災害時の医療体制構築、とても重要な課題である。
下記、東京新聞社説で、災害医療体制の指摘がなされているが、どのような備えが必要か上げてみたい。
補足すべき部分は、大いにご指摘をお願いします。
<医師側の備え>
*日ごろからの防災拠点運営委員会及び学校との連携
*日ごろからの中央区の姉妹都市や災害時相互援助協定を結んだ都市の医師会との連携
*災害の拠点病院となるであろう聖路加病院との日ごろからの連携
*JMATを編成し、積極的な被災地医療支援
*他職種連携(歯科医師、薬剤師、保健士、看護士、ケアマネージャー、介護従事者、民生委員、消防団等)による防災訓練
*各医院、病院でのBCP(事業継続計画)、患者情報の保管
*町会・自治会避難訓練への積極的な参加
<行政側の備え>
*要援護者名簿の整理
<患者側の備え>
*お薬手帳など内服薬の情報や、既往歴/手術歴の分かる情報を持ち出せるようにしておく
冷蔵庫に情報カプセルをつけておく等
*隣人会、町会・自治会、
****東京新聞(2011/06/17)******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011061702000044.html
【社説】
災害医療支援 反省を共有し備えに
2011年6月17日
多くの医療チームが東日本の災害支援に駆けつけた。阪神大震災など過去の教訓を生かして。だが、現地での活動には多くの課題も見られた。国など関係機関は反省点の共有を徹底させてほしい。
震災発生の二日後には仙台市に入り、検視にあたった名古屋市医師会の医師が疑問を投げかける。
「今は落ち着いてきたが、初めのころは要所要所で医療支援チームを取り仕切る拠点や人が見当たらず、現場の統制が取れないところが多かった。反省点だ」
政令指定都市の医師会相互支援協定に基づく要請があり、すぐに駆けつけた。体育館に運び込まれた遺体の死因のほとんどは津波による溺死だった。東日本大震災への医療支援は過去の災害時の規模をしのいだ。阪神大震災(一九九五年)を契機に組織された、外科的治療の緊急度を選別して機動的に医療活動をするDMAT(災害医療派遣チーム)も出動した。
しかし今回は▽津波の死者か▽見た目には負傷した形跡も見られない生存者か-の両極端にはっきり分かれ、むしろ災害発生直後から慢性疾患の内科的処置が求められた。これは二〇〇四年の新潟県中越地震の状況に似ている。
糖尿病、高血圧、心疾患などの慢性病治療や衛生医療活動は長引く避難生活に対応して今も続く。併せて医師らは学会などの場で支援をめぐる諸課題を出し合い、備えへの対策を探っている。
その中で挙げられた大きな課題が、先の交通整理役の不足という点だ。各医療チームは頑張り全力を尽くしたのに、空回りした傾向は否めない。岩手県山田町を回った医師は「その土地で生きていく覚悟がある地元の医師を中心に据えるのがいい」と提言する。実際に宮城県石巻市など複数の病院や診療所は拠点の役割を担った。
厚生労働省は「基本は県や市町村がその立場。ただ被害が大きすぎて初期は調整能力を超えてしまった」と見る。近く災害医療の検証の場を設けるが、平時から教訓の共有や心構えはできていたか。
今回も課題や発見は多々ある。医療過疎地だからこそ、地域の医療従事者が熱心に薬の情報の大切さを伝えてきた成果か、お薬手帳などを持って逃げた被災者が多かった。大都市部でも見習いたい取り組みだ。避難先での治療が適切になるのだから。
今なお進行形の東日本大震災。反省や課題は見逃さずに共有し、日ごろの備えに生かしたい。
****過去の関連ブログ*****
東日本大震災を受け東京の大震災に備える(3)早急な災害時医療体制構築と日ごろからの地域との連携を
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/6d43fa56c77da9e2c3395154c1556303
東日本大震災を受け東京の大震災に備える(2)帰宅難民対応強化と防災拠点運営(医療体制構築も含め)
東日本大震災を受け東京の大震災に備える(1)保育園児、幼稚園児、学童、生徒の安全は守られたか?
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/0cb0043b24b48c4fffee05ae7bedcc0e
原子力安全委員会の考え方をフォローするため恒例の記者会見をフォローしておきます。
専門的な分野にもかかわらず新聞記者の皆さんの鋭いご質問、委員の皆様の懇切丁寧なご回答、いつもお疲れ様でございます。
重要な委員会であり当然ではありますが、委員会が終わり、即議事録を作成する国の姿勢には、感謝申し上げます。
(人手の面がありますが、区議会を含め、議事録のスピード化は、大いに期待をするところです。)
今回の記者会見のポイントとして
*安全設計指針を中心に指針を早急に見直し、抜本的な見直しも2-3年内に行う。
*作業員の状況の改善、ただしマスクはずしての喫煙は遺憾。
*「特定避難勧奨地点」の登場の背景。
*耐震バックチェック、特に正断層。
*オフサイトセンターが機能せず。
******原子力安全委員会ホームページより******
http://www.nsc.go.jp/info/20110617.pdf
原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年6月16日(木)14:25~15:00
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、小山田委員、久木田委員、久住委員
加藤審議官、水間課長、都筑課長
○電気新聞山田記者 電気新聞の山田と申します。
指針の見直しなんですけれども、現在、指針類は63種類ぐらいあったと記憶しているんですけれども、そのうちの何種類ぐらいが該当するんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 これは、もちろん基準・指針専門部会で議論していただくことになりますけれども、まずは、安全設計指針を中心に議論を進めていただいて、必要に応じて、その関連指針類についても議論するということになろうかと思います。それから、もうひとつ、耐震設計指針の方も、これは別の議論ということになるかと思います。
重要なのは、抜本的な改革を図ろうとは思っているんですけれども、余りに抜本的な議論を始めてしまうと、いつまで経っても結論が出ないということになりますので、その辺りは早急に、結論が出るものは早急に結論を出して、今年度末にご報告いただくと、それから抜本的な議論は抜本的な議論で、これはまた並行してしっかり進めていただきたいと、そういうふうに考えているところでございます。
それから、防災指針を言い忘れましたけれども、防災指針の方につきましても、早急に議論を始めさせていただいて、できれば、今年度中に一定の結論を出していただきたい、というふうに思っているところでございます。
○電気新聞山田記者 そこは全面改訂に近いような感じですか。
○班目原子力安全委員長 結局、2段階だと思っていただきたいと思うんですが、本当の意味での白紙から改訂を始めてしまうと、これは相当な時間がかかってしまいますので、まず、今、例えば、安全設計指針についてだったらば、こことこことここは特に、問題であるというようなところを抽出して、そこはそこで、直していくと、それと、別に、抜本的な議論も並行して行う、そんなふうなイメージだと考えていただければと思います。
○電気新聞山田記者 抜本的議論と申されると、どういうものが抜本的という意味ですか。
○班目原子力安全委員長 例えば、国際的に見たときには、シビアアクシデントの規制要件化というのが、多分、必須なんだろうと思っております。しかしながら、このシビアアクシデントをどういうふうな取扱いにするかとなると、ちょっと、いろいろ難しい点がありますので、その位置付けの議論というのとは結構、抜本的な議論で、それに対して、例えば、長
期間の全交流電源喪失を考えなくていいとか、そういうような辺りというのは、これは、すぐさま、改訂しなきゃいけないもの、そんなふうな仕分けになっていくんじゃないか、と思っております。
○小山田原子力安全委員 抜本的な見直しが必要なものもある、ということだと思うんですが、ともすると、すべての指針を全部抜本的に見直すのか、ということにつながりかねないと思うんですが、それは、そういうことではないと思うんです。
例えば、今、委員長が申し上げた耐震設計審査指針ということについても、どういうところを直す必要があるのか、そもそも直す必要があるか、ということについて、見直しをするというようなことだというふうに考えていただいていいと思います。今までの指針そのものの条文について、見直す必要がないというところは、相当程度に、もちろんあるんだというふうに理解していただきたいと思います。
○電気新聞山田記者 シビアアクシデントについて、外国では規制化されているものではないわけですか。シビアアクシデント対策というものを規制で、がちっと当てはめていることは、外国では普通なのかどうか、という点はいかがでしょうか。
○班目原子力安全委員長 シビアアクシデントについては、IAEAのNS-R-1でどう言っているかというと、深層防護の第4層として位置付けなさい、と言っています。ただ、その評価の仕方は、いわゆる各種事故という第3層の評価の場合には、これは最悪の場合を想定しても、それが起こらないように考えなさい、ということで、クレジットをとっているとか、そういう評価の仕方をしなきゃいけないんですが、シビアアクシデントについては、実力値での評価でいいですよ、という言い方をしていたり、ちょっとした差があるわけですね。
そういうことも含めて、見直していくとなると、ちょっと、これは、全体を見なきゃいけないので、少し時間がかかってしまうかな、というふうには思っております。
○朝日新聞小堀記者 朝日新聞の小堀です。
CSSの会合の報告があったので、関連の質問なんですが、来週からIAEAの閣僚級の会合がありますが、これは安全委員会から、どなたかいらっしゃるんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 いえ、安全委員会は、閣僚会議への報告書については、情報は提供していますけれども、その執筆に加わったわけではございませんので、参加しない予定となってございます。
○朝日新聞小堀記者 その会議の日程を見ますと、例えば、作業部会で緊急時の対応とか、例えば、久住先生がお詳しい範囲のお話とかも、あると思うんですけれども、それは保安院が説明するよりも、安全委員会が行かれた方が、いいようにも思えるんですが。
○班目原子力安全委員長 少なくとも、今のところ、そういう形にはなってございません。
○読売新聞山田記者 読売新聞の山田といいます。
小山田委員の現地視察の件での基本的な、ちょっと確認なんですが、配られた紙を見ますと、福島第一の方に行ったのが14日、ただし、出張期間は13日から16日と幅があるんですが、期間は他にどのようなことをやられたのか。
○小山田原子力安全委員 13日から16日と書いてあるんですね。すみません、今の資料、まず13日、それは、足かけのことを書いてありますが、13日の夜、ここを出て、まず、これはちょっとごめんなさい、あれが間違ってますね。6月13日、火曜日と書いてありますが、これは月曜日ですね。申しわけありません。
まず、6月13日の月曜日の夜、ここを出て、いわき市に泊まって、その次の日、6月14日に1Fサイトに行って、その終わった夜に福島市に移って、昨日は、一日、福島のオフサイトセンターにおりました。オフサイトセンターで、いろいろな人たちと話をして、6月16日、今朝、福島を立ったので、こういう書き方になっております。よろしいでしょうか。
○読売新聞山田記者 オフサイトセンターではどのような、ごめんなさい、いろいろな話を聞いたということなんですけれども。
○小山田原子力安全委員 オフサイトセンターでは、例えば、東電の本店が主催する会議が1日2回行われますけれども、その会議に出たり、あるいは、現地災害対策本部長が少し前にお代わりになりましたけれども、田嶋政務官とお話をしたりいたしました。副知事さんとも短時間ではありますけれども、面会をいたしました。
○朝日新聞今記者 朝日新聞の今と申しますが、小山田委員に質問なんですけれども、現地視察の件で、実際の作業員の方の作業条件、作業環境がかなり厳しくなっているという意見もあるんですけれども、小山田委員として、今後、最も改善しなければいけない部分と、今、特に気になる部分というのは、どの辺りと考えていらっしゃいますでしょうか。
○小山田原子力安全委員 幾つかあると思うんですけれども、ひとつは、皆さんも大変心配している熱射病対策の問題、これは、今、私が聞いている限りでは、かなりの苦心をされているというふうに聞いております。
先ほど申し上げましたように、2,600人からの作業員がいるわけで、その中には、いろいろな企業を通して仕事に来ていただいている人たちがたくさんいるわけで、それは、企業の人たちに対して、各作業員に朝、体調はどうですか、ということを、必ず聞いていくというようなことですとか、それから、ある時間をとったら必ず休憩をさせるだとか、それから、先ほど申し上げたように、大きな、200人ぐらい休めるような広間を作ってあるとか、それから、サイト内に、今、4か所、あと、これから増やしていくというふうに聞いておりますが、休憩所を設けるとか、それから、クールベストというようなものを使ったりとか、というようなことで、それから、もうひとつは、全面マスク着用が不要なところは、半面マスクにしようではないか、ということを考えているとかということで、懸命の努力をしている、というふうに聞いております。
ただ、全面マスクをして作業をするというのは、クールベスト等を使っても、なお、やはり、大変なものであるというようなことでは思っておりますので、今後、どういうふうに作業安全が保たれていくかということは、これからも、注意して見ていかなくてはいけないものだというふうに思っております。
それから、一時期、あそこで作業している人たちの食事の問題が多く出てまいりました。今回、私どもは、昼食を吉田所長他と一緒にとらせていただきましたけれども、今回は、レトルト食品で、その場で、袋の中で煮炊きできるようなものが入っておりました。その意味では、前に比べると、随分改善されたとは思います。ただ、相変わらず、あそこでは生野菜そのものの処理ができないと、水の量をコントロールしているので、生野菜をあそこでは食べられないということであります。
ただ、企業の人たちは、それぞれが弁当を独自に運び込むということもできるようになっているということですから、改善はされてきている。ただし、申し上げましたように、全面マスクをして作業をするというのは、大変厳しいものですから、今後も、私どもも、注意して見てまいりたいということです。
それから、例えば、1Fサイトでは、まだシャワーは使えないようですが、2Fサイトには15個ほどのシャワーを設けて、まだ時間制限がある、ということではありますけれども、シャワーを浴びられるようにしているとか、それから、一時期、あそこは大広間で寝ているというような、体育館だったと思いますが、そういうふうな、写真報道や何かがあったかと思いますが、今は、二段ベッドにしているとか、それから2,600人のうちの相当多くの人たちは、J-ビレッジを通して1Fサイトに入ってきて、その日は2Fサイトでもない、全然、別なところで、それぞれの例えば、企業が準備している宿舎等で休んでいると、その日は休むと、また次の日に働きに来るという状況のようでありますし、それから、勤務体系についても、6日間続いて仕事をしたら、2日ないし3日続けて休むとかというような、それなりの工夫を懸命にやっているというふうに聞いております。
以上でございます。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
まず、指針の見直しのことでお伺いしたいんです。
立地指針と安全評価指針についても、これは見直しの対象になるというふうに考えればよろしいんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 その辺りも、しっかりと基準指針部会で議論していただきたいと思っていますけれども、まずは、安全設計指針を見直す中でどうするか、ということを決め
