goo blog サービス終了のお知らせ 

「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

小児科診療では、抗生剤の適正投与を! “薬が効かない” 広がる耐性菌の脅威

2017-02-07 22:59:59 | 小児医療

 抗生剤の適正投与 とてもとても大切なこと。

 NHKで特集されていました。

http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/02/0207.html




阿部
「皆さん、かぜを引いたら、どんな薬を飲んでいますか?」

「前回引いたときは、抗生剤と吐き気止めと下痢止め。」

「抗生物質は、私は結構熱が出ますので、そのときは愛用しますね。」

「とても熱がすぐ下がってくるので、いいと思っては飲んでます。」

ちょっと待った!その薬、安易に飲んだらだめなんです。


阿部
「取材にあたった松岡記者です。」






松岡康子記者(名古屋局)
「抗生物質は、最近は『抗菌薬』とも呼ばれているんですが、細菌をやっつけるための薬なんですが、安易に飲み過ぎると、これまで治せていた病気が治せなくなってしまうおそれがあるんです。


細菌は私たちの体の中に入ると、肺炎や中耳炎などの病気を引き起こすことがあります。
そうしたとき、抗菌薬を飲む方、多いですよね。
そうすると、細菌は死ぬわけです。
ですが、繰り返し使う中で、あるとき突然、菌自体が変化してしまい、薬が効かないタイプの菌が出現することがあるんです。


こういった菌を『耐性菌』と呼んでいるんです。
この耐性菌、抗菌薬が効かないだけに、重い症状を引き起こしてしまうことがあるんです。」

まん延する耐性菌 突然重症に…


聖路加国際病院 感染症科 古川恵一医師
「ものが二重に見える症状はいかがですか。」

都内に住む、50代の男性です。
一昨年(2015年)、細菌が体中の臓器に感染し、生死の境をさまよいました。
今も後遺症が残っています。
首の痛みが2週間続いた後、仕事の帰りに突然意識を失い、救急車で運ばれました。


検査をすると、重い肺炎。
さらに骨髄炎や髄膜炎。
心臓にも炎症を起こしていました。





血液を調べてみると、通常の薬が効かない細菌が見つかりました。
今、日本でまん延している耐性菌、「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」でした。


聖路加国際病院 感染症科 古川恵一医師
「メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌ということで、かなり重症、重篤であると印象を受けました。」





治療は困難を極め、集中治療室で3週間、退院までには2か月を要しました。
今、こうした耐性菌が増え、医療現場では対応に追われています。

聖路加国際病院 感染症科 古川恵一医師
「市中でいくつかの種類の耐性菌がだんだん増えてきている印象がある。
より耐性菌を考えた治療を初期から行うことに、私どもは努めていきたい。」

頼らざるを得ない 新たな抗菌薬


薬を使う中で、次々と増えてきた耐性菌。
それでも頼らざるを得ないのが、新しい抗菌薬の開発です。
国は去年(2016年)5月、およそ2億円の予算をかけて対策に乗り出しました。
委託を受けた名古屋大学の研究グループは、新しい抗菌薬を生み出すための研究を急いでいます。


抗菌薬の開発は滞っています。
承認された抗菌薬の数は、30年前から大幅に減少。
利益が見込めないことなどから、製薬会社が開発から手を引いているのです。


名古屋大学 耐性菌制御学 荒川宜親教授
「きちっと治療できる薬を開発しないと、医療の根底が非常に脅かされる。
少なくともこの先10年くらいで、使用のめどが立つような薬が見つかるといい。」

抗菌薬の使い方 思わぬ落とし穴

和久田
「薬が効かなくなった耐性菌と戦うためには、新しい抗菌薬を開発しなければならないし、それには時間がかかるんですね。」

阿部
「そして新しい抗菌薬ができたとしても、また新たな耐性菌が生まれるかもしれないということですね。」

松岡記者
「抗菌薬の開発は、これまでも耐性菌の出現とのいたちごっこだったんです。
そこで、使える薬を残そうと進められているのが、『今ある抗菌薬の使い方を見直すこと』なんです。


