「ばらけたまませめぎ合えば最後に殺し合いが待っている」
「どうすんの」
「ばらけを生かすには地平が要る」
「どんな」
「共通の地平。ちっぽけな、ローカルな地平ではないよ」
「同じ惑星に生きているけど」
「同じ地平に生きているという共通感覚」
「いきなりそこには行けないでしょ」
「そのとおり」
「そんなことできるのかな」
「アプローチは工夫しなくちゃね」
「どうやって」
「いいかえると、同じゲームの一員という共感覚」
「メンバーシップ感覚?」
「うん。共通のルールゲームでプレーするプレーヤー同士という意識」
「それだけ?」
「資格要件はそれだけでいい」
「それ以外はちがっていいわけ?」
「趣味、嗜好、能力、思想、信条、埋められない多様な差異がある」
「それでもいい?」
「だからいい。そこではじめて多様性という言葉の本質が顕現する」
「どんなゲーム?」
「それを見出すとても大事な、考えるに値する一番の仕事があると思う」