ていくという手順になろうかと思っています。
○東京新聞榊原記者 優先順位としては、安全設計審査指針の長期間の全交流電源の喪失の辺りから入っていくというような。
○班目原子力安全委員長 そこだけに絞るつもりはございませんけれども、安全設計審査指針、これも指針の数は一応全部見てみる、この辺りから、とにかくスタートさせたいと思っています。
○東京新聞榊原記者 防災指針の方でお伺いしたいんです。
この文章の中で国際的な考え方を取り入れとあるんですが、これは具体的にEPZを8~10㎞圏を30㎞圏まで拡大してほしい、というようなことなんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 もちろん、それも含まれると思います。今回の事故により、我が国の場合は、8㎞から10㎞と言っていたんですけれども、20㎞圏内まで初期に避難していただいたわけですから、そのことも考え、また、国際的にどうなっているのかということも考えて、結論を出していきたいというふうに思っています。
○東京新聞榊原記者 あと関連で、防災指針の方では、屋内退避の基準ですとか、避難の基準、それも今回、屋内退避の期間が非常に長かったですから、そういったことも、もちろん、見直しの対象になるという考えでもよろしいでしょうか。
○班目原子力安全委員長 そういうことも含めて、いろいろな点を全部、見直してみたいと思っています。
○東京新聞榊原記者 オフサイトセンターの場所も、これは防災指針の見直しの中に入ってくるんでしょうか。オフサイトセンターが機能しなかったことも、防災指針の見直しの中で検討されるような形になるんでしょうか。
○都筑課長 オフサイトセンターにつきましては、その機能、あり方というようなところを防災指針の中では記載させていただいておりますので、そのことについて、見直しをしたいと思いまして、実際の場所は、どの場所に作るかというのは、これは、保安院の方になりますので、そちらの方でご検討いただくという形になります。我々は、基本的な考え方、機能のあり方、そういったところを記載してまいりたいと思っております。
○読売新聞山田記者 読売新聞、山田といいます。
また、小山田委員の方に2点ほど、先ほど説明の中で、食事の話で現地での水の量をコントロールしているので、生野菜が食べれないというお話があったんですが、すみません、不勉強で、これはどういうことなのか、教えてください。
○小山田原子力安全委員 ちょっと、説明が十分ではなかったですね。
生野菜をそこで食べるようにするために、その場所で水洗いをすることができないということです。したがって、例えば、弁当の中に生野菜が入っているということは、もちろんあると思いますし、そういうようなことです。
○読売新聞山田記者 あともう1点、昨日だったと思うんですけれども、東電の方で現場の作業員がマスクを外して、たばこで一服という話もあったんですけれども、そういった作業が3か月ぐらいになって、現場の方で、要は気のたるみというと言葉が悪いんですけれども、何か、そういった感じもなれてきているというか、見れなくもないんですけれども、委員視察に行って、何か、そういったものを感じられたものがあるかどうか、お伺いできれば。
○小山田原子力安全委員 昨日、そういうマスクを外してたばこを吸っている人がいたということは、私もオフサイトセンターでの会議、先ほど、お話をした会議の席上で聞きました。大変、愕然といたしました。その場でも、吉田所長が言っておりましたけれども、まことに遺憾なことだと、本人も言っていましたけれども、私もそのように思います。
ただ、私が今回サイトの中を見たときに、気の緩みというようなものを、私が感じたことはございません。
○NHK春野記者 NHK、春野と申します。
班目委員長に伺います。
今日の臨時会の「その他」のところで報告された、特定地点への対応についての件ですけれども、これは、今までの経緯をはっきり把握してないんですけれども、こういう考え方というか、対応策が報告されたのは初めてですよね。
○班目原子力安全委員長 安全委員会の方としては、現在、現存被ばく状況なる場所が発生している、というふうに認識しているわけでございます。そういうところへの対応の一番基本的な考え方みたいなものは、既に発表してございます。
○NHK春野記者 特定避難勧奨地点という言葉でこういう対策を示したのは初めて、と理解していますが。
○班目原子力安全委員長 この特定勧奨地点、こういうところについて、こういう対応をとりますよ、という提案は、これはあくまでも、原子力災害対策本部の方で具体的に決めたものでございます。原子力安全委員会としては、あくまでも助言要請があったのは、その1枚物、「事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される特定の地点への対応について」という、この1枚物についての助言を求められたので、その答えとしては、最後の1枚物の形でいろいろな科学的、技術的な知見からの回答をしたと、そういう事実関係となります。
○NHK春野記者 ちょっと、今、確認でご質問したんですけれども、伺いたいのは、この地点というのは、事故発生直後から線量が高い状態が今まで、ずっと続いてきているわけですけれども、そういった地点について、事故から3か月以上経ってから、ようやく、こういう対応策が示されたなというのが、私の印象なんですけれども、それについて、委員長の所感を伺えればと思います。
○班目原子力安全委員長 計画的避難地域の方も全く同じなんですけれども、20㎞圏内の方々は、とにかく、とるものもとりあえず出てください、という状況だったわけですね。それによってこうむる社会的、経済的損失等々を考えたことと、それから、放射線量、被ばく線量が多いこととの、その辺りのバランスを図ることが大切だろうと思っております。
そういう意味からいきますと、我々としては、これからこういうホットスポットといいますか、局所的に線量が高いところが出てくることというのは、予想していたところでございまして、モニタリングの強化というのを求めていたというのは、実は、それが理由でございます。そういう意味で、まずはモニタリングをしっかり強化して、そうした上で、今日の助言にありますような対応をとっていただきたいということ、それに尽きると思っております。
○NHK春野記者 こういうホットスポットへ対応がもっと早くできたんじゃないかなという気もするんですが、この時期になったということについては、どう思われますか。
○代谷原子力安全委員 ちょっと補足させていただきますと、計画的避難区域等々のお話が出てきたのは4月ですよね。実は、今回、ああいうホットスポットと言われているところの計測が始まったのは4月の終わりですね。その1点の時点では物を申すことはできないわけで、それが幾つか、5月に2回ほどというような形で増えてきた。それで、ある程度の、もちろん前の方は一番高いところの線量と同じ振る舞いをするだろうという、そういう推定のもとでやりますと、20mSv/年を超えそうだということで、今回、こういうお話になったと思うんですね。
ホットスポットという形ではなくて、もし、最初の頃から計画的避難区域を設定するときから、あの地点のデータとかが入っていれば、恐らく計画的避難区域の中に取り込まれたというようなところではないのかな、というように思っています。そういうような、今回の地点については、そういうような地点であったというところです。
ただ、その頃のモニタリングが不十分だったんじゃないか、ということになれば、リソースの話とかあるので、私の方から、必ずしもそれを所掌しているところではございませんので、言うことはできませんが、そういう批判については、あり得ることではあろうというふうに思っています。
○朝日新聞小堀記者 朝日新聞の小堀です。
たびたびすみません。班目委員長にお伺いしたいんですが、指針の見直しについてなんで
すが、今回、指針を抜本的に見直されることにも踏み込んでおっしゃいましたが、そもそも、指針というのは憲法ではないわけで、指針に決まってないことでも事業者が率先して取り組んでいいことは、たくさんあると思うんですけれども、今回は、指針が想定していなかった面、足りない面はあると思うんですが、そういう、安全委員会が決めたこと以外に事業者がもっと取り組むべきだったとか、そういうことはお考えにはならないんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 これは我々からは、是非、本当は東京電力としては、しっかりとした取組をしておいていただきたかったなと、強く思う次第です。
○朝日新聞小堀記者 指針の2段階、抜本的なものも並行して見直されるということなんですが、相当時間がかかる、とおっしゃいましたが、それは、大体、目処としては何年とか、時期は考えられていますでしょうか。
○班目原子力安全委員長 いつまでもずるずるとということではないので、2~3年を目処にとは考えています。ただ、いろいろと並行して考えなきゃいけない問題がありまして、例えば、IAEAの閣僚会議の報告では、法令の見直しみたいなものまで挙げられているわけですよね。ですから、そういうものも並行して考えながらの作業で、しかし、それがいつ、どうなるか、というのが我々は分かっているわけではないから、とりあえず、安全委員会としては、安全委員会としてできることをどんどん進めていくと、そういうつもりでおります。
○朝日新聞小堀記者 IAEAの基準の見直しとか、そういうのも見ながら国内の見直しもされるという、そういう理解でいいでしょうか。
○班目原子力安全委員長 ですから、必ずしも原子力安全委員会、今の体制だと、原子力安全委員会だけの仕事になるかどうかも、ちょっと分からないところがございます。例えば、IRRS、2007年に日本が受けたIAEAのINTEGRATED REGULATORY REVIEW SERVICE、その中に安全委員会と原子力安全・保安院との特に、そういう指針だとか、基準だとかの策定についての分業関係をはっきりさせなさいよ、という指摘もございます。それから、むしろ、規制に直接結びつくような辺りについては、規制行政庁が定めるのが正しいというふうにも書かれております。
いろいろなこともございますので、原子力安全委員会としては、今まで指針として定めてきたものすべては、ずっと安全委員会が所掌だとは考えてなくて、そういうことも含めた本質的な議論というのが、当然なさるべきだというふうに思っているわけでございます。
○東京新聞西山記者 東京新聞の静岡総局の西山と申します
久住委員にちょっとお伺いしたいんですけれども、今、静岡では、お茶の放射能物質検査をめぐっていろいろ盛り上がっているんですけれども、原子力安全委員会さんでは、経口摂取する段階で検査するのが望ましい、と助言をしているかと思うんですけれども、今、国の
指示に従って、静岡で加工段階の荒茶を検査しているんですけれども、荒茶を検査することにどういう意義があるか、ということをちょっとお伺いしたいんですが。
○久住原子力安全委員 私ども安全委員会は、本日の助言要請のように、そういう影響を受けた地域、今回の原災法の対象になる地域の拡大は是か非か、ということを原災本部から助言として求められたわけで、その内容につきましては、関係省庁が判断されていますので、今、ご質問の件につきましては、私どもは全くコメントできない状況です。
○東京新聞西山記者 暫定規制値についても、見直すべきだというふうなことをおっしゃっていますけれども、今、生の茶葉と総体的に濃度が濃くなる乾燥した茶葉というのが、同じ500ベクレルというので検査されているということについて、それは、今、妥当であるかどうかということも、1点ちょっとお伺いしたいです。
○久住原子力安全委員 私が申し上げたのは、原子力安全委員会が防災指針の中で決めています、緊急事態における線量を回避するための食物制限、その線量をどのように考えるか、回避する、食物制限をするかしないかということを考え始める値として、こういう値を示していますと。
ただ、それが、今後、長期的な出荷制限だとか、摂取制限につながる値として是か非かということになりますと、ちょっと、それはいかがなものかという意味で、だから、具体的な内容がというよりは、このことは、厚労省の方の食品安全のルールの中で進められておりますので、具体的に私どもが、お茶についてどうこうということを申し上げたということではないということです。
○都筑課長 基本的には、先ほど、久住委員のとおり、これはあくまでも、暫定的なものでございますので、したがいまして、これを食品健康影響の観点から、きっちりと厚生労働省が定めるべきものであると、したがって、これをいつまでも使ってくことについては、適切でないと考えております。
○水間課長 先ほど、ご質問の中で、荒茶そのものを安全委員会がチェックすべきと言ったかのようなご質問がありましたけれども、それは誤解です。確認してください。
○東京新聞榊原記者 たびたびすみません、東京新聞、榊原です。
耐震設計審査指針の見直しのことでちょっと確認したいんですが、見直す必要があるかどうかも含めて検討する、というご説明でしたが、基準地震動Ssを上回る地震、揺れというのが今回、観測されたわけですが、そのSsをどうするかという議論もこの中でやる、ということでよろしいんでしょうか。
○小山田原子力安全委員 耐震設計審査指針には、各サイトのSs地震動の大きさそのものについての規定はありません。大きさをどのように定めるべきか、という基本的な考えにつ
いて記載しております。
したがって、各サイトに例えば、今回、1Fサイトにおいて、基準地震動をある場所の加速度が超えたというのは事実でありますけれども、それをもって、耐震設計審査指針そのものを見直す必要がある、ということにはならないと思います。直ちに、そうはならないということを申し上げているのであって、そういうことも含めて、専門の先生方には議論をしていただきたいというふうに思っております。
○東京新聞榊原記者 もう1点すみません。
現行の耐震指針に基づいて、耐震バックチェックというのが進められているかと思うんですが、それで、この間も活断層の再チェックの指示をされ、追加意見を述べられていますが、そことの関係、耐震バックチェックはバックチェックで、耐震設計審査指針の見直し作業と並行して進んでいく、という理解でよろしいわけですね。
○小山田原子力安全委員 具体的に耐震バックチェックをどのようなステップで進めていくかということは、まだ決めておりません。ただ、先般、私どもが、今回のM9という例を見ない地震によって、日本の広域応力場といいましょうか、それが変わった可能性が高いと。それはご存じのように、特に、東日本は東西に、おおむね圧縮応力場を受けていたのが、今回の大きな地震によって変わってきている可能性が高くて、つまり、圧縮応力場の場合には、えてして逆断層が活発になるわけですが、そうではなくて、正断層も動き出す可能性があるということが明らかになっているので、そういうことについても、検討してくださいというふうに申し上げております。
指針そのものには、最新の知見を考えて対応してください、という書き方が書いてございます。それは、私どもの基本的な精神としては、非常に大切なことでありまして、最新の知見というものが明らかになった時点で、速やかに見直しをする、ということを指針の基本精神として要求しておりますので、それに沿って、先日の正断層が動き出すかもしれない、というようなことでの見直しを要求したものです。
ただ、今の指針の記述そのものが、今回の地震及び津波を踏まえて十分であるかどうかについては、先ほど申し上げましたように、専門の先生方によくご議論をいただきたいというふうに考えてございます。
○東京新聞榊原記者 耐震バックチェックは、なかなか作業の進捗のスピードが上がらないかと思うんですが、新しく指針が変わってしまったら、耐震バックチェックも、新しい指針に基づいて、今のバックチェックが終わらないでも、その新しくなった指針に基づいて、バックチェックをするような、そんなこともあり得るんですか。