こちら、ある感染症にかかった人です。
人の体の中には、もともとさまざまな菌がいて、今回はこの青い菌が悪さをしているとします。」

阿部
「そうすると、この青い菌をやっつければ治るということですね?」

松岡記者
「そうなんですが、実際には検査をしてみないと、どの菌が悪さをしているかというのは分からないんです。


こういう時にどうするかというと、検査を省いて『ほかの菌もまとめてやっつけてしまおう』と、いろんな菌に効く抗菌薬を使っているケースが日本では多いんです。」

和久田
「でも、それで治るならいいんじゃないかという気もするんですけど…。」

松岡記者
「そう思うんですが、よく見てください。
何か残っているものがありますよね。


これが『耐性菌』なんです。
ほかの菌が死んでも、耐性菌だけが生き残ってしまうことがあるんです。


こうなると大変で、ほかの菌がいなくなってできた空いたスペースに耐性菌が増殖してしまうんです。
なので、できるだけ、やっつけたい菌だけに効く抗菌薬を使うことが重要なんです。
取り組んでいる病院を取材しました。」

“抗菌薬に頼らない” 動き出した現場


重症の子どもが多く入院する、静岡県立こども病院です。
3年前、医師や薬剤師、検査技師などからなる専門チームを結成。
抗菌薬が適正に使用されているか、チェックする役割を担っています。
毎日、病棟を巡回。
この日、専門チームは、患者を診ている医師から抗菌薬を使うべきかどうか意見を求められました。


患者を診療する医師
「3週間たってこの赤みなんで。」

静岡県立こども病院 抗菌薬適正使用チーム 荘司貴代医師
「ちょっと赤いよね。」

患者を診療する医師
「一応バンコ(抗菌薬)はやろうかと。」


チームは、患者の容体と治療経過を改めて確認。
今回のケースでは抗菌薬を使うことにしました。

静岡県立こども病院 抗菌薬適正使用チーム 荘司貴代医師
「周囲が赤くてつらそうですね。
分かりました。」



静岡県立こども病院 抗菌薬適正使用チーム 荘司貴代医師
「医者は病気の子どもたちの安全を確保したいために、広い、どんなばい菌にも効く抗菌薬を使いがち。
そういったことを減らすために、私たちが感染症診療の質を担保して、いい抗菌薬を選んであげる。」



現場の医師たちの意識も変わってきました。


患者を診療する医師
「長期使用だったり、不必要な抗菌薬があったのは事実なんですけれども、使用期間は明らかに短くなっているし、だいぶ変わってきたと思います。」



さらに、患者にも理解を促そうと、医師向けのマニュアルを作りました。


外来では患者が抗菌薬を求めるケースがあります。
そこで、処方する基準を示したのです。






この日、診察を受けに来たのは、肺炎の疑いがある女子中学生。
患者の状態も安定していることから、医師はマニュアルに従い、検査結果が出るまで待つよう伝えました。






患者を診療する医師
「おそらく今の段階では抗生物質は使わなくていいかと僕は考えていますので、たんとせきの薬だけ続けてください。」





抗菌薬を使うかどうかは、肺炎の原因を特定してから検討したい。
医師の説明に、患者も納得しました。


こうした取り組みの結果、この病院では抗菌薬の使用量を20%以上、削減しました。







静岡県立こども病院 抗菌薬適正使用チーム 荘司貴代医師
「抗菌薬を減らせば耐性菌が減ることは分かっているので、それをやるだけ。
可能な限り、未来まで使える抗菌薬を残せるようにしていかなければいけない。」

“抗菌薬に頼らない” 動き出した現場

阿部
「医療現場も危機感を持って取り組んでいるんですね。」

松岡記者
「実は私たちも気をつけなければいけないことがあるんです。


それは、医師に自分から“抗菌薬をください”と求めたり、家に残してあった抗菌薬を自分の判断で飲んだりしないことです。」

和久田
「してしまいがちですけど、本当はいけないんですね。」

松岡記者
「そもそも抗菌薬というのは、自分の体が弱って自分の体力・免疫力だけでは細菌と戦えない、そんな“いざというとき”に欠かせないものなんです。
そんなときに『使える抗菌薬がない』ということにならないためにも、私たち自身が抗菌薬は本当に必要なときだけ使う、安易に頼らないという心がけが必要だと思いました。」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中央区認可保育園 園長、看護師はじめご関係者の皆様へー小坂クリニックでの登園停止解除等「意見書」の無料交付についてー

2017-01-06 15:28:03 | 小児医療
認可保育園 
園長、看護師はじめご関係者の皆様へ

 日頃より、子ども達の健やかな育ちの場をご提供いただき、感謝致しております。
 当院も、園児が病気の場合にお預かりをする都認定の病児保育事業(児童福祉法6条の3第13項)を鋭意実施しており、同事業において、当院スタッフが、園へ急な発症の病児をお迎えに行くなどして、保育園の皆様には、たいへんお世話様になっております。

 さて、本年1月より、中央区福祉保健部子育て支援課保育園係指導のもとで、「登園停止解除等における提出書類の変更」がなされました。
 小児科医師としても、保育園における感染症対策の強化が図られ、なによりの制度変更であると考えております。

 この制度の実施において、ひとつネックのところが、「意見書」の文書料でございます。
 当院は、幼稚園や小中学校の治癒確認をする制度において、無料で意見書を交付してきたところであり、この度の制度変更においても、登園停止解除等の「意見書」を無料で交付し、保護者様の利便性の向上に資する考えでおります。
 当院かかりつけの児の場合には、わざわざ園医を受診して、意見書を交付してもらわないでも済むように配慮致しますので、お伝えいたします。親御様にもその旨お伝え頂けましたら幸いです。

 今後とも、保育園と連携の上、子ども達の健やかな成長発達を見守って参る所存です。
 何か、親御さんのこと、お子様の発達のことなどでご相談がございましたら、どのような些細なことでも、お気軽にクリニックにお電話やメールをください。
 逆に、こちらからも、園のご様子をお伺いすることもあろうかと存じます。その際は、どうか、よろしくお願いいたします。

 本年も一年、どうか、よろしくお願い申し上げます。

平成29年1月

医療法人小坂成育会
小坂こども元気クリニック・病児保育室
小児科医師
理事長/院長 小坂和輝

理事長/院長 小坂和輝
東京都中央区月島3-30-3-2F
03-5547-1191 fax03-5547-1166
メール kosakakazuki@gmail.com
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1月~中央区認可保育園 感染症登園停止解除において「かかりつけ医」(又は「園医」)の意見書/診断書(無料)が必要になります!

2017-01-05 15:42:26 | 小児医療

 保育園・幼稚園・学校での子ども達の健康管理、安全対策は、さらなる充実を図っていかねばなりません。

 一昨年は、中央区医師会から保育園園医の定期健診回数削減要求が出され、その要求には応える必要がないことを議会でも問題提起を致しました。
 残念ながら、医師会の要求は通される結果となりましたが、保育園での「感染症欠席者情報収集システム」導入へと、つながることになったのは、救いだったと思います(平成27年6月第二回定例会本会議一般質問 参照 下記)。

 昨年の決算特別委員会等の議論の中で、「感染症欠席者情報収集システム」導入が、区内小中学校へも拡大をするということで、感染症対策の充実が図られつつあり、なによりだと思っています。

 そして、この度、本年1月より、認可保育園 登園停止解除において「かかりつけ医」又は「園医」の意見書(診断書)が必要になることとなりました
 保護者まかせにするのではなく、医師が、治癒を確認することで、より確実な診断のもと、登園することができます。

 当院も、かかりつけ医の責務として、幼稚園・小学校に同様な対応をしてきたところですが、この度の感染症治癒証明関連の文書作成のほうも、当然に無料で対応させていただきます

