どんなに迅速な状況の展開にあっても
どんなに停滞し沈湎の底に沈んでも
プレーとプレーのつなぎ目は存在する
入力と出力を結びあわせる踊り場
車両と車両をつなぐ連結スペース
すべてのプレーはこのつなぎ目を経由して出力される
出入力のしくみはどこにも表示されない
すべてはバックステージで起きている
コード群が指定する状況と展開のウラ側にあって
状況の進行をモニターし、記録し、審議している
新たな連結関係を創り出すための作業場がある
世界に表示されない不可視、不可知、不可触のアトリエ
どんなに切れ目のないように見える展開にあっても
次のプレーはこのアトリエを経由して生み出されていく
アトリエにおいて、日々、刻々、ゆらぎながら
まどい、ためらい、行きつもどりつ、たゆみなく
新たなプレーの出力を思案しつづけている裏方
オモテの一人称を支えるように試行錯誤をくりかえす
プレー創出の作業に専心して生きる影の一人称がいる
状況は重く、展開は読み切れない
しかしどんな状況にもスキマがある
この一人称のいとなみを見失わないように
状況に目がくらみスペースをかき消さないように