日本のザルツブルグを、ご存知でしょうか。
富山県黒部市宇奈月。
宇奈月温泉、宇奈月スキー場、トロッコ列車で有名。
まちの空からの景色が、ザルツブルグにそっくり。
その宇奈月は、少なくとも三つの意味があると思う。
一つ目は、日本の昭和初期の発展を必死で支えたひとが集ったまち。
宇奈月から今はトロッコ列車で渓谷に入っていける欅平(けやきだいら)。そのまた奥に、黒部ダム第三発電所がある。日本電力株式会社が昭和11年(1936年)着手、昭和15年(1940年)11月21日完成。
このダムの建設工事は、記録文学者吉村昭氏著高熱隧道(ずいどう)』(昭和42年5月初版)でも記されているところであるが、多数の死者を出した極めて難しい工事であった。
地下ダムの水路を掘るのであるが、その掘るあたりの地盤が温泉水脈とぶつかり岩盤温度150度-160度で、熱湯が噴出する地層が続いた。
黒部ダム第三発電所工事全工区で死者300名超。うち第一・第二工区で233名。
宇奈月には、黒部川電気記念館(関西電力株式会社)があり、黒部ダム第三発電所のことも紹介をされている。約8万キロワットを黒部第三発電所は発電、有名な黒部ダム第四発電所(黒部ダム第四発電所も破砕帯・フォッサマグナという冷水が噴出す弱い地盤の部分を掘り進まねばならなかった難しい工事を完工、それは『黒部の太陽』という映画でも取り上げられている。)や他の発電所を10近くを合わせると黒部川一帯は関西電力供給分だけでも90万キロワットを発電している。
多くの犠牲の上に成り立っている大工事、命を懸けて工事に挑んだ工事労働者のご冥福をお祈りするとともに、犠牲者のことを決して忘れることなく未来に語りついでいかねばならないと考える。
<有名な黒部ダム第四発電所 発電量>
二つ目は、所有権の乱用を阻止する重大な判決が下された地。
温泉地へもともと配水管を引いていたが、その配水管を通過する土地の所有者が、配水管を通過させないように、さもなくば、その土地を高額で購入するように温泉側に迫った事件。所有権の乱用として、土地所有者の言い分を却下した有名な判例だそうである。(私権に関する民法の原則、「権利の濫用は之を許さず」)
その裁判の碑が、今も宇奈月にはある。
*****宇奈月温泉事件****
富山県黒部川上流にある宇奈月温泉は、上流の黒薙温泉から木管で湯を引いて営業していた。大正6年(1971年)ころ黒部鉄道株式会社(Y)が設置したその引湯管は、全長約7500mのうち6m足らずがAの土地の約2坪を通過していたが、適法な利用権の設定を受けていなかった。同地は、黒部川に沿った急傾斜の荒れ地で利用価値もなかったようである。ところが、これを知った原告XがAからこの土地を譲り受け、隣接するXの土地の約3000坪をあわせて時価の数十倍の価格で買い取ることをYに要求した。Yが拒絶すると、Xは土地所有権に基づいて、Yに対して引湯管の撤去を求める妨害排除の訴えを提起した。Xの請求が認められると、Y側は莫大な損害を被ることになる。これに対して大審院は、Xの請求が「権利の濫用」であるとして請求を棄却した。<大判昭和10年10月5日民集14-1965(宇奈月温泉事件)>
『民法 』内田貴著 472-473ページ
****************
<宇奈月温泉の効用>
そして三つ目は、まちおこし。
まちをザルツブルグと銘打ったそのアイデアをさらに発展させ、昨年からは、モーツアルト音楽祭を企画し、今年で二年目。今年からは、駐在オーストリア共和国大使館、オーストリア政府観光局も後援につけて実施。
9/19-20の三日間、モーツアルトにちなんだ企画を町をあげて企画されていた。
湯の街ふれあい音楽祭 モーツアルト@宇奈月
プロも、アマチュアも、モーツアルトを愛する演奏家が宇奈月に集う!
主催:宇奈月モーツアルト音楽祭実行委員会
主管:黒部まちづくり協議会
助成:黒部市観光事業活性化委員会
その街にある特性をうまく生かしていく、宇奈月のアイデアは、とても参考になると考える。
<ポスター>
<街の横断幕>
街の中心街にある、その名もまさしく喫茶モーツアルト。
店のオーナーは、そのひとにあったコーヒーカップに入れて出してくださる。
自分に選んでくださったカップはこれ。
富山県黒部市宇奈月。
宇奈月温泉、宇奈月スキー場、トロッコ列車で有名。
まちの空からの景色が、ザルツブルグにそっくり。
その宇奈月は、少なくとも三つの意味があると思う。
一つ目は、日本の昭和初期の発展を必死で支えたひとが集ったまち。
宇奈月から今はトロッコ列車で渓谷に入っていける欅平(けやきだいら)。そのまた奥に、黒部ダム第三発電所がある。日本電力株式会社が昭和11年(1936年)着手、昭和15年(1940年)11月21日完成。
このダムの建設工事は、記録文学者吉村昭氏著高熱隧道(ずいどう)』(昭和42年5月初版)でも記されているところであるが、多数の死者を出した極めて難しい工事であった。
地下ダムの水路を掘るのであるが、その掘るあたりの地盤が温泉水脈とぶつかり岩盤温度150度-160度で、熱湯が噴出する地層が続いた。
黒部ダム第三発電所工事全工区で死者300名超。うち第一・第二工区で233名。
宇奈月には、黒部川電気記念館(関西電力株式会社)があり、黒部ダム第三発電所のことも紹介をされている。約8万キロワットを黒部第三発電所は発電、有名な黒部ダム第四発電所(黒部ダム第四発電所も破砕帯・フォッサマグナという冷水が噴出す弱い地盤の部分を掘り進まねばならなかった難しい工事を完工、それは『黒部の太陽』という映画でも取り上げられている。)や他の発電所を10近くを合わせると黒部川一帯は関西電力供給分だけでも90万キロワットを発電している。
多くの犠牲の上に成り立っている大工事、命を懸けて工事に挑んだ工事労働者のご冥福をお祈りするとともに、犠牲者のことを決して忘れることなく未来に語りついでいかねばならないと考える。
<有名な黒部ダム第四発電所 発電量>
二つ目は、所有権の乱用を阻止する重大な判決が下された地。
温泉地へもともと配水管を引いていたが、その配水管を通過する土地の所有者が、配水管を通過させないように、さもなくば、その土地を高額で購入するように温泉側に迫った事件。所有権の乱用として、土地所有者の言い分を却下した有名な判例だそうである。(私権に関する民法の原則、「権利の濫用は之を許さず」)
その裁判の碑が、今も宇奈月にはある。
*****宇奈月温泉事件****
富山県黒部川上流にある宇奈月温泉は、上流の黒薙温泉から木管で湯を引いて営業していた。大正6年(1971年)ころ黒部鉄道株式会社(Y)が設置したその引湯管は、全長約7500mのうち6m足らずがAの土地の約2坪を通過していたが、適法な利用権の設定を受けていなかった。同地は、黒部川に沿った急傾斜の荒れ地で利用価値もなかったようである。ところが、これを知った原告XがAからこの土地を譲り受け、隣接するXの土地の約3000坪をあわせて時価の数十倍の価格で買い取ることをYに要求した。Yが拒絶すると、Xは土地所有権に基づいて、Yに対して引湯管の撤去を求める妨害排除の訴えを提起した。Xの請求が認められると、Y側は莫大な損害を被ることになる。これに対して大審院は、Xの請求が「権利の濫用」であるとして請求を棄却した。<大判昭和10年10月5日民集14-1965(宇奈月温泉事件)>
『民法 』内田貴著 472-473ページ
****************
<宇奈月温泉の効用>
そして三つ目は、まちおこし。
まちをザルツブルグと銘打ったそのアイデアをさらに発展させ、昨年からは、モーツアルト音楽祭を企画し、今年で二年目。今年からは、駐在オーストリア共和国大使館、オーストリア政府観光局も後援につけて実施。
9/19-20の三日間、モーツアルトにちなんだ企画を町をあげて企画されていた。
湯の街ふれあい音楽祭 モーツアルト@宇奈月
プロも、アマチュアも、モーツアルトを愛する演奏家が宇奈月に集う!
主催:宇奈月モーツアルト音楽祭実行委員会
主管:黒部まちづくり協議会
助成:黒部市観光事業活性化委員会
その街にある特性をうまく生かしていく、宇奈月のアイデアは、とても参考になると考える。
<ポスター>
<街の横断幕>
街の中心街にある、その名もまさしく喫茶モーツアルト。
店のオーナーは、そのひとにあったコーヒーカップに入れて出してくださる。
自分に選んでくださったカップはこれ。
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