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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

5/28の日経・年金積立金という遺産を巡る醜い争い

2025年05月28日 | 今日の日経

 3月の人口動態速報の出生は前年同月比-2.9%で、今年の出生率は1.11人に向って転落中だ。一世代で人口が半減するスピートで、賦課方式の年金で言えば、支える子のない人の給付をゼロにするか、全員を半減にするかという恐るべきものだ。積立金の流用とか、増税の不安だとか損得論の醜い争いをやってる場合ではないんだよ。

 厚生年金の積立金は、1996年度に120兆円を超え、2011年度に120兆円に戻るという経過をたどっている。すなわち、積み立てたのは、30年前に50代だった世代以前の人達であり、使う権利のある人達は、ほぼ年金をもらい終わっている。つまり、積立金を流用するなと叫ぶ者らは、団塊ジュニア以降の各世代で遺産の取り合いをしているわけだ。

 積立金は、賦課方式の年金に本来は不要のもので、使うとすれば、少子化によって制度が縮小する場合になる。今回の年金改正の趣旨は、いわば、各世代で痛みを分かち合おうというものであり、今のままだと痛みが氷河期世代に強く出てしまう。結局、計算高さは道を誤り、優しさが正しさに導いてくれる。生き方とは、そういうもの。

 くだらぬ争いより、目下の地滑り的な少子化をくい止めねば、大変なことになる。低所得の若者の保険料を半減して、勤労者保険に皆が入れるようにしてやろうよ、非正規の女性にも育児休業給付を出して助けてやろうよ。カネがもったいないなどと、優しさのないことを言っているから、出生が激減して、社会は破滅するのである。

(図)


(今日までの日経)
 備蓄米の売り渡し半値に 小売りと随意契約。財源なき消費減税に世論慎重。年金底上げの判断は5年後 与野党合意、残る財源不安。

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物価高において戦場を選ぶこと

2025年05月25日 | 経済

 アベムジカというバンドアニメの話を聞いて、妙なところに感心してしまった。主人公は、野心的なプロジェクトに挑み、支えることに必死で、負荷の過ぎた盟友がメンタルに異常を来たしているのを見過ごしてしまう。ついに主力を失ってプロジェクトは潰え、絶望するだけでなく、狂態を目にして悔恨に泣き崩れ、求めていたことすら否定せざるを得なくなる。仕事より体が大切とは、よく言われるが、どれほど重いかは、できる人間ほど、大なり小なり経験し、彼我を知って戦場を選ぶことを思い知る。今の若手がアニメで学んでいるとは思わなかったよ。

………
 4月の消費者物価指数は、総合が前月比+0.1にとどまった。要因は生鮮の低下で、ウエートは米類の10倍だから、影響は大きい。生鮮は、上下が激しいために省かれがちだが、年間で見ても、総合や財より上昇幅がずっと大きい。物価高の庶民の痛みは、実は、ここにあるので、値上がり分にまでかかる消費税は目の敵になるし、野党は食料品への減税で選挙でのウケを狙うことにもなる。

 とは言え、消費税は社会保障財源になっていて、逆進性の強い社会保険料を上げないためのものであることを忘れてはいけない。戦場を選ぶ必要がある。対する財務省も、籠城作戦に出たものの、時流に乗る勢力を抵抗運動で押し返すのは危い。本当の戦場は、「真に意味のある社会保険料の軽減」なのだが、体力勝負を避け、ここに行き着くには、戦略を練らなくてはならない。

 再分配で有効なのは、低所得者に厚くなる定額給付であり、消費減税などのように、所得に比例する軽減は不効率で、財源に穴をあける弊害も大きい。負担減の対象は、重くて低所得者に容赦のない社会保険料とするのが当然だ。負担は、非正規雇用を助長したり、結婚を阻害したりと、経済合理的な行動を妨げており、貧しい人を助けるだけでない社会的意味があることも重要だ。

 具体案を言えば、2023/1/1で示したような社会保険料に連動した給付つき税額控除になる。財源は、2兆円程度までなら、足下の自然増収の規模からして問題にならない。問題なのは、分かりにくさだ。国民には「実質的に社会保険料を下げます」で十分だろうが、政治家の理解力がどれだけあるかである。物価高だから消費減税という力任せの単純思考から離れ、勝てる戦場を選ぶ知恵があるかだ。

(図)