 すばらしいことに、作成文書料を、園医の全医院・クリニックでも、無料対応する形となりました。
 医師会など関係機関の説得が大変だったかと思いますが、中央区行政の担当の皆様におかれましては、本当にお疲れ様でございました。
 無料で発行するクリニックが拡大したことで、区民の皆様の利便性の向上が図られたことと存じます。


 今後の課題としては、認可だけではなく、認証保育園にも同様な対策を進めていくことがあると思います。
 また、かかりつけ医や園医は、子どもの場合、小児科・内科だけでなく、耳鼻科の先生がたにもお世話になっており、このような治癒確認の制度の変更を耳鼻科などの先生方にも幅広く周知していく必要があると考えます。
 
 制度に関する案内(意見書フォーマット入手などのページ)は、中央区ホームページにおいては、1/5本日17:00段階でまだであり、アップされましたら、あらためて、お知らせいたします。


 中央区の特質として、「園医」が、内科の先生にお願いしている場合が多々あります。
 この制度変更に伴い、「かかりつけ医」としての小児科医の責任が重大になったと考えます。

*****平成27年6月本会議 一般質問 該当項目抜粋*******

http://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/kaigiroku.cgi/h27/teireikai201502-3.html#a03

〇小坂議員
次のテーマに移ります。

 第三、区立保育園の園医による健診回数を減らすことの中央区医師会からの契約変更の要求に対し、現段階で区が応じることの妥当性についてです。

 第一で述べたように、区立保育園で医療ケア児を預かることが進むにつれ、園医の園での指導が増すことが考えられます。それだけでなく、園での感染防止や事故防止における園医の指導の重要性に鑑みると、現在、医師会との間で検討されている園医の健診回数について、月二回から一回に減らすことの中央区医師会からの要求に、現段階で応じることは妥当ではないと考えますが、いかがでしょうか。今後の保育園設立がふえていくことを見越しての中央区医師会からの要求とは思われますが、まだまだ医師会には園医に対応できる余力がある段階であり、医師みずからがさらなる努力せずして、そのしわ寄せを園児に押しつけることは、現段階でとるべき方法に医師会側の誤りがあると私は考えます。園児を守る区の毅然とした対応を求めます。

〇中央区長
次に、区立保育所の健診回数についてであります。

 認可保育所の健診回数は、東京都条例において、少なくとも一年に二回実施することが定められておりますが、本区におきましては、私立認可保育所も含めて毎月必ず健診を行い、条例上の基準を上回る回数を実施しており、公私間の格差がなく、質が確保されております。今回、医師会からの健診回数に関する要望は、今後も保育所整備により私立認可保育所が増加する中で、引き続き園医を配置するために見直しをせざるを得ないものとして理解するところであります。健診回数の変更後も、毎月保育所に園医が訪問することに変わりはなく、また、新たに感染症対策として、欠席者情報収集システムを導入するなど、これまで以上に園医との連携も強化しながら、園児の健康管理に万全を期してまいる所存であります。

*********************************

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歯ブラシによるのどの転倒突き刺し事故を防ぐ。歯ブラシを持たせて走らせない&刺さらない歯ブラシ開発

2016-12-20 10:59:52 | 小児医療

 子どもの事故は、防いで行くこと、小児科医師の役割のひとつでもあります。

 以下、歯ブラシによるのどの突き刺し事故は、絶対に気を付けて下さい。

*****朝日新聞20161220******

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小児急性中耳炎診療ガイドライン

2016-11-14 23:00:00 | 小児医療

小児急性中耳炎ガイドライン

⇒ http://koshii-c.sakura.ne.jp/aom_gl.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中央区の発達障害のあるかたへの支援に対しての取り組み。中央区自立支援協議会報告書H27.1月

2016-09-29 08:55:26 | 小児医療

 中央区の発達障害のあるかたへの支援に対しての取り組み。

http://www.city.chuo.lg.jp/kenko/sinsin/keikaku/jiritsushienkyogikai/dai4kichuokujiritushienkyougikai.files/kodomobukaichuukannhoukokusho.pdf 

 この報告書を参考に、議論がなされているところです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『発達障害白書』2017版、大事な点のひとつ「合理的配慮の不提供の禁止」が法的義務

2016-09-25 11:58:44 | 小児医療

 『発達障害白書』2017版 公益社団法人 日本発達障害連盟 明石書店、現在、読んでいます。

 大事な点のひとつが、「合理的配慮の不提供の禁止が法的義務であり、それへの対応にいろいろと工夫が記載されています。

 日々の診療と、区政において、参考にし、活用させていただきます。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子どもが風邪になって、飛行機に乗れなくなった場合の対処法。かかりつけ小児科医の診断書。

2016-09-23 16:46:29 | 小児医療

 当院でも、かかりつけのお子さんが、熱を出して飛行機に乗れないことがありました。
 そのことを証明する診断書を書かせていただきました。

 子どもはいざというときに、風邪を引きますので、ひとつの知識として、念のために知っておくと役に立つかもしれません。
 
 
http://fundo.jp/95373
main

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中央区における医療的ケア児に対する取り組みの進展に期待。

2016-09-21 06:49:14 | 小児医療

 昨年の中央区議会本会議での医療的ケア児に関しての一般質問の区の回答の振り返り。

 今回、あらためて、9/21本会議で取り上げます。

 少しでも課題解決に向け、進展していくことを期待しています。

○小坂:

第一のテーマ、医療的ケアの必要な子供にも、全て保育や教育の機会を提供することが区の責務であることについてです。質問に当たり、言葉の定義をさせていただきますが、医療的ケアが必要な子供とは、気管切開や胃ろうがあることで、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが必要な子供をいい、この質問では、医療ケア児と略させていただきます。
 また、この件は、六月五日開催の福祉保健委員会で取り上げたテーマであります。同委員会では、三名の区民の皆様から、医療的ケアが必要な子供であるが、現在、保育園に入れていないという真摯な声をいただいたことを匿名にて御報告いたしました。私は、それぞれについて、その子の疾患名や経緯をお伺いし、かつ医療ケア児本人、二人に直接会いもいたしました。そこで、小児科医師として感じましたことは、現状は、親御さんとの御家庭での療養看護がなされ、中央区の保育関連サービスを受けられていない状況ですが、何らかの形で保育関連サービスを受けることができるのではないだろうかということでした。
 そこで、今回御質問させていただくわけですが、区は、もちろん児童福祉法上、親御さんの就労などの要件に該当した場合は保育について応諾義務があります。すると、医療的ケアの必要な子供にも全て保育や教育の機会を提供することが区の責務でございます。そのことを大前提に、いかに個々の具体的な医療ケア児の事例に対処していくかが問題であります。

 そこで、一つ目の質問、区立保育園及び幼稚園、小学校、福祉センター幼児室において、医療ケア児を受け入れた事例はありますでしょうか。受け入れる事例各人ごとに対応は異なるとしても、共通して、①医療的ケアを行う看護師の配備や、②担当保育士・教員が医療的ケアを行えるような研修、③専門的機関との連携等を整えた上で受け入れることが求められると考えますが、医療ケア児の受け入れに際しての体制整備における課題をどのように認識しておられるでしょうか。

 次に、二つ目の質問、保育園通園にかえて居宅訪問型保育事業を利用することも考えられますが、区民が利用することは、現時点で可能でしょうか。同事業を提供する事業者が限られている現状、区内においても、同事業の実施に向けた手だては考えていますでしょうか

 最後に、三つ目の質問、保育サービスなどを受けられていない状況で、医療ケア児の親だけが療養看護をその御家庭で続けていくことは不可能に近いことだと私は考えます。療養看護をされている親御さんが病気になられるであろうし、毎日続く療養看護から慢性的な疲労がたまります。そこで、病気などにより医療ケア児の療養看護ができない場合や慢性的な疲労から休息をとっていただくために、その親にかわり医療ケア児を緊急に預かる一時預かり事業、いわゆるレスパイトを整備する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○区長:

