マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡のとんど

2010年02月12日 08時50分57秒 | 山添村へ
14日の夕刻から翌日の朝にかけて行われてきたとんどの行事。

昔は成人の日が15日で、その日は小正月だった。

ハッピーマンデーが実施されてからは15日が平日になる場合が多く、地域の人たちが集まりやすい成人の日、もしくはその前日に移行する地域が増えつつある。

山添村の切幡でも多分に洩れず行事日程を変更された。

切幡のとんどは4カ所で行われている。

上出、下出、井ノ出谷の地区に加えて3軒の家の集団で行われている地区がある。

とんどはほぼ同時期に始められている。

地区によっては子供の人数に差異がある。

多い順でいえば上出、下出、井ノ出谷となる。

いずれも火を点けて暫くしてから学校の宿題で書いた習字を燃やす。

宿題は正月前に出されていた。

それを家で書いて一枚は学校へ提出。残りをとんどで燃やす。

竹の先に書を挿して火に翳す。

すると、あれよあれよという間に熱気で燃えた書は舞い上がって天空に飛んでいった。

「天まであがったわ、字がうまくなるでー」と大人たちは喝采する。

一方、村人は竹にモチを挿してとんどで焼く。

燃え残った竹は痛まんようにお漬け物やお味噌、梅干しの壺のニケに置く(※1)というおばあさん。

おばあさんから教わったことを今でもしているのだという。

ニケ(※2)はニキ(※3)とも言って傍のこと。

懐かしい表現に故郷を思い起こす。

とんどは畑やグランドを使っている。



かっては決められたとんど場があった。



アスファルトの道になって電線が通るようになってからは場所を替えたそうだ。

※1 下笠間に住むIさんによると味噌や漬物の容器の上に置くと傷まないという。それでこの焼けた竹を下笠間ではミソタ(ダ)ケと呼んでいる。
※2 ニケと訛ることは考えにくい。
※3 ニキは奈良や大阪に播州、遠くは尾張でネキと呼ばれている。ネキは当て字するならば根木とされ、その字のごとく木の根っこで傍らをいい、長野、三重、山陰、四国、九州辺りでも使われているようだ。また十津川では「家の裏」をいう。

(H22. 1.11 Kiss Digtal N撮影)


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