雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

昆明の飲み水2

2012-12-01 14:19:41 | Weblog
 写真は昆明の中心街よりやや東方にあるメイ(迷)物ホテル・茶花賓館の入り口(2010年夏撮影)。外国人の宿泊客が多く、とくに欧米系のバックパッカーが多い。その理由はホテル内に併設された旅行会社で昆明からのバスや飛行機の手配などが取りやすい、英語の説明プレートが置いてあり、漢字が分からなくても、なんとか観光できるため、のようだ。日本の『地球の歩き方』にも紹介されていた。
 いつから生い茂っているのか不明な蔦がからまり、岩ツバメが巣を作る。外からの日差しが期待できない1階フロントの照明も、ほとんど見あたらず暗い。外国客用のマッサージ店もあるのだが、いつ、開店しているのか不明。なんとも不思議な欧米風「アジアンテイスト」のホテルなのだ。
 昆明ではビジネスや一般観光客向けのこざっぱりとした商用ホテルが多いため、じつは東南アジアの繁華街にでもありそうな、このようなテイストのホテルは珍しい。

【水質改善のため? 新手のホテル税】
 さて、昆明の足もとの滇池です。もともとの飲料用だったこの池の水が回復すれば、昆明市民の水不足は、遠くの水を運んでくるよりもより合理的に改善されるはずです。

 ところが以前も書いたように100以上の河川が流入し、水深も平均5メートルと浅い水たまりのよう、流出口も蟷螂川の一カ所のみで、ただでさえ汚水がたまりやすそう、と生態系の回復への悪条件の重なった池の回復事業は生やさしいものではありません。

 すでに累計171.77億元(約2061億円)を投入し、爆発的に夏場に発生する藍藻の除去などの対策を進めるものの改善のきざしはみえず。1998年から14年間連続で国家が認定する最下位ランクの劣悪な水質の湖沼から抜け出せないままです。

 今年からはさらに5カ年計画で420.14億元(約5041億円)を投入する計画が始動中です。

このように年々、雪だるま式にふくらむ水質改善のための経費に頭を痛め、雲南省人民代表大会では、とうとう滇池流域のホテル宿泊者から1日10元の「滇池生態資源補償費」をとってはどうか、と審議されたほど。

 これが決まれば、2011年には4000万人以上が昆明を来訪したので、彼らが一日、昆明に宿泊すると4億元の収入になると皮算用したのですが、あまりにムチャクチャな法律だと、マスコミやインターネットの袋だたきにあい、この条例案は取り下げられました。
(詳しくいうと今年8月6日に補償費案が新聞発表されるや北京のタブロイド紙「新京報」や香港の新聞などが「現地企業や現地の人々ではなく、旅行客に汚染の補償をさせるとは何事か」と取り上げて世論を引き起こしたため、9月26日に昆明市政府が撤回した)

 平成14年より東京のホテルに泊まると、宿泊税なるものを一泊100円~200円払わされる東京都に比べると、中国の世論のほうがよほどしっかりしているなあ、という気もします。
(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする