波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

思いつくままに   「去来苑」

2013-05-27 15:39:52 | Weblog
箱根の塔の沢温泉に道筋に「去来苑」と言う宿があった。(現在は実在しているか不明)嘗て著名な作家の柴田錬三郎氏がこの宿であの有名な「眠狂四郎控」を書いていたとも言われていたが、誰かの紹介で教えられ湯本駅から歩いても近いとあって、何回か仕事仲間と利用したことがある。こじんまりとして地味な建物のため、うっかりすると見逃して通り過ぎる程でであり、収容人員もおそらく20人程度ではないかと思われるほど小さい。詳しいことは知らないが、ある東京の金持ちが趣味として作ったとされ、あまり金儲けを目的としたものではなさそうであった。
玄関を入ると正面にガラス越しに小さな庭が目に入る。よく見るとそれは吹き抜けの床の間のような庭であり、見事な白砂には一羽の鶴が置かれており、その鶴に光線が差し込みまことに風流な雰囲気を醸し出している。各部屋も静かなたたずまいで決して派手さもぜいたくさも感じさせないが趣味の良さがわかる、かなりこった材料で一つ一つが作られていた。全体が黒を基調にしてあるのもその宿の重厚さを増していた。
人は毎日朝起きると一日の予定に取り組むことになる。(前日に予定は準備されていると思われる)もちろん食事を含めた生活時間が構成されていて、その中には「自分の時間」としての時間は自分にとって有効に使える大きな喜びであり、楽しみでもあろう。
それが読書であれ、「物書き」であれ、何でもよいのだが、静寂の中で過ごす自分の時間は貴重であり、自分にしかわからない不思議な喜びを感じることもできるだろう。
それは置かれた環境がどんなささやかなものであっても、そのような時間を持つことが出それば上記の先
生方と同じ喜びと満足感を持つことが出来ると思うのだ。
昔会社員として生活を過ごしているときは、まさに機械のねじの一本としての役目であり、そのねじとして油を差されながら四六時中動かされ、一年を無我夢中で消耗していたことを思うと、考えることも、感じることも味わうことも感動も知ることなくひたすら
動き回り止まらないことだけが、生きがいだったのだ。
今の時間こそ本当の時間であり、自分のものでありながら自分だけのものではない時間にも思える。だからこそ楽しみながら、喜びながらしかも自分のためだけでなく、自分を取り巻く隣人のことも考えつつ一日を過ごしたいと思っている。
この世の生活で過ごしながら「今日は一日本当によかったなあ」と心から感謝できる日を
少しでも多く過ごしたいものである。
ただ嬉しいと思うだけでなく自分の行ったことに自分自身で深い満足感を覚えることが出来るような一日であれば、尚更にぐっすり眠ることもできると思うから

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