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佐川美術館は、1998年に佐川急便創立40周年を記念して開館、美術館の敷地は、大部分が人工池になっており、水の上に浮かぶ2棟の切妻屋根の展示館には日本画家・平山郁夫と彫刻家・佐藤忠良の作品が展示されています。

その2棟の展示館は、以前このブログで紹介したことがありますが、今回2007年に新館として併設された樂吉左衞門館と茶室のことを紹介しましょう。

楽吉左衛門さんは、佐川美術館から楽吉左衛門館の建設を提案された際に「吉左衛門館と茶室の設計を僕にさせてください」と言い、数週間後に佐川側から「設計のほうも宜しくお願いします」という回答を受け取っています。

楽吉左衛門さんは、楽吉左衛門館を地下の美術館としたいと考えますが、地下美術館は安藤忠雄氏が先にやってしまっていて、まず悩むことになります。

その経緯は著書「茶室を作った。五年間の日々を綴った建築日誌」に詳しく記載されていますので、そのなかのさわりの部分を引用<・・・>してみましょう。

<楽吉左衛門館のテーマは、自然、循環、人間存在のレベルを問いかけること。それは己自身の在り様を問う茶室の意味となる。現代における「市中の山居」をどのように成立させればよいか>と茶室の設計に悩んでいます。

<茶の湯、つまり茶室とは たんなる茶室建築だけでなく、小間や広間といった茶室を中心に露地や寄付などを含めた小宇宙、茶の湯ゾーンなのだ。茶室だけ独立して存在するものではない>

<そのゾーンそのものが非日常性に向かって開かれており、それぞれ異なる役割を持って非日常へと迫りゆくのだから、結局茶の湯の建築学は茶室建築様式ではなく茶の湯ゾーンの「場」としてのポテンシャルをどのように導きだすかにかかっている>

<茶の湯の最大の緊張感と集中度を遂げる小間は水没させる。それに対して薄茶を中心とする広間は水面、つまり地上レベルに置く>ことに決定しています。

つづく

参考文献:茶室を作った 楽吉左衛門著



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