波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

           オヨナさんと私    第54回

2010-01-01 10:47:58 | Weblog
箱根と言えば芦ノ湖まで足を伸ばしたくなる。その昔箱根越えをする旅人はたくさん居て、この標高800メートルを越す峠を苦労して登ったのである。まして其処に有名な関所があるとあっては気も休まらなかったであろう。(この関所は今でも立派に保存されている。)この関所に行って、其処に佇むとその当時の旅人達の思いがよみがえって伝わってくる気がする。様々な事情や問題を抱えている人たちとそれを迎えて吟味する役人とのやり取りはその一つ、一つがドラマであり、事件性を持っていたかもしれない。そして健康な人だけではなく、病人も居たことであろう。医師も其処には配置されていたのだろうか。そんなことを考えながら、関所を通り過ぎて芦ノ湖が見えるところまで来ると、何となく、其処でしか味わえない解放感を味わうことが出来る。湖畔にあるお休みどころへ立ち寄ると「わかさぎ」が御茶請けに出てくるのが嬉しい。この芦ノ湖で取れたもので名物でもある。さっぱりしていやみの無い味はここで食べるのが一番あっている。
こうして都会を離れて地方へ来てその土地ごとの歴史を思いながら歩くことがオヨナさんにとって楽しみの一つである。勿論其処でしか見られないものをスケッチできるのも楽しみである。そしてあちこちに沸いている豊富な湯量があり、安価に温泉を楽しめるのも特徴で、長い旅をする人たちにとってどれほど憩いとなったことだろうと思わせる。そんな意味でここにある「小湧園」はその典型であろうか。
山間のそれほど広いとはいえない場所であるが、家族ぐるみで楽しめる設備が完備しているのに驚かせる。(勿論目的によっては静かに何もない昔ながらの所が良いということもあるだろう。)
毎日の生活ではいろいろな問題に出会う。それは楽しいことばかりではない。子供の学校のこと、健康のこと、経済的なこと、近所との事、友達との事気がかりなことが次から次へと出てくる。何時も平安には過ごすことは出来ない。
私たちはそれらの事実の中で生きているのだがただその事実の中だけで過ごしているわけではない。それらの事実を通して一つの真実を見つけなければならない。そしてその真実を通じて生きることを考えたい。
人間関係一つあげても相手に自分の思いを伝えることの難しさをどれだけ経験しているだろうか。そんな時どれだけ傷ついたことだろう。そんな時でもその事実から
何時か分る時がくるという真実を覚えることが出来れば、心は安らぎ時を待つことが出来るだろう。そして何時か相互に理解しあう時に喜びを持つことが出来る。
そのことを信じて人は生きなければならないような気がする。