ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

おばあちゃんのおっぱい(3)

2021-12-19 | 乳がん
「どうして、こんな、 変なカタチなの?」
という 孫からのまっすぐな質問に、

まっとうに、当たり前に、隠さず伝える事は 
なんとなくではあったけれど、
心に決めた事だった。

そうして、私は 幼い孫に 分かりやすく伝えた。

つもりだった。

けれど。





「おばあちゃんのおっぱいは、
 こっちは どうして変なの?」

ともう一度聞かれたのは、次に一緒にお風呂に入った時だった。

えっ?????!

あんなに 一所懸命に教えたのに、また それを聞くの???



「おばあちゃんの こっちのおっぱい、
 どうしてこんな形になったか、
 この前、おばあちゃん、君に お話してあげたんだけど、
 忘れた?」

「うん、忘れた。」

そんな~~ぁ。

あのね、と もう一度 同じ話をする。

同じ話だけれど、伝えたい情熱?は、
初めての時より だいぶ落ちている。

落ちているぶん、ドキドキしていないぶん、
冷静に伝えられたかもしれない。





その次に 一緒にお風呂に入った時は
彼は
「ボク、おばあちゃんのこっちのおっぱい、
 どうしてこうなったか、知ってるよ。」
と言った。

そりゃ、そうだろう、
2回も質問して 2回も同じ回答をきいておいて。

ん? 待てよ。

ホントに知ってる? こんどはちゃんと覚えてる?


「じゃあ、どうして?」

「えーっとね。 

 こっちのおっぱいにー。

 バイキンが入ってぇ。」



バイキンなの???


でも、まあ、それでもいいか。 

と私は受け流したのだった。

みなさん、私の左のおっぱいには、バイキンが入ったのですよ(笑)。



これが 孫①君と 私との おっぱいに関する会話だった。

くだらないおしゃべりだったかもしれないけど、
いつかはやって来るであろうと思っていた時が 
やって来た瞬間だった。

この会話は あと何回繰り返されるのだろう?

つまり、孫② との間でも きっと同じ会話をするに違いない、
と思っているのだ。

そして できるなら 孫③、孫④ と
同じ話を繰り返せたらいいなぁ、と。

おばあちゃんは 元氣で 
孫と一緒にお風呂に入れる人でなければならない。

う~~ん、その前に、嫁さんを探さなくては。

そっちの方が、大問題なんだけど。



術後19年

2021-11-19 | 乳がん
もう19年も経ってしまって、
もやはピンクの戦士(乳がん患者)ではないような気になっている。

それでも 定期健診をサボって 何かあったら後悔するだろう。

今年もちゃんと受けて来た。

そして、無事に(コレステロール値以外は)異常なし、問題なしの
お墨付きをいただいて帰って来た。



主治医によると、20年経てば
転移の心配がなくなるのだそうで、
検診も2年にいっぺんで良いらしい。

そーかー。

転移の心配がなくなるのかー。





新型コロナの影響で 視触診はなく、
私の手術の執刀医だった主治医は 少々老けはしたけれどお元気で。

透明なパーテーションのこちら側の私は
コロナ太りで ブクブクしているけれど、
まずは、目出度い。



ちゃんと、マンゴーパフェを注文、
スマホに写真を撮って 美味しく食べて帰宅。

ただ スマホの写真を すんなりパソコンに取り込めなくなっているので、
ブログをアップするモチベーションが低いの、私。



おばあちゃんのおっぱい(2)