 初めに、保育園等での医療的ケアが必要な子供の受け入れについてであります。
 これまで受け入れた事例は、保育園でのたんの吸引が一名、福祉センター幼児室での経管栄養が一名となっております。医療的ケアが必要な子供につきましては、障害の重複の有無やその程度、時には命にかかわる状況も想定されることなど、個々の状態に応じた健康管理に特別な配慮が求められております。そのため、保育士や教員に個々の子供の状態に応じた研修が必要となるだけでなく、専門性を有する看護師の確保や、状況によっては施設の改修も行わなければならないなど、大きな課題があると認識しております。
 次に、居宅訪問型保育事業につきましては、今年度から始まった事業であり、医療的ケアに対応できる事業者が本区にいないのが現状であります。今後は、必要に応じ、他自治体で実施している事業者に対して、本区での事業の実施を働きかけてまいります
 また、医療的ケアの必要な子供を抱える保護者の介護負担等を軽減する取り組みは必要であると認識しており、今後、訪問看護ステーションと連携し、重症心身障害児を対象とする在宅レスパイト事業の実施に向けて検討してまいります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はしか流行に関して、予防接種を!岡部信彦・川崎市健康安全研究所長の記事より

2016-09-05 08:32:47 | 小児医療
 小児の感染症の専門家より、この度のはしか流行に関しての記事がありましたので、注意喚起のため、掲載します。

 予防接種歴確認ください。

 1歳になったら、すぐにMRワクチンを受けて下さい。

 1歳前のMRワクチンの早期接種の御相談も、当院ではお受けいたします。



*********************
http://digital.asahi.com/articles/SDI201609026234.html

はしか予防接種の有無確認を」 感染症専門家に聞く

福宮智代

2016年9月2日19時09分



 千葉県の幕張メッセのコンサート会場や大阪府の関西空港などで、はしか(麻疹)の患者が相次いで報告されています。はしかは感染力が強く、空気感染もするため、集団感染が起きやすいといわれます。ワクチンで防ぐしかないのですが、一部で接種が十分でない世代もあるといいます。はしかはどんな病気で、日本ではいま、どのような流行の状況にあるのでしょうか。はしかに詳しい岡部信彦・川崎市健康安全研究所長(元国立感染症研究所感染症情報センター長)に聞きました。
 

【質問】はしかは、どんな病気ですか。

【岡部所長】 はしかは、同じ部屋にいるだけでも飛沫感染や空気感染する、感染力の強いウイルスです。潜伏期間は感染から1週間から10日程度で、高熱、激しいせき、発疹が主な症状です。脳炎、中耳炎、肺炎などの合併症もまれではなく、死に至ることもあります。特別な治療はなく、対症療法が中心です。妊婦が感染すると流産や早産を起こす可能性があります。しかしワクチン接種を受けて免疫がある人は感染することはほぼありません。2回接種していればかなり確実に防げます。母子手帳で接種歴を確認してみるとよいでしょう。

 

【質問】国立感染症研究所のデータでは、はしかの患者は2014年は462人、2015年は35人。16年は8月24日までに32人ですが、どのような傾向ですか。

【岡部所長】日本はこの数年間で患者は激減し、2015年に国内で長く流行していた土着のウイルスが排除されたとして、世界保健機関(WHO)の西太平洋地域事務局より「排除状態」の認定を受けています。しかし、海外から入ってくるウイルスによる感染が、国内各地で単発で起きています。

 

▼【動画】はしかから身を守るために(国立感染症研究所)

http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles/221-infectious-diseases/disease-based/ma/measles/570-measlesvideo.html別ウインドウで開きます

 

■「関西空港」が共通点

【質問】関西空港の職員と、幕張メッセのコンサートを訪れた人が、それぞれはしかと診断されています。関連はあるのでしょうか。

【岡部所長】これまでの検査では、7月末に関西空港で仕事をしていた職員で8月に入ってはしかを発症した人のウイルスと、8月の同じ頃に発症しコンサートに行った兵庫県西宮市の男性から検知されたはしかウイルスはともにH1という型で、この男性も7月末に関西空港を利用していました。関西空港が感染の広がりに関連しているとみています。

