トランプ関税で株は急落したが、米国の実体経済に打撃を与えるかどうかは、輸出企業がどれだけ値上げをするかだ。関税分を飲み込めば、消費は変わらないのだから。日本の場合、2021年までのドル円は110円位で、足下の147円だと36%安く、ある程度は飲みこめるはず。輸出を減らした企業には、政府が支援して、国内で売るインセンティブにしてもらうほかあるまい。クルマなら潜在需要があろう。財源はGAFAにでもかけるかね。
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2月のCTIマクロは、名目の前月比+0.2で、1,2月平均は前期比+0.7となっていて、消費は順調だ。家計調査では、名目の可処分所得が停滞する中でも、消費は伸びており、昨年半ばに低下した消費性向も元に復している。目下の課題は、名目での成長を保ちつつ、円安是正で物価を落ち着かせ、実質での成長を確保していくことである。その中で輸出が減るようなら、内需で補ってやる必要がある。
関税を上げると、普通は値上げになるし、国内の供給力は急には上げられないので、それは可能だ。そうなると、消費増税をしたのと同じで、消費を冷やし、設備投資の期待も下げて、成長を減速させてしまう。米国は、コロナ後で最良の経済だったのに、積年の怨みに駆られて自害行為に及んだ。報復関税をやる側も自らの足を撃つことになる。ドル高にあった米国は、輸出先で値上げせざるを得ないからなおさらだ。
日本は、輸出を成長の起動力にしてきたが、これで完全に戦略を変えなければいけない。1980年代後半、円高不況に驚いて内需拡大をやり過ぎ、間違って好景気を導いてしまったが、これにならうことになる。産業政策としては、ドルを稼げなくなるのだから、デジタル赤字を減らすべく、国産企業育成という輸入代替政策への先祖返りが求められる。自由貿易の時代は終わったのだ。
(図)
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歴史的に見ると、米国は、時折、理不尽なことをやってくる。戦前の日本は、対抗コースを歩んで失敗したわけで、忍耐が肝心だ。結局、米国は、多大の犠牲を払った後とは言え、自由貿易に帰って来たのも歴史が示すところだ。今の日本にはイキったりする根性はないから心配はいらないけれど、中国はどうだろう。力があると対抗したくなるのは世の常であり、はた迷惑にならなければ良いが。
(今日までの日経)
NYダウ急落、2231ドル安 関税応酬で史上3番目下げ幅。中国が報復関税34%。トランプ相互関税、崩れる自由貿易。円高、一時145円台。日米の長期金利急低下。中小賃上げ、33年ぶり水準。トヨタやホンダ、米での価格は当面維持。フォード、米国内で値下げ。