○小山田原子力安全委員 それは、少し仮定に基づいての話になりますけれども、可能性として、そういう可能性もあるというふうに思います。ただ、必ずそういうふうになるということを申し上げているわけではありませんが。
以 上
班目 春樹 (専門:流体・熱工学)
1972.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1990.11. 東京大学工学部教授
1995.4. 東京大学大学院工学系研究科教授
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
久木田 豊 (専門:原子力熱工学)
1975.3. 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1990.4. 日本原子力研究所東海研究所安全性試験研究センター
原子炉安全工学部熱水力安全研究室長
1996.10. 名古屋大学大学院工学研究科教授
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
久住 静代 (専門:放射線影響学)
1972.3. 広島大学医学部医学科卒業
1988.5. 日米共同研究機関・放射線影響研究所臨床研究部副部長
1989.4. 広島大学原爆放射能医学研究所非常勤講師
1996.4. (財)放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役
2004.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
小山田 修 (専門:原子炉構造工学)
1970.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
2002.4. (株)日立製作所技師長
2005.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門長
2007.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力科学研究所所長
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
代谷 誠治 (専門:原子炉物理・原子炉工学)
1974.3. 京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学
1996.4. 京都大学原子炉実験所教授
京都大学大学院エネルギー科学研究科教授(兼任)
2003.4. 京都大学原子炉実験所長
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
専門的な分野にもかかわらず新聞記者の皆さんの鋭いご質問、委員の皆様の懇切丁寧なご回答、いつもお疲れ様でございます。
重要な委員会であり当然ではありますが、委員会が終わり、即議事録を作成する国の姿勢には、感謝申し上げます。
(人手の面がありますが、区議会を含め、議事録のスピード化は、大いに期待をするところです。)
今回の記者会見のポイントとして
*安全設計指針を中心に指針を早急に見直し、抜本的な見直しも2-3年内に行う。
*作業員の状況の改善、ただしマスクはずしての喫煙は遺憾。
*「特定避難勧奨地点」の登場の背景。
*耐震バックチェック、特に正断層。
*オフサイトセンターが機能せず。
******原子力安全委員会ホームページより******
http://www.nsc.go.jp/info/20110617.pdf
原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年6月16日(木)14:25~15:00
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、小山田委員、久木田委員、久住委員
加藤審議官、水間課長、都筑課長
○電気新聞山田記者 電気新聞の山田と申します。
指針の見直しなんですけれども、現在、指針類は63種類ぐらいあったと記憶しているんですけれども、そのうちの何種類ぐらいが該当するんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 これは、もちろん基準・指針専門部会で議論していただくことになりますけれども、まずは、安全設計指針を中心に議論を進めていただいて、必要に応じて、その関連指針類についても議論するということになろうかと思います。それから、もうひとつ、耐震設計指針の方も、これは別の議論ということになるかと思います。
重要なのは、抜本的な改革を図ろうとは思っているんですけれども、余りに抜本的な議論を始めてしまうと、いつまで経っても結論が出ないということになりますので、その辺りは早急に、結論が出るものは早急に結論を出して、今年度末にご報告いただくと、それから抜本的な議論は抜本的な議論で、これはまた並行してしっかり進めていただきたいと、そういうふうに考えているところでございます。
それから、防災指針を言い忘れましたけれども、防災指針の方につきましても、早急に議論を始めさせていただいて、できれば、今年度中に一定の結論を出していただきたい、というふうに思っているところでございます。
○電気新聞山田記者 そこは全面改訂に近いような感じですか。
○班目原子力安全委員長 結局、2段階だと思っていただきたいと思うんですが、本当の意味での白紙から改訂を始めてしまうと、これは相当な時間がかかってしまいますので、まず、今、例えば、安全設計指針についてだったらば、こことこことここは特に、問題であるというようなところを抽出して、そこはそこで、直していくと、それと、別に、抜本的な議論も並行して行う、そんなふうなイメージだと考えていただければと思います。
○電気新聞山田記者 抜本的議論と申されると、どういうものが抜本的という意味ですか。
○班目原子力安全委員長 例えば、国際的に見たときには、シビアアクシデントの規制要件化というのが、多分、必須なんだろうと思っております。しかしながら、このシビアアクシデントをどういうふうな取扱いにするかとなると、ちょっと、いろいろ難しい点がありますので、その位置付けの議論というのとは結構、抜本的な議論で、それに対して、例えば、長
期間の全交流電源喪失を考えなくていいとか、そういうような辺りというのは、これは、すぐさま、改訂しなきゃいけないもの、そんなふうな仕分けになっていくんじゃないか、と思っております。
○小山田原子力安全委員 抜本的な見直しが必要なものもある、ということだと思うんですが、ともすると、すべての指針を全部抜本的に見直すのか、ということにつながりかねないと思うんですが、それは、そういうことではないと思うんです。
例えば、今、委員長が申し上げた耐震設計審査指針ということについても、どういうところを直す必要があるのか、そもそも直す必要があるか、ということについて、見直しをするというようなことだというふうに考えていただいていいと思います。今までの指針そのものの条文について、見直す必要がないというところは、相当程度に、もちろんあるんだというふうに理解していただきたいと思います。
○電気新聞山田記者 シビアアクシデントについて、外国では規制化されているものではないわけですか。シビアアクシデント対策というものを規制で、がちっと当てはめていることは、外国では普通なのかどうか、という点はいかがでしょうか。
○班目原子力安全委員長 シビアアクシデントについては、IAEAのNS-R-1でどう言っているかというと、深層防護の第4層として位置付けなさい、と言っています。ただ、その評価の仕方は、いわゆる各種事故という第3層の評価の場合には、これは最悪の場合を想定しても、それが起こらないように考えなさい、ということで、クレジットをとっているとか、そういう評価の仕方をしなきゃいけないんですが、シビアアクシデントについては、実力値での評価でいいですよ、という言い方をしていたり、ちょっとした差があるわけですね。
そういうことも含めて、見直していくとなると、ちょっと、これは、全体を見なきゃいけないので、少し時間がかかってしまうかな、というふうには思っております。
○朝日新聞小堀記者 朝日新聞の小堀です。
CSSの会合の報告があったので、関連の質問なんですが、来週からIAEAの閣僚級の会合がありますが、これは安全委員会から、どなたかいらっしゃるんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 いえ、安全委員会は、閣僚会議への報告書については、情報は提供していますけれども、その執筆に加わったわけではございませんので、参加しない予定となってございます。
○朝日新聞小堀記者 その会議の日程を見ますと、例えば、作業部会で緊急時の対応とか、例えば、久住先生がお詳しい範囲のお話とかも、あると思うんですけれども、それは保安院が説明するよりも、安全委員会が行かれた方が、いいようにも思えるんですが。
○班目原子力安全委員長 少なくとも、今のところ、そういう形にはなってございません。
○読売新聞山田記者 読売新聞の山田といいます。
小山田委員の現地視察の件での基本的な、ちょっと確認なんですが、配られた紙を見ますと、福島第一の方に行ったのが14日、ただし、出張期間は13日から16日と幅があるんですが、期間は他にどのようなことをやられたのか。
○小山田原子力安全委員 13日から16日と書いてあるんですね。すみません、今の資料、まず13日、それは、足かけのことを書いてありますが、13日の夜、ここを出て、まず、これはちょっとごめんなさい、あれが間違ってますね。6月13日、火曜日と書いてありますが、これは月曜日ですね。申しわけありません。
まず、6月13日の月曜日の夜、ここを出て、いわき市に泊まって、その次の日、6月14日に1Fサイトに行って、その終わった夜に福島市に移って、昨日は、一日、福島のオフサイトセンターにおりました。オフサイトセンターで、いろいろな人たちと話をして、6月16日、今朝、福島を立ったので、こういう書き方になっております。よろしいでしょうか。
○読売新聞山田記者 オフサイトセンターではどのような、ごめんなさい、いろいろな話を聞いたということなんですけれども。
○小山田原子力安全委員 オフサイトセンターでは、例えば、東電の本店が主催する会議が1日2回行われますけれども、その会議に出たり、あるいは、現地災害対策本部長が少し前にお代わりになりましたけれども、田嶋政務官とお話をしたりいたしました。副知事さんとも短時間ではありますけれども、面会をいたしました。
○朝日新聞今記者 朝日新聞の今と申しますが、小山田委員に質問なんですけれども、現地視察の件で、実際の作業員の方の作業条件、作業環境がかなり厳しくなっているという意見もあるんですけれども、小山田委員として、今後、最も改善しなければいけない部分と、今、特に気になる部分というのは、どの辺りと考えていらっしゃいますでしょうか。
○小山田原子力安全委員 幾つかあると思うんですけれども、ひとつは、皆さんも大変心配している熱射病対策の問題、これは、今、私が聞いている限りでは、かなりの苦心をされているというふうに聞いております。
先ほど申し上げましたように、2,600人からの作業員がいるわけで、その中には、いろいろな企業を通して仕事に来ていただいている人たちがたくさんいるわけで、それは、企業の人たちに対して、各作業員に朝、体調はどうですか、ということを、必ず聞いていくというようなことですとか、それから、ある時間をとったら必ず休憩をさせるだとか、それから、先ほど申し上げたように、大きな、200人ぐらい休めるような広間を作ってあるとか、それから、サイト内に、今、4か所、あと、これから増やしていくというふうに聞いておりますが、休憩所を設けるとか、それから、クールベストというようなものを使ったりとか、というようなことで、それから、もうひとつは、全面マスク着用が不要なところは、半面マスクにしようではないか、ということを考えているとかということで、懸命の努力をしている、というふうに聞いております。
ただ、全面マスクをして作業をするというのは、クールベスト等を使っても、なお、やはり、大変なものであるというようなことでは思っておりますので、今後、どういうふうに作業安全が保たれていくかということは、これからも、注意して見ていかなくてはいけないものだというふうに思っております。
それから、一時期、あそこで作業している人たちの食事の問題が多く出てまいりました。今回、私どもは、昼食を吉田所長他と一緒にとらせていただきましたけれども、今回は、レトルト食品で、その場で、袋の中で煮炊きできるようなものが入っておりました。その意味では、前に比べると、随分改善されたとは思います。ただ、相変わらず、あそこでは生野菜そのものの処理ができないと、水の量をコントロールしているので、生野菜をあそこでは食べられないということであります。
ただ、企業の人たちは、それぞれが弁当を独自に運び込むということもできるようになっているということですから、改善はされてきている。ただし、申し上げましたように、全面マスクをして作業をするというのは、大変厳しいものですから、今後も、私どもも、注意して見てまいりたいということです。
それから、例えば、1Fサイトでは、まだシャワーは使えないようですが、2Fサイトには15個ほどのシャワーを設けて、まだ時間制限がある、ということではありますけれども、シャワーを浴びられるようにしているとか、それから、一時期、あそこは大広間で寝ているというような、体育館だったと思いますが、そういうふうな、写真報道や何かがあったかと思いますが、今は、二段ベッドにしているとか、それから2,600人のうちの相当多くの人たちは、J-ビレッジを通して1Fサイトに入ってきて、その日は2Fサイトでもない、全然、別なところで、それぞれの例えば、企業が準備している宿舎等で休んでいると、その日は休むと、また次の日に働きに来るという状況のようでありますし、それから、勤務体系についても、6日間続いて仕事をしたら、2日ないし3日続けて休むとかというような、それなりの工夫を懸命にやっているというふうに聞いております。
以上でございます。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
まず、指針の見直しのことでお伺いしたいんです。
立地指針と安全評価指針についても、これは見直しの対象になるというふうに考えればよろしいんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 その辺りも、しっかりと基準指針部会で議論していただきたいと思っていますけれども、まずは、安全設計指針を見直す中でどうするか、ということを決め
ていくという手順になろうかと思っています。
○東京新聞榊原記者 優先順位としては、安全設計審査指針の長期間の全交流電源の喪失の辺りから入っていくというような。
○班目原子力安全委員長 そこだけに絞るつもりはございませんけれども、安全設計審査指針、これも指針の数は一応全部見てみる、この辺りから、とにかくスタートさせたいと思っています。
○東京新聞榊原記者 防災指針の方でお伺いしたいんです。
この文章の中で国際的な考え方を取り入れとあるんですが、これは具体的にEPZを8~10㎞圏を30㎞圏まで拡大してほしい、というようなことなんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 もちろん、それも含まれると思います。今回の事故により、我が国の場合は、8㎞から10㎞と言っていたんですけれども、20㎞圏内まで初期に避難していただいたわけですから、そのことも考え、また、国際的にどうなっているのかということも考えて、結論を出していきたいというふうに思っています。
○東京新聞榊原記者 あと関連で、防災指針の方では、屋内退避の基準ですとか、避難の基準、それも今回、屋内退避の期間が非常に長かったですから、そういったことも、もちろん、見直しの対象になるという考えでもよろしいでしょうか。
○班目原子力安全委員長 そういうことも含めて、いろいろな点を全部、見直してみたいと思っています。
