D社のある役員会議室である。そこにはD社の関連事業部の役員を初めそのスタッフが
顔を揃え、こちら側には岡山から出てきた4人の役員が緊張の面持ちで坐っている。
「まず、そちらのお考えをお聞きしましょう」穏やかなD社側の挨拶から話し合いは始まった。用意された約定を基に説明に入る。何か条かの希望条項の織り込まれたものの
読み上げたあと、説明が済むとその内容についての質疑応答に入る。
「大体のご希望の内容はお聞きしました。しかし、こちらとしてもこの会社を経営していく上で、当社の方針があります。その方針に基づいて具体的に会社をどのようにするかを検討してまいります。その場合、方針に合わない内容、または沿い得ない内容が出る場合もあります。その時は当然ご相談はしますが、私どもの考えで行うことがあることを御承知ください。まず、第一には資本比率は当然ながら50%以上であること。代表責任者は当方の派遣者であること。」「その他の役員はどうなるのでしょうか。?」慌ててきく。
自分達の立場が危なくなることを心配しているのだ。「まだ正式にはお答えできませんが、出来るだけ留任してもらえるようにします。但し、財務担当役員は私どもの方から派遣しそのものの方針で行いますので、そのことはご了解ください。」さすがに大事なところはきちんと釘を刺してくる。「社員を始め、労働組合などはどうお考えですか。最近はオルグも入り、結構交渉も多く、うるさいのですが、」「そのへんは従来どおり、そちらでしっかりまとめてください。要求事項も今までのように甘くはなりませんよ。」
「待遇面はどうお考えですか。」「根本的には会社の業容が大事であり、会社が儲かっていなければ、当然それに応じたことを考えていかなければなりません。損出が出ていなければ現状を維持しながら推移を見ていくことになります。但し、関連会社(子会社)は基本的に本社の70%から80%という慣例がありますので、その事を御承知ください。」
話を聞きながら、岡山の役員は想像以上の厳しい内容で、甘い想定をしていたことを後悔し始めていた。「こんなことなら、ここへ来るんじゃあなかったか」と思う役員もいたが、今更後にも引けなかった。といって、身体を張ってここはこうして欲しいともいえる力も度胸も無かった。言われるままに説明を聞きながら、次第に不安が広がり、これからどうなるのだろうかとの思いで全員が暗い気持ちでいたのだ。
顔を揃え、こちら側には岡山から出てきた4人の役員が緊張の面持ちで坐っている。
「まず、そちらのお考えをお聞きしましょう」穏やかなD社側の挨拶から話し合いは始まった。用意された約定を基に説明に入る。何か条かの希望条項の織り込まれたものの
読み上げたあと、説明が済むとその内容についての質疑応答に入る。
「大体のご希望の内容はお聞きしました。しかし、こちらとしてもこの会社を経営していく上で、当社の方針があります。その方針に基づいて具体的に会社をどのようにするかを検討してまいります。その場合、方針に合わない内容、または沿い得ない内容が出る場合もあります。その時は当然ご相談はしますが、私どもの考えで行うことがあることを御承知ください。まず、第一には資本比率は当然ながら50%以上であること。代表責任者は当方の派遣者であること。」「その他の役員はどうなるのでしょうか。?」慌ててきく。
自分達の立場が危なくなることを心配しているのだ。「まだ正式にはお答えできませんが、出来るだけ留任してもらえるようにします。但し、財務担当役員は私どもの方から派遣しそのものの方針で行いますので、そのことはご了解ください。」さすがに大事なところはきちんと釘を刺してくる。「社員を始め、労働組合などはどうお考えですか。最近はオルグも入り、結構交渉も多く、うるさいのですが、」「そのへんは従来どおり、そちらでしっかりまとめてください。要求事項も今までのように甘くはなりませんよ。」
「待遇面はどうお考えですか。」「根本的には会社の業容が大事であり、会社が儲かっていなければ、当然それに応じたことを考えていかなければなりません。損出が出ていなければ現状を維持しながら推移を見ていくことになります。但し、関連会社(子会社)は基本的に本社の70%から80%という慣例がありますので、その事を御承知ください。」
話を聞きながら、岡山の役員は想像以上の厳しい内容で、甘い想定をしていたことを後悔し始めていた。「こんなことなら、ここへ来るんじゃあなかったか」と思う役員もいたが、今更後にも引けなかった。といって、身体を張ってここはこうして欲しいともいえる力も度胸も無かった。言われるままに説明を聞きながら、次第に不安が広がり、これからどうなるのだろうかとの思いで全員が暗い気持ちでいたのだ。