今日の日経には、恒例の「2012年度予測エコノミストに聞く」が載っている。1/1の本コラムのキャッチと同様の見出しなのは、ご愛嬌。ちょっと早く、異説も読めるというのが、ネットの良さだろう。KitaAlpsさん、今年も、よろしくね。1/1、1/2と、がんばって書いたので、今日は軽く行こう。
主要エコノミストのコンセンサスが2012年度で1.8%成長というのは、まあ、そんなものだろう。NEEDS予測も同じく1.8%。個人消費は0.7%とし、外需は0.2%で、多くを期待していない。今日の日経によれば、初売りは軒並み好調らしく、1/3が前年並みだった昨年より幸先は良い。また、NEEDSで興味深いのは、各国の成長率を、米国2.3%、EU0.7%、中国8.9%と想定し、1ポイント下がると、日本の成長率が0.5ポイント下がるとしているところ。リスク評価ができる良い記事だ。
商品欄では、志田さんが「中国混乱で資源食糧は下落」などのリスクを指摘している。筆者は、欧州と中国のデカップリングはないと思っているから、あり得るシナリオだ。そう言えば、志田さんは、去年1/3にもリスクへの備えを書いてるね。当時は、小平さんや西岡さんが法人減税の懸念を書いていたものだった。時の流れを感じるよ。
さて、二日に渡って、これからの時の流れを書いてみたのだが、経済政策というか、経済思想は、転換期に差し掛かっているように思える。1970年代後半の米国のインフレ退治から、80年代の「小さな政府」というのは、レーガノミックスの実態は放漫財政であったにしても、それなりの合理性がある。白眉は、1993年にクリントン政権が、歳出削減を打ち出し、長期金利を低下させ、経済成長と財政黒字を導いたことだろう。その背景には、バブルもあった。
この後、サブプライム問題、リーマンショックと続き、欧米のバブルは弾け、魔法が解ける時が来た。今は、膨張したマネーと政府債務の始末をどうつけるかが課題だ。実は、こうした状況は、第二次大戦後に似ているとも言える。1929年にバブルが崩壊し、大恐慌となり、戦争での軍需で経済は立ち直っても、政府債務は巨額になっていた。「金融抑圧」という、戦後に成功した政策が引用されるのも自然な流れだ。
戦後は、クルーグマンが強調するように、所得再分配が行われていた時代だ。法人税率も高かったが、それでも高成長を果たした。大幅な法人減税が行われたのは、1987年のレーガン政権の時である。資本課税より消費課税が良いという考え方は、時代背景に強く影響されたものだ。そして、時代がひと巡りして、また元に戻るような、そんな予感がする。
日本の場合、エリート層に多様性が乏しいので、変化がなかなか入りにくい。結局、バックミラーを見ながら運転するような形で、コンセンサスに従った時代遅れの政策を打ち、失敗しがちなのである。大きな政治コストを払い、消費増税&法人減税を実施した時には、欧米は逆になっていないとも限らない。今さらレーガノミックスなのかというところだ。
二日間の小論では、社会の未来も書こうと思ったのだが、筆が及ばなかった。まあ、年金積立金を生かした社会保障の充実というもので、これまで書いてきたことではあるのだがね。経済政策の課題は、投資のコントロールにあるとしたが、投資=貯蓄でもあって、社会保障というのは、貯蓄と投資が上手く整合するよう管理する制度でもある。本来、経済政策と表裏一体のものである。
まあ、消費増税で一気に政府貯蓄を増やしすことばかり考えて(借金を減らすというのは、マクロ経済的には貯蓄を増やすのと同じ)、その投資先は、ちっとも考えない、低レベルの経済政策しか持たず、社会保障を重荷としかとらえない国には、想像もつかないだろうな。しかし、若い人達がNPOで新たな社会事業に挑戦しているように、世の中を良くするためのフロンティアは、もっと広いのである。
(今日の日経)
サムスンが来年めど日本再参入。iPS細胞使い米で治験。産業創出へ新法。選んだ7色キャリア。社説・民と民が支えあう。東電の公的管理は一時的。復興国債の販売好調。消費税・低所得対策は場当たり。インドネシア物価鈍化。初売り、軒並み盛況。復興需要で緩やか回復、欧州危機に懸念、エコノミストに聞く。NEEDS予測は1.8%増。乱高下は収まらない・志田富雄。日経イスタンブール支局開設。
※来年か。※ノーベル賞級の研究でも日本での特別扱いはないのか。※低利融資だけなの。※非営利がフロンティアだ。※寄付税制は失望の連続、フォロー頼む。※「将来にわたって…ない」は「直ちに…ない」の枝野大臣らしい。※日本人のまじめさだね。