○東京新聞榊原記者 オフサイトセンターの場所も、これは防災指針の見直しの中に入ってくるんでしょうか。オフサイトセンターが機能しなかったことも、防災指針の見直しの中で検討されるような形になるんでしょうか。
○都筑課長 オフサイトセンターにつきましては、その機能、あり方というようなところを防災指針の中では記載させていただいておりますので、そのことについて、見直しをしたいと思いまして、実際の場所は、どの場所に作るかというのは、これは、保安院の方になりますので、そちらの方でご検討いただくという形になります。我々は、基本的な考え方、機能のあり方、そういったところを記載してまいりたいと思っております。
○読売新聞山田記者 読売新聞、山田といいます。
また、小山田委員の方に2点ほど、先ほど説明の中で、食事の話で現地での水の量をコントロールしているので、生野菜が食べれないというお話があったんですが、すみません、不勉強で、これはどういうことなのか、教えてください。
○小山田原子力安全委員 ちょっと、説明が十分ではなかったですね。
生野菜をそこで食べるようにするために、その場所で水洗いをすることができないということです。したがって、例えば、弁当の中に生野菜が入っているということは、もちろんあると思いますし、そういうようなことです。
○読売新聞山田記者 あともう1点、昨日だったと思うんですけれども、東電の方で現場の作業員がマスクを外して、たばこで一服という話もあったんですけれども、そういった作業が3か月ぐらいになって、現場の方で、要は気のたるみというと言葉が悪いんですけれども、何か、そういった感じもなれてきているというか、見れなくもないんですけれども、委員視察に行って、何か、そういったものを感じられたものがあるかどうか、お伺いできれば。
○小山田原子力安全委員 昨日、そういうマスクを外してたばこを吸っている人がいたということは、私もオフサイトセンターでの会議、先ほど、お話をした会議の席上で聞きました。大変、愕然といたしました。その場でも、吉田所長が言っておりましたけれども、まことに遺憾なことだと、本人も言っていましたけれども、私もそのように思います。
ただ、私が今回サイトの中を見たときに、気の緩みというようなものを、私が感じたことはございません。
○NHK春野記者 NHK、春野と申します。
班目委員長に伺います。
今日の臨時会の「その他」のところで報告された、特定地点への対応についての件ですけれども、これは、今までの経緯をはっきり把握してないんですけれども、こういう考え方というか、対応策が報告されたのは初めてですよね。
○班目原子力安全委員長 安全委員会の方としては、現在、現存被ばく状況なる場所が発生している、というふうに認識しているわけでございます。そういうところへの対応の一番基本的な考え方みたいなものは、既に発表してございます。
○NHK春野記者 特定避難勧奨地点という言葉でこういう対策を示したのは初めて、と理解していますが。
○班目原子力安全委員長 この特定勧奨地点、こういうところについて、こういう対応をとりますよ、という提案は、これはあくまでも、原子力災害対策本部の方で具体的に決めたものでございます。原子力安全委員会としては、あくまでも助言要請があったのは、その1枚物、「事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される特定の地点への対応について」という、この1枚物についての助言を求められたので、その答えとしては、最後の1枚物の形でいろいろな科学的、技術的な知見からの回答をしたと、そういう事実関係となります。
○NHK春野記者 ちょっと、今、確認でご質問したんですけれども、伺いたいのは、この地点というのは、事故発生直後から線量が高い状態が今まで、ずっと続いてきているわけですけれども、そういった地点について、事故から3か月以上経ってから、ようやく、こういう対応策が示されたなというのが、私の印象なんですけれども、それについて、委員長の所感を伺えればと思います。
○班目原子力安全委員長 計画的避難地域の方も全く同じなんですけれども、20㎞圏内の方々は、とにかく、とるものもとりあえず出てください、という状況だったわけですね。それによってこうむる社会的、経済的損失等々を考えたことと、それから、放射線量、被ばく線量が多いこととの、その辺りのバランスを図ることが大切だろうと思っております。
そういう意味からいきますと、我々としては、これからこういうホットスポットといいますか、局所的に線量が高いところが出てくることというのは、予想していたところでございまして、モニタリングの強化というのを求めていたというのは、実は、それが理由でございます。そういう意味で、まずはモニタリングをしっかり強化して、そうした上で、今日の助言にありますような対応をとっていただきたいということ、それに尽きると思っております。
○NHK春野記者 こういうホットスポットへ対応がもっと早くできたんじゃないかなという気もするんですが、この時期になったということについては、どう思われますか。
○代谷原子力安全委員 ちょっと補足させていただきますと、計画的避難区域等々のお話が出てきたのは4月ですよね。実は、今回、ああいうホットスポットと言われているところの計測が始まったのは4月の終わりですね。その1点の時点では物を申すことはできないわけで、それが幾つか、5月に2回ほどというような形で増えてきた。それで、ある程度の、もちろん前の方は一番高いところの線量と同じ振る舞いをするだろうという、そういう推定のもとでやりますと、20mSv/年を超えそうだということで、今回、こういうお話になったと思うんですね。
ホットスポットという形ではなくて、もし、最初の頃から計画的避難区域を設定するときから、あの地点のデータとかが入っていれば、恐らく計画的避難区域の中に取り込まれたというようなところではないのかな、というように思っています。そういうような、今回の地点については、そういうような地点であったというところです。
ただ、その頃のモニタリングが不十分だったんじゃないか、ということになれば、リソースの話とかあるので、私の方から、必ずしもそれを所掌しているところではございませんので、言うことはできませんが、そういう批判については、あり得ることではあろうというふうに思っています。
○朝日新聞小堀記者 朝日新聞の小堀です。
たびたびすみません。班目委員長にお伺いしたいんですが、指針の見直しについてなんで
すが、今回、指針を抜本的に見直されることにも踏み込んでおっしゃいましたが、そもそも、指針というのは憲法ではないわけで、指針に決まってないことでも事業者が率先して取り組んでいいことは、たくさんあると思うんですけれども、今回は、指針が想定していなかった面、足りない面はあると思うんですが、そういう、安全委員会が決めたこと以外に事業者がもっと取り組むべきだったとか、そういうことはお考えにはならないんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 これは我々からは、是非、本当は東京電力としては、しっかりとした取組をしておいていただきたかったなと、強く思う次第です。
○朝日新聞小堀記者 指針の2段階、抜本的なものも並行して見直されるということなんですが、相当時間がかかる、とおっしゃいましたが、それは、大体、目処としては何年とか、時期は考えられていますでしょうか。
○班目原子力安全委員長 いつまでもずるずるとということではないので、2~3年を目処にとは考えています。ただ、いろいろと並行して考えなきゃいけない問題がありまして、例えば、IAEAの閣僚会議の報告では、法令の見直しみたいなものまで挙げられているわけですよね。ですから、そういうものも並行して考えながらの作業で、しかし、それがいつ、どうなるか、というのが我々は分かっているわけではないから、とりあえず、安全委員会としては、安全委員会としてできることをどんどん進めていくと、そういうつもりでおります。
○朝日新聞小堀記者 IAEAの基準の見直しとか、そういうのも見ながら国内の見直しもされるという、そういう理解でいいでしょうか。
○班目原子力安全委員長 ですから、必ずしも原子力安全委員会、今の体制だと、原子力安全委員会だけの仕事になるかどうかも、ちょっと分からないところがございます。例えば、IRRS、2007年に日本が受けたIAEAのINTEGRATED REGULATORY REVIEW SERVICE、その中に安全委員会と原子力安全・保安院との特に、そういう指針だとか、基準だとかの策定についての分業関係をはっきりさせなさいよ、という指摘もございます。それから、むしろ、規制に直接結びつくような辺りについては、規制行政庁が定めるのが正しいというふうにも書かれております。
いろいろなこともございますので、原子力安全委員会としては、今まで指針として定めてきたものすべては、ずっと安全委員会が所掌だとは考えてなくて、そういうことも含めた本質的な議論というのが、当然なさるべきだというふうに思っているわけでございます。
○東京新聞西山記者 東京新聞の静岡総局の西山と申します
久住委員にちょっとお伺いしたいんですけれども、今、静岡では、お茶の放射能物質検査をめぐっていろいろ盛り上がっているんですけれども、原子力安全委員会さんでは、経口摂取する段階で検査するのが望ましい、と助言をしているかと思うんですけれども、今、国の
指示に従って、静岡で加工段階の荒茶を検査しているんですけれども、荒茶を検査することにどういう意義があるか、ということをちょっとお伺いしたいんですが。
○久住原子力安全委員 私ども安全委員会は、本日の助言要請のように、そういう影響を受けた地域、今回の原災法の対象になる地域の拡大は是か非か、ということを原災本部から助言として求められたわけで、その内容につきましては、関係省庁が判断されていますので、今、ご質問の件につきましては、私どもは全くコメントできない状況です。
○東京新聞西山記者 暫定規制値についても、見直すべきだというふうなことをおっしゃっていますけれども、今、生の茶葉と総体的に濃度が濃くなる乾燥した茶葉というのが、同じ500ベクレルというので検査されているということについて、それは、今、妥当であるかどうかということも、1点ちょっとお伺いしたいです。
○久住原子力安全委員 私が申し上げたのは、原子力安全委員会が防災指針の中で決めています、緊急事態における線量を回避するための食物制限、その線量をどのように考えるか、回避する、食物制限をするかしないかということを考え始める値として、こういう値を示していますと。
ただ、それが、今後、長期的な出荷制限だとか、摂取制限につながる値として是か非かということになりますと、ちょっと、それはいかがなものかという意味で、だから、具体的な内容がというよりは、このことは、厚労省の方の食品安全のルールの中で進められておりますので、具体的に私どもが、お茶についてどうこうということを申し上げたということではないということです。
○都筑課長 基本的には、先ほど、久住委員のとおり、これはあくまでも、暫定的なものでございますので、したがいまして、これを食品健康影響の観点から、きっちりと厚生労働省が定めるべきものであると、したがって、これをいつまでも使ってくことについては、適切でないと考えております。
○水間課長 先ほど、ご質問の中で、荒茶そのものを安全委員会がチェックすべきと言ったかのようなご質問がありましたけれども、それは誤解です。確認してください。
○東京新聞榊原記者 たびたびすみません、東京新聞、榊原です。
耐震設計審査指針の見直しのことでちょっと確認したいんですが、見直す必要があるかどうかも含めて検討する、というご説明でしたが、基準地震動Ssを上回る地震、揺れというのが今回、観測されたわけですが、そのSsをどうするかという議論もこの中でやる、ということでよろしいんでしょうか。
○小山田原子力安全委員 耐震設計審査指針には、各サイトのSs地震動の大きさそのものについての規定はありません。大きさをどのように定めるべきか、という基本的な考えにつ
いて記載しております。
したがって、各サイトに例えば、今回、1Fサイトにおいて、基準地震動をある場所の加速度が超えたというのは事実でありますけれども、それをもって、耐震設計審査指針そのものを見直す必要がある、ということにはならないと思います。直ちに、そうはならないということを申し上げているのであって、そういうことも含めて、専門の先生方には議論をしていただきたいというふうに思っております。
○東京新聞榊原記者 もう1点すみません。
現行の耐震指針に基づいて、耐震バックチェックというのが進められているかと思うんですが、それで、この間も活断層の再チェックの指示をされ、追加意見を述べられていますが、そことの関係、耐震バックチェックはバックチェックで、耐震設計審査指針の見直し作業と並行して進んでいく、という理解でよろしいわけですね。
○小山田原子力安全委員 具体的に耐震バックチェックをどのようなステップで進めていくかということは、まだ決めておりません。ただ、先般、私どもが、今回のM9という例を見ない地震によって、日本の広域応力場といいましょうか、それが変わった可能性が高いと。それはご存じのように、特に、東日本は東西に、おおむね圧縮応力場を受けていたのが、今回の大きな地震によって変わってきている可能性が高くて、つまり、圧縮応力場の場合には、えてして逆断層が活発になるわけですが、そうではなくて、正断層も動き出す可能性があるということが明らかになっているので、そういうことについても、検討してくださいというふうに申し上げております。
指針そのものには、最新の知見を考えて対応してください、という書き方が書いてございます。それは、私どもの基本的な精神としては、非常に大切なことでありまして、最新の知見というものが明らかになった時点で、速やかに見直しをする、ということを指針の基本精神として要求しておりますので、それに沿って、先日の正断層が動き出すかもしれない、というようなことでの見直しを要求したものです。
ただ、今の指針の記述そのものが、今回の地震及び津波を踏まえて十分であるかどうかについては、先ほど申し上げましたように、専門の先生方によくご議論をいただきたいというふうに考えてございます。
○東京新聞榊原記者 耐震バックチェックは、なかなか作業の進捗のスピードが上がらないかと思うんですが、新しく指針が変わってしまったら、耐震バックチェックも、新しい指針に基づいて、今のバックチェックが終わらないでも、その新しくなった指針に基づいて、バックチェックをするような、そんなこともあり得るんですか。
○小山田原子力安全委員 それは、少し仮定に基づいての話になりますけれども、可能性として、そういう可能性もあるというふうに思います。ただ、必ずそういうふうになるということを申し上げているわけではありませんが。
以 上
班目 春樹 (専門:流体・熱工学)
1972.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1990.11. 東京大学工学部教授
1995.4. 東京大学大学院工学系研究科教授
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
久木田 豊 (専門:原子力熱工学)
1975.3. 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1990.4. 日本原子力研究所東海研究所安全性試験研究センター
原子炉安全工学部熱水力安全研究室長
1996.10. 名古屋大学大学院工学研究科教授
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
久住 静代 (専門:放射線影響学)
1972.3. 広島大学医学部医学科卒業
1988.5. 日米共同研究機関・放射線影響研究所臨床研究部副部長
1989.4. 広島大学原爆放射能医学研究所非常勤講師
1996.4. (財)放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役
2004.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
小山田 修 (専門:原子炉構造工学)
