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偽装食品の見分け方12

2007-10-19 16:23:04 | Weblog
写真は、城中村である羅丈村内にあるお寺、普慈寺。門前は昔ながらの農村。背後はきれいな高層マンションが建ち並ぶ。そんな中、おばあさん達は寺を掃き清め、紙でできた奉納物と巨大な線香をお供えして、正月に備えていた。周囲の殺伐さとは別世界の、不思議な光景だった。

【はかり良好、味良好】
 さて、安心肉を買いに来た張おばさんは、
「‘滇中楽’肉店が開業してからは二回とも、ここで肉を買ったよ。どうも‘滇中楽’のものの方が秤も正確で、質も良好なようだ。以前、この市場で買った肉は、炒めると水が出るし、重量が少し足りないこともあったよ」(『都市時報』二〇〇四年一二月二四日)
と答えている。じつはその後、次々と「安心肉」を掲げたチェーン店が展開しているのだが、他の場所では新聞沙汰にはなっていない。調べてみると、事件がおきた場所にも問題があることがわかってきた。

【城中村再び】
 羅丈村、江東地区、王旗営はいずれも昆明市の中心部からやや北はずれに位置する。一〇年ほど前までは市中心部からやや離れたところにある、ごく普通の農村地帯だった。それが急速に「都市」が膨張し、農村は「都市」の中に飲み込まれてしまった。以前に紹介したことのあるインフラの整わない陸の孤島・城中村である。
「安心肉」チェーン店が問題となった場所は、ちょうど膨張した「都市」の周縁部に集中していた。

 買いに来る人は昔から住んでいながら、今まで耕していた土地を「開発」で失ってしまった農民と、街の建設のために近年、流入した出稼ぎ労働者。

 出稼ぎ労働者は、日々の生活に追われて、いちいち商品をチェックするゆとりはない。毎日、新聞を読む暇もないから「偽装」食品に対する知識も希薄だ。それになじみの客になるほど、長く住むわけでもない。その地域への責任感や帰属意識、ひいては道徳観念も希薄になりがちだ。これでは市場の強みである売り手と買い手の信頼関係が生まれるいとまもないだろう。

 農村と街では法規関係も全く異なり、管理の受け皿も異なるので、開発の予算すら付かないまま、放っておかれた地域。警察の目も届きにくいため、犯罪の温床ともなっているという。

 市政府としては壊してしまいたい気持ちもあるのだが、そうなると流入し続ける外来人の居留地を別に確保する必要が出てくるし、どこから予算を引っ張ればいいのかという問題にも直面する。偽装がたやすく行われる温床には、このような無責任さがつきまとう。  
             (この章おわり)

長い間、偽装食品のおはなしにおつきあいくださいまして、ありがとうございます。続きは、『現代思想11月号』(青土社)でまとめましたので、ご興味がございましたらお読みくださればうれしいです。ついでに感想などもお寄せくださるともっとうれしいです。
 次回からは食欲の秋にふさわしい、雲南のおいしいもの編スタート、です。

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