主要エコノミストのコンセンサスが2012年度で1.8%成長というのは、まあ、そんなものだろう。NEEDS予測も同じく1.8%。個人消費は0.7%とし、外需は0.2%で、多くを期待していない。今日の日経によれば、初売りは軒並み好調らしく、1/3が前年並みだった昨年より幸先は良い。また、NEEDSで興味深いのは、各国の成長率を、米国2.3%、EU0.7%、中国8.9%と想定し、1ポイント下がると、日本の成長率が0.5ポイント下がるとしているところ。リスク評価ができる良い記事だ。
商品欄では、志田さんが「中国混乱で資源食糧は下落」などのリスクを指摘している。筆者は、欧州と中国のデカップリングはないと思っているから、あり得るシナリオだ。そう言えば、志田さんは、去年1/3にもリスクへの備えを書いてるね。当時は、小平さんや西岡さんが法人減税の懸念を書いていたものだった。時の流れを感じるよ。
さて、二日に渡って、これからの時の流れを書いてみたのだが、経済政策というか、経済思想は、転換期に差し掛かっているように思える。1970年代後半の米国のインフレ退治から、80年代の「小さな政府」というのは、レーガノミックスの実態は放漫財政であったにしても、それなりの合理性がある。白眉は、1993年にクリントン政権が、歳出削減を打ち出し、長期金利を低下させ、経済成長と財政黒字を導いたことだろう。その背景には、バブルもあった。
この後、サブプライム問題、リーマンショックと続き、欧米のバブルは弾け、魔法が解ける時が来た。今は、膨張したマネーと政府債務の始末をどうつけるかが課題だ。実は、こうした状況は、第二次大戦後に似ているとも言える。1929年にバブルが崩壊し、大恐慌となり、戦争での軍需で経済は立ち直っても、政府債務は巨額になっていた。「金融抑圧」という、戦後に成功した政策が引用されるのも自然な流れだ。
戦後は、クルーグマンが強調するように、所得再分配が行われていた時代だ。法人税率も高かったが、それでも高成長を果たした。大幅な法人減税が行われたのは、1987年のレーガン政権の時である。資本課税より消費課税が良いという考え方は、時代背景に強く影響されたものだ。そして、時代がひと巡りして、また元に戻るような、そんな予感がする。
日本の場合、エリート層に多様性が乏しいので、変化がなかなか入りにくい。結局、バックミラーを見ながら運転するような形で、コンセンサスに従った時代遅れの政策を打ち、失敗しがちなのである。大きな政治コストを払い、消費増税&法人減税を実施した時には、欧米は逆になっていないとも限らない。今さらレーガノミックスなのかというところだ。
二日間の小論では、社会の未来も書こうと思ったのだが、筆が及ばなかった。まあ、年金積立金を生かした社会保障の充実というもので、これまで書いてきたことではあるのだがね。経済政策の課題は、投資のコントロールにあるとしたが、投資=貯蓄でもあって、社会保障というのは、貯蓄と投資が上手く整合するよう管理する制度でもある。本来、経済政策と表裏一体のものである。
まあ、消費増税で一気に政府貯蓄を増やしすことばかり考えて(借金を減らすというのは、マクロ経済的には貯蓄を増やすのと同じ)、その投資先は、ちっとも考えない、低レベルの経済政策しか持たず、社会保障を重荷としかとらえない国には、想像もつかないだろうな。しかし、若い人達がNPOで新たな社会事業に挑戦しているように、世の中を良くするためのフロンティアは、もっと広いのである。
(今日の日経)
サムスンが来年めど日本再参入。iPS細胞使い米で治験。産業創出へ新法。選んだ7色キャリア。社説・民と民が支えあう。東電の公的管理は一時的。復興国債の販売好調。消費税・低所得対策は場当たり。インドネシア物価鈍化。初売り、軒並み盛況。復興需要で緩やか回復、欧州危機に懸念、エコノミストに聞く。NEEDS予測は1.8%増。乱高下は収まらない・志田富雄。日経イスタンブール支局開設。
※来年か。※ノーベル賞級の研究でも日本での特別扱いはないのか。※低利融資だけなの。※非営利がフロンティアだ。※寄付税制は失望の連続、フォロー頼む。※「将来にわたって…ない」は「直ちに…ない」の枝野大臣らしい。※日本人のまじめさだね。
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