1970.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
2002.4. (株)日立製作所技師長
2005.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門長
2007.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力科学研究所所長
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
代谷 誠治 (専門:原子炉物理・原子炉工学)
1974.3. 京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学
1996.4. 京都大学原子炉実験所教授
京都大学大学院エネルギー科学研究科教授(兼任)
2003.4. 京都大学原子炉実験所長
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
その政策の良し悪しは別にしても、都政の方向性を見出すことも区のあり方を考える上で重要です。
本日の都議会初日の都知事の所信表明を見ておきます。
*****東京都ホームページより******
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/HATSUGEN/SHOUSAI/30l6h100.htm
平成23年第二回都議会定例会知事所信表明
平成23年6月17日
平成23年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
1 東京から日本を立ち上がらせる
(もはや日本の命運は窮まっている)
戦後、我々は、アメリカ依存の平和に安住しながら繁栄を謳歌し、かつて無い物質的な豊かさと引き替えに、日本人としての価値の基軸を失ってまいりました。目先の欲望の成就のみを願いながらいかなる負担をも責任をも忌避し、あまつさえ自分の肉親が亡くなっても弔いもせずに放置して、その年金を詐取する輩さえ現れております。
目を外に転じれば国際競争は厳しさを増しており、内向きになって困難な課題を先送りし続けることはとても許されません。少子高齢化という構造変化を冷静に捉えて社会保障や税制を痛みに耐えても立て直しながら、世界と伍す戦略と戦術を構えることを求められております。
にもかかわらず、肝心の国の政は、自らの保身のために国民の顔色を窺うばかりであります。もはや財政は実質的に破綻しており、国家としての命運はこの数年で決せられるところまで窮まってきております。
こうした状況の下で、東日本大震災は発生いたしました。
今回の巨大地震と大津波では、東北の街はどこまでも続く瓦礫と化し、産業も大打撃を受けました。私も被災地を訪れ自らの目で確かめましたが、まさに地獄で言葉もありません。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された方々、そして、原発事故によって避難を余儀なくされている方々に、心からお見舞いを申し上げます。
原発事故によって日本の安全神話は消えることになりました。国際社会からも危機管理能力が問われ信頼を失っております。このままでは日本自体が見限られ、ジャパンパッシングが加速し、経済は疲弊し、人材・企業・技術は流出していきかねません。
(政治は右往左往するな)
国難の下でもなお、国は誤った政治主導で官僚組織を全く使いこなせず対応が後手後手に回っております。未曾有の事態をかろうじて救っているのは、名も無き現場の日本人たちなのであります。
歯を食いしばりながらも、ささやかな援助にすら涙して感謝する被災者に、医療・福祉スタッフやボランティアが寄り添っております。原発事故では命を差し出す覚悟で自衛隊員、警察官、消防隊員、企業の現場作業員が奮闘してきました。都庁舎にも義援物資を持った都民が長蛇の列をなし、都に寄せられた義援金は約6億円にも上っております。
これらは、豊穣な四季に恵まれながらも、厳しい自然や天変地異と隣り合わせにある我が国の風土・歴史が培った日本人の美質に他なりません。政治は、義援金が未だ十分に行き渡らないような国民の誠意が活かされない状況を、そのままにしていてはなりません。呼び覚まされた忍耐、自己犠牲、同胞への連帯の心を、我が国の真の復活に向けた力に変えていかなければならないのであります。
政治は、ただ右往左往し場当たりを繰り返すのではなく、大震災からの復興を一日も早く実現するとともに、従前から直面する課題にも挑んで戦後の安易な他力本願や目先の利益追求を反省し、社会を修復へと導かなければなりません。
(東京が将来への展望を示す)
とりわけ、首都を預かる都政が、何を為すかが我が国の将来を決します。国家にも匹敵する力を持った東京から大震災を乗り越え、将来への確固たる展望を示し、信頼を回復するメッセージも世界に発信しなければなりません。
ゆえにも、政治・行政・都民・国民のあらゆる力を結集し、東京だからできる総力戦を展開いたします。日本を再び立ち上がらせるために、大震災にあって果たすべき東京の役割に全力を尽くし、国家の行き詰まりを打破する道筋も示してまいります。
2 被災地・被災者を支えるとともに、日本の頭脳・心臓を守る
先ずもって、眼前の危機に迅速に対処しなければなりません。
(被災地の復旧・復興を全面支援)
東京は福島の電力をはじめ、被災地の農林水産物や工業製品などに負ってきました。東京が、刻苦しながら再び立ち上がらんとする方々を全面的に支援するのは当然であります。
これまでも福島・仙台・盛岡に現地事務所を設置しニーズを的確に捉え協力してきました。今後も、被災地・被災者のため、実務に長けた技術職員やこころのケアチームなど必要な人材をできる限り派遣いたします。
被災地の復旧に立ちはだかる瓦礫については、区市町村や民間と共同して都内に受け入れ、処理に協力してまいります。
経済の立て直しも急がれておりまして、風評被害に晒される農林水産物について、安全性を消費者に正確に伝え販売を後押しするなど、巨大な消費地である東京を復興のために提供いたします。また、売上げの減少が深刻な被災地の中小企業の受注回復に繋げるため、都内中小企業等との商談会を現地で開催いたします。
都内に退避された方々も支えてまいります。現在、約5000人の方々を都営住宅等で受け入れておりまして、福祉相談や孤立化を防ぐ戸別訪問、就業支援や子供の就学支援など、生活全般をサポートいたしております。
(都民・都内事業者を守る)
大震災の影響が都内にも及んでおりまして、都民・事業者を確かな手立てで守らなければなりません。
震災により直接・間接に被害を受けて厳しい状況にある中小企業に対して、制度融資の新たなメニューを追加して、資金繰りに万全を期してまいります。経営が急速に悪化した中小企業に専門家を派遣し、立ち直りを支援いたします。雇用面において、東京しごとセンターに離職を余儀なくされた方々のための専門窓口を設置して、就職を後押ししてまいります。
放射能への不安も広がっておりまして、測定体制を強化し、結果をホームページや街頭ビジョンで公表いたします。都民の不安を払い、冷静に行動する手掛かりとなるよう、情報をわかりやすく迅速に提供してまいります。
電力不足の中での猛暑にも備えて、自治会、民生委員等の地域の力で高齢者を見守り、「熱中症対策緊急病床」も確保してまいります。
(高度防災都市を造形する)
大震災では、東京は被災地に比べはるかに小さな揺れだったにもかかわらず、都市機能は麻痺いたしました。帰宅困難者の問題が現実となり、相次ぐ余震や電力不足に伴う計画停電などで不安心理が高じ、被災者・被災地に最優先で送るべきガソリンや水、食料品などの買占めも起こりました。
〈東京都防災対応指針の策定〉
普段は当たり前と思っている都市の機能がいかに脆いかが明らかになったことから、災害対策を根底から見直してまいります。
帰宅困難者が駅から締め出されるような事態が再び起こらぬよう事業者など各々の役割分担・責任を明確化し、燃料や生活必需品の備蓄のあり方も抜本的に見直します。直下型地震への備えを固め直し、東京にも大きな影響が懸念される「東海・東南海・南海三連動地震」への対策も新たに加えた「東京都防災対応指針(仮称)」を11月を目途に策定いたします。
〈災害に強いまちづくり〉
専門家の指摘によれば、東京では体に感じないものも含めて地震が実に10分間に一回は起きておるそうです。世界最大の火山脈の上にある地震大国の首都を守るためには、街自体を災害に強くしなければなりません。これまでも阪神・淡路大震災の教訓などを取り入れ、道路や橋梁、ライフラインなどの耐震性を高め、液状化対策にも取り組んできました。これを強化しながら、津波・高潮に備えて、区部東部に広がるゼロメートル地帯や臨海部を守るインフラについて総点検いたします。
もとより、災害に強いまちづくりは、ひとり行政だけではできません。人間は、死が不可避であるにもかかわらず自分自身の死を信じないのと同様に、地震が起きても自分だけは大丈夫だと考えがちであります。これを改め地震を我がこととして捉えなければ、肝心の建物の耐震化は進まず、危険な木造住宅密集地域は残り続けます。
先の定例会で決まった緊急輸送道路沿道の建物に耐震診断を義務付ける条例に基づき、対象となる路線を速やかに指定いたします。また、建物の耐震性がわかるマークの表示制度を創設して、条例を効果的に運用してまいります。
木造住宅密集地域には専門家を派遣して、建物倒壊の恐怖や火災が津波のように広がる危険性を示し、住民の意識を変えてまいります。まちづくり施策や税制、建て替え時の生活支援策なども総動員した新たな手法も編み出し、壊れず燃えない街への歯車を大きく回していきたいと思っております。
一連の取組みによって、いかなる災害に直面しても都民の生活が確実に守られ、一刻たりとも日本の頭脳・心臓が止まらないように高度な防災力を備えた都市を造形してまいります。
なお、国は、国家における首都の役割を全く考慮せず、ただ自らの場当たりな財政運営を糊塗するために、本来地方税である法人事業税の税収を東京から一方的に奪っております。東京が潰れ日本が崩壊するようなことがあってはならず、東京の金を東京を守るために東京が使おうという我々の意思を、国が阻む道理は全くありません。法人事業税の暫定措置の即時撤廃を改めて、強く要求してまいります。
3 東京から次なる日本の姿を先取りし、価値観も転換
我が国が真に立ち直るには、単に被った被害の復元に止まらず、再起を通じて生活様式や価値観を転換し、次なる日本への道筋をつける必要があります。こうした観点に立って、東京はいかなる都市を目指し、社会や仕組みを率先して構築すべきか、申し上げたいと思います。
(東京発の環境・エネルギー戦略)
原発事故に伴い、電力不足に直面しております。国は、節電の目標数値は定めても、後は企業・国民に下駄を預けており、何への遠慮か産業活動や国民生活を考えた自らの権限行使に、極めて極めて消極的であります。先般のサミットでは、実現への具体策も示さずに1000万世帯に太陽光発電パネルを設置すると闇雲に打ち上げました。これを見ても、国は、国家存立の生命線である経済やエネルギーについて、定見を持ち合わせているとは、到底、思えません。
今、必要なのは、電力不足の長期化や災害の発生はもとより、地球の温暖化も見据えた上で、環境と経済とが高度に両立した社会を創り上げることであります。節電を機に生活や意識を変えCO2を削減しつつ、必要なエネルギーは低炭素で高効率なものへと多様化・分散化して確保していく戦略的な思考が求められております。
それゆえ、節電は夏を乗り切るだけではなく、煌々と輝くネオンや街中に林立する自動販売機に表象される、過剰なエネルギー消費に痛痒を感じない社会や過度の便利さに慣れた生活を見直し、21世紀にふさわしい低炭素型社会に転換する、またとない機会にしなければなりません。
先ず都庁舎が率先して、政府の目標を大幅に上回る25%の節電を実行しております。そして、地球温暖化対策で培ってきた省エネ・節電のノウハウをフル活用し、企業の具体的で実効性のある取組みを後押ししてまいります。公立小中学校では節電教育を実施し、家族ぐるみで家庭の暮らしを見直すことを促してまいります。
一方、電力不足によって、遠隔地の大規模発電所からの送電に頼り切ってきた脆さが明らかになったことから、東京という日本のダイナモが麻痺して止まらぬように、打つべき手を果断に打たなければなりません。
電力供給への不安により産業が停滞し空洞化することを防ぐため、首都圏の電力自給能力を高めてまいります。これに極めて有効な天然ガス発電所の新規な建設に向け、民間とも連携し行動を開始いたします。
また、人命を預かる病院などの必要不可欠な電力は、いかなる事態にあっても確保しなければならず、自家発電設備の導入を支援いたします。
さらに、家庭への太陽光発電パネルの普及を後押しするほか、大規模開発では地域エネルギー供給システムの導入を促進するなど、東京の隅々に発電装置を分散して配備し、危機にあっても東京が動き続けることを可能にしてまいります。
エネルギー政策を都市政策の柱に据え、東京発の環境・エネルギー戦略を展開し、国に提起してまいります。
(アジアのヘッドクォーターへと進化)
大震災からの復興を考えるに際して、関東大震災の復興を担った後藤新平に脚光があたっております。後藤新平は、モータリゼーションの隆盛を見越したかのように環状道路などの重要な都市インフラを構想し、東京を本格的な近代都市へと導きました。
それから90年を経て、平成25年度に中央環状線がようやく全線開通し、彼の卓見が一つの形として実を結びます。我々は、先見性溢れた大きな構想力に、大いに学ぶべきであります。同時に、文明工学的視点を欠いた政治と行政が続いたがために、実際の道路整備は遅れ、交通渋滞や大気汚染という多大な損失を生んだ現実も忘れてはなりません。
〈文明工学に立脚した都市インフラの整備〉
都市インフラの整備は、未来に繋がる財産を築く極めて重要な営みであります。これまでも「10年後の東京」計画に基づいて、投資効果の高い事業に力を注いできました。今後とも、東京と日本のさらなる発展のために、大きな流れに適った都市インフラを弛みなく整備いたします。
只今述べた中央環状線の開通をはじめ、今年度の東京港臨海道路の完成、いよいよ工事着手となる外環道の整備などにより20世紀の負の遺産である交通渋滞を大幅に解消いたします。圏央道の整備はもとより、来年度の府中清瀬線、新滝山街道の開通などで、多摩の発展にも拍車をかけてまいります。さらに、新しい大動脈を造って文明発展の原動力である人・モノ・情報の交流を革新的に高めるために、品川を、世界と日本を結ぶ羽田空港と、我が国の三大都市圏を約1時間で結ぶリニア中央新幹線との結節点にしてまいります。
〈東京が日本経済を牽引し続ける〉
着々と整備が進む都市インフラを跳躍台に、東京は金の卵を産む鶏として日本経済を牽引し続けなければなりません。成長の旗を振り、雇用を生んで若者の就職を確保し、福祉を充実させる富も生む循環を導かなければ、大震災からの復興は遅れます。少子高齢化に伴う財政負担の増大も、到底、乗り越えることはできずに、日本は沈むしかありません。
東京の高度な集中・集積を堅持し、世界中から人・モノ・金融・情報を吸い寄せる磁力を維持すべく、首都としての防災力・危機管理能力を向上させて国内外の信頼を高めるとともに、放射線測定値も広く発信して国際的な風評被害を払拭してまいります。
また、外国企業のアジア本社や研究機関を誘致するために、国の規制や競争上のハンディキャップを乗り越える総合特区制度を活用いたします。これを起爆剤として、外国の頭脳と日本の頭脳が刺激し合って新たな価値を生む舞台を整え、集積の底力を引き出し、アジア諸国には真似のできない研究開発や新技術・新サービスの創出を促してまいります。多摩シリコンバレーの形成も加速すべく、産業技術の新たな教育機関も整備いたします。
正確無比な公共交通システム、多彩な食文化、世界自然遺産登録目前の小笠原をはじめとする豊かな自然といった東京ならではの魅力もさらに高めるなど、都市政策や産業政策、交通政策等を重層的に展開し、アジアのヘッドクォーターへと東京を進化させてまいります。
(連帯に裏打ちされた安全安心社会の実現)
