「くさや」はあまり知られてないかもしれないが関東では有名な珍味のひとつして知られている。青山も好物であるが、干物のため焼いて食べるときに出るの匂いが強烈な臭気を発するので
敬遠されることが多い。これは作るときにつける「くさや汁」による。
ある時、関西から来た知人と居酒屋でこれを肴に頼んで酒を飲んだ時にこの匂いに負けて暫く気分が悪かったことがあった。主に伊豆諸島で作られていることから、彼もそちらの出身なのかもしれないと思いながら「やあ、ご馳走様私の好物なのだが、ここでは近所に迷惑をかけるかもしれないと思ってね。でも折角だから頂くよ。どこかで焼いてもらって食べたいと思う。」と言って受け取った。初めての事ではあったが、家つながりと言うこともあり、そんなに違和感を感じない出会いであった。「じゃあ君はあちらの出身なの。」「えー大島から来ました。高校を出て
東京へ出てきました。」「それで今は何をしているの」「大学を出て某医大のインターンをしています。」「じゃあ、エリートだね。」と言うと少しはにかんでいる。「貧乏学生だからうだつがあがりませんよ」と正直に言う。青山はコーヒーを入れて進めた。おいしそうに飲んでいる。
「こんなにおいしいコーヒー初めてです。何しろ毎日インスタントしか飲んだことがないので」と言いながら香りをかぎながらゆっくり味わっている。その様子を見ながら「素敵な彼女もいて毎日が楽しいんじゃないの」と何気なくいうと「いやあ、実はその事なんですよ」と驚いている。年齢や、その風采から見て何となく女の話かなとあてずっぽうに言ってしまったのだが、まさか図星であったとは逆に驚いて「どうしたの」と切り出した。
「実は大島で高校時代に付き合っていた彼女がいたんです。特別な関係とかじゃなくて暇な時の話し相手に時々あって付き合っていたんですが、私が東京へ出ることになって自然に会うこともなくなって終わっていたんです。もちろん何の約束もしていませんし、向こうからも言われていません。二人で偶に出かけるくらいのものでした。だから私の事は知らないはずなのに誰に聞いたのか、調べたのか分かりませんが、突然手紙が来たんです。そこには私も東京へ行くことにしたので、ぜひ会いたいと書いてあったのです。」
敬遠されることが多い。これは作るときにつける「くさや汁」による。
ある時、関西から来た知人と居酒屋でこれを肴に頼んで酒を飲んだ時にこの匂いに負けて暫く気分が悪かったことがあった。主に伊豆諸島で作られていることから、彼もそちらの出身なのかもしれないと思いながら「やあ、ご馳走様私の好物なのだが、ここでは近所に迷惑をかけるかもしれないと思ってね。でも折角だから頂くよ。どこかで焼いてもらって食べたいと思う。」と言って受け取った。初めての事ではあったが、家つながりと言うこともあり、そんなに違和感を感じない出会いであった。「じゃあ君はあちらの出身なの。」「えー大島から来ました。高校を出て
東京へ出てきました。」「それで今は何をしているの」「大学を出て某医大のインターンをしています。」「じゃあ、エリートだね。」と言うと少しはにかんでいる。「貧乏学生だからうだつがあがりませんよ」と正直に言う。青山はコーヒーを入れて進めた。おいしそうに飲んでいる。
「こんなにおいしいコーヒー初めてです。何しろ毎日インスタントしか飲んだことがないので」と言いながら香りをかぎながらゆっくり味わっている。その様子を見ながら「素敵な彼女もいて毎日が楽しいんじゃないの」と何気なくいうと「いやあ、実はその事なんですよ」と驚いている。年齢や、その風采から見て何となく女の話かなとあてずっぽうに言ってしまったのだが、まさか図星であったとは逆に驚いて「どうしたの」と切り出した。
「実は大島で高校時代に付き合っていた彼女がいたんです。特別な関係とかじゃなくて暇な時の話し相手に時々あって付き合っていたんですが、私が東京へ出ることになって自然に会うこともなくなって終わっていたんです。もちろん何の約束もしていませんし、向こうからも言われていません。二人で偶に出かけるくらいのものでした。だから私の事は知らないはずなのに誰に聞いたのか、調べたのか分かりませんが、突然手紙が来たんです。そこには私も東京へ行くことにしたので、ぜひ会いたいと書いてあったのです。」