波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

「亡き妻を思う」

2020-03-02 11:28:43 | Weblog
最近になって娘が月に一度訪ねてくるようになった。今まで電話もめったにかけてこないし気を使ったことのない子であったが、50を過ぎて年を取って独り暮らしをしている年寄りを少し気遣いする気になったのだろうか。なんにしてもありがたいことで半日を昔に帰ってその日は親子での会話ができる楽しみができた。
3月4日は亡き妻の命日である。今から約30年も昔になるのであまり気にもしていなかったが、こうして娘と話をするようになって妻のことが思い出されるようになり、ある日お茶をしながら話し始めた。「私はお母さんとゆっくり話をしたり、相談を受けたり、どこかへ行ったりした記憶があまりないのだが、あなたにとってお母さんはどんな人だった。?」「優しかったよ。あまり叱られたことはないわ」という。それから二人で亡くなった妻の話をしたのだが、私自身こんな話をすることは初めてのことで何か感じるものがあるのか、心が穏やかになり、静かに人生を振り返ることができるようになってきたのかと自分自身を振り返って考えられるようになっていた。最初の結婚が親の決めた人で進められ失敗して一か月で破談となり、協議離婚となり、そのころ事務所で働いていた人との結婚で20年ほどの家庭生活であった。子供二人が生まれようやく人並みの生活ができるようになったと思った頃、若年性アルツハイマーにかかり、3年ほどの療養で天国へ旅立った。
私の人生ではちょうど最盛期にあたり、日々深夜になる状態で亡くなった夜も赤坂から車で病院へ駆けつける始末で何もできないで送ってしまった。
30年を過ぎてようやく妻の在りし日のことを思い起こし、何もしてやることができなかったこと、何も話を聞いてやることができなかったことを悔やむ思いがあふれ申し訳なく思うと同時に、自分本位の日々を悔やんでいるのだが、残された人生を少しでも良き日々にしたいと思うこの頃である。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