大震災にあって、同じ被災者同士が支え合い秩序正しく行動する姿は、世界を瞠目させました。人間は他者との関わり無くして生きてはいけず、血縁で結ばれた家族から始まる連帯が、会社や地域などを通じて広がり、堆積重層してエネルギーを生むこの世の中の公理を改めて悟らされました。社会の安全と安心には、行政による子育て施策や高齢者福祉といった公助の充実だけではなくて、地域の力などの共助も不可欠であります。
東京は全国から人が集まり、核家族化が進み価値観も多様化して、しがらみも無ければ絆も希薄であります。そればかりか、親殺し子殺しといったおぞましい事件も後を絶ちません。ならばこそ、大震災を機に人間の絆の価値を再認識し、大都市にふさわしい連帯の形を創り上げる必要があります。これは、過度の権利を主張し責任は軽視する戦後の悪しき風潮を変えることにもなるに違いありません。
先ずは、住宅街で近所の繋がりを結び直します。また、ネットの中で繋がる若者を地域での現実の人の輪へと橋渡しをいたします。区市町村とも連帯し、防災隣組とも言うべき新たな共助の絆を張り巡らすことにより、常日頃から周りを気遣い声をかけ合い、孤立とは無縁な、災害時に一人でも多くの人が救われる東京へと転換してまいります。
(次代を担う若者を育てる)
いわゆる「失われた20年」に生まれ育った今の子供たちは、停滞・衰微する日本しか知りません。そんな子供たちに大震災があったとはいえ、さらに大きな重荷を背負った国家を残すことは許されません。我々には、環境と調和した社会や良質な社会資本、強い経済、連帯に裏打ちされた安全と安心を次の世代に引き継がせる責務があります。そして、複雑さと厳しさを増す国際社会を生き抜く力を与えなければなりません。
〈世界と戦える力を養う〉
四方を激しい海に囲まれ、外に出て行くことが極めて困難であった日本の国土は、受動的で自己主張が苦手な日本人の性情を形づくってきました。こうした民族的DNAに加え、昨今の若者は過保護に漬かって抵抗力を欠き、ひ弱な内向き志向も見られます。しかし、既に手にした繁栄も空しい夢に終わりかねないこの今、この閉塞を打ち破り国家の希望となり得るのは、若者しかありません。
世界に飛び出し、摩擦・相克の中で明確に意思表示もしながら、独自の才能を開花させていくような若者こそが、求められております。「かわいい子には旅をさせよ」と言いますが、世界を舞台に活躍する力強い若者を育成すべく、海外武者修行や留学を直接応援する新たな仕組みを構築したいと思います。
あらゆる摩擦・相克に耐えるためにも、脳幹を鍛えていかなければなりません。その効果的な方法であるスポーツを通じて、若者に成長する喜びを実感させ、強靱な肉体や健全な精神を養ってまいります。
国際化の時代に必須な論理的思考力や、他者と十二分に意思を交わす言語の技術といった「言葉の力」も身に付けさせます。
〈破壊的な教育改革を〉
戦後、我が国は、正当な歴史を教えることもせずに、官僚に表象されるような先行事例を学び追いかけることに長けた人材を効率よく生み出すための教育が惰性のように続き、子供から個性や想像力の芽を摘んできました。
このままでは、子供に海図・チャートも無しに21世紀の海へ乗り出せ、ということになりかねません。知力・体力・人間力を備え、自信と誇りを持って世界と渡り合える人材を育てるために、従来の制度や常識、慣行に囚われない新しいシステムが求められております。
そこで、破壊的な教育改革を議論し発信してまいります。高い見識と類い稀な人生経験を持ち、国際感覚も豊かな方々からなる「教育再生・東京円卓会議(仮称)」を設置いたします。
合わせて、只今申し上げた産業技術の新たな教育機関で次代のものづくり人材を育成するなど、これからの我が国を担う人材を東京から輩出してまいりたいと思います。
(「10年後の東京」計画の改定)
これまで述べた施策を強力に推進するために、すぐに着手すべきことを「東京緊急対策2011」にまとめ、とりわけ早期の予算措置が必要な施策は補正予算に計上し本定例会に提案しております。年末には「10年後の東京」計画を改定して「2020年の東京(仮称)」を策定し、東京を一段と高い次元で成熟させる新たな政策を構築してまいります。
(オリンピック・パラリンピック日本招致)
次に、オリンピック・パラリンピック招致について申し上げます。
1964年10月10日、世界中の青空を持ってきたかのような快晴の下、神宮の杜に聖火が灯りました。戦後の焼け野原から立ち上がり、国際社会に復興した姿を示した瞬間でありました。
世界史的にもかつて無い今回の大震災からの復興は、戦災からの復興にも匹敵する苦難の道程でありましょう。しかし、必ずや立ち直り、9年後の日本の姿を披瀝するならば、世界中から寄せられた友情や励ましへの何よりの返礼となるに違いありません。次代を担う若者に夢と希望を贈るためにも、日本開催を目指す松明を消さずに灯し続けることは、我が国の将来にとって大きな意義があると思います。
招致成功には、国やスポーツ界、経済界など国家の総力が結集され、気運が盛り上がることが不可欠であります。都民・国民の皆様にも是非、被災地をはじめ広く日本全体とスクラムを組んで東京にオリンピック・パラリンピックを再び招致することを、考えていただきたいと思います。招致に向けて、日本が一つになることを強く期待しております。
4 都民・国民の連帯で大きな潮流をつくる
先の選挙では皆様のご支援を賜り、四度、都政の舵取りを担うこととなりました。内憂外患に呻吟する日本にとって、この4年間は正念場でありましょう。かつて、福沢諭吉が「立国は私なり、公に非ず」、この強い言葉で示した国家を動かす個々人の強い意思が、未曾有の危機にある今ほど、必要な時はありません。政治は大きな目標を掲げ、現実を変える具体の手立てを通じて、個人の強い意思を連帯させ、大きな潮流にしていかなければならないのであります。
それができる現場を持つ東京からこそ、この国の再生を先導しなければなりません。そのためにも被災地と肩を組み、首都圏と連合し、全国の自治体とも手を携えます。国には権限と財源の移譲や規制の改革を迫りますが、国の動きを待つだけでなく、必要とあらば民間とも手を携え、海外からの資金も活用してまいります。
都議会の皆様とは共に首都を預かる政治家として議論を重ね、後の子孫が我々を顧みて、この4年間から日本は再び立ち上がったと認めてくれるような決断をし、施策も生み出したいと思います。身命を賭して都政運営にあたる決意であります。一層のご理解、ご協力をお願いいたします。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案8件、条例案6件など、合わせて24件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
以上をもちまして、所信表明を終わります。
本日の都議会初日の都知事の所信表明を見ておきます。
*****東京都ホームページより******
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/HATSUGEN/SHOUSAI/30l6h100.htm
平成23年第二回都議会定例会知事所信表明
平成23年6月17日
平成23年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
1 東京から日本を立ち上がらせる
(もはや日本の命運は窮まっている)
戦後、我々は、アメリカ依存の平和に安住しながら繁栄を謳歌し、かつて無い物質的な豊かさと引き替えに、日本人としての価値の基軸を失ってまいりました。目先の欲望の成就のみを願いながらいかなる負担をも責任をも忌避し、あまつさえ自分の肉親が亡くなっても弔いもせずに放置して、その年金を詐取する輩さえ現れております。
目を外に転じれば国際競争は厳しさを増しており、内向きになって困難な課題を先送りし続けることはとても許されません。少子高齢化という構造変化を冷静に捉えて社会保障や税制を痛みに耐えても立て直しながら、世界と伍す戦略と戦術を構えることを求められております。
にもかかわらず、肝心の国の政は、自らの保身のために国民の顔色を窺うばかりであります。もはや財政は実質的に破綻しており、国家としての命運はこの数年で決せられるところまで窮まってきております。
こうした状況の下で、東日本大震災は発生いたしました。
今回の巨大地震と大津波では、東北の街はどこまでも続く瓦礫と化し、産業も大打撃を受けました。私も被災地を訪れ自らの目で確かめましたが、まさに地獄で言葉もありません。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された方々、そして、原発事故によって避難を余儀なくされている方々に、心からお見舞いを申し上げます。
原発事故によって日本の安全神話は消えることになりました。国際社会からも危機管理能力が問われ信頼を失っております。このままでは日本自体が見限られ、ジャパンパッシングが加速し、経済は疲弊し、人材・企業・技術は流出していきかねません。
(政治は右往左往するな)
国難の下でもなお、国は誤った政治主導で官僚組織を全く使いこなせず対応が後手後手に回っております。未曾有の事態をかろうじて救っているのは、名も無き現場の日本人たちなのであります。
歯を食いしばりながらも、ささやかな援助にすら涙して感謝する被災者に、医療・福祉スタッフやボランティアが寄り添っております。原発事故では命を差し出す覚悟で自衛隊員、警察官、消防隊員、企業の現場作業員が奮闘してきました。都庁舎にも義援物資を持った都民が長蛇の列をなし、都に寄せられた義援金は約6億円にも上っております。
これらは、豊穣な四季に恵まれながらも、厳しい自然や天変地異と隣り合わせにある我が国の風土・歴史が培った日本人の美質に他なりません。政治は、義援金が未だ十分に行き渡らないような国民の誠意が活かされない状況を、そのままにしていてはなりません。呼び覚まされた忍耐、自己犠牲、同胞への連帯の心を、我が国の真の復活に向けた力に変えていかなければならないのであります。
政治は、ただ右往左往し場当たりを繰り返すのではなく、大震災からの復興を一日も早く実現するとともに、従前から直面する課題にも挑んで戦後の安易な他力本願や目先の利益追求を反省し、社会を修復へと導かなければなりません。
(東京が将来への展望を示す)
とりわけ、首都を預かる都政が、何を為すかが我が国の将来を決します。国家にも匹敵する力を持った東京から大震災を乗り越え、将来への確固たる展望を示し、信頼を回復するメッセージも世界に発信しなければなりません。
ゆえにも、政治・行政・都民・国民のあらゆる力を結集し、東京だからできる総力戦を展開いたします。日本を再び立ち上がらせるために、大震災にあって果たすべき東京の役割に全力を尽くし、国家の行き詰まりを打破する道筋も示してまいります。
2 被災地・被災者を支えるとともに、日本の頭脳・心臓を守る
先ずもって、眼前の危機に迅速に対処しなければなりません。
(被災地の復旧・復興を全面支援)
東京は福島の電力をはじめ、被災地の農林水産物や工業製品などに負ってきました。東京が、刻苦しながら再び立ち上がらんとする方々を全面的に支援するのは当然であります。
これまでも福島・仙台・盛岡に現地事務所を設置しニーズを的確に捉え協力してきました。今後も、被災地・被災者のため、実務に長けた技術職員やこころのケアチームなど必要な人材をできる限り派遣いたします。
被災地の復旧に立ちはだかる瓦礫については、区市町村や民間と共同して都内に受け入れ、処理に協力してまいります。
経済の立て直しも急がれておりまして、風評被害に晒される農林水産物について、安全性を消費者に正確に伝え販売を後押しするなど、巨大な消費地である東京を復興のために提供いたします。また、売上げの減少が深刻な被災地の中小企業の受注回復に繋げるため、都内中小企業等との商談会を現地で開催いたします。
都内に退避された方々も支えてまいります。現在、約5000人の方々を都営住宅等で受け入れておりまして、福祉相談や孤立化を防ぐ戸別訪問、就業支援や子供の就学支援など、生活全般をサポートいたしております。
(都民・都内事業者を守る)
大震災の影響が都内にも及んでおりまして、都民・事業者を確かな手立てで守らなければなりません。
震災により直接・間接に被害を受けて厳しい状況にある中小企業に対して、制度融資の新たなメニューを追加して、資金繰りに万全を期してまいります。経営が急速に悪化した中小企業に専門家を派遣し、立ち直りを支援いたします。雇用面において、東京しごとセンターに離職を余儀なくされた方々のための専門窓口を設置して、就職を後押ししてまいります。
放射能への不安も広がっておりまして、測定体制を強化し、結果をホームページや街頭ビジョンで公表いたします。都民の不安を払い、冷静に行動する手掛かりとなるよう、情報をわかりやすく迅速に提供してまいります。
電力不足の中での猛暑にも備えて、自治会、民生委員等の地域の力で高齢者を見守り、「熱中症対策緊急病床」も確保してまいります。
(高度防災都市を造形する)
大震災では、東京は被災地に比べはるかに小さな揺れだったにもかかわらず、都市機能は麻痺いたしました。帰宅困難者の問題が現実となり、相次ぐ余震や電力不足に伴う計画停電などで不安心理が高じ、被災者・被災地に最優先で送るべきガソリンや水、食料品などの買占めも起こりました。
〈東京都防災対応指針の策定〉
普段は当たり前と思っている都市の機能がいかに脆いかが明らかになったことから、災害対策を根底から見直してまいります。
帰宅困難者が駅から締め出されるような事態が再び起こらぬよう事業者など各々の役割分担・責任を明確化し、燃料や生活必需品の備蓄のあり方も抜本的に見直します。直下型地震への備えを固め直し、東京にも大きな影響が懸念される「東海・東南海・南海三連動地震」への対策も新たに加えた「東京都防災対応指針(仮称)」を11月を目途に策定いたします。
〈災害に強いまちづくり〉
専門家の指摘によれば、東京では体に感じないものも含めて地震が実に10分間に一回は起きておるそうです。世界最大の火山脈の上にある地震大国の首都を守るためには、街自体を災害に強くしなければなりません。これまでも阪神・淡路大震災の教訓などを取り入れ、道路や橋梁、ライフラインなどの耐震性を高め、液状化対策にも取り組んできました。これを強化しながら、津波・高潮に備えて、区部東部に広がるゼロメートル地帯や臨海部を守るインフラについて総点検いたします。
もとより、災害に強いまちづくりは、ひとり行政だけではできません。人間は、死が不可避であるにもかかわらず自分自身の死を信じないのと同様に、地震が起きても自分だけは大丈夫だと考えがちであります。これを改め地震を我がこととして捉えなければ、肝心の建物の耐震化は進まず、危険な木造住宅密集地域は残り続けます。
先の定例会で決まった緊急輸送道路沿道の建物に耐震診断を義務付ける条例に基づき、対象となる路線を速やかに指定いたします。また、建物の耐震性がわかるマークの表示制度を創設して、条例を効果的に運用してまいります。
木造住宅密集地域には専門家を派遣して、建物倒壊の恐怖や火災が津波のように広がる危険性を示し、住民の意識を変えてまいります。まちづくり施策や税制、建て替え時の生活支援策なども総動員した新たな手法も編み出し、壊れず燃えない街への歯車を大きく回していきたいと思っております。
一連の取組みによって、いかなる災害に直面しても都民の生活が確実に守られ、一刻たりとも日本の頭脳・心臓が止まらないように高度な防災力を備えた都市を造形してまいります。
なお、国は、国家における首都の役割を全く考慮せず、ただ自らの場当たりな財政運営を糊塗するために、本来地方税である法人事業税の税収を東京から一方的に奪っております。東京が潰れ日本が崩壊するようなことがあってはならず、東京の金を東京を守るために東京が使おうという我々の意思を、国が阻む道理は全くありません。法人事業税の暫定措置の即時撤廃を改めて、強く要求してまいります。
3 東京から次なる日本の姿を先取りし、価値観も転換
我が国が真に立ち直るには、単に被った被害の復元に止まらず、再起を通じて生活様式や価値観を転換し、次なる日本への道筋をつける必要があります。こうした観点に立って、東京はいかなる都市を目指し、社会や仕組みを率先して構築すべきか、申し上げたいと思います。
