「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

中央区でも生ポリオ接種が10/19-11/29始まりますが、不活化ポリオワクチンの接種をお勧めします。

2011-10-04 09:42:43 | 小児医療
 中央区も、以下の日程で、秋期のポリオの生ワクチン接種が開始されます。

 厚労省のホームページでも書かれていますが、生ワクチン接種に伴い、手足の麻痺を起こすポリオ症状が生ワクチンの副作用として生じています。

 厚労省「ポリオの予防接種を受けた人の中で、予防接種健康被害救済制度に申請し、ポリオによる麻痺と認定された人数は、2001(平成13)年度~2010(平成22)年度の10年間で、15人です。
 日本では、1年に概ね110万人がポリオの予防接種を受けていることから、100万人の接種当たり約1.4人に相当します。」

 また、生ワクチン接種の子から、ポリオをもらってしまうこと(2次感染)も、ごくわずかですが、生じています。

 厚労省「2次感染は、2006(平成18)年度~2010(平成22)年度の間に日本全国で1人の報告がありました。」

 一方、不活化ポリオワクチンでは、そのような副作用は生じません。

 厚労省「ウイルスとしての働きはないので、ポリオと同様の症状が出るという副反応はありません(ただし、発熱など、不活化ワクチンにも副反応はあります)。」

 厚労省は、不活化ポリオワクチン導入に向け、鋭意努力されていますが、おそらく再来年2013年の春になるのではないでしょうか。
 今年2011年8月に厚労省に設置された「不活化ポリオワクチンへの円滑な移行に関する検討会」(ホームページ:第一回8/31開催案内http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001mm2l.html、資料http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001nkzz.html、議事録10/4現在掲載未)の検討状況に注目していきたいところです。
 
 厚労省「不活化ポリオワクチンの国内導入は、可能な限り迅速に行いますが、早くても2012(平成24)年度中になる予定です。また、DPT-IPVの導入から近い時期を目指して、単独の不活化ポリオワクチンの導入も進められています。」

 このような状況下、厚労省の指導では、不活化ポリオワクチン導入まで接種を控えるのではなく、生ポリオワクチンを接種することを述べています。

 厚労省「不活化ポリオワクチンが導入されるまで、ポリオワクチンを接種せずに様子をみる人が増えると、免疫をもたない人が増え、国内でポリオの流行が起こってしまう可能性が増加します。ポリオ流行のない社会を保つためには、ワクチンの接種が必要です。
 生ポリオワクチンの2次感染を防ぐには、地域内で全ての乳児が一斉に接種を受けるのが、最も安全性の高い方法です。お住まいの市町村がご案内する時期に接種を受けることをおすすめします。 」

 厚労省としては、このように述べるしか方法はないのかもしれませんが(早期導入を進めるのは、政治の役割であり、政治の力によってなされるべき部分であるがゆえに)、生ポリオワクチンによる副作用が出ている以上、不幸な事態をなくすため、より安全な不活化ポリオワクチンをお勧めします。

 現在、厚労省に申請のもと、海外で一般的に用いられている不活化ポリオワクチンを輸入し、接種しているクリニックが増えています。

 当院も、不活化ポリオワクチンを実施しているクリニックのひとつでありますので、ご相談ください。


*別の視点から述べますと、ポリオ接種実施のため、多くの役所の人員が導入されています。中央区では今回8回。
 クリニックでの個別接種で可能になると、そのマンパワーは、子育て支援のほかの部分に役立てることができるようになります。
 さらにもうひとつ踏み込んで逆の言い方をしますと、ポリオ接種会場は、子育て世代が一同に会する貴重な場でした。
 このような場で、プラスアルファの啓蒙・教育(例えば、たばこの害について、心肺蘇生、事故予防、子ども心の育ち、子どもの病気と救急受診のタイミング、睡眠の大切さ、食育、災害への備えなどについて)ができるとよいのですが、そのような貴重な場が個別接種となることで減ってしまいます。
 ただ、百人~二百人がいっきに会場に来られ、ポリオ接種会場はまさに戦場のようであり、プラスアルファをするには、それなりの準備が必要です。