 

【質問】今回の流行で気を付けることは。

【岡部所長】今回は空港やコンサート会場が関係している可能性があり、不特定多数の人への感染の広がりが心配されます。はしかワクチンを受けている人はほぼ心配ありませんが、ワクチンを1回も受けていない人は心配です。感染が広がり、患者数が多くなると重症者も発生してしまいます。はしかワクチンを受けていない人はいつどこにいても感染の可能性があります。

 

▼海外で健康に過ごすために(厚生労働省検疫所)

http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name62.html別ウインドウで開きます

 

■無理せず早めに受診を

【質問】特に注意が必要なのは、どのような人ですか。

【岡部所長】はしかワクチンの定期接種の対象は1歳と就学前1年間です。この時期に接種をうけていない子はいつどこでかかるかわからないので、早く受ける必要があります。今回の患者の特徴は今のところ20代でワクチンを受けていない若い大人が中心です。国は08年から5年間、中学1年生と高校3年生の年代を対象にワクチンの追加接種を呼びかけました。このときに受け損ねている人は感染のリスクは高いと言えます。今回以外の件でも感染する可能性があるので、自己負担の任意接種にはなりますが、これからでもきちんと受けて欲しいと思います。また、感染を広げないためにも、発疹や熱が出たら無理に仕事や学校、イベントなどに行かず、早く医療機関を受診することが大切です。

 

【質問】感染してもワクチンは有効ですか。

【岡部所長】感染を受けた直後なら間に合いますが、2、3日経つと間に合わなくなります。しかしその人がうまく感染を受けずに済んだ場合には、その後にうつることが防げます。ワクチンを受けていない人は、なるべく早く受けたほうがメリットは高いです。

 

▼麻しん(はしか)に関するQ&A(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/index.html別ウインドウで開きます

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・オリジナル>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(福宮智代)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

麻しん流行に注意。8月14日幕張メッセ/ジャスティン・ビーバーコンサートに、麻しん発病したままで参加の若者

2016-08-23 23:00:00 | 小児医療

 8月14日の幕張メッセでおこなわれたジャスティン・ビーバーの大規模コンサートに、麻しんを発病したままで参加した若者がいました。

 8月26日あたりが最長の潜伏期間と考えられます。…

 以下文面が、医療機関に回っています。



 麻疹は、感染力が強く、かつ、子ども達にとって、死に至ることもある重症疾患です。

 感染の広がりにご注意願います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

飯田市、B型肝炎予防接種を無料化 国に先駆け来月から。中央区も同等の助成を早期に!

2016-07-24 23:00:57 | 小児医療
 以前から指摘し、かつ、7月の福祉保健委員会でも指摘させていただいたところ。

 中央区としては、10月から無料接種になる本年4月生まれ以降の接種対象者に対しては、10月を待たずにうっていたとしても、その勤勉な行動からなしたことゆえに、自費にかかった分の補填目的の助成を行うという手立てを取っていただきたいと考えています。


*************************
http://mainichi.jp/articles/20160723/ddl/k20/040/057000c
B型肝炎
飯田市、予防接種を無料化 国に先駆け来月から /長野

毎日新聞2016年7月23日 地方版

 飯田市は22日、乳幼児のB型肝炎ワクチンの予防接種を8月から無料化すると発表した。県内では初めて。早期の感染予防と利便性の向上が目的で、10月から原則無料の定期接種とする国に先駆け、市の独自施策として実施する。

 B型肝炎はウイルスが血液や体液を介して感染し発症する。幼い子どもに感染しやすく、慢性化率も高い。将来的には肝がんになる恐れもある。

 国は4月以降に生まれた0歳児を対象に、生後2カ月▽3カ月▽7〜8カ月−−の計3回接種を推奨し、費用を原則無料としたが、4月に生まれた子どもは半年も遅れ、接種スケジュールが厳しくなる。このため市は少しでも余裕を持って接種を受けてもらおうと時期を前倒しした。