………
 年金法案は、立民党の提案で基礎年金の底上げが復活するという、不思議な展開になった。自民党は責任政党の面目を失い、選挙のために負担増を忌避するという単純な戦い方の惨めさが露わとなった。5年後、底上げを発動させるには、給付水準を上げる適用拡大と裏打ちする負担減が必要で、戦場は移っていく。政治家は、戦い方を学ぶために、アニメでも見てはどうかね。


(今日までの日経)
 日鉄の2兆円投資評価 USスチール買収一転承認。基礎年金底上げ復活へ 法案修正 自民、立民案受け入れ。コメ、背水の「官製値下げ」 随意契約で備蓄米半額に。消費減税「地方財源を圧迫」自民税調、異例の5月会合 やまぬ推進論を説得。ドイツ国債、大増発時代。

 

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5/21の日経

2025年05月21日 | 今日の日経

 3月の第3次産業活動指数は前月比-0.3で、1-3月期の前期比は+1.8となった。まあ、順調なんだけど、情報通信業の前期比+5.5が効いていて、1月の跳ね上がりは統計上の断層が疑われるんだよね。ところが、主力のソフトウェア業は、3月は前月比-7.5と大きく戻す形だった。こうなると、正直、何が実態か分からなくなる。ソフトは設備投資にもかかわってくるので、ホント悩ましいよ。

(図)


(今日までの日経)
 超長期債、財政膨張に警鐘。日本の半導体新設7工場、過半が稼働せず。消費減税、金利上昇に警戒 首相、赤字国債案に反論 野党は物価対策を主張。ハローワークで採用、低迷。医療研究開発機構10年、新薬創出は5件。

 

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1-3月期GDP1次・輸入増によるマイナス成長

2025年05月18日 | 経済

 1-3月期の実質GDPは前期比-0.2と若干のマイナス成長と、予想どおりだった。マイナス成長は輸入増によるもので、前期の反動が多く含まれているとは言え、トランプ関税の行方によって、輸入が成長の足を引っ張り続ける経済の始まりになるかもしれない。言い換えれば、資源や食料の輸入に難渋する経済に転落するということだ。過去の栄光は、さらに遠くへと去りつつある。

………
 1-3月期の家計消費(除く帰属家賃)は、実質が前期比+0.1と横ばいにとどまり、名目では+0.3であった。停滞は物価高が理由で、デフレーターは前期比+1.8と、この3年でもひときわ高かった。それでも、消費増税のときのように、実質を減らさなかったのだから、よくついてきたと評すべきだろう。物価高の背景には、1月をピークとした円安のぶり返しがある。物価安定は、円安是正を通じた金融政策の仕事なのに、やり切れていない。

 設備投資は、輸出が減る中で、前期比が+1.4と思いのほか高かった。鉱工業指数では、建設財、消費財の出荷が底入れしているので、この反映ならば良いのだが。設備投資は、需要に従うものであり、トランプ関税で輸出の減退は目に見えているから、あとは、今は名目だけとはいえ、内需の拡大につれて、設備投資がどれだけ引き出されるかが、今後の成長維持の注目点となる。

 政府消費は、前期比-0.0と寂しいもので、公共投資も、前期比-0.4とマイナスだった。年度では、それぞれ+1.5%と+1.4で、まずまずだが、直近がマイナスだと、今後が心配だ。住宅投資は、前期比+1.2だったが、資材高で、年度だと-1.0という収まりである。輸出は、年度が+1.7と前年より減速し、輸入は、+3.7と2倍の伸びだったものの、前年度のマイナスの反動もあり、輸入の水準だけが上がっているわけではない。

(図)

………
 デフレ下で投資をした日産は、輸出を失って経営危機に陥り、トヨタは、日本の生命線を守るべく、試練に挑む。国内新車販売台数は、2018年の527万台から2024年の440万台まで、出生率の低下と同様、大きく減った。内需が乏しければ、輸出に活路を見出すしかなかったが、その道が狭まって、改めて内需が求められるようになった。結婚ができない若者は、車も欲しない。産業政策の課題は、低所得の若者への再分配だったりする。