*医師が患者のために個人輸入し、接種することは可能:丹羽国務大臣 147 - 衆 - 厚生委員会 - 3号 平成12年03月14日



*****中央区ホームページより***** 
http://www.city.chuo.lg.jp/koho/230921/02_02/index.html

ポリオ(小児マヒ)予防接種
春と秋の年2回、集団接種で実施します。

中央区の生ポリオワクチン実施日程と会場

秋期の日程・会場等 日時 会場 対象地域

10月19日(水曜日)
午後1時30分から2時30分 日本橋保健センター
日本橋本石町、日本橋室町、日本橋本町、日本橋小舟町、日本橋小伝馬町、日本橋大伝馬町、日本橋堀留町、日本橋富沢町、日本橋人形町、日本橋小網町にお住まいの方

10月20日(木曜日)
午後1時30分から2時30分 月島社会教育会館分館「アートはるみ」
佃、月島にお住まいの方

10月26日(水曜日)
午後1時30分から2時30分 月島社会教育会館分館「アートはるみ」
勝どき1~5丁目、豊海町にお住まいの方

11月2日(水曜日)
午後1時30分から2時30分 日本橋保健センター
日本橋浜町、日本橋中洲、八重洲1丁目、日本橋、日本橋茅場町、日本橋兜町にお住まいの方

11月10日(木曜日)
午後1時30分から2時30分 月島社会教育会館分館「アートはるみ」
勝どき6丁目、晴海にお住まいの方

11月18日(金曜日)
午後1時30分から2時30分 中央区保健所
八重洲2丁目、京橋、銀座、新富、入船、湊、明石町にお住まいの方。全地域、前回接種できなかった方。

11月25日(金曜日)
午後1時30分から2時30分 日本橋保健センター
日本橋蛎殻町、日本橋箱崎町、日本橋馬喰町、日本橋横山町、東日本橋、日本橋久松町にお住まいの方

11月29日(火曜日)
午後1時30分から2時30分 中央区保健所
築地、浜離宮庭園、八丁堀、新川にお住まいの方。全地域、前回接種できなかった方。


◎お近くの会場で1回接種してください。ご都合が合わない場合は各会場いずれかの日程で接種してください。

接種方法
生ワクチンを41日以上間隔をあけて2回飲む。

対象
5カ月から7歳6カ月未満の乳幼児(すでに2回飲んでいる方を除く)

◎平成22年7月から平成23年6月生まれの方には、予診票を送付します。
◎当日は母子健康手帳と予診票に必要事項を記入し持参してください。
◎今期は、電話による予約受付はしません。
◎会場での混雑を避けるため、地域ごとに実施日を割り振らせていただきました。安全に予防接種を実施するため、ご協力ください。

【問合せ先】
中央区保健所健康推進課予防係
電話 03-3541-5930

*******以上*******

*****厚労省のポリオワクチンに関するページ*****
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/index.html

同ページのポリオに関する解説「ポリオとポリオワクチンに関する基礎知識」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/qa.html#q6

⇒下線は、小坂が印として引いています。

問1.ポリオってどんな病気ですか?

*ポリオは、人から人へ感染します。

 ポリオは、ポリオウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。増えたポリオウイルスは、再び便の中に排泄され、この便を介してさらに他の人に感染します。成人が感染することもありますが、乳幼児がかかることが多い病気です。

*ポリオウイルスに感染すると手や足に麻痺があらわれることがあります。

 ポリオウイルスに感染しても、多くの場合、病気としての明らかな症状はあらわれずに、知らない間に免疫ができます。
 しかし、腸管に入ったウイルスが脊髄の一部に入り込み、主に手や足に麻痺があらわれ、その麻痺が一生残ってしまうことがあります。
 麻痺の進行を止めたり、麻痺を回復させるための治療が試みられてきましたが、現在、残念ながら特効薬などの確実な治療法はありません。
 麻痺に対しては、残された機能を最大限に活用するためのリハビリテーションが行われます。


問2.生ポリオワクチンと不活化ポリオワクチンはどう違うのですか?