 さらに行政措置として実施することで、健康被害への補償を任意接種より手厚くした。接種期間は9月末まで。市によると、289人が対象になる見込みで、個別に通知する方針。【湯浅聖一】 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

全新生児に聴覚検査を!1・3・6ルール(米国新生児聴覚検査ガイドライン)先天性難聴1/1000

2016-07-20 16:19:51 | 小児医療
 1・3・6ルール(米国新生児聴覚検査ガイドライン)という以下の検査が、米国全州で定着しているとのこと。

 〇出生後入院中に聴覚検査を実施

 〇生後1ヶ月までに聴覚検査過程を終了

 〇生後3ヶ月までに精密診断を開始

 〇生後6ヶ月までに早期支援を開始


 先天性難聴を持って生まれる新生児は、約千人に1人で高率です。
 発見の遅れは、言語や知能の発達の遅れに繋がります。

 かつて、日本では、2000年から2006年まで、「新生児聴覚検査モデル事業」として国の公的助成で聴覚検査が行われ、全国に普及されましたが、2007年に事業が終了し、各自治体任せになってからは、公的助成は普及せず、検査実施率は低迷しています。
 検査費を個人負担すると平均約5千円。

 日本は、米国をみならって、公的助成のもと、全新生児に聴覚検査を実施すべきと考えるところです。


参照:東奥日報2016.6.6
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BCGは、H28.4月~都内在住者の1歳までのお子様は、23区いずれの小児科でも公費接種可能へ。

2016-06-16 16:30:39 | 小児医療

 BCGの接種は、他の4種混合やヒブ、肺炎球菌、MRなどと同様に、23区内であれば、どこの区の医療機関でも接種可能になりました。

 ご参考までに。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子どもの事故死防止、9官庁が初会合。今後に期待!

2016-06-08 23:00:00 | 小児医療
 子どもの事故は、外来小児科医にとって、虐待、医療的ケア児・発達障害への支援などとともに、重大問題のひとつと考えています。

 各省庁がその垣根を越えて情報交換をする場をつくったことに大変期待を寄せます。

 自治体でもまた、同様な情報交換が必要と考えます。
 もちろん、情報交換をして、原因を分析し、再発防止に即座につなげていくことが第一のその目的です。


*****朝日新聞******

http://digital.asahi.com/articles/ASJ675D4NJ67UUPI001.html



子どもの事故死防止、9官庁が初会合


2016年6月7日22時20分



 子どもの事故死を防ぐことを目指し、過去の事故死に関する情報を政府内で共有するための関係省庁連絡会議の初会合が7日、開かれた。官庁ごとにバラバラに扱っている死因などの情報を集約し、予防策を含んだ分析結果を今年度内に公表することを決めた。

 過去5年間に起きた14歳以下の子どもの事故死について、亡くなった人ごとに自治体が作成する「人口動態調査死亡票」をベースに、同じ死亡事故を調べた各官庁の情報を集める。これを基に事故原因や亡くなった年齢、時間帯や場所の傾向などを調べる。解析結果や再発防止策はホームページなどで公表する。

 初会合には、消費者庁、警察庁、総務、厚生労働、文部科学、経済産業、国土交通、農林水産の各省、内閣府の9府省庁が参加。消費者庁によると、情報集約に反対する意見はなく、警察庁からは、捜査に支障のない範囲で情報提供する意向が示されたという。

 子どもの事故死が起きると警察や消防が事故原因を調べ、事故が起きた場所や原因となった製品によっては所管する官庁も調査する。しかし、情報を共有して再発防止につなげる仕組みがないため、似たような事故が繰り返されているとの指摘があった。

 厚労省によると病死などを除く「外因死」から自殺・他殺を除いた14歳以下の「不慮の事故」による死者は2014年に371人だった。消費者庁は「これまでは事業者や製品に起因する事故以外の対策は不十分だった。事故要因を解析することで効果的な再発防止につなげたい」としている。(重政紀元)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする