまだわかる。実際他クラブではそれで揉めたりするゲームもあったわけだから。
しかし、だったら5点取って喜ぶなって話だよ、それ。ホームなのに。健太の退任、テル、イチ、フローデ、西部、アオの退団報道後、初めてのホームなのに。しかも何ゲームか振りの爆勝なのに。
おまけにゲーム前に湘南を気遣うコメントしていたオカが、ダメ押しの後の徹底的なダメ押しになった2点を獲っているというw(まあ、それは“ゲーム”だから当たり前なんだけど)
オレにとっては湘南の降格よりも健太の退任発表後の初勝利の方がとてつもなく重い。
だって、ここはホームだもん。

勝利の時にはホームのスタンドを歓喜で埋め尽くす。自分たちも<闘って>、チームのプレーヤーに勝利を要求するっていうのはそのためなんだと思うよ。
あなた、湘南の降格よりも清水の勝利の方が大事でしょ。
ま、それもこれもバランスの話ですけどね。難しいけど。
ゲリラ的な勝ちロコの後にすかさずエスパルスコールをしたコールリーダーはさすがバランサーだなあとは思ったな。

そんな話はここまで。
次は中2日で、横浜で天皇杯四回戦のマリノス戦。
ここで勝てるかどうかでまたクラブの方向性も決まってくると思うんで、今度は気遣いなしでw全力で声を絞り出します。
まあ、状況はかなり有利に動いているとは思う…。

ゲーム後は駅南で時間まで2時間ほど呑む。
カウンターで呑んでいてブルーハーツががっつり沁みた。
終わっちゃうんだよなあ、このチーム。まあ、これから始まるんだけど。
ちなみに酒場の兄ちゃん情報によると兵働や元紀は素でもいい人らしいです。

<完成>した時代と自信喪失/「革命的半ズボン主義宣言」

2010-11-11 17:41:56 | Osamu Hashimoto
<“現代というのは完成した時代です”というのは、実に不思議な一行です。誰もこんなこと思ってやしないのに、そう言われると「そうですねェ」とうなづいてしまうような一行です。
 実は現代というのは別に完成なんかしてやしないのですが、気がつくとどこにも問題意識が公然と入り込む余地がなくなってしまっていたから、それで人は勝手にフィード・バックして、「ああ、自分の知らない内に、もう時代というのは完成してしまっていたのだ」と思い込んでしまうだけなのです。
 完成してしまったものだから、もう時代は先に行きようがない――そのことは決まっている、だから現代というものはとりとめもなく現在という瞬間々々がなんとなく流れていくだけなのだと、平気で思いこめるのです。
 私はそんなものいやだと思っているということは前にお話ししました。その理由は私がまだ若いからだと。
 私はまだ若いから、完成してはいないのです。(中略)
 現代という時代が完成してしまった時代だとして捉えられることの根拠が、“気がつくとどこにも問題意識が公然と入り込む余地がなくなってしまっていたから”だと私は書きましたが、とんでもない、現代に於いての問題意識は“公然と入り込めないかわりに私的にブスブスくすぶっている”という形で公然と存在しているのです。だから誰だって、現代が完成した時代だなんて思わないけれども、よそから“現代というのは完成した時代です”という一行が飛び込んでくればそこにひれ伏してしまうのです。
 これほどあからさまに問題が存在していて――それは常に“私的な問題意識”として存在している――それでなおかく何も問題がなくて、平気で現在をとりとめもなく流していられるなんて、バカとしか言いようがありませんが、実に、現代に於ける人間の自信喪失の根拠がここにあります。(中略)
 妙に自信を持っている他人を見ていると、自分の中では自信のなさが育ち、その自信のなさを検討して行くと明らかに自分の中には他人と比べて欠落した部分が存在するということが分り、自分の自信喪失だけは揺るぎないものになるという、困った確信(!)だけは生まれる――それが現代の更なる完成であったりするのです。>
(橋本治「革命的半ズボン主義宣言」冬樹社1984年)

