波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

             オヨナさんと私  第61回

2010-01-25 07:52:07 | Weblog
「結婚して何年になる。」「もう10年かな」「子供さんは」「三人、男ばかり」
「じゃあ、5人家族か。」「いや、家内の両親も同居なので7人だよ。」
「そりゃあ、賑やかだね。仲良くやっているかい。」「おかげさまでね。ただ最近6歳の上の子の行動が気になっているんだ。」「どうしたの。」「大したことじゃないかも知らないけど、見ていると落ち着きが無いんだ。下の子に嫌がらせをしたり、いたずらしたり、食事中もじっとしていなくて、歩き回ったり、保育園へ行っても女の子にやってるらしいんだ。」「母ちゃんが少し厳しすぎるのか。性格なのか。このまま何もしなくて、放っておいて良いのかと思ってね。」突然の子供の話で真剣になっている友達の言葉にオヨナさんも戸惑っていた。「私も子供を扱っていて、子供を見ているけど親が心配して言ってくる80㌫位は問題にしなくて良いことを問題にしていることが多いよ。」
始めて子供を持って育てた経験を持たない親も経験不足というか、初体験でもある。従って誰からも教えてもらったわけではない。(同居生活者が少ないし、最近の親は若い親に押し付けたりしないから)
「来年、学校へ上がることへの不安とかを感じているのかもしれないけど、本人が何時か学んで覚えていくことだし、それよりも躾をして萎縮させないほうが良いと思うね。逆に親のほうが社会適応に不安を持っているから子供にそのことが出てしまうことも多いんだよ。
人間は恐怖からはエネルギーは出ない。だから親の顔色を見るようになる。のびのびさせてやろうよ」子供のことになると真剣になっている父親の姿を見ながら、微笑ましく又羨ましくも思った。「これからどこへ行くんだ。泊まっていかないか。」時間を忘れたように話していたが、もう夕方になっていた。「ここまで来たから、焼津まで足を伸ばしてみようと思っているんだ。」そして、ヨナさんは焼津で美味しい夕食にありついていた。さすがに海の幸が豊富である。考えてみると今日も一日がかけがいのない一日だった。
他人から見れば何もしていなくて、何の変化のない日に見えていたと思うけど、オヨナさんにとっては、見たもの、聞いたこと、話したこと、すべてが心の中に得たものが多かった事を噛みしめていた。一日は尊い。そしてその日はその日だけの時間であり、二度と帰ってこない。そしてその時にこそ得られる大切なものがある。それは感謝でしかなかった。