万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

善光寺さんに感謝しよう

2008年04月18日 13時34分35秒 | 国際政治
善光寺が五輪聖火出発式を辞退へ、長野市に申し入れ(読売新聞) - goo ニュース

 長野の聖火リレーへの出発点となることが予定されおりました善光寺さんが、辞退へ向けて動き出しているそうです。もし、この辞退が現実のことになるならば、善光寺さんの勇気ある決断に、ひたすらに感謝申し上げたいと思います。この辞退によって、多くのものが救われましたのですから。

 まず、日本の仏教界が救われました。チベット仏教が中国政府による弾圧を受ける中で、日本国の仏教が、事実上中国主催となっているイベントに協力するということになりますと、仏教徒としての姿勢が厳しく問われることになったでしょう。
 第二に、日本国民の良心が救われました。チベット問題に端を発した政府の中国政府寄りの態度に、国民は行き場のない義憤を感じてきました。仏教にあっては、怒りは慎むべきものなのでしょうが、善光寺さんが現した態度に、胸のすくような救いを感じたのは私一人ではないはずです。何か、心がすみやかに晴れる気持がしたのです。
 第三に、世俗を離れておられる善光寺さんは、意識されないことかもしれませんが、日本国ならびに日本人の国際社会における立場をも救いました。このまま中国政府の言いなりにままに物事が進んだのでは、日本国は、人権弾圧国家と同類と見なされ、日本人の国民性までもが懐疑に晒されることになったことでしょう。

 今回の善光寺さんの英断が、人々の心を打ち、より大きな輪となって広がることを願っています。善光寺さん、ありがとうございました。

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コメント (4)
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