マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡の田の虫送り

2014年12月31日 07時55分43秒 | 山添村へ
3年ぶりに訪れた山添村切幡の田の虫送り。

昼過ぎに住民のNさんから「今夕は田の虫送りをする」と電話があった。

訪問して欲しいという願いの電話だ。

これまで切幡では田の虫送りの他、多数の村行事を取材してきた。

正月行事の山の神、オコナイとんど弓始め

二月は初午のオイナリサン

四月は桃の節句子洗いのお大師さん参り

八月の一万度ワーイ

十月の宵宮座入り秋大祭

十二月の神還りがある。

村行事の他に僅かであるが、お家の風習も。

クワ初めナルカナランカ節分の魔除け社日のミトマツリ、田植えのウエゾメお月八日刈り仕舞いフクマルの風習も取材させていただいている。

先月に撮らせていただいた田植えの様相

写真ができあがったので始まる前に立ち寄った。

訪ねた家は隣家のH家だった。

ご主人も奥さんの顔も行事の際に拝見している。

間違って伺ったにも拘わらずアイスコーヒーをいただいた。

積もる話題は切幡の行事。

初めて訪れたのは神明神社境内で行われる一万度ワーイだ。

それなら本を買ったことがあると奥から出してこられた。

なんと、淡交社から発刊した著書の『奈良大和路の年中行事』だったのだ。

大人たちに混ざって子供が手を揚げている。

それは孫だと云う。

なんという奇遇であろうか。

厚く御礼を申して隣家に寄った。

できあがった田植えの写真をさしあげたH夫妻。

喜んでもらえたのが嬉しい。

こうした出合いはいつどこでもあるわけでない。

度々、立ち寄る切幡の人たちに感謝する次第だ。

さて、田の虫送りは極楽寺から出発する。

本堂に灯したローソクの火。

そのオヒカリを自作した松明にめいめいが火を移していく。

その様子は以前に伺ったときに撮らせてもらった。

この日は寺を出発した直後の情景を撮りたかったのだ。

待つ場は1カ月前に田植えをされた水田辺り。

稲はすくすくと育っている。

日が暮れる時間帯ともなれば婦人や小さな子供たちが集まってきた。

浴衣を着ている女児もいる。

極楽寺に仄かな明かりが点いた。

松明に火を移したのである。



下った民家の間から数本の松明火が現れた。

この日はいつ雨が降るやもしれない日。

空は曇天で夕陽は見られなかった。



先頭を行くのはⅠさんだ。

平成23年に訪れたときも先導していた。

切幡の松明は枯れた竹を束ねて杉葉をつける。

燃えやすいようにしている松明の火は大きい。

田んぼ周りを巡って田の虫を送っていく。

後方についた太鼓打ち。

ドン、ドン、ドンと太鼓を打つ音色が聞こえてくる。

かつては先頭の人がホラ貝を吹いていた。

ずいぶん前にホラ貝の口が壊れてしまったことからそれは登場しなくなった。

平たい太鼓も破けてしまい革を打ち直した。

それを軽トラックに積んで後方についていく。



松明は20本程度だが、子供たちも参加している。

クラブを終えた学童は野球のユニホーム姿だ。



いつもであれば、子供の姿はみることはないが、この日は大勢だ。

松明を持つのは男の子。

女の子は松明の行列を見送る。



神明神社下の四叉路を東に折れて車が往来する新道を練り歩く。

そうして街道を抜けて1km先の隣村の三ケ谷辺りまで行く。



松明を翳して上機嫌のNさん。

写真一枚撮ってと願われてシャッターを押す。

トンド場に着けばめいめいが一本ずつ火が点いたまま放り投げる。



積み重なった松明が炎を揚げる。

付いてきた太鼓打ちの年如さんは解散したあともこの場で松明が燃え尽きるまで見届ける。

およそ15分間の田の虫送りはこうして終えた。

川面にはヘイケボタルの群れが光を放っていた。

上空を飛ぶホタルもいるが、生息数は僅かである。

昨年は雨天で翌日に順延した切幡の田の虫送り。

帰路は20時過ぎになった西名阪国道は小雨が降ってきた。

家路に着いた21時には本降りになった。

戻った自宅周りではスズムシが鳴いていた。

(H26. 6.21 EOS40D撮影)


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