TPP交渉で白旗掲げ 聖域なし関税撤廃の自民党のコレが台詞......
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毎日新聞山形
5月30日に山形県農協政治連盟が、反TTP参加を掲げる現職でみどりの風政調会長の舟山康江氏(47)の推薦を決めると、自民党TPP対策委員長の西川公也衆院議員が31日に来県。米沢市内で農業関係者や地元議員ら約50人を前に「いま自民党を敵にして農業が大丈夫だと思っているのか」と、県農政連の対応に怒りをあらわにした。
西川衆院議員はTPP交渉の実態が正確に把握されていないのが支持を得られない理由だとして「今後も農林関係者の議員らが山形に入り、理解をえたい。聖域は守る」と話した。自民新人の大沼瑞穂氏(34)の他、岸宏一参院議員、鈴木憲和衆院議員も顔をそろえた。
一方、舟山氏は1日、山形市内で農協や教職員組合、医師会などが開いた反TPPの学習会に参加。約400人を前に「米国では、日本は農産品を含めて関税撤廃を決断したと考えられている。安倍政権の説明とは異なる」と指摘。「TPPの参加交渉について正確な説明がされていない。TPPは、大きな企業だけがもうかる仕組み。地域にメリットはない」と話した。(引用終わり)
西川衆院議員の「いま自民党を敵にして農業が大丈夫だと思っているのか」の発言はまさに恫喝だが、TPPを推進する自民党の政策によって農業が一段と崩壊していくという現実から視点をずらした、居丈高な与党の居座り強盗的な本末転倒の発言といえる。
その後に続いた、TPP交渉の実態が正確に把握されていないのが支持を得られない理由としたのも、本末転倒だ。TPP交渉の実態が正確に把握されれば、支持を得られるどころか、驚愕の事実が明らかになり、農業関係者だけでなく国民の大多数から怒りを買うことは明かである。交渉実態を明らかにしないことをいいことに、交渉参加を正当化する詐欺師まがいのテクニックだ。いや詐欺師どころか、国賊ともいえるだろう。
一方、舟山参院議員は元農水省の職員で、鳩山内閣時代は農水省の政務官を務めた。農政通ということもあるが、山田正彦元衆院議員をはじめ反TPPの中心人物のひとりとしてTPPの本質を明らかにし、信頼のおける政治家として県内外で浸透している。
この舟山参院議員が出席した学習会というかTPP反対集会は、主催がJAグループ山形をはじめ山形県商工会連合会、山形県医師会、山形県土地改良事業団体連合会など21団体からなり、事務局をJA山形中央会が務める。いわば伝統的な自民党の支援団体だが、山形県内では一斉に離反した格好だ。つまり彼らは、安倍政権がTPP交渉に参加した時点で政府・自民党は国益を守ろうとしない米国に積極的に隷属する売国奴と判断し、行動に移している。
しかしながら、佐賀県農政協議会のように自民党公認候補者の推薦を白紙に戻すも、「いったん白紙にしたことで、党に対するけじめはついた。我々の意見を代弁してくれる山下氏(自民党候補者)に期待したい」(協議会の中野会長)とし、呆れかえるが再び推薦を出した農業団体もある。自民党候補者を推薦するのなら、農業関係団体はTPP参加賛成ということになる。
山形県と佐賀県の農業関係者の差異は一体何なのか、興味深いところだ。
ところで毎日新聞のこの記事は、西川衆院議員の発言を伝えてはいるが、その発言の正統性についての検証がない。これでは新聞社でなく通信社だ。日本の新聞社の多くが、現象面を報道する通信社になっている。
日本の新聞社の記者はジャーナリストではない といったらそれまでだが、報道の姿勢や在り方が変わらなくては、国民には物事の本質がなかなか伝わっていかないだろう。