(東京発の環境・エネルギー戦略)
原発事故に伴い、電力不足に直面しております。国は、節電の目標数値は定めても、後は企業・国民に下駄を預けており、何への遠慮か産業活動や国民生活を考えた自らの権限行使に、極めて極めて消極的であります。先般のサミットでは、実現への具体策も示さずに1000万世帯に太陽光発電パネルを設置すると闇雲に打ち上げました。これを見ても、国は、国家存立の生命線である経済やエネルギーについて、定見を持ち合わせているとは、到底、思えません。
今、必要なのは、電力不足の長期化や災害の発生はもとより、地球の温暖化も見据えた上で、環境と経済とが高度に両立した社会を創り上げることであります。節電を機に生活や意識を変えCO2を削減しつつ、必要なエネルギーは低炭素で高効率なものへと多様化・分散化して確保していく戦略的な思考が求められております。
それゆえ、節電は夏を乗り切るだけではなく、煌々と輝くネオンや街中に林立する自動販売機に表象される、過剰なエネルギー消費に痛痒を感じない社会や過度の便利さに慣れた生活を見直し、21世紀にふさわしい低炭素型社会に転換する、またとない機会にしなければなりません。
先ず都庁舎が率先して、政府の目標を大幅に上回る25%の節電を実行しております。そして、地球温暖化対策で培ってきた省エネ・節電のノウハウをフル活用し、企業の具体的で実効性のある取組みを後押ししてまいります。公立小中学校では節電教育を実施し、家族ぐるみで家庭の暮らしを見直すことを促してまいります。
一方、電力不足によって、遠隔地の大規模発電所からの送電に頼り切ってきた脆さが明らかになったことから、東京という日本のダイナモが麻痺して止まらぬように、打つべき手を果断に打たなければなりません。
電力供給への不安により産業が停滞し空洞化することを防ぐため、首都圏の電力自給能力を高めてまいります。これに極めて有効な天然ガス発電所の新規な建設に向け、民間とも連携し行動を開始いたします。
また、人命を預かる病院などの必要不可欠な電力は、いかなる事態にあっても確保しなければならず、自家発電設備の導入を支援いたします。
さらに、家庭への太陽光発電パネルの普及を後押しするほか、大規模開発では地域エネルギー供給システムの導入を促進するなど、東京の隅々に発電装置を分散して配備し、危機にあっても東京が動き続けることを可能にしてまいります。
エネルギー政策を都市政策の柱に据え、東京発の環境・エネルギー戦略を展開し、国に提起してまいります。
(アジアのヘッドクォーターへと進化)
大震災からの復興を考えるに際して、関東大震災の復興を担った後藤新平に脚光があたっております。後藤新平は、モータリゼーションの隆盛を見越したかのように環状道路などの重要な都市インフラを構想し、東京を本格的な近代都市へと導きました。
それから90年を経て、平成25年度に中央環状線がようやく全線開通し、彼の卓見が一つの形として実を結びます。我々は、先見性溢れた大きな構想力に、大いに学ぶべきであります。同時に、文明工学的視点を欠いた政治と行政が続いたがために、実際の道路整備は遅れ、交通渋滞や大気汚染という多大な損失を生んだ現実も忘れてはなりません。
〈文明工学に立脚した都市インフラの整備〉
都市インフラの整備は、未来に繋がる財産を築く極めて重要な営みであります。これまでも「10年後の東京」計画に基づいて、投資効果の高い事業に力を注いできました。今後とも、東京と日本のさらなる発展のために、大きな流れに適った都市インフラを弛みなく整備いたします。
只今述べた中央環状線の開通をはじめ、今年度の東京港臨海道路の完成、いよいよ工事着手となる外環道の整備などにより20世紀の負の遺産である交通渋滞を大幅に解消いたします。圏央道の整備はもとより、来年度の府中清瀬線、新滝山街道の開通などで、多摩の発展にも拍車をかけてまいります。さらに、新しい大動脈を造って文明発展の原動力である人・モノ・情報の交流を革新的に高めるために、品川を、世界と日本を結ぶ羽田空港と、我が国の三大都市圏を約1時間で結ぶリニア中央新幹線との結節点にしてまいります。
〈東京が日本経済を牽引し続ける〉
着々と整備が進む都市インフラを跳躍台に、東京は金の卵を産む鶏として日本経済を牽引し続けなければなりません。成長の旗を振り、雇用を生んで若者の就職を確保し、福祉を充実させる富も生む循環を導かなければ、大震災からの復興は遅れます。少子高齢化に伴う財政負担の増大も、到底、乗り越えることはできずに、日本は沈むしかありません。
東京の高度な集中・集積を堅持し、世界中から人・モノ・金融・情報を吸い寄せる磁力を維持すべく、首都としての防災力・危機管理能力を向上させて国内外の信頼を高めるとともに、放射線測定値も広く発信して国際的な風評被害を払拭してまいります。
また、外国企業のアジア本社や研究機関を誘致するために、国の規制や競争上のハンディキャップを乗り越える総合特区制度を活用いたします。これを起爆剤として、外国の頭脳と日本の頭脳が刺激し合って新たな価値を生む舞台を整え、集積の底力を引き出し、アジア諸国には真似のできない研究開発や新技術・新サービスの創出を促してまいります。多摩シリコンバレーの形成も加速すべく、産業技術の新たな教育機関も整備いたします。
正確無比な公共交通システム、多彩な食文化、世界自然遺産登録目前の小笠原をはじめとする豊かな自然といった東京ならではの魅力もさらに高めるなど、都市政策や産業政策、交通政策等を重層的に展開し、アジアのヘッドクォーターへと東京を進化させてまいります。
(連帯に裏打ちされた安全安心社会の実現)
大震災にあって、同じ被災者同士が支え合い秩序正しく行動する姿は、世界を瞠目させました。人間は他者との関わり無くして生きてはいけず、血縁で結ばれた家族から始まる連帯が、会社や地域などを通じて広がり、堆積重層してエネルギーを生むこの世の中の公理を改めて悟らされました。社会の安全と安心には、行政による子育て施策や高齢者福祉といった公助の充実だけではなくて、地域の力などの共助も不可欠であります。
東京は全国から人が集まり、核家族化が進み価値観も多様化して、しがらみも無ければ絆も希薄であります。そればかりか、親殺し子殺しといったおぞましい事件も後を絶ちません。ならばこそ、大震災を機に人間の絆の価値を再認識し、大都市にふさわしい連帯の形を創り上げる必要があります。これは、過度の権利を主張し責任は軽視する戦後の悪しき風潮を変えることにもなるに違いありません。
先ずは、住宅街で近所の繋がりを結び直します。また、ネットの中で繋がる若者を地域での現実の人の輪へと橋渡しをいたします。区市町村とも連帯し、防災隣組とも言うべき新たな共助の絆を張り巡らすことにより、常日頃から周りを気遣い声をかけ合い、孤立とは無縁な、災害時に一人でも多くの人が救われる東京へと転換してまいります。
(次代を担う若者を育てる)
いわゆる「失われた20年」に生まれ育った今の子供たちは、停滞・衰微する日本しか知りません。そんな子供たちに大震災があったとはいえ、さらに大きな重荷を背負った国家を残すことは許されません。我々には、環境と調和した社会や良質な社会資本、強い経済、連帯に裏打ちされた安全と安心を次の世代に引き継がせる責務があります。そして、複雑さと厳しさを増す国際社会を生き抜く力を与えなければなりません。
〈世界と戦える力を養う〉
四方を激しい海に囲まれ、外に出て行くことが極めて困難であった日本の国土は、受動的で自己主張が苦手な日本人の性情を形づくってきました。こうした民族的DNAに加え、昨今の若者は過保護に漬かって抵抗力を欠き、ひ弱な内向き志向も見られます。しかし、既に手にした繁栄も空しい夢に終わりかねないこの今、この閉塞を打ち破り国家の希望となり得るのは、若者しかありません。
世界に飛び出し、摩擦・相克の中で明確に意思表示もしながら、独自の才能を開花させていくような若者こそが、求められております。「かわいい子には旅をさせよ」と言いますが、世界を舞台に活躍する力強い若者を育成すべく、海外武者修行や留学を直接応援する新たな仕組みを構築したいと思います。
あらゆる摩擦・相克に耐えるためにも、脳幹を鍛えていかなければなりません。その効果的な方法であるスポーツを通じて、若者に成長する喜びを実感させ、強靱な肉体や健全な精神を養ってまいります。
国際化の時代に必須な論理的思考力や、他者と十二分に意思を交わす言語の技術といった「言葉の力」も身に付けさせます。
〈破壊的な教育改革を〉
戦後、我が国は、正当な歴史を教えることもせずに、官僚に表象されるような先行事例を学び追いかけることに長けた人材を効率よく生み出すための教育が惰性のように続き、子供から個性や想像力の芽を摘んできました。
このままでは、子供に海図・チャートも無しに21世紀の海へ乗り出せ、ということになりかねません。知力・体力・人間力を備え、自信と誇りを持って世界と渡り合える人材を育てるために、従来の制度や常識、慣行に囚われない新しいシステムが求められております。
そこで、破壊的な教育改革を議論し発信してまいります。高い見識と類い稀な人生経験を持ち、国際感覚も豊かな方々からなる「教育再生・東京円卓会議(仮称)」を設置いたします。
合わせて、只今申し上げた産業技術の新たな教育機関で次代のものづくり人材を育成するなど、これからの我が国を担う人材を東京から輩出してまいりたいと思います。
(「10年後の東京」計画の改定)
これまで述べた施策を強力に推進するために、すぐに着手すべきことを「東京緊急対策2011」にまとめ、とりわけ早期の予算措置が必要な施策は補正予算に計上し本定例会に提案しております。年末には「10年後の東京」計画を改定して「2020年の東京(仮称)」を策定し、東京を一段と高い次元で成熟させる新たな政策を構築してまいります。
(オリンピック・パラリンピック日本招致)
次に、オリンピック・パラリンピック招致について申し上げます。
1964年10月10日、世界中の青空を持ってきたかのような快晴の下、神宮の杜に聖火が灯りました。戦後の焼け野原から立ち上がり、国際社会に復興した姿を示した瞬間でありました。
世界史的にもかつて無い今回の大震災からの復興は、戦災からの復興にも匹敵する苦難の道程でありましょう。しかし、必ずや立ち直り、9年後の日本の姿を披瀝するならば、世界中から寄せられた友情や励ましへの何よりの返礼となるに違いありません。次代を担う若者に夢と希望を贈るためにも、日本開催を目指す松明を消さずに灯し続けることは、我が国の将来にとって大きな意義があると思います。
招致成功には、国やスポーツ界、経済界など国家の総力が結集され、気運が盛り上がることが不可欠であります。都民・国民の皆様にも是非、被災地をはじめ広く日本全体とスクラムを組んで東京にオリンピック・パラリンピックを再び招致することを、考えていただきたいと思います。招致に向けて、日本が一つになることを強く期待しております。
4 都民・国民の連帯で大きな潮流をつくる
先の選挙では皆様のご支援を賜り、四度、都政の舵取りを担うこととなりました。内憂外患に呻吟する日本にとって、この4年間は正念場でありましょう。かつて、福沢諭吉が「立国は私なり、公に非ず」、この強い言葉で示した国家を動かす個々人の強い意思が、未曾有の危機にある今ほど、必要な時はありません。政治は大きな目標を掲げ、現実を変える具体の手立てを通じて、個人の強い意思を連帯させ、大きな潮流にしていかなければならないのであります。
それができる現場を持つ東京からこそ、この国の再生を先導しなければなりません。そのためにも被災地と肩を組み、首都圏と連合し、全国の自治体とも手を携えます。国には権限と財源の移譲や規制の改革を迫りますが、国の動きを待つだけでなく、必要とあらば民間とも手を携え、海外からの資金も活用してまいります。
都議会の皆様とは共に首都を預かる政治家として議論を重ね、後の子孫が我々を顧みて、この4年間から日本は再び立ち上がったと認めてくれるような決断をし、施策も生み出したいと思います。身命を賭して都政運営にあたる決意であります。一層のご理解、ご協力をお願いいたします。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案8件、条例案6件など、合わせて24件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
以上をもちまして、所信表明を終わります。
中央区防災協議会主催 「検証!3.11~東日本大震災に学ぶ~」に参加。
受講して、地域の課題として考えていること。
*日ごろからの隣人祭など、地域のつながりをつくることの重要性
*防災拠点運営員会や地域町会自治会と企業会社そして消防団の連携の重要性
*会社や自治体のBCP整備、マンションなら防災マニュアル整備の重要性
*さまざまな媒体を用いながらの情報伝達を含めた防災訓練
*応急危険度判定員との連携
大震災への備えはどうすべきか、出された意見。
<情報伝達に関連して>
*171の伝言ダイヤルの利用を
*携帯の災害伝達サービスの利用を
*ツイッターなどネットの利用を
*情報伝達の場合、内容とともにその精度も明らかにすること。
(見たこと?聞いたこと?確認したこと?)
<帰宅困難者対策>
*3日分の食糧と水、寒さを防ぐシートを社員に支給しているところあり
*中央区の場合、企業会社から、買い物訪問客から、そして駅から生じる
*大規模開発の際、待機スペースをつくっている。ただし、運営主体の取り決めは未。
*日ごろからの『隣人祭』が結果的に役立った
*建物に留まる場合、昭和56年前の旧耐震基準がひとつの判断
*企業が町会に入って、日ごろからの付き合いをする
*建設関連企業が、東日本大震災後、応急危険度判定員を地域に走らせたケースがある。
<BCP>
*考えることは、無料でできる
*建物の跡形がなくなるケースでさえも、BCPは、作れる。たとえば、再度会社を起こす場合の借り入れを地震前にしておくなど。
<高層難民>
*平成19年の建築指導要綱で中央区は25個以上、10階以上で、5階ごとに備蓄倉庫を備える指導をしている
*マンション別のマニュアル作成をしている
****以下、いただいたご案内*****
「検証!3.11~東日本大震災に学ぶ~」
震災はいつどのタイミングで起こるかわからないため、いざという時に在勤者と区民をつなぐ役割として設立された『中央区防災協議会』では、2008年から3年間様々なフォーラム・シンポジウム・勉強会などを行ってまいりました。しかしながら東日本大震災を受けてその対策が万全だったかどうかを、今あらためて検証することが必要ではないかと考え、今回のセミナーを開催する運びとなりました。
是非とも皆様には趣旨をご理解いただき、ふるってご参加下さいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
≪開催概要≫
1 日時 6月17日(金) 14時~16時(開場13時30分)
2 場所 中央区立築地社会教育会館 中央区築地4丁目15-1
3 内容 行政の挨拶・震災報道VTR放映・パネルディスカッション・質疑応答
パネラー
中央区総務部防災課普及係長 早川紀行氏・・・・・・行政代表
綜合警備保障(株)中央支社副支社長 永野正氏・・・企業代表
本願寺築地別院 参勤 平井裕善氏・・・・・・・・・・・・地域代表
コーディネーター 中央区防災協議会会長 松孝年
※ねらい:防災対策が実際に役立ったか検証し、課題を抽出し今後に活かす
4 定員 60名
5 参加費 無料
6 主催 中央区防災協議会
後援 社団法人東京青年会議所中央区委員会
協力 中央区総務部防災課 東京商工会議所中央支部
受講して、地域の課題として考えていること。
*日ごろからの隣人祭など、地域のつながりをつくることの重要性
*防災拠点運営員会や地域町会自治会と企業会社そして消防団の連携の重要性
*会社や自治体のBCP整備、マンションなら防災マニュアル整備の重要性
*さまざまな媒体を用いながらの情報伝達を含めた防災訓練
*応急危険度判定員との連携
大震災への備えはどうすべきか、出された意見。
<情報伝達に関連して>
*171の伝言ダイヤルの利用を
*携帯の災害伝達サービスの利用を
*ツイッターなどネットの利用を
*情報伝達の場合、内容とともにその精度も明らかにすること。
(見たこと?聞いたこと?確認したこと?)
