京男雑記帳

洛中で生まれ育った京男が地元視点で見た日常風景や話を雑記的に掲載

なすあり地蔵

2010年09月18日 06時10分48秒 | 風景


祇園白川巽橋近辺を川端方面に歩いていると不思議なお地蔵さんを見つけた。
名前は「なすあり地蔵菩薩」
この白川に沿った道(白川北通)が平成十年(1998)に前面改修されて、「なすありの径(みち)」と命名されたからですが、もう一つの由来は、昭和29年(1954)に、京都市水道局が花見小路通の水道管工事をした時、このお地蔵さまが白川の川底から掘り出されたことによります・・・もしかしたら、何百年もの間、水底の土中にあったのかもしれませんね。



「なすあり」とは、地元有済小学校の「有済」を逆さに読んだもので、中国古代の歴史書「書経」に記されている言葉です。意味は、「耐えて忍べば済(な)す有り(どんな辛い事に対しても、耐え忍んで努力すれば必ず報われる)」ということで、このお地蔵様が何百年もの間、川底の暗闇でじっと耐え、ようやく日の目を見たことを讃えて名付けられたものということです。



こんな言葉もある
「世世(よよ)其(そ)の美を済(な)す」『春秋左伝』
意味は、先人の善行や美徳を代々受け継いでいく。
「耐えて忍べば済す有り」と共にいま必要な言葉ですね。
お地蔵さんに学ばないとね。



※付録
地蔵菩薩の功徳利益
地蔵菩薩本願功徳経には、二十八種利益と七種利益が説かれている。

●二十八種利益
・天龍護念(天龍が保護してくれる)龍神は友だちやし
・善果日増(善いカルマが日々増していく)いいカルマでもちょいっといややな、中道的ゆらぎを持った状態がいいのでは。
・集聖上因(聖にして上なるカルマが集まってくる)集まってきても生きにくくなりそう。回りがマイナスのカルマの人が多いだろうし。導けということかな。
・菩提不退(悟りの境地から後退しない)いつも後退しているものね
・衣食豊足(衣服や食物に満ち足りる)タルタルステーキと山羊のチーズが少々
・疾疫不臨(疫病にかからない)疫病は関係ないな
・離水火災(水難や火災を免れる)これも関係ないな
・無盗賊厄(盗賊による災厄に遭わない)盗賊が無傷で済まないからかわいそう
・人見欽敬(人々が敬意を払って見てくれる)人にどう思われようとあまり気にしないけど
・神鬼助持(神霊が助けてくれる)自分の眞我に頼んだ方が確実かも
・女転男身(女性から男性になれる)近年逆が多いね
・為王臣女(王や大臣の令嬢になれる)セレブになれるのかな
・端正相好(端正な容貌に恵まれる)これ以上もうええけど・・・な~んちゃって
・多生天上(何度でも天上に生まれ変わる)もうええけど
・或為帝王(あるいは人間界に生まれ変わって帝王になる)ミナミの帝王や祇園の帝王。
・宿智命通(カルマを知る智慧を持ち、カルマに通ずる)通じても解消できないと意味がないかも。
・有求皆従(要求があれば皆が従ってくれる)要求はあまりないけど。
・眷属歓楽(眷属が喜んでくれる)確かにそれはいえる。眷族って血のつながりのあるもの、従者、家来のこと。
・諸横消滅(諸々の理不尽なことが消滅していく)これは必要
・ 業道永除(カルマが永久に除かれる)これも必要
・去処盡通(赴く場所にうまくいく)いまはナビがあります
・夜夢安楽(夜は夢が楽しめる)最近夢で考え事をしているな・・・
・先亡離苦(先祖が苦しみから解放される)もう解放されていると思う
・宿福受生(幸福になる運命の人生を授かる)もう充分幸せです・・・たとえ違ってもそう思うようにしています
・諸聖讃歎(諸聖人が讃えてくれる)聖人に知りあいはいないし
・聰明利根(聡明で利発になる)そういえば、そんなのいわれたことがないな。悪知恵ですばしっこい、いちびりというのはいわれたことがあるけど。
・ 饒慈愍心(慈悲の心に溢れる)いっぱい溢れたい
・畢竟成佛(必ず仏になる)できたら生きている間にね



●七種利益
・速超聖地(速やかに聖地を超える)
・悪業消滅(悪いカルマが消滅する)
・諸佛護臨(諸々の仏が護ってくれる)
・菩提不退(悟りの境地から後退しない)
・増長本力(本来持っていた能力が増幅される)
・宿命皆通(カルマの全てに通ずる)
・畢竟成佛(必ず仏になる)
二十八種利益とダブっているけど。

そういえば利益(りえき)と利益(りやく)の差がわかりますか?
・りえき/ 利すること。利得。得分。もうけ(儲け)。とく(得)。「利益を得る」。ためになること。益になること。「公共の利益」(この意味の場合、利益を得るための活動を「営利(えいり」という)。

・りやく/ 仏教の言葉。ためになること。法力によって恩恵を与えること。自らを益するのを功徳(くどく)、他を益するのを利益という。
神仏の力によって授かる利福。利生(りしょう)。丁寧語の「ご」をつけ、「ご利益」という場合が多い。とくに今生きている世界(現世)における利益を現世利益(げんせりやく)という。

会社関係の「利益」は、書いたらきりがないので省略。

Twitter→@kyo_otoko
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4 コメント

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おはようございます (水珠璃)
2010-09-18 08:53:06
川底にいた御地蔵様。
どれくらい川底にいたんでしょう。
久々に地上に出て来て世の中を見て、どう思ってるんでしょう?

確かに、一人だけ良いカルマを集めても、今の世間から浮いて生きにくいかな~。清濁併せ持ってるのが人間だと思うし。
三日くらい男の人になってみたいです。

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>水珠璃さん、こんばんは (京男)
2010-09-18 18:07:26
おそらく百年近くでしょうね。
地蔵菩薩さんしばらく地上にいない間に末世化が進行しているとおもったはるでしょうね。
良いカルマも悪いカルマも幻想だと思います。ないのがいいかも。
三日間限定で男子ですか。
三日間ぐらい聖人してみたいな。(笑)
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Unknown (すー)
2010-09-19 04:33:55
おはようございます

すっかり訪問を忘れていました。
何かいい言葉ですね。
お地蔵さまはどんな世界を見たのかな、それと人間の俗世界をどのようにみたのかな?
返信する
>すーさん、おはようございます (京男)
2010-09-19 05:14:27
古典の中にはいまでも充分通じるいい言葉が多いですね。
いま「耐えて忍べば済す有り」は必要。
きっとこの地蔵さんは、人間とはあまり進歩していないというか、退歩したというのが感想だろうな。末世ですからね。
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