徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

食べると死ぬらしい

2007-05-31 20:29:07 | Works
午前中。雨も小康状態になったので築地まで自転車で向かう。ほとんど平坦なので約10キロ、30分ほどで到着。

築地市場の「辛いもの屋 高梨香辛店」の取材。七味唐辛子など和洋の各種スパイスが揃うスパイス専門店である(サイト参照)。数ある商品の中でも、あるひとつの商品の宣伝コピーがすごい。

「死ぬ」「子供厳禁」

これだけである。舐めると死ぬらしい。
ブレアーズ(ガードナー・リソーシーズ)のデスソース。タバスコの約20倍という、その筋の方々には有名な激辛ソース。
さすがにまだ死にたくはないが、それならばとご主人に少しだけ舐めさせていただいた。確かにこれは効いた。舌で味わったオレは汗が止まらず、呑み込んだ入江は取材が終わって築地市場を出る頃まで内臓に刺激を受け続けた。
高梨香辛店には、その他に2000倍に薄めなければ使えないという辛味エキスを濃縮した業務用の液体香辛料もあったりして、こうなるともはや食品と言うよりも薬品である。ちなみに、何を思ったか某局のアナウンサーがこの濃縮液体を呑み(舐め?)、喉にダメージを受けて一週間医者通いした逸話もあるという。

その時、ひとりの白人観光客が近くにいた。オレと入江がご主人に「死のソース」と名づけられた激辛ソースを一滴、手に落としてもらっていると、この白人男も興味を持ったらしく手を差し出してきた。入江が声を掛け、一斉に舐めようということになったのだが、しかしこの白人男、オレと入江があまりの辛さに悶えているのを見て、手にした「死のスープ」をそっとティッシュで拭き取った。イエローモンキーに試させて自分は舐めないのかよ!ズルイぜ白人(デスソース自体、ニュージャージー生まれなんだが)。

ボトルキャップについたスカルのキーホルダーがイカす、デスソース購入。
人間は身体にいいものを欲しがるのと同じぐらいに、刺激の強いものも欲しがるということである。

市場内の洋食屋さんで昼食。

佳境

2007-05-30 21:20:05 | 漣流 sazanami-ryu
月曜日、ちょっと自宅作業とアポ。そして新宿で打ち合せ。のち、ゴールデン街のスタンドで朝まで呑み。やるなら今しかねえ~♪とナガブチを唸り続けるカラオケ青年。新宿の街に似合ってた。飲み屋で寸借詐欺みたいなことをしていたオヤジを退治したシェフの兄ちゃん。レッズの吉沢さんにそっくりだったな……などと思いつつ新宿駅で始発待ち。火曜日、死亡。そして今日はゲラを修正して、またもや朝からひたすらアポ。来週も取材が続くので今週末からぎゅっと詰め込んで調整。

夕方から渋谷のIQIで『サザナミ流』の打ち合せ。コレ、昨年から続いている漣健児=草野昌一さんの書籍プロジェクトであります。数ヵ月後のリリースを目指して、来月から再来月にかけては怒涛の取材攻勢の予定。いよいよもって佳境第一弾。

夕凪

2007-05-25 20:30:48 | LB中洲通信2004~2010
木曜日。
昼から松竹で『夕凪の街 桜の国』の佐々部清監督の取材。扱っている題材は広島の被爆者とその被差別ということでヘヴィなのだけれども(もちろんそれが主題ではない)、市井に生きる人々を爽やかに描く一本。何よりも誰一人として悪人が出てこない映画である。原作がある作品だが、これは佐々部監督のポリシーであるようだ。ともすればこういうポリシーは曲解されたり、拡大解釈されたりするものだが、それも含めて監督の「映画」に対する熱い思いを聞く事ができた。
9月号に掲載予定。

ナビスコカップ予選リーグ最終節 熱い45分間、そして6346人の幸福

2007-05-24 21:24:33 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
水曜日その2。
17時過ぎまでに何とかツースリーへ原稿をメールし、急いで東京駅へ行く。そして満員の新幹線に揺られながら日本平へ。先週、今週とまったく何の余裕もない。ちょっと痩せたんじゃないかと思うぐらいだ(ラッキー♪)。しかし2週間前から、この日だけは何が何でも行かなければならないゲームだと確信していたので、例え2ndハーフ、45分間のためだけでも何が何でも日本平へ行くのである。悪い、今日は誰が何と言おうと、何が何でもだ。