*生ポリオワクチンには、病原性を弱めたウイルスが入っています。

 「生ワクチン」は、ポリオウイルスの病原性を弱めてつくったものです。ポリオにかかったときとほぼ同様の仕組みで強い免疫ができます。
 免疫をつける力が優れている一方で、まれにポリオにかかったときと同じ症状が出ることがあります(問3参照)。
 その他、麻しん(はしか)、風しん(三日ばしか)のワクチン、結核のBCGが生ワクチンです。

*不活化ワクチンは、不活化した(=殺した)ウイルスからつくられています。
 
 「不活化ワクチン」は、ポリオウイルスを不活化し(=殺し)、免疫をつくるのに必要な成分を取り出して病原性を無くしてつくったものです。
 ウイルスとしての働きはないので、ポリオと同様の症状が出るという副反応はありません(ただし、発熱など、不活化ワクチンにも副反応はあります)。
 その他、百日せき、日本脳炎のワクチンが不活化ワクチンです。


問3.生ポリオワクチンによる麻痺はどのくらい発生しているのですか?

*ポリオの予防接種を受けた人の中には、ポリオにかかった時と同じような麻痺を生じることがあります。
 
 現在、日本国内で(公費での)予防接種に使っているワクチンは生ポリオワクチンです。
 入っているウイルスは病原性を弱めているとはいえ生きていますから、ウイルスが変化するなど何らかの要因で、ポリオにかかった時と同じように、手や足に麻痺があらわれることがまれにあります。

*ポリオの予防接種を受けた人の中で、ポリオによる麻痺の可能性があると認定されたのは、最近の10年間では15人(100万人への接種当たり約1.4人に相当)です。

 ポリオの予防接種を受けた人の中で、予防接種健康被害救済制度に申請し、ポリオによる麻痺と認定された人数は、2001(平成13)年度~2010(平成22)年度の10年間で、15人です。
 日本では、1年に概ね110万人がポリオの予防接種を受けていることから、100万人の接種当たり約1.4人に相当します



問4.ポリオワクチンを接種していないと、ワクチンを接種した子から感染してポリオになることがあると聞きました。どうすればよいのでしょうか。

*極めてまれですが、生ワクチンの接種を受けた人の周囲の人が、ポリオになることがあります。

 予防接種を受けた人と接触した人の中にも、ポリオと同じ様な麻痺などの症状があらわれることがあります。
 これは、生ポリオワクチンに含まれるウイルスが予防接種を受けた人の便の中に出て、周囲の人に感染したことによるものです。
 このような2次感染は、2006(平成18)年度~2010(平成22)年度の間に日本全国で1人の報告がありました。
 ポリオの予防接種を受けていないご家族など、ポリオウイルスに対する免疫を持っていない人は、ウイルスに感染する可能性が高く、麻痺の症状があらわれる可能性がより高いと考えられます。

*生ワクチンの予防接種を受けて1カ月程度は、ウイルスが感染しないよう乳児の便の処理などに細心の注意を払いましょう。

 予防接種を受けてから1カ月程度はウイルスが便の中に出ています。特に初回接種の後 1~2 週間目に、便中のウイルス量は最大になるという報告もあります。
 この期間、おむつ交換の後などには十分に手を洗うなどして、便の中のウイルスが他の人の口に入らないように気をつけ、感染の危険を少しでも小さくすることをおすすめします。
 また、生ポリオワクチンからの2次感染を防ぐには、地域内の全ての乳児が一斉に接種を受けるのが、最も安全性の高い方法です。
 お住まいの市町村がご案内する時期に接種を受けることをおすすめします。



問5.日本ではもうポリオは発生していないのに、ポリオワクチンの接種が必要なのですか?

*予防接種によってポリオの大流行を防ぐことができました。

 日本では、1960(昭和35)年に、ポリオ患者の数が5千人を超え、かつてない大流行となりましたが、生ポリオワクチンの導入により、流行はおさまりました。
1980(昭和55)年の1例を最後に、現在まで、野生の(ワクチンによらない)ポリオウイルスによる新たな患者はありません。

*今でも、海外から、ポリオウイルスが国内に入ってくる可能性があります。

 海外では依然としてポリオが流行している地域があります。パキスタンやアフガニスタンなどの南西アジア、ナイジェリアなどのアフリカ諸国です。
 また、これらの国の患者からの感染により、タジキスタン、中国など他の国でも発生したという報告があります。
 ポリオウイルスに感染しても、麻痺などの症状が出ない場合が多いので、海外で感染したことに気がつかないまま帰国(あるいは入国)してしまう可能性があります。症状がなくても、感染した人の便にはポリオウイルスが排泄され、感染のもととなる可能性があります。

*ポリオに対する免疫をもつ人の割合が減ると、流行する危険があります。

 仮に、ポリオウイルスが日本国内に持ち込まれても、現在では、ほとんどの人が免疫を持っているので、大きな流行になることはないと考えられます。
 シンガポール、オーストラリアなど、予防接種率が高い国々では、ポリオの流行地からポリオ患者が入国しても、国内でのウイルスの広がりがなかったことが報告されています。
 しかし、予防接種を受けない人が増え、免疫をもつ人の割合が減ると、持ち込まれたポリオウイルスは免疫のない人からない人へと感染し、ポリオの流行が起こる可能性が増加します。


問6.不活化ポリオワクチンに切り替わるのはいつ頃ですか?
 
*不活化ポリオワクチンの導入は、可能な限り迅速に行いますが、早くても2012(平成24)年度の終わり頃になる予定です。

 ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチン(DPT-IPV)は、国内で開発が進められていて、今年末頃から順次、各メーカーからの薬事承認のための申請が行われる予定です。不活化ポリオワクチンの国内導入は、可能な限り迅速に行いますが、早くても2012(平成24)年度中になる予定です。また、DPT-IPVの導入から近い時期を目指して、単独の不活化ポリオワクチンの導入も進められています

*厚生労働省では、不活化ポリオワクチンへ円滑に移行するための準備にとりかかっています。

 不活化ポリオワクチンを国内で導入する場合には、できるだけ速やかに、予防接種法に基づく定期接種として実施したいと考えています。
 生ワクチンから不活化ワクチンに円滑に移行できるよう、厚生労働省では、今年8月に「不活化ポリオワクチンへの円滑な移行に関する検討会」を設置し、移行の方法などの検討を始めています。


問7.不活化ワクチンに切り替わるまでの間、接種しないで待っていたほうがよいのですか?

*今でも、海外からポリオウイルスが国内に入ってくる可能性があります。

 海外では依然としてポリオが流行している地域があります。パキスタンやアフガニスタンなどの南西アジア、ナイジェリアなどのアフリカ諸国です。また、これらの国の患者からの感染により、タジキスタン、中国など他の国でも発生したという報告があります。
 ポリオウイルスに感染しても、麻痺などの症状が出ない場合が多いので、海外で感染しても感染したことに気がつかないまま帰国(あるいは入国)してしまう可能性があります。症状がなくても、感染した人の便にはポリオウイルスが排泄されて、感染のもととなる可能性があります。

*不活化ポリオワクチンの導入まで、ポリオワクチンの接種を待つことはおすすめできません。

 不活化ポリオワクチンが導入されるまで、ポリオワクチンを接種せずに様子をみる人が増えると、免疫をもたない人が増え、国内でポリオの流行が起こってしまう可能性が増加します。ポリオ流行のない社会を保つためには、ワクチンの接種が必要です。
 生ポリオワクチンの2次感染を防ぐには、地域内で全ての乳児が一斉に接種を受けるのが、最も安全性の高い方法です。お住まいの市町村がご案内する時期に接種を受けることをおすすめします。

以上

*****感染症コンサルタント 青木眞氏の解説****
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/73fdea5f33c2a3c0a819d3968597cf14

http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/c88e9b05a826db9012ba99def1796351


*****平成12年8月31日 厚生省 公衆衛生審議会感染症部会 ポリオ予防接種検討小委員会****
http://www1.mhlw.go.jp/topics/polio/tp0831-1_a_11.html


以上
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