革命的半ズボン主義宣言

登録情報
単行本:263ページ
出版社:冬樹社 (1984/12)
ASIN:B000J6X1V0
発売日:1984/12

革命的半ズボン主義宣言 (河出文庫)
<「今、日本に幽霊が徘徊している。どうせ徘徊するんなら半ズボンの方がいい」という宣言にはじまり、「来年の夏はみんなで半ズボンを穿かない?」という不思議なアジテートをめぐって、半ズボンを穿くことの正当性をしなやかな論理が獲得して行く、痛快無比のロング・エッセイ。戦後=近代、男と女、マスコミ、都市、日本的心性、江戸…膨大な問題がたった一行に集約される不思議な本。>

登録情報
文庫:256ページ
出版社:河出書房新社 (1991/01)
ISBN-10:4309402976
ISBN-13:978-4309402970
発売日:1991/01
商品の寸法:14.4x10.4x1.2cm

後の祭り/第29節 C大阪戦

2010-11-10 01:12:55 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
土曜日。大道芸ワールドカップで静岡に行っていたため、BSでセレッソ大阪戦
前回のホームではまだ好調だった攻撃陣がゴールを量産したものの、終盤に立て続けに失点してしまうという、現在の、というか今シーズン後半の不調を象徴するような内容で“完勝”した相手。
つまり内容は悪くないが、意味不明の失点を繰り返す…。
思えば10月の落日は9月の凋落に予告されていたし、9月の凋落は8月、7月の停滞に予告されていた。それは新潟戦、磐田戦、そしてセレッソ戦だった。いまや順位だけではなく勢いという意味でも上位のセレッソだが、それでも健太退任、フローデ、イチ、テル、アオ、西部の退団報道という超巨大なカンフル剤をぶち込まれたチームがどんな動きを見せるか。結果はともかく、それだけがポイントだった。
そしてそれは完全に裏切られたと言っていい。アウエイとはいえ、特に前半のプレーの淡白さは泣きたくなるほどだった。失点以外の後半のプレーはシーズン前半を思い起こさせるものではあったけれども、ゴールを決め切れず先に失点してしまっては、それは後の祭りというものだ。
本当に祭りの後というのはあるのだな。京都戦の後も酷かったけれども、正真正銘、祭りの後の焦燥感が襲ってきた。1年目の終盤からほとんど疑うことなく、健太とこのチームを信頼してきたオレにとってはこの6年というのはまさに祭りだったのだ。アントン爺ちゃんの退任あたりから始まる、このブログのエスパルス関連のカテゴリーは、ほとんど健太エスパルスの狂信的なまでの信仰日記と言ってもいい。
それが今、終わろうとしている。

当然、大道芸のナイトパフォーマンスを観に出かける気力はなくなった。あるわけがない。
そして酒を呑んでサッカーにそれほど詳しくないはずのド素人のオヤジと口論になった。主張は「こんなに早く退任、退団報道が出れば選手の身体が動かなくなる」という至極まっとうなものだった。
そんなものは最初からわかっている。
そんなものは最初からわかっているのだ。
だからこその超弩級のカンフル剤だ。こんな状況だからこそピッチに立つプレーヤーが動かなくてどうするのだ。
オレが軽くビールを3本程度飲んだぐらいで12時間以上寝ちゃうのも当然だと思う。
嫌なことは寝て忘れるしかない。

でも翌日は天皇杯四回戦、マリノス戦のチケットを買った。
オレにとっては健太エスパルス最後のアウエイ戦になるかもしれない。
2ちゃんにはコールリーダー引退の噂も出ている。何だか行動が正直すぎるように見えるところはあったけれども彼の真摯な姿勢は大好きだった。横浜ではゴール裏で潰れるまで声出しますよ。
こんなところで終わらせないために。

今朝の静岡新聞のコラムに「一週間気持ちを切り替えるのが難しかった」というコメントが紹介されていた。これが健太のものなのかははっきりしないが、健太のものならば16日の京都戦の惨状の理由、そしてゲーム終了後のスタンドに漂っていた、認めざるを得ない終末感の理由がわかったような気がする。
リーグは残り1ヶ月。まだ、いろんな話が出てくるだろうね。
まあ、ACL出場権だってまだ諦めるような位置じゃない。諦めるのはまだ早い。