そして清水駅からタクシーを飛ばし、前半終了と同時にスタジアムに到着。スコアボードを確認すると驚愕のスコアレス……正直ちょっと萎える。本当に45分間のためだけに来てよかったのか。
しかしここから清水のプレーヤーは胸の熱くなるようなゲームを見せてくれた。何よりも目の前で、へとへとになるまで動き続けた藤本淳吾の姿には感動した。クールで、自己表現をあまりしないせいか、勘違いされやすいタイプのプレーヤーではあるけれども、この日の2ndハーフは闘う姿勢を最後まで途切らせることなく走り続け、この後の熱いゲームの流れを決定づける美しいフリーキックを決めてみせた。
スタンドではあちこちから「あと2点!」「あと1点!」の声が挙がる。それでほとんどの観客は柏対横浜戦の戦況を理解しただろう。そして清水が残り30分をフルで闘い続けなければならないことも。清水のプレーヤーもスタンドの声に煽られるようにヒートアップしていく。たった6000人とは思えないほどの熱狂がスタジアムを包む。
そしてタイムアップ。フェルナンジーニョをはじめ、数人のプレーヤーが完全にピッチに倒れこむ。こんな光景は一昨年のノボリの日本平ラストゲーム以来かもしれない。大宮戦を前にわずか勝ち点2だったチームが、勝ち点も、そして得失点差も1位に完全に並んだ(当該チーム同士の戦績で横浜マリノスの決勝トーナメント進出決定)。結果は予選前半4試合の借金が影響してしまったとしか言えないが、ここまで可能性を信じて熱く闘ったプレーヤーを誇りに思うよ。きっとこの日の闘いは次へつながる。

健太「言葉がないぐらいよく選手が最後まで頑張ってくれたという風に思います。(中略)……勝ったとはいえ非常にやるせない思いでいっぱいです。(中略)非常に残念ですけど、選手たちを今日のゲームにおいてはですね……非常に誇りに思いたいなという風に思ってます」(Sの極み 5月23日付け)

12月にもこんなゲームを観たいもんだね。そのときの日本平の花火と『王者の旗』はどんな風に胸に響くだろう。

仕事で煮詰まっていた気分も吹き飛び(こういうのがホントのリフレッシュという)、最終の新幹線で東京へ戻る。家に帰って校正に目を通し、ビデオで『夕凪の街 桜の国』を観る。CLファイナルまで持たずに、倒れて寝る(当たり前だっての)。

2007-05-24 19:59:52 | Works
水曜日。午前中に代官山にある布のコンセプトショップcoccaの取材・撮影。一軒家を改造した店内は外見よりも開放感があり、ギャラリーのような趣き。「住みたい」というお客さんもいるらしく、居心地はかなりいい。まあ自分で裁縫ができる人ならさらに楽しめるスポット。覗いて見るだけでも楽しめるよ。

取材は1時間ほどで、家に帰って今月号最後の原稿(結局朝までに終わらず)。

効率

2007-05-23 01:55:31 | Works
編集という仕事は(いや編集に限らないが)、ほとんど人の話を聞くのが仕事のようなところがある。会話の中から相手の言いたいことを察して、語らせる(訊く、聞く)技術というのはやはり必要不可欠なのだと思う。

世のトラブルや悩みは、実際に声を聞いて、誰かと会話すれば大抵解決すると思っている。
メールは確かに作業上効率は良いけれども、必要な確認事項を確実に伝えるような場合を除いて、本当はあまりメールは使わない方がいいのではないかと思う。下手にメールだけでやりとりしていると効率的な反面、むしろタイムラグにストレスが溜まり、感情的になるばかりで、精神衛生上まったくよろしくない。またコミュニケーション不足の原因になり、トラブルの種になる。
効率的とか形式的とかやっぱりオレ、苦手だな。
これ今日、感じたこと。
いつでもいいから遠慮せずに電話で話そう。

巨匠

2007-05-20 19:56:25 | LB中洲通信2004~2010
さすがに混み合う休日の東京ミッドタウン近くにあるスタジオに向かう。
『図鑑に載ってない虫』最後は巨匠岩松了さんのコメント取材。オレらが一組目だったのだけれども、これから映画、舞台の予定が立て込んでいるらしく、いきなりお疲れ気味。それにしてももはや三木組と言っていいくらい三木聡作品への出演が続いている岩松さんだが、初対面は数年前なのだと言う。これは意外だった。

これで今月号の取材は終了。残りも含めて明日の朝までに片付ける……つもり。
23日はナビスコカップ in 日本平だし。

チョロ

2007-05-19 14:03:09 | LB中洲通信2004~2010
金曜日。『図鑑に載ってない虫』のふせえりさんの取材。濃厚なキャラが多い中、五分刈の女チンピラ、チョロリ役を演じる。80年代のシティーボーイズショー、ラジカルガジベリビンバシステム時代から笑わないコメディエンヌぶりが印象深い女優さんだった(もちろん取材ではそんなことはないのだが)。
チョロリの声の秘密も聞けたし、やはり素はキュートな女優さんだと思った。キャリア的にはベテランだが。