(今日までの日経)
 社説・年金を政争の具とせず建設的な審議に。低年金対策、5年後に再検討 底上げ策、苦し紛れの先送り。日産、拡大突き進み巨額赤字 トヨタは立ち止まり黒字。トヨタ「300万台」の試練 外貨を稼ぎ、エネルギー輸入を支える。中国不動産、長引く不況 在庫5年分、負の連鎖招く。米関税、車に1.7兆円打撃。昨年出生率「過去最低1.15」民間試算 。政府税調「年収の壁」物価連動を議論。

※立民党は、低年金対策の法案修正で、氷河期世代の支持を獲得でき、社会保険料連動型の給付つき税額控除で一気に適用拡大をして、若い世代の支持も拡げ、高齢世代の給付水準の低下もなくなって、こちらの支持まで得られる。戦略的に極めて有利な位置にいるのだが、まったく見えてないのが、あまりにも日本的だ。まあ、建設的な審議をしてくれ。

 

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5/14の日経

2025年05月14日 | 今日の日経

 4月の景気ウォッチャーは、前月比-2.5と大きく落ちて4か月連続の低下となった。トランプ関税の影響が出たので、やむを得ないところだ。製造業の現状の水準は、低下からの戻しがあって、前月比は+1.9だったから、本当の影響は、これからである。トランプ関税は、米中で大きく軽減の交渉が進展したが、日本は自動車が目の敵にされて、中国より重くなりそうな気がする。再分配による内需の確保が必要になるだろう。

 年金法案は骨抜きになったが、別に厚労省が困るわけではない。困るのは、少子化の悪影響がしわ寄せされる若い世代だ。もっとも、給付つき税額控除で保険料の負担軽減をして、一気に適用拡大をすれば、給付水準を下げずに改革できるのだが、減税には熱心でも、再分配には疎いという日本の政治の情けなさが表れている。役所が必要な改革の泥を被ってくれる時代ではなくなっているのに、ダメ出ししかできていない。

(図)


(今日までの日経)
 日本株、関税ショック前回復。低年金対策を削除、政府法案提出へ 給付水準3割低下に現実味。米中、関税交渉で一転歩み寄り。訪日観光、経常黒字の柱。

 

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消費維持のための還元策の頃合い

2025年05月11日 | 経済

 3月のCTIマクロは、実質の前月比が+0.1で、1-3月期の前期比は+0.2で着地した。名目では+0.8で順調だ。これで1-3月期のGDPは若干のマイナス成長かな。マイナスは輸入増によるもので、住宅と設備投資は高めだから、中身は悪くない。ただ、住宅は駆込み、設備投資は輸入によるものが大きく、いま一つ頼りない。とにかく、名目で良いから消費増を保ち、投資を引き出す展開に持ち込みたい。

………
 その消費を家計調査で見ると、可処分所得が削られている。1-3月期に名目実収入が前期比+0.2なのに、可処分所得は-0.8だ。気になるところだ。いかに締め過ぎないかが経済政策のカギだが、疎かになっている。選挙の人気取りに、荒っぽく大規模な減税がぶち上げられるばかりで、経済を調整する上で、どの程度、どこに充てるのが最善かという戦略がまるでない。この国に戦略的思考を求めるのは虚しいのだけれど。

 3月の国の税収は、前年同月比+15.7%とかなり高かった。この調子だと、補正後の2024年度予算額を1.8兆円ほど上ブレるのではないか。前年度決算比だと+3.1兆円くらいだ。2兆円の定額減税をやってこれなので、実質+5兆円の増収だ。たまたまにせよ、定額減税をやってちょうど良かったくらいだ。コロナ後の名目成長の動向だと、毎年、2兆円程度の減税や再分配を重ねていくというのが頃合いだと思う。

 消費減税やガソリン減税は、規模が大きすぎて、経済政策として危惧するレベルで、充てる先も、高所得者とか年金の物価スライドで補われる高齢者に拡散してしまう。非正規の低所得者、結婚・出産に直面する若者といった、成長にもつながるような分配を考えなければならない。具体策としたら給付つき税額控除なのだが、看板にしていた立民党まで消費減税を掲げるようでは、大衆迎合で戦略を捨ててるとしか言いようがない。

(図)

………
 度が過ぎた減税は、一部に大受けでも、他方で先行きに不安を与え、支持を限られたものにする。国民党が人気だったのは、所得控除に現実味があったからだろう。野放図さを与えては逆効果になる。有権者が真に欲しているのは、経済政策として成り立つ筋立てであって、バラ撒けば選挙に勝てるなどと思う政治家は、国民をバカにしている。そもそも、政治が売るべきは、利得でなく、戦略なのだ。

