人間の習性は生まれながらにして出来ているものがあり、それは人生においてよほどの出来事がない限り変わらないことかもしれない。30歳近くまでゴルファーを目指してきた田口に「今日からお前はサラリーマンだから生活態度を変えるように言ったところでそれは到底無理な話だと思っていた。何しろ自分の練習時間以外は医者、弁護士、マダム、その他リッチな人間にちやほやされて好きなことをさせてもらいながら教えていたわけだから、それは自然と身についていただろうし、悪いとも思ってもいないからそのままである。朝の挨拶もなければ報告も形ばかり、時間が来れば黙っていなくなってしまう。そんな田口に欽二は黙って見ているしかなかった。
入社して間もないころ、上司ぶって「田口君、私も仕事でゴルフをしているが、いつか教えてくれないかなあ」と言ったことがある。その時何も思ったのか、冗談のように「箒で掃除でもしっかりしてたらどうですか」と言われてしまった。はじめはその意味も分からなかったが、自分はそんなつもりはないと言うことを主張したようで、それ以来ゴルフの話はタブーとなった。
しかし、彼の定時後の行動は不明であり、母親と二人きりの暮らしとは聞いていたが、その行動は分からなかった。半年過ぎるころ少しなれて仕事も起動になり始めたころ、田口から声がかかり「今日、お客さんから声がかかり、夕食をかねていっぱいやることになったんですが、所長も着てもらえませんか」と珍しく声がかかった。この会社へ入って兄の束縛から解放され外の世界を見ることが出来るようになった欽二としては何もかもが新鮮であり、興味があり関心があった。まして食事の席とあれば楽しい時間である。酒は飲めないが苦痛ではない。適当に合わせながら時間をすごすことは出来る。ましてお客さんでこれからの取引のことも考えれば、お付き合いは大事にしなければと経験がないだけにある意味、夢中なところもあった。
その時間はあっという間に過ぎて「お開き」となった。客と別れて帰宅しようとするころ、田口は相当のアルコールで出来上がっていた。「所長、お疲れ様でした。これから二人でちょっとお疲れ直しをしましょう。もう一軒付き合ってください」と言い出した。
入社して間もないころ、上司ぶって「田口君、私も仕事でゴルフをしているが、いつか教えてくれないかなあ」と言ったことがある。その時何も思ったのか、冗談のように「箒で掃除でもしっかりしてたらどうですか」と言われてしまった。はじめはその意味も分からなかったが、自分はそんなつもりはないと言うことを主張したようで、それ以来ゴルフの話はタブーとなった。
しかし、彼の定時後の行動は不明であり、母親と二人きりの暮らしとは聞いていたが、その行動は分からなかった。半年過ぎるころ少しなれて仕事も起動になり始めたころ、田口から声がかかり「今日、お客さんから声がかかり、夕食をかねていっぱいやることになったんですが、所長も着てもらえませんか」と珍しく声がかかった。この会社へ入って兄の束縛から解放され外の世界を見ることが出来るようになった欽二としては何もかもが新鮮であり、興味があり関心があった。まして食事の席とあれば楽しい時間である。酒は飲めないが苦痛ではない。適当に合わせながら時間をすごすことは出来る。ましてお客さんでこれからの取引のことも考えれば、お付き合いは大事にしなければと経験がないだけにある意味、夢中なところもあった。
その時間はあっという間に過ぎて「お開き」となった。客と別れて帰宅しようとするころ、田口は相当のアルコールで出来上がっていた。「所長、お疲れ様でした。これから二人でちょっとお疲れ直しをしましょう。もう一軒付き合ってください」と言い出した。