<帰宅困難者対策>
*3日分の食糧と水、寒さを防ぐシートを社員に支給しているところあり
*中央区の場合、企業会社から、買い物訪問客から、そして駅から生じる
*大規模開発の際、待機スペースをつくっている。ただし、運営主体の取り決めは未。
*日ごろからの『隣人祭』が結果的に役立った
*建物に留まる場合、昭和56年前の旧耐震基準がひとつの判断
*企業が町会に入って、日ごろからの付き合いをする
*建設関連企業が、東日本大震災後、応急危険度判定員を地域に走らせたケースがある。
<BCP>
*考えることは、無料でできる
*建物の跡形がなくなるケースでさえも、BCPは、作れる。たとえば、再度会社を起こす場合の借り入れを地震前にしておくなど。
<高層難民>
*平成19年の建築指導要綱で中央区は25個以上、10階以上で、5階ごとに備蓄倉庫を備える指導をしている
*マンション別のマニュアル作成をしている
****以下、いただいたご案内*****
「検証!3.11~東日本大震災に学ぶ~」
震災はいつどのタイミングで起こるかわからないため、いざという時に在勤者と区民をつなぐ役割として設立された『中央区防災協議会』では、2008年から3年間様々なフォーラム・シンポジウム・勉強会などを行ってまいりました。しかしながら東日本大震災を受けてその対策が万全だったかどうかを、今あらためて検証することが必要ではないかと考え、今回のセミナーを開催する運びとなりました。
是非とも皆様には趣旨をご理解いただき、ふるってご参加下さいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
≪開催概要≫
1 日時 6月17日(金) 14時~16時(開場13時30分)
2 場所 中央区立築地社会教育会館 中央区築地4丁目15-1
3 内容 行政の挨拶・震災報道VTR放映・パネルディスカッション・質疑応答
パネラー
中央区総務部防災課普及係長 早川紀行氏・・・・・・行政代表
綜合警備保障(株)中央支社副支社長 永野正氏・・・企業代表
本願寺築地別院 参勤 平井裕善氏・・・・・・・・・・・・地域代表
コーディネーター 中央区防災協議会会長 松孝年
※ねらい:防災対策が実際に役立ったか検証し、課題を抽出し今後に活かす
4 定員 60名
5 参加費 無料
6 主催 中央区防災協議会
後援 社団法人東京青年会議所中央区委員会
協力 中央区総務部防災課 東京商工会議所中央支部
6月20日21日中央区議会 本会議 一般質問は、
以下のテーマでなされます。
中央区政が少しでも前進することを期待いたしております。
*****参照 中央区議会ホームページ*****
http://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/shitsumon/h2302_teirei.html
6月20日月曜日
1 増渕一孝議員
(自由民主党)
•中央区人材育成基本方針について
•環境・エネルギーについて
•「地域の絆」、「コミュニティの力」について
•築地市場移転問題について
•保育所待機児童対策について
•教育問題について
•区長の今期区政運営について
2 木村克一議員
(自由民主党)
•防災対策について
•帰宅困難者対策について
•防災拠点対策について
•学校防災対策について
3 植原恭子議員
(公明党)
•災害に強いまちづくりについて
•より良い教育環境の整備について
4 河井志帆議員
(みんなの党)
•災害に強いまちづくりについて
•ひらかれたまちづくりについて
•安全なまちづくりについて
•子育てしやすいまちづくりについて
5 青木かの議員
(みんなの党)
•東京湾大華火祭の中止について
•地域と共にある学校について
•新しい公共について
6月21日火曜日
6 志村孝美議員
(日本共産党)
•福祉と防災のまちづくりについて
•福島原発事故と放射能問題、エネルギー政策について
•「社会保障と税の一体改革」「復興財源」と消費税増税について
•築地市場廃止問題と「賑わい施設」構想について
•「君が代」起立強制問題について
7 渡部博年議員
(民主党区民クラブ)
•防災について
•コミュニティ活性化について
•エコタウン構想と未利用エネルギーについて
•福祉全般について
8 石島秀起議員
(絆)
•東日本大震災発生後の安全安心な街づくりについて
•ソーシャルネットワークサービスへの行政対応について
以上、
以下のテーマでなされます。
中央区政が少しでも前進することを期待いたしております。
*****参照 中央区議会ホームページ*****
http://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/shitsumon/h2302_teirei.html
6月20日月曜日
1 増渕一孝議員
(自由民主党)
•中央区人材育成基本方針について
•環境・エネルギーについて
•「地域の絆」、「コミュニティの力」について
•築地市場移転問題について
•保育所待機児童対策について
•教育問題について
•区長の今期区政運営について
2 木村克一議員
(自由民主党)
•防災対策について
•帰宅困難者対策について
•防災拠点対策について
•学校防災対策について
3 植原恭子議員
(公明党)
•災害に強いまちづくりについて
•より良い教育環境の整備について
4 河井志帆議員
(みんなの党)
•災害に強いまちづくりについて
•ひらかれたまちづくりについて
•安全なまちづくりについて
•子育てしやすいまちづくりについて
5 青木かの議員
(みんなの党)
•東京湾大華火祭の中止について
•地域と共にある学校について
•新しい公共について
6月21日火曜日
6 志村孝美議員
(日本共産党)
•福祉と防災のまちづくりについて
•福島原発事故と放射能問題、エネルギー政策について
•「社会保障と税の一体改革」「復興財源」と消費税増税について
•築地市場廃止問題と「賑わい施設」構想について
•「君が代」起立強制問題について
7 渡部博年議員
(民主党区民クラブ)
•防災について
•コミュニティ活性化について
•エコタウン構想と未利用エネルギーについて
•福祉全般について
8 石島秀起議員
(絆)
•東日本大震災発生後の安全安心な街づくりについて
•ソーシャルネットワークサービスへの行政対応について
以上、
屋外プールの考え方が出されましたので、こちらでも掲載をいたします。
*****文科省ホームページより*****
福島県内の学校の屋外プールの利用について
平成23年6月16日
標記の件につきまして、本日、福島県教育委員会教育長等に対し、「福島県内の学校の屋外プールの利用について」の事務連絡を発出いたしましたので、お知らせいたします。
福島県教育委員会教育長
福島県知事
国立大学法人福島大学長
独立行政法人国立高等専門学校機構理事長
福島県内に小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長 殿
文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課
スポーツ・青少年局学校健康教育課
福島県内の学校の屋外プールの利用について
学校の屋外プールの水には、水道水等を用いていますが、本年3月20日付けで厚生労働省が食品安全委員会に対し、飲料水を含めた食品の暫定規制値(※)に係る「食品健康影響評価」を諮問しており、6月2日付けで原子力安全委員会から原子力災害対策本部に対し、同評価も踏まえた新たな規制値を早急に定めることを求め、現在、食品安全委員会において評価が進められているところです(別添1、2参照)。
文部科学省としては、学校の屋外プールの利用については、児童生徒等が安心して活動を行えるよう、飲料水に関する暫定規制値の見直しの検討結果を踏まえる必要があると考えています。
一方で、最近の福島県の水道水等中のヨウ素及びセシウム等の放射性物質は不検出となっており、屋外プールの利用に際して児童生徒等がプールの水から受ける線量は極めて低いものです((参考)参照)。
こうした状況を踏まえ、学校の屋外プールの利用にあたっては、プールの水のモニタリングを、当初は月に2回以上行っていただき、仮に放射性物質が確認された場合は、測定値を文部科学省に報告いただければ、文部科学省において児童生徒等の受ける線量を推計しますので、参考としてください。
ついては、福島県教育委員会教育長、福島県知事及び福島県内に小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては、それぞれ域内の市町村教育委員会、所轄の私立学校を設置する学校法人等及び所轄の学校設置会社に対し、本件につき御周知いただき、必要な指導・支援をお願いいたします。
(※)ヨウ素:300Bq/kg、セシウム:200Bq/kg
(参考)
仮にプール水1キロ当たり10ベクレル(分析機器の分析方法の違いによる検出限界下限値の大きいもの)が検出され、プールサイドの空間線量率が毎時1μSvの場合に、小学校の児童が1回の利用(45分間)で受ける線量は以下のとおり。
1.1回の屋外プール利用で200ミリリットルの水を誤飲したと仮定した場合の線量は、
•セシウム137 0.000020mSv(0.020μSv)
•セシウム134 0.000028mSv(0.028μSv)
•ヨウ素131 0.00010mSv(0.10μSv)
2.1回の屋外プール利用で30分間水中で活動したと仮定した場合、プール水から受ける線量は、
•セシウム137 0.0000014mSv(0.0014μSv)
•セシウム134 0.0000036mSv(0.0036μSv)
•ヨウ素131 0.00000086mSv(0.00086μSv)
3.1回の屋外プール利用で15分間プールサイドにいると仮定した場合、空間(福島県内における空間の放射性ダストは極めて少ない)から受ける線量は、0.00025mSv(0.25μSv)
以上の3つの要因から計算すると1回の屋外プール活動を行った場合、児童の受ける線量は、合計0.00041mSv(0.41μSv)となる。(15回実施した場合は、0.0061mSv(6.15μSv)
となる。)
(別添1)食品健康影響評価について (PDF:88KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/06/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1307437_1.pdf
(別添2)原子力安全委員会 (PDF:31KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/06/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1307437_2.pdf
お問い合わせ先
放射線の影響に関すること
原子力災害対策支援本部
電話番号:03-5253-4111(内線4605)
ファクシミリ番号:03-3593-7154
学校に関すること
スポーツ・青少年局学校健康教育課
電話番号:03-5253-4111(内線4950)
ファクシミリ番号:03-6734-3794
(スポーツ・青少年局学校健康教育課)
*****文科省ホームページより*****
福島県内の学校の屋外プールの利用について
平成23年6月16日
標記の件につきまして、本日、福島県教育委員会教育長等に対し、「福島県内の学校の屋外プールの利用について」の事務連絡を発出いたしましたので、お知らせいたします。
福島県教育委員会教育長
福島県知事
国立大学法人福島大学長
独立行政法人国立高等専門学校機構理事長
福島県内に小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長 殿
文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課
スポーツ・青少年局学校健康教育課
福島県内の学校の屋外プールの利用について
学校の屋外プールの水には、水道水等を用いていますが、本年3月20日付けで厚生労働省が食品安全委員会に対し、飲料水を含めた食品の暫定規制値(※)に係る「食品健康影響評価」を諮問しており、6月2日付けで原子力安全委員会から原子力災害対策本部に対し、同評価も踏まえた新たな規制値を早急に定めることを求め、現在、食品安全委員会において評価が進められているところです(別添1、2参照)。
文部科学省としては、学校の屋外プールの利用については、児童生徒等が安心して活動を行えるよう、飲料水に関する暫定規制値の見直しの検討結果を踏まえる必要があると考えています。
一方で、最近の福島県の水道水等中のヨウ素及びセシウム等の放射性物質は不検出となっており、屋外プールの利用に際して児童生徒等がプールの水から受ける線量は極めて低いものです((参考)参照)。
こうした状況を踏まえ、学校の屋外プールの利用にあたっては、プールの水のモニタリングを、当初は月に2回以上行っていただき、仮に放射性物質が確認された場合は、測定値を文部科学省に報告いただければ、文部科学省において児童生徒等の受ける線量を推計しますので、参考としてください。
ついては、福島県教育委員会教育長、福島県知事及び福島県内に小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては、それぞれ域内の市町村教育委員会、所轄の私立学校を設置する学校法人等及び所轄の学校設置会社に対し、本件につき御周知いただき、必要な指導・支援をお願いいたします。
(※)ヨウ素:300Bq/kg、セシウム:200Bq/kg
(参考)
仮にプール水1キロ当たり10ベクレル(分析機器の分析方法の違いによる検出限界下限値の大きいもの)が検出され、プールサイドの空間線量率が毎時1μSvの場合に、小学校の児童が1回の利用(45分間)で受ける線量は以下のとおり。
1.1回の屋外プール利用で200ミリリットルの水を誤飲したと仮定した場合の線量は、
•セシウム137 0.000020mSv(0.020μSv)
•セシウム134 0.000028mSv(0.028μSv)
•ヨウ素131 0.00010mSv(0.10μSv)
2.1回の屋外プール利用で30分間水中で活動したと仮定した場合、プール水から受ける線量は、
•セシウム137 0.0000014mSv(0.0014μSv)
•セシウム134 0.0000036mSv(0.0036μSv)
•ヨウ素131 0.00000086mSv(0.00086μSv)
3.1回の屋外プール利用で15分間プールサイドにいると仮定した場合、空間(福島県内における空間の放射性ダストは極めて少ない)から受ける線量は、0.00025mSv(0.25μSv)
以上の3つの要因から計算すると1回の屋外プール活動を行った場合、児童の受ける線量は、合計0.00041mSv(0.41μSv)となる。(15回実施した場合は、0.0061mSv(6.15μSv)
となる。)
(別添1)食品健康影響評価について (PDF:88KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/06/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1307437_1.pdf
(別添2)原子力安全委員会 (PDF:31KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/06/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1307437_2.pdf
お問い合わせ先
放射線の影響に関すること
原子力災害対策支援本部
電話番号:03-5253-4111(内線4605)
ファクシミリ番号:03-3593-7154
学校に関すること
スポーツ・青少年局学校健康教育課
電話番号:03-5253-4111(内線4950)
ファクシミリ番号:03-6734-3794
(スポーツ・青少年局学校健康教育課)