2021-09-26 | 乳がん
「おばあちゃんのおっぱいはー、」

「こっちは ちゃんと大きいのにー、

 どうして、こっちはー。」

「んーーー。」

「どうして、こんな、

 変なカタチなの?」


孫のまっすぐな質問に、私は思い出した。

もし そんな質問が孫から発せられたら、
嘘もゴマカシもなく、ちゃんと答えよう。

そう決心していた事を。


それにしても、こんなに早く その時が来るとはね。




まっすぐに答える私。

「あのね。

 こっちのおっぱいはね。

 悪い病気になってー、

 ぱっかーん ってして、切って、
 病気のとこを切っちゃったの。」





「ぱっかーん」は、孫のお気に入りのフレーズだ。

切る時は、「ぱっかーん」と切るのだ。

桃太郎の桃か。


「えー。 どうして?」


この 「えー。どうして?」も、彼の口癖になっている。

「どうして? どうして?」の時期の真っ最中なのだ。



「えーっとね。

 ぱっかーん して取っちゃわないと、
 おばあちゃんが、死んじゃうからだよ。」

「ふ~ん。」



何をどう感じたかは わからないが、
彼の質問は それで終わった。

少々、拍子抜け。

でも、すべて 明快なのだから 仕方ない。

それで済んで、ホッとした私だった。



予想外の事に、この話には、続きが ちょっと、あった。



おばあちゃんのおっぱい(1)

2021-01-27 | 乳がん
去年 娘が下の子を出産した頃の事だから、
もう1年近く経つ。

たぶん 入院中の事だったろう、
孫①と一緒に よくお風呂に入った。

子供をお風呂に入れる、となると、
「俺の出番だ」とばかりに張り切る亭主をひとり持っているが、
その頃の亭主は 例によってなんやかやと 忙しく、
家に居ない事も多かった。

私はよく 孫①と一緒にお風呂に入り、
最初はぎこちなくても 
だんだんに 普通に入れるようになった頃。

孫①が その質問を発した。




 「おばあちゃんのおっぱいはー、」

お?



 「こっちは ちゃんと大きいのにー、

  どうして、こっちはー。」

お?  来たかな?



 「んーーー。」

何て言う? 何て言う?



 「どうして、こんな、

  変なカタチなの?」

そう来たか?!





いつかは来ると思っていた。

そういう質問、来るよね、と思っていた。

そうか、来たか。

ついに来たか。

そう来たか。

「変なカタチ」か。

そうだな、確かに、「変なカタチ」だ。



私は 幼い孫が懸命に考えて生み出した言葉の的確さに
ちょっと驚き、ちょっと嬉しくなり、
そして
ちょっとだけ 哀しみを感じた。





えーとね。

おばあちゃんのおっぱいはね。



術後18年

2021-01-25 | 乳がん
もう、誰も 気づかってくれない。

私、がん患者だったんだけどなー。(笑)

だれも、心配してくれないんだよ、もう。(笑)




          
          



がん10年生存率ってのが、去年の11月に公表された。

前回の調査(03~06年対象)よりも 1.1ポイント上昇し、
がん10年生存率は58.3% だった。

乳がんは、全体で 86.8%、
5年生存率は93.6%だった。

1期だったら、98.0%。

ほらね。

乳がんは 癌だからって、あんまり威張れないくらい、
生きていて、
そして 早期で治療を受ければ、
みんな、けっこう元氣いっぱいだ。



ただし、4期の場合は、19.2%。

だから、ね。

みんな、検診に行こうね。



全がん協加盟施設の生存率協同調査 / 全がん協生存率
http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/seizonritsu/seizonritsu2012.html





これも大きなニュースでは あったはずだったが、
世の中は 別の病気で大騒ぎの真っ最中。

その頃、私は 定期健診を受けるつもりだったが、
少し風邪気味だった。

「一週間ほど先に延ばしたい」と電話したら
「キャンセルとして受け付けるから、
 体調がもどってから 予約を取り直すように」と言われてしまい、

結局ひと月ほど遅れてしまったのだった。

田舎に住んでいると
病院のある町まで出かけるのに
免疫力と勇気を振り絞る必要があるので
ひと月も先になって 逆に安心できた。



そして
やっぱり定期健診で「異常なし」と言ってもらえば、
ホッとするし 嬉しい。

18年 経っていてもね。



医師は 20年経ったら 検査は2年にいっぺんで良い、
と言った。

そしたら、嬉しいなあ!

その頃には 私の執刀医も 年をとって
検診の方も引退するだろうから、
もっと近くの医師に引きついでもらって
ヒョイと診てもらえるようにしようかな。





この日、私は急いでいて
いつものスイーツを堪能して来る余裕がなかった。

代わりにいつ行こうか?と楽しみにしている。



写真は過去のものばかり。



      

ああ! やっぱり、パフェ! パフェがいいなあ!!!!!