冬から夏へ

2007-05-18 17:46:52 | LB中洲通信2004~2010
続いて『サイドカーに犬』の名匠・根岸吉太郎監督の取材。帯広のばんえい競馬を舞台にし、数々の映画賞を受賞した前作の『雪に願うこと』の骨っぽさと打って変わって今回は少女の夏休み。そして謎の女、竹内結子という爽やかな一品。
話は『サイドカーに犬』、映画監督の仕事、映画の境界線、オリジナルへの想い。
こちらは8月号掲載予定。

ねばる

2007-05-18 17:21:39 | Works
木曜日。幡ヶ谷駅近くの6号線商店街にある納豆ごはん専門店「ねばり屋」さんの取材・撮影。
以前はサプリメント関係の会社に勤めておられたというご主人が4年前に開店。もともとそれほど納豆好きというわけではなかったそうだが、むしろ、だから続いているのではないかという。もちろん現在では毎日、2~3度は食している。医食同源の納豆だからこそ、日常的に食してこそ効果がある。ちなみにカフェやレストランのような店内は、イタリアン料理店の居抜きそのままだから。これも“らしく”なくていい。納得。
鶏そぼろがなかなかグーです。

マシン日記

2007-05-17 21:33:05 | 素日記
数年ぶりにMTBを買った。日頃の運動不足解消と山手線圏内の取材地への移動手段に使用するためだ。
今週は連日取材なので今日の幡ヶ谷での取材に使ってみた。幸い雨も小康状態。西の空は明るい(ように見えた)。5、6年前は半蔵門まで30分を切るタイムで通っていたんだから、幡ヶ谷まで1時間もあれば充分……と思ったのが大間違い。買ったばかりの慣れないマシンで(しかも急いで自分で調整した部分もある)1時間近く乗り続けるのはさすがに無理がある。おまけに信じられないくらい体力が落ちていたことを実感した。
しかも隅田川を渡ろうかというところで自転車走行には致命的な、笑えるぐらいの豪雨に遭遇。このまま走り続けたら事故確定、わが身の大惨事が頭をよぎる。
結局自転車は御茶ノ水近辺に止め電車移動。
幡ヶ谷の取材は断念したが、一度御茶ノ水に戻り、夕方からの虎ノ門での取材で再びチャレンジ。
やはり皇居周辺を自転車で走るのは最高に気持ちいい。
新宿・渋谷での取材に使用するのはまだ早い。もちろん安全運転で帰宅。

図鑑に載ってない…

2007-05-17 00:02:36 | LB中洲通信2004~2010
夕方から『図鑑に載ってない虫』の三木聡監督の取材。
正気の主人公が狂気と不条理の中に叩き込まれるという、ある意味オーソドックスなコメディのスタイルで、観終わったときに爽やかな印象さえ残る、意外なほどまっとうなロードムーヴィー。これ青春ですよ、青春。三木聡の笑いの世界が細かく散りばめられているのは相変わらずで、舞台ほど自由ではないが、さすがにテレビではできないコメディ映画になっている。『時効警察』好きな人はまず間違いなく観た方がいいでしょう。
取材では三木さんの身振り手振りを交えたマシンガントークに多少押されてしまったけれども(さすがに長年テレビの世界で勝負してきた人だね…)、彼のお笑い論の片鱗に触れることはできたか。それにしてももう少し時間が欲しかったなァ。実は頭の中で考えていた質問案の半分も消化してなかったのだ。残念。
この日が取材日だったらしく朝から取材が続いていた模様。

お笑いを説明しちゃうのは野暮だからしないけれども、しかし三木聡のぶっとい世界観はよーく表現されている映画だと思うです。
7月号に掲載予定。

漢方

2007-05-15 20:49:35 | Works
昼過ぎから品川にある薬日本堂の漢方ミュージアムを取材・撮影。
店に入った瞬間にたち込める漢方特有の香り。ここには通常のカウンセリング型の漢方薬局のほかに漢方レストラン、漢方スクールなども併設されている。
オレもそろそろ漢方のお年頃か。

取材後、ぴあで打ち合わせ。
久々にインビテーション編集部のOさんと会う。打ち合わせの前にラグビー日本代表監督のジョン・カーワンの名将ぶりを力説される。オシム級らしい。ちなみに力説しても誰もピンと来ないらしい。ラグビーファン以外にはなかなかピンと来なさ加減も就任直後のオシム級かも。