 

(今日までの日経)
 製造業2年ぶり減益。トヨタ「国産300万台」堅持。「財源なき減税論」警戒 自民、参院選へ近く勉強会 家計負担軽減、対案は乏しく。世界の成長エンジン陰り 新興国経済下押し 米関税への懸念続出。韓台通貨高、ドル離れ映す。真に価値あるスキル AIの正体 見抜く力を。

 

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5/7の日経

2025年05月07日 | 今日の日経

 3月の労働力調査は、雇用者が前月比-15万人と2か月連続の減となった。男性は増えているのだが、女性が大きく減るという珍しいパターンだった。男性は、製造業が増えたせいか、30才前後の就業率も上がっている。女性の減は、3月は小売業が落ちていたし、一時の振れとは思うが、ちょっと心配だ。4月以降、製造業にトランプ関税の影響が出てくるだろう。あとは、他がどのくらいカバーできるかになる。

(図)


(今日までの日経)
 NY原油、一時55ドル台 増産加速決定で 4年ぶり安値圏。オフィス賃料17年ぶり高さ。

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イシバノミクス・対米輸出はもうダメ

2025年05月04日 | 経済(主なもの)

 やっぱり自動車の対米輸出は取り戻せない。取り戻せたとしても、3年後にはゼロにするというような時限のものだろう。とりあえずは、輸出関税を政府が肩代わりし、徐々に輸出を減らす調整をして着地させ、あとは、輸出で成長を起動させてきた従来の戦略を、内需で引き上げるものに転換しないといけない。そうした戦略的な思考は、円安と金融緩和にしがみつくこの国にはないだろうけど。 

………
 3月の商業動態・小売業は前月比-1.4と落ちたが、1,2月の貯金が効いて1-3月期の前期比は+1.7だった。もっとも、CPIの財で除すと-0.3になってしまう。それでも、消費は、物価上昇に着いて行っている、あるいは、着いて行っているから値上げできているとも言える。今、なすべきは、名目でも良いから売上が拡大している状況を保ち、円安の是正で輸入物価高を抑制し、成長を実質化していくことである。

 日銀は利上げを見送り、円安になってしまった。常識的な対応だけど、7月には必ず上げると滲ませても良かったと思う。輸出が望めなければ、金融緩和に意味はない。利上げで円高にすると、資材高での建設投資の滞りが緩和され、むしろ景気は良くなるくらいの戦略観が必要である。景気は日銀、輸出企業の支援は財政という役割分担になる。結婚したら、マツダ車の割引券プレゼントなんてね。

 売上の拡大を保つことが重要なのは、成長の源になる設備投資を引き出すからである。売れるなら投資するというのは平凡な反応で、金利とは無関係だ。3月の鉱工業生産は前月比-1.1で、1-3月期の前期比が-0.7だったが、4,5月の予測の平均は+3.3と妙に高い。消費財、建設財は底打ちにも見える。3月の住宅着工は、規制前の駆け込みで飛び跳ねた。何が理由であれ、予測を実現していかなければならない。

 日本経済が内需主導で成長した前例は、バブル前になる。実需では、住宅投資が先行し、シーマ現象と言われる高額消費が続いた。これからは、円高傾向の下、コスト安で有利になるという方向を示しつつ、内需を拡大する政策を打ち出す必要がある。ガソリンに補助金を出して買い替えを遅らせている場合ではなかろう。初任給が上がっている若い世代が結婚できて、クルマも家も持てる絵を見せるのである。

(図)

………
 4月の消費者態度は、前月比-2.9と急落した。生鮮の低下で物価上昇は鈍っているのにこうなったのは、雇用の悪化を先取りして、トランプ関税の影響を心配しているのだろう。かつて、円高不況で輸出ができなくなった後、実際に来たのは消費ブームだった。政策の舵取り次第なのである。心配が自己実現してしまわないうちに、ビジョンを示すのも重要な政策の役割である。


(今日までの日経)
 米、車・鉄は交渉外。今期143円想定、減益影響2兆円に。「労働者」基準、40年ぶり見直し。日銀、今年度0.5%成長に下げ。上場企業の7割増益。中国企業、初の連続減益。「地産地消」でリスク備え・河野龍太郎。外国人留学生、最多33万人。

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