杜の都仙台は東北では一番人口も多い。市内の中央を通る並木通りの緑の木に囲まれると心が静まり落ち着いた気持ちになる。市のややはずれを流れる広瀬川は歌にもなるようにここに住む人たちの色々な思い出と共に流れているようだ。
青葉山に作られた伊達氏の居城とされる青葉城もまた仙台のステータスだ。
オヨナさんはこの仙台で一人の友人に会おうとしていた。彼女は仙台から上京していて出会いは東京であった。その頃お互いに会社勤めをしていて、時々会うことがあり、お茶を飲む仲になっていた。東北の人と言うこともあって無口だったが、ぽつぽつとした話し振りに癒されていたのだ。彼女から聞く地元の話はまだ行ったことの無い所でも有り、一つ一つの話が興味深く、新鮮だった。日本三景の一つとして有名な松島海岸から見る島巡り、青葉城公園が若者のデイトスポットで賑わっていること、広瀬川の灯篭流しのロマンチックな夜の風景。そして東北三大祭の一つになっている仙台七夕祭りと話は尽きなかった。どの話も彼女から聞いていると
そのイメージが膨らみ、仕事を忘れて夢中になっていた。
彼女は上京して交際していた男性と暫く暮らしていたが、その内いなくなっていたのだ。連絡を取り、数年ぶりの再会となった。
お互いにまだ老け込む年齢ではなかったが、やはり其処には時間の経過と共に
大人の分別が出来ていた。
「暫くご無沙汰だったけど、元気そうで嬉しいよ」ベレー帽をかぶり旅行鞄とスケッチブックを持ったオヨナさんを見て、彼女は戸惑いを感じていたようだったが、
「変わったわね。すっかり落ち着いちゃって、今何をしてるの」
「仕事を辞めて自由業だよ」「そう、優雅ね。」「君は」「まだ、親のすねかじりよ。好きなことしてるわ。」それから暫く近況を語り合った。
「前、君の話を聞いていて、何時か来てみたいと思っていて、今回思い切って出てきたんだ。確かに君の言うとおり歩いてみてとても落ち着く町だね。とても清潔感も感じるよ。木が多い所為かな。」
「でも、冬になるととても寒いの、雪は少ないけど、とても冷えるの。これからつらいわ。でも折角だから広瀬川がとても美しく見えるところへ案内するわ」
二人は車で名取川との合流地点の近くまで来た。その堤防からは海への河口が臨めて見事であった。”広瀬側、流れる岸辺思い出はかえらず、早瀬踊る光に揺れていた君の瞳”突然、彼女は歌いながら歩き始めた。オヨナさんは嬉しそうに彼女の後ろを歩いていた。
青葉山に作られた伊達氏の居城とされる青葉城もまた仙台のステータスだ。
オヨナさんはこの仙台で一人の友人に会おうとしていた。彼女は仙台から上京していて出会いは東京であった。その頃お互いに会社勤めをしていて、時々会うことがあり、お茶を飲む仲になっていた。東北の人と言うこともあって無口だったが、ぽつぽつとした話し振りに癒されていたのだ。彼女から聞く地元の話はまだ行ったことの無い所でも有り、一つ一つの話が興味深く、新鮮だった。日本三景の一つとして有名な松島海岸から見る島巡り、青葉城公園が若者のデイトスポットで賑わっていること、広瀬川の灯篭流しのロマンチックな夜の風景。そして東北三大祭の一つになっている仙台七夕祭りと話は尽きなかった。どの話も彼女から聞いていると
そのイメージが膨らみ、仕事を忘れて夢中になっていた。
彼女は上京して交際していた男性と暫く暮らしていたが、その内いなくなっていたのだ。連絡を取り、数年ぶりの再会となった。
お互いにまだ老け込む年齢ではなかったが、やはり其処には時間の経過と共に
大人の分別が出来ていた。
「暫くご無沙汰だったけど、元気そうで嬉しいよ」ベレー帽をかぶり旅行鞄とスケッチブックを持ったオヨナさんを見て、彼女は戸惑いを感じていたようだったが、
「変わったわね。すっかり落ち着いちゃって、今何をしてるの」
「仕事を辞めて自由業だよ」「そう、優雅ね。」「君は」「まだ、親のすねかじりよ。好きなことしてるわ。」それから暫く近況を語り合った。
「前、君の話を聞いていて、何時か来てみたいと思っていて、今回思い切って出てきたんだ。確かに君の言うとおり歩いてみてとても落ち着く町だね。とても清潔感も感じるよ。木が多い所為かな。」
「でも、冬になるととても寒いの、雪は少ないけど、とても冷えるの。これからつらいわ。でも折角だから広瀬川がとても美しく見えるところへ案内するわ」
二人は車で名取川との合流地点の近くまで来た。その堤防からは海への河口が臨めて見事であった。”広瀬側、流れる岸辺思い出はかえらず、早瀬踊る光に揺れていた君の瞳”突然、彼女は歌いながら歩き始めた。オヨナさんは嬉しそうに彼女の後ろを歩いていた。