「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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1カルテル、不当な取引制限(2条6項)、独占禁止法を理解するための基本的な事例

2014-04-29 23:00:00 | 経済法、独占禁止法

(演習1 2014.4.23)

1 医者は、「事業者」なのか。

回答: 
 事業者の定義が聞かれている。

 独禁法は、2条1項で、事業者を定義している。
 2条1項「この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。」
 すなわち、「事業」とは、なんらかの経済的利益の供給に対応し反対給付を反復継続して受ける経済活動をさす。「事業者」とは、「事業」を行う者である。
 
 
 病院は、診療し、その対価として診療報酬を受けている。従って、定義に該当し、事業者である。

 一方、病院等に勤務する医師は、診療し、病院から給料を受け取っている。定義には該当せず、事業者には該当しない。




2 公取委がセロファンの価格カルテル事案を摘発した。事業者側は、「一定の取引分野は、セロファンだけでは成立せず、紙全体で考えるべきだ」と主張した。この主張は妥当か。

回答:
 一定の取引分野が問われている。
 一定の取引分野とは、競争制限が行われる場であり、商品・取引段階・地域ごとに確定される。
 本件は、商品の価格カルテルであるから、業者が申し合わせた範囲が、一定の取引分野となる。

 本件では、セロファンにおいて、業者が価格の合意をしたのであり、一定の取引分野を紙全体で考えるのではなく、セロファンで成立すると考えられる。




3 ある町に所在するガソリンスタンド20店が、「ガソリンの価格を1リットル150円以下では販売しない」ことを申し合わせた。しかし、実際にこれを守ったのは5店だけであった。「競争の実質的制限」に該当するか。

回答:
 相互拘束が問われている。
 
 20店のうち、5店しか守っていない。
 相互拘束性がないと言わざるをえない。

 従って、競争の実質的制限になったとは、言い難い。



4 甲製品はA.B.Cの三社が製造販売している。このうちA社が甲製品の値上げを発表した。値上げが通ったことを確認して、1か月後にB・C社が値上げをした。これは不当な取引制限に該当するか。

回答:
 カルテル成立されたかどうかが問われている。

 法2条6項「この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」

 「共同して」とは、「意思の連絡」を必要とする

 すなわち、特定の事業者が、他の事業者との間で対価引上げ行為に関する情報交換をして、同一又はこれに準ずる行動にでたような場合に、「意思の連絡」があるものと推認される(東芝ケミカル事件、東京高判H7.9.25)。

 本件では、情報交換がない。
 共同しての要件を欠き、不当な取引制限に該当しない。



5 ある事業社団体で原材料費の値上がりを理由に製品価格の値上げを申し合せようとしたが、一部の者から「独禁法に違反するおそれがある」との意見が出たので、この話はまとまらなかった。
 しかし、この会合の終了後、団体の役員である主要7社(シェア50%)だけでも先行して値上げしようと申し合わせ、実行した。これを見た他の会社もこぞって値上げした。
 役員会社7社の行為、追随した会社の行為は、独禁法に違反するか。

回答:
1)役員会社の行為については、シェアが50%でも、実質的制限といえるかが問われている。
 
 競争の実質的制限とは、特定の事業者・団体がその意思である程度自由に価格・品質・数量等の競争条件を左右することによって市場を支配できる状態をいう。
 役員会社は、値上げを実現できており、実質的制限に当たる。

2)追随した会社の行為は、「共同して」が問題となる。
 情報交換なく、要件が欠く。
 付和雷同の追随会社には、独禁法違反はない。

 参考:高松市豆腐価格カルテル事件 審決昭和43.11.29



6 ある事業者団体は、6月20日に会合を開き、「7月21日から値上げする」ことを決めた。公取委はこの情報をつかみ、7月5日に立ち入り検査をして7月20日(値上げ日の前日)に排除措置命令をしようとした。
 命令を値上げ前に行うことは可能か。

回答:
 カルテルの成立時期が問われている。

 拘束力ある合意がなされた日が成立時期である。

 本件では、6月20日に会合を開き、「7月21日から値上げする」という拘束力ある合意がなされている。
 7/21の値上げをまつまでもなく、排除措置命令を行うことができる。

 参考:昭和49.7.20勧告 静岡県家庭用薄葉紙工業組合


7 ある事業者団体の会合で、「原料代が値上がりし、このままでは経営が悪化しかねない。10%程度の値上げはヤムを得ない」という雰囲気になった。
 しかし、いつからいくら値上げしようと明確に決めたわけではない。
 その後、大手会社の1社が10%値上げを打ち出し成功したので、他の会員もこれに追随して10%の値上げをした。
 独禁法違反になるか。

回答:
 カルテル成立されたかどうかが問われている。

 法2条6項では、共同してとは、「意思の連絡」を意味する。
 すなわち、特定の事業者が、他の事業者との間で対価引上げ行為に関する情報交換をして、同一又はこれに準ずる行動にでたような場合に、「意思の連絡」があるものと推認される(東芝ケミカル事件、東京高判H7.9.25)。

 本件では、意思の連絡がなく、カルテルにはならない。


以上

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